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2023.04.06

要支援と要介護の違いは?認定基準や使えるサービスの違いを解説

ご家族が介護を必要としたときに頼りになるのが、介護サービスです。介護サービスを受けることは高齢者のQOL(生活の質)を向上させ、ご家族の負担も軽減します。介護保険のサービスを利用するためには、要介護(要支援)認定を受ける必要があります。本記事では、要支援と要介護の違いや認定基準、さまざまなサービスを利用するにあたっての費用などについて解説します。

目次
・要支援と要介護の違い
・要支援・要介護の分類
・介護予防と要介護状態の改善策
・要支援と要介護になったときに介護保険で使えるサービス
・要支援や要介護で使える介護保険外サービス
・要支援や要介護で使いたい民間企業のサービス
・まとめ

執筆者画像
【監修】看護師 那賀嶋幸恵さん
新卒で急性期病院へ従事したのち、デイサービスや特別養護老人ホームなど様々な看護の場を経験。現在は訪問看護ステーションにて在宅医療の現場をみつつ、医療福祉のあり方を日々発信中。

要支援と要介護の違い

要支援と要介護についてはそれぞれ、介護保険法で定義されています。おおまかな違いとしては、要支援は介護の必要性まではないものの、日常生活について将来的に要介護になることが懸念される状態に対して、要介護はその時点で常時介護が必要とされる状態を指します。


要介護認定の基準

要介護認定とは介護サービスの必要度を判断するために設けられているものです。身体的機能だけではなく、認知機能も判断基準に含まれます。介護保険のサービスは原則として65歳以上を対象にしていますが、40~64歳でも、脳血管疾患や初老期の認知症、骨折を伴う骨粗しょう症など、特定疾病により要介護や要支援認定を受けるとサービスを利用できます。
認定基準は入浴や排せつ、食事、外出中の行方不明に対する探索、歩行訓練などの介護に必要な時間です。介護や支援が必要と認められない非該当(自立)、要支援1~2、要介護1~5の8段階に分類され、1日当たりに必要な介護時間が長いほど要支援度、要介護度が上がります。


要介護認定についての詳細は、以下の記事で紹介しています。

要介護認定とは?制度概要や申請方法・介護保険サービスを利用するまでの流れを解説

要介護認定における非該当(自立)とは

非該当とは、自治体の審査によって介護の必要がなく、自立して生活ができると判断された状態を指します。要支援・要介護に認定されていないため、介護保険のサービスは利用できません。家庭的な事情などがあり、非該当(自立)とされても、なお支援が必要な場合には、後ほど説明する民間のサービスや、自治体が独自に行っている支援など、介護保険外の事業を利用する方法もあります。


要支援とは

要支援とは、基本的な日常生活は自分でできるものの、生活の一部分において支援が必要な状態を指します。たとえば、食事や入浴など生活での基本的な動作は自力でできるけれど、お風呂掃除など負担が大きい家事は自分では難しいなどです。要介護度の進行を抑制するため、日常生活機能の維持向上を目的とした介護予防サービスを受けることもできます。


要介護とは

要介護は身体的な障害や認知機能の低下などで、ご家族や介護スタッフなどの介護が必要と認められた状態を指します。要支援が自力で生活できるのに対して、要介護は食事や入浴など生活の基本的な動作にも介護が必要になります。日常生活を支えるための介護サービスが利用でき、要支援より幅広い支援を受けられます。


要支援・要介護の分類

要支援・要介護は、状態や介護度合いによって7項目に分類されます。詳細は以下のリンクより確認してみてください。


・【要支援1とは】利用できるサービス、要支援2との違いについて


・【要支援2とは】詳しい状態や要介護1との違いを紹介


・【要介護1とは】適切なサービスを選び、将来の備えを


・【要介護2とは】生活状態や利用できるサービス、給付金について


・【要介護3とは】認定基準や活用できるサービス、補助金について解説


・【要介護4とは】認定基準や支給限度額、給付金について


・【要介護5とは】具体的な状態や要介護4との違い、利用可能なサービスを紹介


介護予防と要介護状態の改善策

できるだけ長く自立した生活を送るためには、要介護になる前に、介護予防について考えることが大切です。2025年には65歳以上の5人に1人が認知症になると予想されていますが、認知機能が低下する前から予防について考えてみてはいかがでしょうか。認知機能の低下を予防するためには、適度な運動、食事、社会的な活動への参加がポイントとされています。
運動は、歩くことがすすめられています。認知課題(頭の体操)と運動を組み合わせると認知機能の低下を抑えたという研究もあります。また、社会的なつながりがあると認知症になりにくいことが知られています。読書をしたり楽器を演奏したりといった知的活動をしている人の方が、認知機能低下の予防につながるという調査もあります。趣味をもったり、社会の中で役割を担ったりすることが認知機能低下の予防につながります。そして、心身の不調については早期発見も大切です。もし要支援や要介護になったとしても、市区町村や民間が運営する施設やサービスを利用しながら、リハビリテーションをし、少しでも機能を改善させることも重要です。

要支援と要介護になったときに介護保険で使えるサービス

要支援や要介護と認定されると、介護保険が適用される各種サービスが受けられます。65歳以上が対象ですが、若年性認知症など特定疾患の方は40歳からサービスを受けられます。ただし、サービスを受けるには手続きが必要です。介護保険適用サービスにはさまざまなサービスがあるので、どのような種類があるか、支給限度額とともに見ていきましょう。


介護保険のサービスを利用するために必要な手続き

介護保険のサービスを受ける場合、市区町村に申し込み、認定を受ける必要があります。サービス利用までの流れは以下のような手順になります。


1.介護保険被保険者証を用意して市区町村などへ申請
2.調査員が自宅や施設などを訪問し心身の状態について調査
3.審査判定
4.要介護認定の結果が通知される
5.要支援認定の場合は地域包括支援センターに介護予防サービス計画書の作成を相談。要介護認定の場合はケアプランを作成する介護支援専門員(ケアマネジャー)のいる居宅介護支援事業者へ依頼


介護保険のサービスで使える支給限度額

介護保険のサービスを受けるには、利用料金の自己負担があります 居宅サービスの場合は、限度額(提供されるサービスの総額)が以下のように定められており、そのうちの1割が自己負担となります(所得により2〜3割負担のケースもあり)。限度額を超えた場合は、超過分を利用者が全額を負担します。

自宅に訪問するサービスと料金

自宅に介護スタッフが訪問して行われるサービスについては以下のような種類があります。

・訪問入浴
・訪問看護
・訪問リハビリ
・訪問介護(身体介護・生活援助)(要介護のみ)
・夜間対応型訪問介護(要介護のみ)
・定期巡回・随時対応型訪問介護看護(要介護のみ)


訪問看護については要支援と要介護で料金は同じです(1割負担で数百円〜3000円程度。利用時間などにより変わります)。 一方で訪問入浴や訪問リハビリでは、要支援と要介護により料金が異なります(たとえば、訪問入浴で全身入浴を利用した場合、1割負担で1000円前後)。いずれも条件により料金が変わりますので、申し込み前に訪問ステーションなどで確認することをおすすめします。



福祉用具の貸与サービスと料金

福祉用具とは高齢者ができるだけ自宅で自立して生活をするための用具のことです。指定を受けている事業者が利用者に貸与または販売します。貸与するものには、車いすや歩行器、歩行補助杖などがあります。利用者が購入する場合には費用の9割(一定以上の所得者は7割~8割)が介護保険から払い戻されますが、年間で購入できるのは10万円までとなっています。

福祉用具についての詳細は、こちらの記事(介護用品でそろえるべきものとは|必要な福祉用具を選ぶポイント)で紹介しています。


住宅改修サービスと料金

要介護者にとって必要な設備を取り付ける住宅改修を行うときは、介護保険から償還払いで住宅改修費の9割が支払われます。支給限度基準額は1人生涯20万円で、支給される上限は9割となる18万円です。ただし、要介護状態区分が3段階以上重くなった場合や転居した場合は、再度20万円の支給限度基準額が設定されます。住宅改修の内容には手すりの取り付けや引き戸などへの扉の取り換え、便器の取り換え、段差の解消などがあります。



通所サービスと料金

施設に通って利用できるサービスには以下のような種類があります。

・認知症対応型通所介護
・デイケア(通所リハビリ)
・デイサービス(通所介護)
・地域密着型通所介護(要介護のみ)
・療養通所介護(要介護のみ)


料金は、サービスごとに決まっており、さらに要介護の段階によって変わります。たとえば、通所介護(デイサービス)では、1回につき645円(要介護1)〜1,124円(要介護5)です。



短期間の宿泊のサービスと料金

短期間の宿泊として利用できるサービスには以下のような種類があります。 


・ショートステイ(短期入所生活介護)
・短期入所療養介護


ショートステイ(短期入所生活介護)は、医療的ケアを必要としていない方が利用し、短期入所療養介護では医療的なサポートを受けることができます。心身機能の維持回復や療養生活の質の向上とともに、ご家族の負担軽減を目的としています。短期入所生活介護と短期入所療養介護ともに、利用料金は施設の形態や職員の配置などにより異なりますが、どちらも数百円〜1000円程度が目安です。



訪問・通所・宿泊等を組み合わせた場合のサービスと料金

介護保険で受けられるサービスのなかには、訪問と通所、宿泊を組み合わせて利用できるサービスもあります。


 ・小規模多機能型居宅介護
 ・看護小規模多機能型居宅介護(要介護のみ)

看護小規模多機能型居宅介護は訪問看護も利用できますが、小規模多機能型居宅介護は利用できません。小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)ともにサービス費は要介護度や居住場所によって費用が異なり、1カ月につき1割負担で数千円〜3万円程度が目安です。

小規模多機能型居宅介護についての詳細は、こちらの記事(小規模多機能型居宅介護とは? 対象者や料金、メリット・デメリットをわかりやすく解説)で紹介しています。



施設等で生活したときのサービスと料金

施設で生活するサービスもさまざまにあります。代表的な施設として介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)がありますが、利用できるのは基本的には要介護3以上の人です。施設サービス費の利用者負担額は利用する部屋によりますが、1日につき、要介護3で1割負担の方はで695円~となります。また、施設サービス費に加えて食費や光熱費などがかかります。

・特別養護老人ホーム(特養)(要介護のみ)
・介護老人保健施設(老健)(要介護のみ)
・介護療養型医療施設(要介護のみ)
・有料老人ホーム
など




地域密着型の小規模な施設等を利用したときのサービスと料金

地域密着型サービスには、以下のような種類があります。

・認知症対応型共同生活介護(グループホーム)(要支援2以上のみ)
・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護(地域密着型特別養護老人ホーム)(要介護のみ)
・地域密着型特定施設入居者生活介護(要介護のみ)


認知症対応型共同生活介護は認知症の利用者を対象にしています。利用できるのは要支援2以上の方で、利用者が負担するサービス費用は1割負担の方で数百円程度です。その他にも日常生活日(食費やおむつ代など)がかかります。


要支援や要介護で使える介護保険外サービス


厚生労働省では、要介護になっても住み慣れた街で自分らしい生活を送ることができるように、介護や生活支援などが地域の特性に応じて提供される地域包括ケアシステムの構築を推進しています。医療や介護、住まい、生活支援などを包括的に考えることが重要であり、介護保険適用範囲ではフォローができない点では、介護保険外サービスの充実も期待されています。介護保険外サービスのメリットは、要介護認定を受けていなくても利用できることです。具体的には下記のようなサービスがあります。

高齢者在宅サービス

市区町村で独自に介護保険外サービスを実施している場合があります。給食や介護タクシーを活用した外出支援、訪問介護(ホームヘルプ)、緊急時の連絡など、内容は自治体によってさまざまです。住んでいる地域の役所や地域包括支援センターに尋ねるか、市区町村のホームページでご確認ください。



介護予防・日常生活支援総合事業

市区町村が中心となり、地域の実情に合わせて生活援助や通所サービスなどの「介護予防・日常生活支援総合事業」を実施している場合もあります。対象となるのは要支援者の方ですが、要介護者の方を対象としたサービスもあります。事業の内容はさまざまなため、住んでいる地域の市区町村に問い合わせてみましょう。



生活援助、身体介護、お泊りデイなど

介護保険サービスを提供する介護サービス事業者が、介護保険外サービスを行っているケースもあります。洗濯や料理などの家事や外出支援など、介護保険の対象サービスだけではサポートされない部分を補う役目をしています。1泊程度のお泊りデイサービスを行っているところもあります。費用は全額、自費となり利用する事業者により異なります。



家事支援、介護援助など

「助けたい」「助けてほしい」という人がつながる有償ボランティア事業でも、高齢者向けに家事支援や介護援助などを行っています。利用者は仲介をする事業所に申し込みます。事業所は協力してくれるボランティアに連絡をして、調整がつけばボランティアは利用者の元を訪問し、援助します。そして、利用者はボランティアに利用料金を支払うという仕組みです。通所介護や訪問介護などで、介護や支援が必要な人に日帰り入浴や機能訓練、身体介護などを行います。利用料金は事業所により異なりますが、介護援助サービスで1時間1000円前後が目安です。



要支援や要介護で使いたい民間企業のサービス

民間でも要支援や要介護向けのサービスを行っている企業、団体があります。サービス内容としては家事代行や見守りサービス、介護タクシーなどです。コンビニでも毎日メニューが変わる弁当の宅配サービスを行い、利用するご家族も増えています。


まとめ

介護保険が適用される支援や介護サービスを受けるには、市区町村が実施している要支援・要介護認定を受ける必要があります。両者の違いは、要支援は介護の必要はないものの、日常生活に困難があり支援が必要とされる状態のことで、要介護は日常生活において常時介護が必要とされた状態を指します。現在、介護保険適用内、適用外ともにさまざまな高齢者支援、介護のサービスがあるので、事前に情報を集めておくことと安心です。


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