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2023.03.28

【特別養護老人ホームとは】特徴や入居費用、減免制度などを解説

家族に要介護者がいて介護負担が増えてきた場合、特別養護老人ホームの利用を考える人も多いでしょう。その際、どのような施設で、費用はどの程度かかるかが気になるところではないでしょうか。


この記事では、特別養護老人ホームの概要や、養護老人ホームとの違い、実際にかかる費用の目安、金額的な負担が難しい場合の減免制度などについて解説します。


目次
・特別養護老人ホームとは
・特別養護老人ホームと養護老人ホームとの違い
・特別養護老人ホームの入居にかかる費用
・特別養護老人ホームの費用は減免制度がある
・特別養護老人ホームのメリット・デメリット
・まとめ

執筆者画像
【監修】看護師 那賀嶋幸恵さん
新卒で急性期病院へ従事したのち、デイサービスや特別養護老人ホームなど様々な看護の場を経験。現在は訪問看護ステーションにて在宅医療の現場をみつつ、医療福祉のあり方を日々発信中。

特別養護老人ホームとは

特別養護老人ホームとは介護が必要な人に、介護サービスと生活の場を提供する施設のことで、「特養」と略して呼ばれます。特別養護老人ホームについては、「老人福祉法」のなかで、目的や設備について定められています。入居条件は特例を除き、在宅での生活が困難な要介護3以上です。

※要介護3については、以下の記事で詳しく紹介しています。

【要介護3とは】認定基準や活用できるサービス、補助金について解説


特別養護老人ホームには居室のほかリビングなども設けられ、介護士のサポートを受けながら、食事や入浴などの日常生活が送れるほか、レクリエーションなども定期的に行われます。また、医師や看護師による健康管理や、理学療法士などのサポートのもと機能訓練も行われます。公的な施設のため、ほかの老人ホームに比べると割安で入居ができ、希望があれば看取りも行われるケースも増えています。


特別養護老人ホームと養護老人ホームとの違い

特別養護老人ホーム以外にも高齢者向けの施設はいくつかあり、用語的に間違いやすいのが養護老人ホームです。しかし、両者は以下の点で違いがあります。


●目的
●入居条件
●サービス内容
●費用
●設備


項目ごとに特別養護老人ホームと養護老人ホームの違いをご説明します。


1.目的の違い

特別養護老人ホームと養護老人ホームは、目的から大きな違いがあります。

特別養護老人ホームは要介護3以上の認定を受け自分で生活が困難な人のための施設ですが、養護老人ホームは経済的や身体的、環境的、精神的などの問題で、在宅での生活が難しい人を受け入れるのが目的です。介護が目的の特別養護老人ホームに対して、養護老人ホームは高齢者を養護しつつ、社会復帰して自立的に生活できるように促していきます。そのため、特別養護老人ホームは長期で利用する人が多い一方、養護老人ホームは長期的に利用することはできません。特別養護老人ホームも養護老人ホームも食事の提供や健康管理が行われますが、目的の違いから、介護サービスを提供するのが特別養護老人ホーム、経済的アドバイスなどの自立支援サービスを提供するのが養護老人ホームとなります。

2.入居条件の違い

特別養護老人ホームは要介護3以上が原則的基準となりますが、やむをえない事情があると判断されると、要介護1、2でも入居ができるケースがあります。具体的には以下のような条件です。


●身寄りがない
●現在の環境では今までと同じように生活することが不可能
●生活保護世帯


年齢については特別養護老人ホームも養護老人ホームも65歳以上です。ただし、特別養護老人ホームの場合、40~64歳でも関節リウマチや筋萎縮性側索硬化症(ALS)など特定疾病が発症し、要介護3以上であれば、入居が認められます。特別養護老人ホームは居住地に関する規定はありませんが、地域密着型特別養護老人ホームは地域外の人の利用は不可となっています。一方、養護老人ホームは居住している市区町村に問い合わせてから、入居の判断を受けてください。 現在、超高齢化社会の中で要介護の認定者数は増えているため、特別養護老人ホームに入居したいという人は多く、数カ月以上の待ち時間が必要になることもあります。

3.サービス内容の違い

大きな違いとしては介護サービスが有るか無いかです。特別養護老人ホームは介護のための施設であることから、さまざまな介護サービスが行われています。入居者それぞれに必要な介護を見極め、食事、入浴、排せつなどの日常に必要なサポートから、機能訓練、健康管理なども行われます。介護職員が常駐しているのも、特別養護老人ホームの特徴です。

養護老人ホームは基本的には介護サービスはなく、入居者は生活に関する身の回りのことは自分で行います。介護職員は常駐しておらず、必要が出た時点で外部の介護サービスを活用するか、介護サービスのある施設へと転居しなければなりません。機能訓練やレクリエーションなどは、どちらの施設でも行われています。

4.費用の違い

特別養護老人ホームでの居住費と食費はだいたい、ひと月8~14万円です。入居する部屋や介護度、所得などによって費用は異なります。また所有している資産が少ないなどの条件により居住費や食費の負担が軽減される場合もあります。養護老人ホームの居住費は、前年度の収入によって異なり0円~14万円が目安です。経済状況により費用は変動し、生活保護法の適用を受けている場合や災害などに合った場合、負担能力がないと認められた場合などは利用費用が軽減されます。特別養護老人ホームも養護老人ホームも、月々の利用費のほか、身の回りの生活費もかかります。事前に確認しておくと安心です。

5.設備の違い

養護老人ホームと特別養護老人ホームの設備基準は「老人福祉法」にて、都道府県が条例で定めています。それぞれ厚生労働省により基準が示され、基本的に備えられているのは、以下のような設備です。
・基本的な設備
居室、静養室、食堂、浴室、洗面設備、便所、医務室、調理室、面談室、洗濯室または洗濯場、汚物処理室、霊安室、事務室など運営上必要な設備居室の広さはともにひとりあたり、1.65㎡以上と定められています。両者の大きな違いとしては、介護が目的の特別養護老人ホームには、基本的な設備の他に、介護職員室や看護職員室、機能訓練室、介護材料室などが設けられ、介護や看護に必要な設備が整っている点です。

特別養護老人ホームの入居にかかる費用

特別養護老人ホームでは入居一時金は不要ですが、以下のようなさまざまな費用がかかります。


● 施設介護サービス費
● 介護サービス加算
● 居住費
● 食費
● 日常生活費

上記の費用について、以下でご説明します。


施設介護サービス費

施設介護サービス費とは、介護サービスに関する料金です。施設介護サービス費用は国による規定があり、9割を保険者(市区町村)が払い、1割~3割を入居者が施設に払います。施設介護サービスの月額は介護度と居室タイプで異なります。


● 要介護3 …多床室、従来型個室1日695円、ユニット型個室1日776円

● 要介護4 …多床室、従来型個室1日763円、ユニット型個室1日843円

● 要介護5 …多床室、従来型個室1日829円、ユニット型個室1日910円

※利用者負担1割の場合

※料金は2023年2月1日時点の料金です。


多床室は一部屋に複数のベッドが入っている部屋で、従来型個室は1人部屋のことです。ユニット型はフロアごとに共用のリビングがあり、専任のスタッフが常駐しています。施設介護サービスに含まれるものとしては食事や排せつ、入浴など日常生活で必要なことへの介護や、機能訓練、健康チェック、服薬管理、趣味やレクリエ―ションの提供などがあります。


介護サービス加算

介護サービス加算とは、よりよい介護サービスを提供するために、サービスや職員の配置体制などに応じて基本料金に加算される金額です。加算対象には以下のようなものがあります。


● 入居後30日まで加算される「初期加算」
● 看護師の人数や体制により加算される「看護体制加算」
● 介護福祉士の配置割合などによる「サービス提供体制強化加算」
● 上限を1カ月6日までとした外泊時の「外泊時費用」加算
● 介護職員処遇改善に関する「介護職員処遇改善加算」
● 機能訓練指導員を配置し利用者に対して機能訓練を実施する際の「個別機能訓練加算」
● 夜間の人員を基準より多く配置するための「夜勤職員配置加算」


居住費

居住費は家賃のようなもので、国の「基準費用額」によって定められています。


● 多床室は1日855円
● 従来型個室は1日1,171円
● ユニット型多床室は1,668円
● ユニット型個室は2,006円


居住費については、低所得者への負担軽減が、段階別に設けられています。たとえば生活保護受給者の場合、多床室の負担限度額は0円です。部屋には介護ベッドや家具などは備え付けであるので、あらためて購入する必要はありません。


食費

有料老人ホームなどでは1日1食から利用できる場合もありますが、特別養護老人ホームでは原則として365日、1日3食が出され、費用は入居者が払います。食費の基準は厚生労働省によって定められており、基準費用額は月額で約4万2,000円です。負担限度額は年金収入額などで変わります。世帯全員が住民非課税の場合は、以下の料金です。


● 180万円以下…390円
● 80万円超120万円以下…650円
● 120万円超…1,360円


外泊などで食事をとらなかった場合にも、費用は変わらずに1日3食分請求されるので注意が必要です。ただし、事前に複数日の外泊などが分かっていれば、申請することで一定期間、施設から出される食事をストップでき、費用も欠食分を引いた額が請求されます。


日常生活費

日常生活費には実費を負担するものと、施設利用料に含まれるものがあります。たとえば実費を負担するものには以下が挙げられます。


● 理美容代
● 石けんや歯ブラシ、入れ歯洗浄剤、歯磨き粉などの日用品
● 書籍、雑誌、絵画や書道などに使用する道具など、趣味にかかる代金
● 遠方の病院に行く際の交通費
● お菓子、飲料品などのし好品


一方、日用品の中でも、おむつ代は施設利用料金に含まれているため、基本的には自己負担する必要はありません。車いす、歩行器、寝具類、清拭タオルなども請求されません。


特別養護老人ホームの費用は減免制度がある

特別養護老人ホームを使用する際には所得に応じて居住費や食費などの負担額を軽減できる、負担限度額認定証制度を受けられます。

条件は世帯全員が市区町村民税非課税で、市区町村によって利用者負担などが総合的に難しいと認められた場合です。対象者の条件、預貯金額によって、以下のような段階があり負担額が分かれます。

申請は市区町村の窓口に本人や配偶者の預貯金の写し、印鑑、申請書類などを持参して行います。申請書類は市区町村の窓口にあるので、自治体に直接問い合わせるか、ホームページで確認するようにしましょう。

介護保険制度額認定証には1年間の有効期限があり、自動更新はされないため、毎年申請しなければなりません。

特別養護老人ホームのメリット・デメリット

高齢者向けの介護施設として広く利用されている特別養護老人ホームですが、利用するにはさまざまなメリットとデメリットがあります。ここからは特別養護老人ホームを利用する際のメリットとデメリットについて解説します。利用を考える前にしっかりとチェックしてみてください。

特別養護老人ホームのメリットとは

特別養護老人ホームのメリットとしては以下のような点があります。


● 費用が安い
● 手厚い介護を受けられる
● 24時間体制で介護が受けられる
● 終身での入居が可能
● 家族の負担が軽減


入居一時金も不要など、有料老人ホームなどと比べて費用が安く済むのは大きなメリットです。施設サービスの利用料金の半額程度を医療費控除の対象にすることもできます。介護も専門スタッフが24時間体制で見てくれるので安心感です。また終身で入居ができ、看取りをしてもらえる施設もあります。 自宅で介護をしていると家族の負担が大きく、高齢者に十分なケアができないことも多くあります。家族が無理をせずに生活するためにも、特別養護老人ホームのような施設の利用を考えたいところです。


特別養護老人ホームのデメリットとは

特別養護老人ホームのデメリットには以下があります。


● 入居待ちが長くなる場合がある
● 医療体制が十分ではない場合がある
● 駅から離れている施設も多い


費用が安く、入居希望者が多いため、地域によっては入居までに長時間待たなければなりません。待機の間、自宅介護を行うことになりますが、特別養護老人ホームは居住地の条件がないため、少し離れた場所で探すという手もあります。また、看護師の24時間体制での配置が義務付けられていないため、深夜の医療ケアが必要な場合は、あらかじめ医療体制が整っている施設を探すと良いでしょう。


まとめ

特養とも呼ばれる特別養護老人ホームは、主に要介護3以上の高齢者が入居できる介護保険施設です。特別養護老人ホームと混同しやすいものに養護老人ホームがありますが、前者は介護を目的としているのに対し、後者は経済的や環境的に生活が難しい高齢者に自立を促すという違いがあります。


特別養護老人ホームは有料老人ホームなどと比べても低料金で介護サービスが受けられるのが魅力です。それでも経済的に入居が難しい場合には、減免制度を活用することもできます。現在、地域によっては特別養護老人ホームの数に対して希望者が多く、入居を待たされるケースもあります。探す範囲を広げることで見つかる場合もありますが、交通手段や医療体制、施設の問題で、必ずしもご自身や介護を受ける方にとって最適ではないかもしれません。そこで、特別養護老人ホームを探す際は、ケアマネジャーや地域包括センターなどに相談してみましょう。。



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