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2023.04.06

【要支援1とは】利用できるサービス、要支援2との違いについて

要介護認定について調べている中でよく耳にする言葉の1つに、「要支援1」があります。具体的にどのような状態なのか、受けられるサービスがどのようなものか気になる方は多いと思います。要支援1は、要介護認定の中でももっとも軽度な状態です。


この記事では、要支援1の概要や要支援2との違い、要支援1で受けられる介護予防サービスの内容などを解説します。区分支給限定基準額や利用できる施設と費用の目安なども説明していますので、ぜひ参考にしてください。


要支援・要介護の基本的な情報は以下の記事で紹介しています。

要支援と要介護の違いは?認定基準や使えるサービスの違いを解説


目次
・要支援1とは
・要支援1と要支援2の違い
・受けられる介護予防サービスとは
・利用できる施設と費用の目安
・まとめ

執筆者画像
【監修】看護師 那賀嶋幸恵さん
新卒で急性期病院へ従事したのち、デイサービスや特別養護老人ホームなど様々な看護の場を経験。現在は訪問看護ステーションにて在宅医療の現場をみつつ、医療福祉のあり方を日々発信中。

要支援1とは

要支援1は、要介護認定の中ではもっとも軽度なレベルです。食事や入浴、トイレなどに支援は必要なくひとりで生活できるものの、立ち座りなどの動作や買い物、掃除などの際に部分的に支援が必要となる状態を指します。なお、ある時点でどの程度の介護が必要となるか、その度合いを段階的に表す基準が、「要介護認定」です。要介護認定は「要支援1・2」および「要介護1~5」の7つの要介護度に分かれています。「要支援」が、家事や身支度などあくまで日常生活レベルでの支援が必要となる状態なのに対し、「要介護」は要支援よりも重く、寝たきりや認知症等で常に介護を必要とする状態を指します。


要介護認定についての詳細は、以下の記事で紹介しています。

要介護認定とは?制度概要や申請方法・介護保険サービスを利用するまでの流れを解説

要支援1に認定される基準

要介護認定で要支援1に認定される基準は、要介護認定基準時間が「1日当たり25分以上32分以内、またはこれに相当する状態」です。要介護認定では、支援や介護を必要とする方が受ける介助・介護ケアの内容を、「直接生活介助」(入浴、排泄、食事等の介護)「間接生活介助」(選択、掃除などの事援助等)、「BPSD関連行為」(行方不明に対する探索、妄想や、暴力に対する対応等)など、5つのカテゴリーに分類しています。さらに、これら5つのケア全体で1日当たりどの程度の時間を必要としているかで、要介護度を判定しています。このケアに要する時間は「要介護認定基準時間」という用語で呼ばれています。なお、要介護の認定に大きく関わっているのが、認知症です。要支援1相当のフィジカル的な状態でも、認知機能低下の状態により、要介護認定となるケースがあります。


要介護認定を受けるには、自治体の窓口で申請を行い、認定調査が実施されます。主治医からの指示意見書も必要です。コンピューターによる一次判定と介護認定審査会による二次判定があり、市町村が要介護度を決定します。要介護度に基づいて、ケアプランが作成され、介護サービスの利用が始まります。

介護認定調査についての詳細は、こちらの記事(介護認定調査とは?適切な認定を受ける準備から対応を詳しく解説)で紹介しています。


一人暮らしは続けることができる?

要支援1と認定された方は、食事や入浴、排泄などの基本的な行動や、買い物、掃除など基本的な家事ができるので、一人暮らしは可能です。ただし、基本的な一通りのことは自力でこなせても、部分的には誰かの助けが必要です。ひとりでやろうとして無理をした結果、転倒して足腰を打ったり、怪我をしたりすることがあります。怪我の悪化により身体機能が低下したり、認知機能の低下や要介護度が進行したりと、一人暮らしの継続が困難になる場合もあります。


そのため、要支援1の方が長く一人暮らしをし続けるには、必要な部分をご家族が手伝ったり、介護サービスを利用したりするなどのサポートを受ける環境づくりが大切です。


要支援1の方が取り組みたい介護予防

要支援1の方が、長く元気に生活し続けるためには、現状のレベルを維持し、要介護に進まないための介護予防の取り組みが重要です。まずは、適度な運動です。身体に無理のない範囲で運動し、現状の身体能力を維持しましょう。身体を動かすことにより歩行時に転倒するリスクなども軽減できます。テレビやラジオで流れている体操の番組に合わせて、定期的に体を動かすといいでしょう。また、自治体が介護予防教室などを実施している場合もありますので、運動仲間を増やす目的でも、参加されてみてはいかがでしょうか。
趣味やボランティアなど、何らかの生きがいややりがいを見いだせる活動を見つけるのも、好奇心が刺激され生活にメリハリがでるためおすすめです。好きな活動の繋がりで人間関係が広がり、コミュニティに属するようになれば、外と会話の機会も増えるので、認知機能の低下予防も期待できます。


また、バランスの取れた食生活も大事です。生活習慣病は老化進行やさらに深刻な病気の発症リスクにつながります。糖分や塩分は控えめに、繊維質が多く高タンパクの食事を心がけましょう。栄養バランスの取れた食生活は免疫力の維持にも繋がり、感染症予防にも役立ちます。


要支援1と要支援2の違い

同じ要支援のカテゴリーでも、要支援1と要支援2にはどのような違いがあるのでしょうか。 前述のとおり、要支援1は、日常生活の動作や仕事において、一部サポートが必要なものの、ある程度ひとりで行うことができる状態であり、怪我などに気を付ければ、自立した生活も可能です。 要介護認定基準時間でみると、要支援1の場合は「1日当たり25分以上32分以内、またはこれに相当する状態」であるのに対し、要支援2の場合は「1日当たり32分以上50分未満、またはこれに相当する状態」が認定基準として定められています。 要支援2の場合、日常的な動作や、基本的な家事などをある程度ひとりで行える状態である点は要支援1と変わりなく、自立した生活も不可能ではありません。ただ、身体的な衰えや認知機能の低下などにより、要支援1よりも多くのサポートを必要とする点が、要支援1と要支援2の違いといえます。


要支援2についての詳細は、以下の記事で紹介しています。

【要支援2とは】詳しい状態や要支援1との違いを紹介


受けられる介護予防サービスとは

要支援1と認定された場合、受けられる介護予防サービスがいくつかあります。介護予防サービスとは、要支援1・2の認定を受けた方が、自立した生活を送れるよう支援することを目的としたサービスです。介護予防サービスを通じて要介護度の進行をおさえ、身体機能・生活機能の維持改善を図るためのプログラムが提供されます。

介護予防サービスの料金は単位によって決まっています。国が定めた支給限度額の範囲内であれば無料であるものの、支給限度額の範囲を超えると、その先は自己負担となります。つまり、支給限度額を超えて介護予防サービスを利用すればするほど、自己負担額は増えていきます。


自宅で受けられる要支援1のサービス

要支援1の方がご自宅で受けられるサービスは4つあります。


1.介護予防訪問入浴介護

ご自宅にお風呂がない、あるいはお風呂があっても何らかの理由で入浴ができない方を対象に提供されます。介護職員と看護職員が利用者のご家庭を移動入浴車などで訪問し、入浴をサポートします。


2.介護予防訪問リハビリテーション

ご自宅でリハビリをしたい意思があるものの、自力あるいは家族のサポートがあってもリハビリができない方を対象に提供されるサービスです。理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などの専門家がご家庭を訪問してリハビリを実施します。


3.介護予防訪問介護 

病気などで外出が困難な場合や、点滴・経管栄養の管理が必要な場合などに、看護師やホームへルパーなどがご家庭を訪問して、入浴や排泄、食事などの介護、調理や洗濯、掃除などの家事支援を行うサービスです。


4.介護予防居宅療養管理指導
在宅療養中で通院が困難な場合などに、医師や歯科医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、歯科衛生士などがご家庭を訪問して、自立した日常生活を送れるように療養上の管理や指導を行うサービスです。


通所で受けられる要支援1のサービス

要支援1の状態で、施設に通いながら受けられる介護予防サービスは3つあります。


1.介護予防通所リハビリテーション(デイケア)

リハビリを続けたい、できるだけ自立したいなどの要望がある方向けのサービスです。老人健康保険施設や医療機関などで、食事などを含め日常生活の支援や、生活行為向上のための支援、リハビリテーションなどのサービス、およびそれぞれの目標に合わせた選択的なサービスが提供されます。


2.介護予防短期入所生活介護(ショートステイ)

ご家族によるご家庭での生活介護が困難などの理由で、介護老人福祉施設などに短期間にわたり滞在して、介護予防を目的に食事や入浴、排泄などの日常生活上の支援や、機能訓練などが受けられるサービスです。


ショートステイについての詳細は、以下の記事で紹介しています。

ショートステイとは?利用条件や費用、上手な使い方をご紹介


3.介護予防短期入所療養介護(医療型ショートステイ)
ご家族によるご家庭での医療介護が困難などの理由で、介護老人福祉施設や医療機関に短期間にわたり滞在して、介護予防を目的とする医療ケアを含む日常生上の支援や機能訓練、医師の診療などが受けられるサービスです


要支援1の福祉用具サービス

要支援1に認定された場合、介護予防のために必要な福祉用具を、介護保険給付によりレンタル・購入できるサービスも受けられます。
介護保険給付の範囲でレンタルできる福祉用具は次のとおりです。

●手すり(工事の必要なく設置できるもの)
●スロープ(工事の必要なく設置できるもの)
●歩行器
●歩行補助つえ


これ以外の車いすや特殊寝台のような福祉用具は、要支援1での利用ニーズが想定されていないこともあり、保険給付でのレンタルの対象には含まれていません。しかし、一定の条件に該当する場合は例外的に認められる場合もあるので、ケアマネジャーなどにご相談されることをおすすめします。レンタル料は、厚生労働省によって全国平均価格及び上限価格が公表されています。


また、福祉用具を購入した場合、介護保険により福祉用具購入費の支給が受けられます。対象となるのは、入浴や排泄に必要で、レンタルに不向きの腰掛便座や入浴補助用具など、厚生労働大臣が定めた用具です。支給される金額は1年間で10万円を上限として、1割から3割までの利用者負担額を除いた分です。福祉用具をうまく利用して、可能な限り現状の生活を長く維持できるよう工夫されることをおすすめします。

福祉用具についての詳細は、こちらの記事(介護用品でそろえるべきものとは|必要な福祉用具を選ぶポイント)で解説しています。


利用できる施設と費用の目安

要支援1で入居可能な施設として、サービス付き高齢者向け住宅と、有料老人ホームの2つがあります。それぞれの概要と、利用する際の利用金額の目安をご紹介します。


サービス付き高齢者向け住宅

サービス付き高齢者向け住宅は、高齢で一人暮らしの方、または高齢のご夫妻が居住できる賃貸などの住宅です。高齢者が快適に暮らせるようバリアフリー構造や原則25㎡以上の面積、台所や水洗トイレ、収納設備、洗面設備、浴室を備え設備などを備えるとともに、ケアの専門家による安否確認サービスや生活相談サービスなどの見守りサービスが受けられます。住宅によっては、食事サービスや生活支援サービス、夜間の常駐サービスなどを提供している場合もあります。また、必要に応じて在宅介護サービスを受けられる施設もあります。


サービス付き高齢者向け住宅を選ぶ際は、どのようなサービスが提供されているかを調べて検討するのがおすすめです。入居する場合の月額費用の目安として、安否確認や生活相談サービスが付いていて自立した生活を支援する住宅の場合は5万円から25万円程度、在宅介護サービスが付いた住宅の場合は15万円から45万円程度と幅があり、住宅の設備や受けられるサービス内容によって異なります。


サービス付き高齢者向け住宅についての詳細は、以下の記事にて紹介しています。

サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)とは?費用相場やメリット・デメリット、入居条件も紹介


有料老人ホーム

要支援1で利用できるもう1つの施設は、有料老人ホームです。高齢者の福祉を図るため、その心身の健康保持及び、生活の安定のために設けられている施設です。
食事の提供、入浴・排泄などの介護、洗濯・清掃などの家事、健康管理などのサービスを提供しているのが特徴です。有料老人ホームには、「介護付有料老人ホーム」「住宅型有料老人ホーム」「健康型有料老人ホーム」の3種類があります。介護付有料老人ホームは介護サービスが提供される居住施設で、介護が必要になった場合でも利用できます。 住宅型有料老人ホームは生活支援サービスが提供され、必要に応じて地域の介護サービスを受けられます。
一方、食事等のサービスが付いた健康型有料老人ホームの場合、重度の介護状態になると契約を解除して退去する必要があります。有料老人ホームの入居費用は、設備や利用するサービス内容により異なりますが、だいたい月額30万円前後が目安です。


要支援1で認知症対応型共同生活介護は利用できない

認知症対応型共同生活介護とは、認知症高齢者グループホームを指します。家庭的な雰囲気の中で5人から9人程度の少人数が共同生活をする施設です。入浴や排泄、食事などの介護、その他の日常生活上のケアや機能訓練が受けられます。


認知症対応型共同生活介護は、認知機能低下の状態がみられ、要支援2の認定を受けた方が利用対象です。要支援1の方はたとえ認知機能低下の状態が見られても、入居できないルールがあります。すでに要支援1の認定を受けている方の中には、認知機能低下の状態が進行し、認知症高齢者グループホームのような施設への入居が必要なケースもあるかもしれません。その場合は、再度要介護認定を申請して、要介護度の見直しをする必要があります。


まとめ

要支援1は、要介護認定では最も軽度のレベルです。部分的な支援があれば、日常生活での動作や家事は自立しており一人暮らしも可能です。無理のない範囲での運動や、バランスの良い食事、外部との交流をもつなどの心がけにより、現状の健康状態を維持し、元気で自立した生活を続けることができ認知機能低下の予防にもなるでしょう。<br>

また、要支援1の認定を受けた場合はデイサービスや介護予防訪問介護など、さまざまな介護予防サービスが受けられます。より安心を得たい場合は、サービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホームなどへの入居も可能です。専門家のアドバイスを受けながら要介護の状態やニーズも考慮しつつ、ご自分やご家族に合ったサービスを探してみることをおすすめします。


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