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2023.04.24

【介護タクシーとは】料金やサービス内容など利用前に知っておきたいこと

「介護タクシー」という名称は知っていても、具体的な利用方法や条件などがわからないという方も多いのではないでしょうか。介護保険が適用される介護タクシーは、一般のタクシーに分類されない訪問介護サービスのひとつです。利用する人が条件を満たせば介護保険が適用されます。また、介護タクシーと間違えやすい福祉タクシーもあるので、違いや特徴を知っておくと利用しやすいでしょう。


本記事では、介護が必要な方が外出時に使える介護タクシーの役割やサービス内容、利用条件について詳しく説明します。予約方法や利用料金のほかにメリットやデメリット、注意したいポイントなどもご紹介しますので、介護タクシーを利用する際の参考にしてみてください。


目次
・介護タクシーとは
・介護タクシーの利用条件
・介護タクシーの利用方法
・利用する際の注意点やポイント
・介護タクシーのメリット・デメリット
・運転手は介護資格者である
・まとめ

執筆者画像
【監修】看護師 那賀嶋幸恵さん
新卒で急性期病院へ従事したのち、デイサービスや特別養護老人ホームなど様々な看護の場を経験。現在は訪問看護ステーションにて在宅医療の現場をみつつ、医療福祉のあり方を日々発信中。

介護タクシーとは

介護タクシーは、自分一人では移動できない方が車椅子などで利用できるタクシーサービスです。2001年の介護報酬改定において「通院等のための乗車又は降車の介助」として創設されました。


介護タクシーの特徴は、利用する人の条件によって介護保険が適用される場合と適用されない場合があることです。ケアマネジャーが作成するケアプランに基づいて、要介護1以上の人が乗車前後の介助を必要とした場合に介護保険が給付されます。


要介護についての詳細は、以下の記事で紹介しています。

要支援と要介護の違いは?認定基準や使えるサービスの違いを解説

介護タクシーの定義と役割

一般的に使われている介護タクシーという呼び名は、正式名称ではありません。介護タクシーの本来の定義は、介護や介助が必要な高齢者や身障者を利用対象とするための特別仕様の車両のことです。


車椅子やストレッチャーのままで乗降できる車両を使い、送迎サービスのみを提供する場合を福祉タクシーと呼ぶことが多いです。介護保険適用のサービスも提供する場合は、介護保険タクシーと呼ぶなど区別されています。異なるニーズに対応できる点も介護タクシーのメリットです。介護保険タクシーは、運転手が運転業務に加えて介護の役割も担っています。そのため、運転手には介護職員初任者研修を受けていることや、介護福祉士などの資格保持者であることが求められます。

介護タクシーと福祉タクシーの違い

通称として介護タクシーや福祉タクシーと呼びますが、これらの名称は法令で決まっているわけではありません。ただし、一般的に使われているサービス内容の違いなどがあります。


福祉タクシーはケアタクシーなどともいわれるタクシーサービスで、提供する自治体や事業所によっても名称が異なります。介護保険適用外の介護タクシーと同様に、要介護認定を受けていなくても利用できます。そのため、希望すれば要支援1や要支援2の人でも申し込めます。福祉タクシーの車両は、介護タクシーと同じように乗降しやすいよう特別仕様になっています。ただし、運転手が介護の資格を持っていない場合、介助が受けられない点には注意が必要です。

介護タクシーのサービス内容

介護保険が適用される介護タクシーの場合は「通院等乗降介助」のサービスが受けられます。通院等乗降介助のサービスとは、送迎以外で車両からの乗降や目的の場所までの移動に必要な介助のことです。利用者の目的によって提供されるサービスは異なりますが、通院などの外出先で必要な介助が適切に行われます。


例えば、要介護者を病院へ送迎する場合は、自宅から屋外までの移動介助、介護タクシーに乗り込む際の介助が提供されます。病院では、降車と目的の場所までの移動、受診するための手続きなどの介助を行います。診察が終われば、薬の受け取りや移動、最後に自宅へ到着するまでの介助をしてくれます。


介護タクシーの利用条件

介護保険が適用される介護タクシーでは、いくつかの利用条件があります。介護保険タクシーを利用する人は、要介護1以上の介護認定を受けていなくてはなりません。また、使用目的にも細かな条件があるので、申し込む前に詳しく知っておく必要があります。介護保険適用の有無によっても利用条件が変わるため、以下でそれぞれの条件を解説します。

介護保険適用の介護タクシー

介護保険を使って介護タクシーを利用できるのは、要介護1以上で自宅や有料老人ホームなどで生活している方です。介護保険が適用される利用目的には、通院のほかに公的な書類の申請や預貯金の引き出し、各種の手続きなどがあります。選挙の投票に出かける際にも介護タクシーを利用すると介護保険が適用されます。


ほかにも、日常生活や社会生活で欠かせない外出であれば介護保険の適用範囲内です。ただし、介護タクシーへの家族の同乗は適用外なので、家族など周囲の方は一緒に乗っていけない点には注意が必要です。介護保険タクシーの場合は運転手に介護スキルが求められています。家族は付き添わずに、送迎と介助ができる運転手に任せるようにしましょう。

介護保険適用外の介護タクシー

介護保険を使わないで利用できる介護タクシーは、一般的に福祉タクシーと呼ばれています。「一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送事業限定)」としての取り扱いで、訪問介護サービスではありません。そのため、介護認定を受けていなくても利用できます。必要であれば家族などの付き添いも可能です。


利用対象者は特に制限がなく、身体障がい者手帳を持っている人や要介護認定・要支援認定を受けている人などです。障がいや病気、ケガなどで公共交通機関を利用できない方など、基本的にはどなたでも使えます。利用目的にも特に制限はありません。ただし、一般的なタクシーとは異なり空車で走っているわけではないため事前予約が必要です。


介護タクシーの利用方法

介護保険を使って介護タクシーを利用するには、知っておきたい利用方法や注意点があります。一般的なタクシーのようにすぐに利用できない点や、介護タクシーならではの料金体系などは、前もって確認しておくといいでしょう。ここでは、介護タクシーを予約する方法や利用するまでの流れ、使用料金、注意すべき点などをご紹介します。介護保険が適用されるサービスと実費になるサービスがあるなど、特徴的な料金体系であることも知っておくと安心です。

介護タクシーの予約方法と流れ

介護保険適用の介護タクシーを利用する条件は、ケアプランに乗降介助と身体介護が必要であることが記載されていることです。そのため、介護認定を受けていない場合は、自治体に申請してケアマネージャーにケアプランを作成してもらう必要があります。


要介護1以上の介護認定を受けたら、介護タクシーを利用したい旨をケアマネージャーに電話で伝えてもらいます。通院などで定期的に利用する予定があれば早めに予約することも可能です。介護タクシーは数が限られるため定期的な利用でない場合でも、余裕をもって予約するほうが良いでしょう。予約する際には、利用したい日時や乗車する場所、目的地などのほか、必要な介護なども伝えます。車椅子やストレッチャーを使用しているかなど、予約の際に確認事項が多いのも介護タクシーの特徴です。

介護タクシーの利用料金と支払い方法

介護タクシーの利用料金のうち、介護保険が適用されるのは介助サービスの料金のみです。運賃と介護器具のレンタル料金は全額自己負担になります。


1割負担の場合の介助料金の目安は、乗降介助が1回100円程度、往復で200円程度です。室内介助の1割負担額は100円程度、外出付き添いは120円程度です。運賃の料金はかかった時間や距離で算出されますが、事業所によっては独自の料金体系を採用している場合もあります。また、介護器具のレンタル料金の目安は、車椅子0~1,400円程度、ストレッチャー4,000~6,000円程度です。支払い方法は、現金のほかにもクレジットカードや銀行振り込みなどもあります。事業所によって料金や支払い方法が異なる場合もあるので事前に確認しておくといいでしょう。

利用する際の注意点やポイント

介護保険適用の介護タクシーを利用するときは、原則としてケアプランに記載されていないサービスは受けられません。あらかじめケアマネージャーに相談して必要な介護サービスをケアプランに記載しておくことが大切です。原則として家族の同乗は認められていませんが、特別な事情により必要と判断されることもあります。自治体によっても判断は異なるため事前に確認してください。また、介護にかかる時間が長いなどの場合には身体介護と判断されることもあります。


介護タクシーの運転手は、原則として院内は介護保管サービスの適応にはならない点にも注意が必要です。ただし、病院内の移動が自力ではできないなどのケースには例外も認められています。また、ヘルパー付きのサービスの場合は、介護ヘルパーが同乗し院内の介護をするケアプランを作成するものです。介護保険外にはなりますが、自費で薬の受け渡しやトイレ介助など院内の付き添いを提供するサービスもあります。

介護タクシーは認知症のある方も利用できる

認知症と診断されている方も、要介護1~5に認定されていれば介護タクシーが利用できます。認知症の症状には個人差があり、本人が公共交通機関の利用を希望しても目的地にたどり着くには周囲の助けが必要です。介護タクシーを利用すると運転手が介助してくれるので、家族など周囲の方の負担を軽減できます。介護の知識がある運転手が対応してくれるので安心です。


病院の中は原則として病院のスタッフが対応してくれますが、認知症で見守りが必要な場合、例外として運転手の付き添いも可能です。また、基本的には家族の同乗は認められていませんが、認知症など見守りが必要な場合は、例外として同乗できるのでケアマネージャーなどに相談してみてください。


介護タクシーのメリット・デメリット

要介護の方が外出するときに利用できる介護タクシーには、多くのメリットがあります。介護保険で利用できる介護保険タクシーを使えば経済的な負担も軽減されるので、条件を満たしている方は利用するのがおすすめです。ほかにも、介助や介護のサービス内容が充実している点や、介護器具をレンタルできるメリットもあります。一方で、介護保険タクシーの場合は家族が同乗できないなどのデメリットもあります。ここでは、介護保険タクシーのメリットやデメリットを説明します。

介護タクシーのメリット

介護タクシーを利用するメリットには次のようなものがあります。


・サービス内容が充実している

介護タクシーの運転手は、車両への乗降介助以外にも多様なサービスを提供してくれます。「通院など乗降介助」で受けられるサービスには、着替えや持ち物の用意など外出に必要なサポートも含まれています。また、通院の場合には必要に応じて受付や受診後の薬の受け取りなどもしてくれるので安心です。


・介護器具をレンタルできる

介護タクシーを利用して外出すると、必要な介護器具をレンタルできるので便利です。介護スキルのある運転手が、介護器具を用いてスムーズに乗降をサポートしてくれます。普段は使っていない車椅子やストレッチャーなど、外出時のみ必要な場合にレンタルできます。

介護タクシーのデメリット

介護タクシーにはデメリットもあるので紹介します。介護タクシーのデメリットを解消するには、自由度が高い福祉タクシーを使うと良いでしょう。


・家族は同乗できない

介護保険適用の介護タクシーの場合は、原則として家族が同乗できません。例外的に認められることはありますが、家族そろって外出したいときは福祉タクシーを利用するのがおすすめです。


・病院内の付き添いはできない

病院内のスタッフが付き添うため、原則として運転手は病院内での付き添いはできません。例外的に運転手の付き添いが認められる場合もありますが、別に料金が発生する可能性もあります。気になる点は、前もってケアマネジャーに相談してみてください。


運転手は介護資格者である

介護保険タクシーの運転手は、介護職員初任者研修の受講や介護福祉士などの資格を持っていることが義務付けられています。また、運転手は介護資格を保有しているため、利用者は介護保険を使った身体介護を受けることができます。車への乗降や外出先への送迎だけでなく、介護や介助が必要な方の移動などをサポートする大切な役目を担っています。


介護タクシーの運転手は、利用する要介護者や体の不自由な人が乗降しやすいように、車椅子などの介護器具を使って介助します。乗降の介助以外にも、自宅での外出準備から車までの移動、目的地までの移動なども運転手に依頼できます。ただし、原則として入退院時や通院時の付き添いはできません。


まとめ

介護が必要になった方にとって、病院や銀行などに外出するときには周囲のサポートが欠かせません。外出に関わる本人や家族など周囲の方の負担を軽減するには、介護タクシーを利用するのがおすすめです。介護タクシーには、介護保険が適用される介護保険タクシーと適用されない福祉タクシーがあります。


介護保険タクシーのメリットは、介助料金が1割負担など経済的な負担が軽くなることです。提供されるサービス内容が充実している一方、利用方法には一定の制限があります。利用料金が全額自己負担にはなりますが、観光や趣味などの外出には自由度の高い福祉タクシーを利用する方法もあります。家族が同乗できるかなど、条件を検討した上で介護タクシーを使い分けると良いでしょう。

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