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介護の相談をする女性と高齢者
2025.03.05

要介護認定とは?認定基準や申請方法、給付まで徹底解説

介護が必要になった時、介護保険を適用して介護サービスを利用するためには要介護認定を行う必要があります。ただ、「要介護認定の申請方法や認定基準が分からない」「どのようなサポートを受けられるか分からない」とお悩みの方もいらっしゃるかと思います。


この記事では、介護保険サービスを利用するために必要不可欠な「要介護認定」について、認定基準や申請方法、さらには利用できるサービスや給付まで、詳しく解説していきます。


目次
・要介護認定とは
・要介護の認定基準とは
・要介護認定の申請の流れ
・介護保険サービスの利用方法
・介護保険サービスの利用料と支給限度額について
・まとめ

【丁寧に解説】介護保険制度とは?対象者や条件、申請の流れ

介護保険制度や要介護認定について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

執筆者画像
【監修】SOMPOケア 人材開発部 橋本 美香
2004年訪問介護ヘルパーから介護職を開始。2008年介護福祉士、2010年ケアマネジャー、2013年より居宅介護支援事業所管理者。2019年主任ケアマネジャー、2022年社会福祉士取得。2023年よりSOMPOケア教育研修部(現・人材開発部)に異動し、各種研修企画や講師を担当。

要介護認定とは

要介護認定は、介護保険サービスを利用するために必要となる認定です。介護保険制度では、家事や身支度などの日常生活に支援が必要になったり、寝たきりや認知症などで常時介護を必要とする状態になったりした場合、所得に応じて介護サービスを1~3割の自己負担額で受けることができます。ただし、サービスを利用するには、「要支援認定」および「要介護認定」を受けなければなりません。


「要支援状態や要介護状態にあるかどうか」、また「その度合いがどれくらいか」を客観的に判定するのが要支援認定および要介護認定です。なお、要支援と要介護では以下のような違いがあります。

要支援・要介護の違いを表した表

※定義は介護保険法より第7条第1項、第7条第2項より抜粋 (参考:要介護認定に係る法令


要支援は基本的な日常生活は自分でできるものの、生活の一部分において支援が必要な状態で、要支援1・要支援2の2段階に区分されます。要介護は要介護1〜5の5段階で区分され、身体的な障害や認知機能の低下などで、ご家族や介護スタッフなどの介護が必要と認められた状態を指します。


要介護に認定されると、日常生活を支えるための介護サービスが利用でき、要支援より幅広い支援を受けられるのが特徴です。


【関連記事】要支援と要介護の違いは?認定基準や使えるサービスの違いを解説


要介護認定の区分は全部で7つ

要介護認定の区分は、介護や支援の必要度に応じて全部で7つに分かれています。


1. 要支援1
2. 要支援2
3. 要介護1
4. 要介護2
5. 要介護3
6. 要介護4
7. 要介護5


認定を受けると、さまざまなサービスを割安な料金で受けられることが大きなメリットです。特に、要支援状態のうちに介護予防サービスを受けることで、要介護状態になるのを予防し、介護を必要としない生活を長く継続できる可能性もあります。


どの区分に該当するかは、保険者である各市町村が設置する介護認定審査会によって判定されます。どれも該当しない場合(非該当)は、介護保険制度は利用できません。


要介護の認定基準とは

要支援も要介護も、状態区分によって介護保険で受けることができるサービス内容や支給限度額が決められています。要介護認定は全国で統一した審査基準に基づいて行われ、主に次の5分類をもとにした介護に要する時間(要介護認定基準時間)で評価されます。


・直接生活介助:入浴、排泄、食事などの介護
・間接生活介助:洗濯、掃除などの家事援助など
・問題行動(BPSD)関連行為:徘徊に対する探索、不潔な行為に対する後始末など
・機能訓練関連行為:歩行訓練、日常生活訓練などの機能訓練
・医療関連行為:輸液の管理、じょくそうの処置など診療の補助


これらの項目を総合的に評価し、1日あたりに必要な介護時間を算出します。その結果に基づいて、要支援1〜2、要介護1〜5の7段階に分類されます。

要介護度の違いを表した表

▼それぞれの状態について詳しく知りたい方はこちら

【要支援1とは】利用できるサービス、要支援2との違いについて
【要支援2とは】詳しい状態や要介護1との違いを紹介
【要介護1とは】適切なサービスを選び、将来の備えを
【要介護2とは】生活状態や利用できるサービス、給付金について
【要介護3とは】認定基準や活用できるサービス、補助金について解説
【要介護4とは】認定基準や支給限度額、給付金について
【要介護5とは】具体的な状態や要介護4との違い、利用可能なサービスを紹介


要介護認定の申請の流れ

要介護認定の流れを表した図

要介護認定を受けるためには、まず申請を行う必要があります。ここでは、申請から結果通知までの流れを詳しく説明します。


1.要介護認定申請

以下の通り、必要な書類を準備し、本人が住んでいる市区町村の窓口で申請を行います。


・要介護認定・要支援認定申請書
・介護保険被保険者証
・健康保険の保険証(第2号被保険者(65歳以下)の場合)
・マイナンバーカードもしくはマイナンバー通知カード(申請書に記入するため)


本人が申請できない場合は代理人の申請が可能です。家族の支援が受けられない場合は、近くの居宅介護支援事業者(ケアプラン作成事業者)地域包括支援センター、成年後見人、介護保険施設などへ連絡して申請の代行をしてもらうこともできます。


2.介護認定調査

認定調査員の研修を受けたケアマネジャーや市区町村等の認定調査員が自宅へ訪問して、本人の心身の状態を確認するための認定調査を行います。調査項目は全国共通です。市区町村が主治医に意見書を依頼します。主治医がいない場合は、地区町村の指定医の診察が必要です。


3.審査判定

訪問調査と主治医意見書の内容をコンピュータに入力し、一次判定を行います。二次判定(介護認定審査会)では、一次判定の結果や主治医意見書、調査員の特記事項を総合的に検討し、最終的な要介護度を判定します。


4.結果通知

申請から原則30日以内に、市区町村から結果が通知されます


【関連記事】介護認定調査とは?適切な認定を受ける準備から対応を詳しく解説


介護保険証の交付について

要介護認定の結果が出たあとに、介護保険証が交付されます。介護保険を適用して介護サービスを受ける際に必要ですので、必ず受け取るようにしてください。


また、要介護認定を受けたあとにはケアマネジャー(※要支援の場合は地域包括支援センター及び委託を受けた介護支援専門員(ケアマネジャー))とケアプランを作成し、どのサービスを受けるか決める必要があります。


なお、要介護認定は一度受けたら永続的に機能するわけではありません。新規や変更申請の場合は原則6ヶ月、更新申請の場合は原則12ヶ月の有効期限が設けられています。認定の更新をおこなわないと、介護保険の利用が中断される可能性もあります。更新申請は有効期間満了日の60日前から受け付けているので、忘れないようにご注意ください。


結果が「非該当」になったら

要介護認定の申請結果が「非該当」になった場合でも、生活機能に低下が見られて、今後要支援または要介護状態になるリスクがある場合は、「介護予防ケアマネジメント」として展開されている、訪問型、通所型、生活支援などのサービスが利用できます。


・訪問型サービス:自宅を訪問して行う掃除や洗濯などの生活援助、専門職による運動指導や栄養指導など
・通所型サービス:デイサービスセンターなどで行う体操や趣味活動、運動機能向上や栄養改善のためのプログラム
・生活支援サービス:配食サービス(栄養バランスの取れた食事の配達)、買い物代行や移動支援など


高齢者が要介護状態になることをできる限り防ぐ(遅らせる)ため、また要支援および要介護状態になってもその悪化をできる限り防ぐためにも、状態に応じて活用していくのがおすすめです。利用の際は保健師などによって利用者の介護予防ケアプランを作成し、利用可能な事業を決定します。なお、一定期間ごとに効果を評価しプランの見直しを行います。


判定結果に不服を申し立てたいときは

要介護認定調査の判定結果を受け、説明を受けても納得ができないことがあるかもしれません。その場合、都道府県ごとに設置されている「介護保険審査会」に「不服申し立て」ができます。申し立ては、通知があった日の翌日から60日以内に行う必要があります。


また、調査段階から心身の状態が大きく変化したのが明らかな場合は「区分変更申請」を行うことで再度調査を行うことも可能です。この申請は随時行うことができ、30日以内に新たな結果が通知されます


介護保険サービスの利用方法

要介護認定の結果に応じて介護保険サービスを受けることができます。「要支援」の判定を受けた方は介護予防サービスを、「要介護」の判定を受けた方は介護サービスなど、「要支援」「要介護」の区分によって受けられるサービスは異なります。これらのサービスを利用するための流れを紹介します。


【要支援1・2の方】地域包括支援センターに相談

要支援1または2と認定された方は、介護予防サービスが受けられます。介護を行うものではなく、今後要介護状態になることを予防することを目的としたサービスです。


利用するには地域包括支援センターに相談して介護予防サービス計画(介護予防ケアプラン)を作成する必要があります。担当の保健師等が自宅を訪問し、本人の状態や希望を踏まえて、介護予防ケアプランを作成してくれます。(居宅介護支援事業所の介護支援専門員(ケアマネジャー)が委託を受けて、ケアプラン作成をする場合もあります。)


主な介護予防サービスには以下のようなものがあります。

介護予防通所介護(デイサービス)
・介護予防訪問介護(ホームヘルプ)
・介護予防訪問リハビリテーション
介護予防福祉用具貸与


【要介護1〜5の方】ケアマネジャーに相談してケアプラン作成

要介護1から5と認定された方は、介護支援専門員(ケアマネジャー)に相談して居宅サービス計画(ケアプラン)を作成します。利用できるサービスには、以下のようなものがあります。

通所リハビリテーション(デイケア)
通所介護(デイサービス)
短期入所生活介護(ショートステイ)
特別養護老人ホームなどの施設サービス(原則、要介護3以上) 


市区町村から紹介された居宅介護支援事業所のリストからケアマネジャーを選び、ケアマネ本人や家族の希望を聞きながらケアプランを作成します。

もしケアマネジャーが合わないと感じた場合は、事業所の管理者や地域包括支援センターに相談すれば変更も可能です。以下の記事で事例を紹介しています。


介護保険サービスの利用料と支給限度額について

介護保険サービスを利用する際の自己負担額は、原則としてサービス費用の1割です(一定以上の所得がある場合は2割または3割)。ただし、要介護度に応じて月々の利用限度額が設定されています。


要介護度別の支給限度基準額(月額)

要介護別の支給限度基準額

※要支援1と要支援2は「予防給付」の金額です。予防給付で利用できるサービスは介護予防サービスに限られています。


たとえば、要介護3の方が270,000円分のサービスを利用した場合、

 ・自己負担額:27,000円(1割負担の場合)

 ・介護保険からの給付額:243,000円

となり、自己負担の割合を大きく軽減できます。


【関連記事】介護にかかるお金はどれくらい?介護保険制度と今後の備え


要介護認定で受けられる他のサービスや負担軽減について

要介護認定を受けることで、介護保険サービスの他にもさまざまな負担軽減などを受けることができます。直接的な給付ではありませんが、サービス利用費の自己負担を軽減できるので、どんな制度があるのかを把握してうまく活用することが大切です。


ここでは、主な制度とその概要を紹介します。


●高額介護サービス費制度

1ヶ月の介護サービス利用料が一定額を超えた場合、超過分が後から払い戻される制度です。世帯の所得状況に応じて、自己負担上限額が設定されています。令和3年8月分から負担限度額が見直され、以下のようになりました。


・課税所得690万円(年収約1,160万円以上):140,100円(世帯)
・課税所得380万円(年収約770万円)〜課税所得690万円未満(年収約1,160万円以上):93,000円(世帯)
・市町村民税課税〜課税所得380万円(年収約770万円未満):44,000円(世帯)
・世帯の全員が市町村民税非課税:24,600円※(世帯)
・生活保護を受給している方等:15,000円(世帯)


※世帯の全員が市町村民税非課税で、前年の公的年金等収入金額とその他の合計所得金額の合計が80万円以下の方は、世帯の負担上限が24,600円、個人の負担上限が15,000円となります。

参考:令和3年8月利用分から高額介護サービス費の負担限度額が見直されます


●福祉用具レンタル費の保険適用

福祉用具のレンタルを希望する際は、担当のケアマネジャー・福祉用具貸与事業者と相談し、レンタルする福祉用具を決定しましょう。

主に以下の福祉用具が介護保険でレンタルできます。


1. 手すり(工事不要のもの)
2. スロープ(工事不要のもの)
3. 歩行器
4. 歩行補助つえ


また、要支援1~2・要介護1の場合は、医師の意見にもとづいて福祉用具が必要と判断された場合や、市区町村が特に必要と認めたときは例外給付として、追加で6品目のレンタルが可能になります。6品目とは車椅子・介護用ベッド・床ずれ防止用具及び体位変換機・歩行を感知する機器・移動用リフト・自動排泄処理装置です。(参考:要支援・要介護1の者に対する福祉用具貸与について


●住宅改修費支給制度

要介護認定を受けている場合、介護のために住宅の改修が必要となった際に、介護保険による住宅改修費の支給を受けることができます。支給限度額や条件は以下の通りです。


・支給限度額:20万円(自己負担分を除く)
・対象となる改修:手すりの取り付け、段差の解消、滑り防止および移動の円滑化のための床材の変更、引き戸などへの扉の取り替え、洋式便器などへの便器の取り替えなど


住宅の改修を希望するときは担当のケアマネジャーなどに住宅改修が必要である旨の理由書を作成してもらい、施工前と施工後に居住地の自治体に申請します。


●住宅特定改修特別税額控除(バリアフリー改修工事)

こちらは給付ではなく、控除の制度です。バリアフリー改修工事を行った場合、所得税の控除を受けられます。控除額は改修工事費用の10%(上限20万円)です。確定申告時に必要書類を提出する必要があるため、税務署などに確認しましょう。


●おむつ代助成制度

要介護認定を受けた方で、常時おむつが必要な方を対象に、おむつ代の一部が助成される制度です。こちらは自治体によって助成額や条件が異なるため、詳細は各自治体に確認しましょう。


まとめ

介護保険サービスを利用するためには要介護認定が必要です。この記事で解説した主なポイントをあらためて以下にまとめます。


・要介護認定の意義
介護や支援の必要度を客観的に判断し、適切なサービスを受けるための基準となります。
全8段階(非該当、要支援1・2、要介護1~5)に分類され、それぞれの状態に応じたサービスが利用できます。

・申請から認定までの流れ
市区町村の窓口に申請を行い、訪問調査と主治医意見書を基に判定が行われます。

・受けられる給付・負担軽減等
介護保険給付をはじめ、高額介護サービス費制度、住宅改修費支給制度など、さまざまな支援があります。

・サービス利用の方法
要支援1・2:地域包括支援センターに相談してケアプランを作成
要介護1~5:ケアマネジャーに相談してケアプランを作成


要介護だけでなく、要支援の段階でも使えるサービスはさまざまあります。介護度が深刻になる前の段階から、本人の介護予防はもちろん、家族の負担を少しでも減らすためにも、介護保険サービスを上手に使いながら、快適な生活を長く送れるようにしていきましょう。

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