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2022.04.20

要介護認定とは?制度概要や申請方法・介護保険サービスを利用するまでの流れを解説

「“要介護”や“要支援”という言葉はよく耳にしても、実際何のことだかよくわからない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。“要介護”“要支援”とは、介護保険サービスを受けるために必要な認定です。

この記事では、介護サービスを受けるために必要な要介護認定の申請方法や審査基準、サービスを受けるまでの流れなどを詳しく紹介します。

目次
・要介護認定とは
・要介護度は「要支援」または「要介護」に区分される
・要介護の認定基準とは
・要介護認定を受ける流れ
・要介護認定後の介護サービス利用方法
・まとめ

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【監修】医療法人ミチラテス 理事長 ファミリークリニックあざみ野 院長 石井道人先生
北里大学医学部卒。東京都立多摩総合医療センターで救急医療、総合診療を学ぶ。 2013年より北海道・喜茂別町で唯一の医療機関、喜茂別町立クリニックに管理者として赴任。乳幼児健診から看取りまで、町民二千人の健康管理を担う。2020年神奈川県横浜市にて開業。 日本プライマリ・ケア連合学会認定指導医 日本救急医学会認定救急科専門医 日本内科学会認定内科医 日本医師会認定健康スポーツ医 日本医師会認定認知症サポート医 キッズガーデンプレップスクール嘱託医  

要介護認定とは

要介護認定は、介護保険サービスを利用するために必要となる認定です。介護保険制度では、家事や身支度などの日常生活に支援が必要になったり、寝たきりや認知症などで常時介護を必要とする状態になったりした場合、所得に応じて介護サービスを1~3割の自己負担額で受けることができます。ただし、サービスを利用するには、「要支援認定」および「要介護認定」を受けなければなりません。


「要支援状態や要介護状態にあるかどうか」、また「その度合いがどれくらいか」を客観的に判定するのが要支援認定および要介護認定です。いずれも、保険者である各市町村が設置する介護認定審査会によって判定されます。要支援は1~2の2段階、要介護は介護の度合いが軽いものから重いものまで1~5の5段階で数値化されます。認定された段階に応じて、月の支給限度額が設定されています。


認定を受けると、様々サービスを割安な料金で受けられることが大きなメリットです。特に、要支援状態のうちに介護予防サービスを受けることで、要介護状態になるのを予防し、介護を必要としない生活を長く継続できる可能性もあります。


要介護度は「要支援」または「要介護」に区分される

要介護度は、「要支援」と「要介護」の2つに区分されます。


「要支援状態」とは、要介護状態の前段階です。基本的にひとりで生活できるものの、部分的な支援が必要な状態です。要支援認定には、要支援1~2の2段階があります。利用できる介護保険サービスは、要介護状態になるのを予防すること、状況の悪化を防ぐことを目的とした「介護予防サービス」です。


「要介護状態」とは、身体および精神上に障害があるために、入浴や排せつ、食事などの日常生活における基本的な動作の全部や一部に介護を必要とする状態です。要介護認定には、介護の必要の程度に応じて要介護1~5まで、5段階があります。介護の度合いは要介護5が最も重くなります。利用できる介護保険サービスは「介護サービス」で、日常生活を送る上で必要な介護を受けられます。


要支援・要介護の詳しい内容は以下の記事で紹介しています。

・要支援と要介護の違いは?認定基準や使えるサービスの違いを解説


要介護の認定基準とは

要支援も要介護も、状態区分によって介護保険で受けることができるサービス内容や支給限度額が決められています。要介護認定は全国で統一した審査基準に基づいて行われ、主に次の5分類をもとに介護に要する時間で評価されます。

要介護認定等基準時間の分類

要介護認定を受ける流れ

要介護認定を受けるためには、まずは要介護認定の申請を行う必要があります。ここでは申請の仕方から結果通知までの流れを紹介します。


要介護認定の申請に必要なものと申請場所

要介護認定の申請は、介護者が住んでいる各市町村の窓口で行います。

申請には「介護保険 要介護認定・要支援認定申請書」と、「介護保険被保険者証」(40歳から64歳の第2号被保険者は、加入している医療保険の被保険者証)、氏名・医療機関名や電話番号等の主治医の確認ができるもの、マイナンバーカード(個人番号が確認できるもの)、身元が確認できるものが必要になります。申請書は窓口でもらうかサイトからダウンロードすることができます。

また本人が申請できない場合は代理人の申請が可能です。家族の支援が受けられない場合は、近くの居宅介護支援事業者(ケアプラン作成事業者)地域包括支援センター、成年後見人、介護保険施設などへ連絡して申請の代行をしてもらうこともできます。


審査の流れ

要介護認定の申請をすると、次のような順序で認定調査が行われます。


① 訪問調査、主治医意見書

ケアマネジャーや市区町村等の認定調査員が自宅へ訪問して、本人の心身の状態を確認するための認定調査を行います。調査項目は全国共通です。市区町村が主治医に意見書を依頼します。主治医がいない場合は、地区町村の指定医の診察が必要です。


②一次判定<コンピュータ判定>

訪問調査と主治医の意見書の内容をコンピュータに入力して、一次判定を行います。


③二次判定<介護認定審査会>

一次判定の結果と、主治医の意見書、訪問調査時の特記事項を基に、保険・医療・福祉の専門家からなる介護認定審査会による審査が行われ、「要介護度」の判定をします。


④結果通知

申請から原則30日以内に、市区町村から結果が通知されます。


なお、要介護認定の有効期間は、新規および変更申請の場合は約6カ月、その後の更新申請は原則1年間ごとに見直し、更新を行います。期限内に申請をしないと、期限切れで無効になるため、必ず期限内に更新申請を行うことが重要です。なお、前回の更新時と要介護度が変わらなかった人は、最長4年まで延長されます。

認定調査についての詳細は、こちらの記事(介護認定調査とは?適切な認定を受ける準備から対応を詳しく解説)で紹介しています。


結果が「非該当」になったら

要介護認定の申請結果が「非該当」になった場合でも、生活機能に低下が見られて、今後要支援または要介護状態になるリスクがある場合は、「介護予防ケアマネジメント」として展開されている、訪問型、通所型、生活支援などのサービスが利用できます。


高齢者が要介護状態になることをできる限り防ぐ(遅らせる)ため、また要支援および要介護状態になってもその悪化をできる限り防ぐために、各市町村は介護予防・生活支援サービス事業を行っています。主に地域包括支援センターが中心となって、保健師などによって利用者の介護予防ケアプランを作成し、利用可能な事業を決定します。なお、一定期間ごとに効果を評価しプランの見直しを行います。


判定結果に不服を申し立てたいときは

要介護認定の調査判定結果に納得できない場合は、市町村の窓口で判定結果に対する説明を求めることができます。説明を受けても納得できない場合は、都道府県ごとに設置されている「介護保険審査会」に対して「不服申し立て」をすれば、再度調査が行われます。不服申し立ては、通知があった日の翌日から60日以内に行う必要があります。しかし、結果が出るまでに数カ月かかってしまうこともあるため、よく行われるのが「区分変更申請」です。区分変更申請は、心身の状態が大きく変化して要介護度が変化したと判断した時点で随時行えるもので、申請後、改めて訪問調査などが行われ、30日以内に結果が通知されます。

要介護認定後の介護サービス利用方法

要介護認定の結果に応じて介護保険サービスを受けることができます。「要支援」の判定を受けた方は、介護予防サービスを、「要介護」の判定を受けた方は、介護サービスなど、「要支援」「要介護」の区分によって受けられるサービスは異なります。これらのサービスを利用するための流れを紹介します。


介護・介護予防サービス計画(ケアプラン)の作成

要支援、要介護の判定を受けた人が介護(介護予防)サービスを利用する場合には、介護(介護予防)サービス計画書(ケアプラン)の作成が必要となります。要支援1、要支援2の場合は、地域包括支援センターに相談して、介護予防サービス計画書の作成を依頼します。計画書に則って、自宅での家事援助、訪問入浴や看護、リハビリに加え、介護施設への通所リハビリや、短期入所生活介護(ショートステイ)などの利用が可能になります。


要介護1以上の人が、自宅で介護サービスを受ける場合は、都道府県知事指定の居宅介護支援事業者へ依頼すると、介護支援専門員(ケアマネジャー)が介護サービス計画書(ケアプラン)を作成してくれます。介護サービスには様々な種類があるため、本人や家族の希望などをケアマネジャーへ正確に伝えることが大切です。介護サービス計画書に基づき、各種サービスが利用できるようになり、福祉器具のレンタルや購入もできます。また、施設でのサービスを利用する場合は、介護施設の介護支援専門員(ケアマネジャー)が介護サービス計画書を作成します。


ケアマネジャーについての詳細は、以下の記事で紹介しています。

ケアマネジャーの役割を知ってうまく付き合う方法│選び方や利用する際の注意点

サービスの利用料

要支援、要介護の認定が下りれば、どれくらいのサービスを、どのくらいの費用で受けられるのでしょうか。例えば自宅で介護保険サービスを利用する場合、下記のように要介護度に応じてサービス利用料の限度額(月額)が設定されています。支給限度額の範囲内で居宅サービスを利用した場合の自己負担額は、サービス費用の1割(一定以上の所得がある場合は2~3割)となりますが、限度額を超えてサービスを利用する場合の超過分は、全額自己負担となります。なお、高額介護サービス費の負担上限額が見直され、2021年8月から一定以上の高所得者の負担額が増えています。

介護にかかるお金はどれくらい?介護保険制度と今後の備え

介護は突然始まることも珍しくなく、金銭面の準備も大切です。子の記事では、介護保険制度の紹介と併せて、ご自宅で介護サービスを利用する場合、老人ホームなど入居型サービスを利用する場合など、介護にかかる費用を解説しています。

また、福祉用具の購入費や住宅改修費も、所得に応じて購入費用および改修費用の1~3割の自己負担で利用できます。なお、各自治体によって年間の上限額が異なる場合もありますので、必ず確認しましょう。

なお、介護保険施設サービスを利用する場合の負担額も所得に応じて費用の1~3割です。ただし、居住費と食費などの利用者負担が過重にならないよう、所得に応じた区分によって軽減措置が講じられます。

まとめ


介護保険サービスを受けるには要介護認定が必要です。利用できるサービスや給付金は要支援、要介護の7段階に区分された介護度によって異なります。また、本人の所得額によっても支給限度額と負担額が変わってきます。要介護だけでなく、要支援の段階でも使えるサービスはさまざまあります。介護度が深刻になる前の段階から、本人の介護予防はもちろん、家族の負担を少しでも減らすためにも、介護保険サービスを上手に使いながら、快適な生活を長く送れるようにしていきましょう。

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