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2023.04.03

【要介護3とは】認定基準や活用できるサービス、補助金について解説

要介護3では、日常生活のなかで全介助が必要な場面が増え、理解力・判断力の低下や見当識障害といった認知機能の低下がみられる場合もあります。特別養護老人ホームの入居が可能になりますが、デイサービスやショートステイなど介護保険の在宅サービスを活用しながら自宅で過ごす方も少なくありません。


この記事では要介護3の認定基準や介護保険の支給限度額をはじめ、要介護4との違い、活用できるサービス・補助金について解説いたします。


要支援・要介護の基本的な情報は以下の記事で紹介しています。

要支援と要介護の違いは?認定基準や使えるサービスの違いを解説


目次
・要介護3とは
・要介護3の認定基準
・要介護3と要介護4の違い
・要介護3の方が受けられるサービス
・要介護3の支給限度額や給付金は?
・在宅介護と施設入居の選択ポイント
・まとめ

執筆者画像
【監修】看護師 那賀嶋幸恵さん
新卒で急性期病院へ従事したのち、デイサービスや特別養護老人ホームなど様々な看護の場を経験。現在は訪問看護ステーションにて在宅医療の現場をみつつ、医療福祉のあり方を日々発信中。

要介護3とは

要介護3は、中程度の介護が必要な状態と位置づけられています。自力での立ち上がりや歩行が困難なだけでなく、排泄・入浴・着替え・食事など日常的な動作の大部分で介助が必要な状態です。記憶障害や見当識障害といった、認知機能が低下する方もみられます。見当識障害が起こると時間・場所や周辺の人の状況がわからなくなり、日常生活や社会生活にも支障をきたします。


日常生活のなかで介護を必要とする場面が多いため、要介護2以下の方とくらべて介護時間が増えるのも要介護3の特徴です。要介護度別に、同居の介護者の介護時間割合を見ると、要介護1・要介護2では「必要なときに手をかす程度」が最も多いですが、要介護3では「ほとんど終日」の割合が最も多くなります(※)。また、排泄や認知症への対応に不安を抱えるご家族が多いといわれています。要介護3の方が安心して生活し、なおかつご家族の負担を軽減するためには、介護サービスの活用が重要です。

※出典:厚生労働省 2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況 「IV 介護の状況」


要介護3の認定基準

要介護認定は、日常生活に関する基本調査項目をもとに1日あたりの介護の手間を推計した「要介護認定等基準時間」に基づいて行われます。要介護3の認定基準は、要介護認定等基準時間が1日あたり70分以上90分未満です。ただし、要介護認定等基準時間は介護サービスを受けられる時間数とは異なるのでご注意ください。
要介護認定にあたっては、認定調査員の所見や主治医意見書の内容も重視されます。介護認定審査会では、基本調査項目にあてはまらない本人の状態や、医学的にみた介護の必要性も考慮したうえで、一般的な事例とくらべて介護の手間がかかる・かからないという個別判断も行われます。本人の状況を正確に伝えられるよう、要介護認定や更新認定・区分変更の手続きを行う際は、ご家族も認定調査員や主治医に意見を伝えるのがポイントです。


要介護3と要介護4の違い

要介護4は要介護3より重度の介護が必要であり、介助がなければ日常生活を送るのが困難な状態です。食事や着替え・排泄など日常生活のあらゆる場面で全面的な介助が必要となります。調理・掃除といった家事についても、介護者の支援が必須です。介護者と一緒に外出する方もいますが、要介護4では寝たきりで過ごす方も出てきます。認知機能の低下は要介護3よりも進み、意思疎通や身の回りの管理が困難になる場面も出てくるため、介護者の負担も大きくなりがちです。そのため、要介護4になったことをきっかけに施設への入居を検討する事例もみられます。


要介護4についての詳細は、以下の記事で紹介しています。

【要介護4とは】認定基準や支給限度額、給付金について

要介護3の方が受けられるサービス

要介護3になっても本人が望む暮らしを実現するためには、心身の状態に合わせて住まいや介護サービスを選ぶことが大切です。要介護3の方が受けられるサービスや、自宅以外で選択肢となり得る住まいをご紹介します。


自宅への訪問サービス

・訪問介護
介護福祉士などの訪問介護員が自宅を訪問して、食事や入浴・排泄などの身体介護、また掃除や調理といった生活援助を提供するサービスです。通院や日常生活に必要な買い物にも同行してもらえます。


・夜間対応型訪問介護
定期巡回と随時訪問を組み合わせて、夜間に訪問介護を提供するサービスです。夜間介護にともなうご家族の負担軽減にも効果があります。


・訪問看護
医師の指示に基づき看護師が自宅を訪問して、医療的ケアや健康管理を行うサービスです。訪問診療と組み合わせた利用もできます。


・定期巡回・随時対応型訪問介護看護
訪問介護・訪問看護と夜間対応型訪問介護を一体的に提供するサービスです。


・訪問入浴介護

看護職員と介護職員が専用の浴槽を用いて自宅で、入浴・着替えの介助を行うサービスです。シーツ交換や体重測定・爪切りなどに対応してくれる事業所もあります。


・訪問リハビリテーション
理学療法士や作業療法士などが自宅を訪問して、心身の機能の維持・回復などに必要なリハビリテーションを提供するサービスです。福祉用具の活用や住宅改修に関するアドバイスも行います。


・居宅療養管理指導
医師・薬剤師や管理栄養士・歯科衛生士などが自宅を訪問し、心身の状態や生活環境を把握したうえで療養生活に必要なアドバイスを行うサービスです。


施設に通所するサービス

・通所介護(デイサービス)
デイサービス事業所に通って、生活機能の訓練や食事・入浴の提供を受けられるサービスです。レクリエーションも実施しており、他の利用者の方と交流する場としても機能しています。


・認知症対応型通所介護
認知機能の低下が見られる要介護者を対象にしたデイサービスです。認知機能低下の緩和・改善に特化したプログラムでサービスを提供します。


・地域密着型通所介護
定員18名以下のデイサービスで、事業所がある市区町村の方のみ利用できます。


・通所リハビリテーション(デイケア)
介護老人保健施設(老健)や医療機関で、心身の機能の維持・回復などに必要なリハビリテーションを受けられるサービスです。食事・入浴などのサービスを受けられる事業所もあります。


宿泊型・通所型のサービス

・短期入所生活介護(ショートステイ)
特別養護老人ホームなどの施設に短期間入所して、日常生活の支援や機能訓練を受けられるサービスです。ご家族の冠婚葬祭・出張や病気などで在宅介護が困難なときに利用できるほか、家族の負担軽減にも役立ちます。


・短期入所療養介護(医療型ショートステイ)
介護老人保健施設や医療機関に短期間入所して、日常生活の支援・機能訓練や医療を受けられるサービスです。


・小規模多機能型居宅介護
施設への通所を主体として、訪問介護とショートステイを組み合わせて家庭的な環境でケアを受けられるサービスです。同じ事業所がサービスを提供するため、認知機能の低下がみられる方も安心して利用できます。

小規模多機能型居宅介護についての詳細は、こちらの記事(小規模多機能型居宅介護とは? 対象者や料金、メリット・デメリットをわかりやすく解説)で解説しています。


要介護3で入居できる施設

・特別養護老人ホーム(特養)
在宅での生活が困難な要介護3以上の人が入居でき、日常生活・社会生活の支援を受けられます。


・住宅型有料老人ホーム
要介護者をはじめ自立・要支援者も入居できる施設で、自分の希望に合った介護サービスを組み合わせて利用できます。


・介護付き有料老人ホーム

24時間体制で介護サービスや生活支援を受けられる施設です。医療的ケアの提供は看護師の勤務時間に限られます。


・軽費老人ホーム(ケアハウス)
無料または低額料金で入居でき、生活支援や介護サービスを受けられます。


・サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
単身・夫婦の高齢者が入居できる賃貸住宅です。介護が必要な場合は外部のサービスを利用できますが、要介護度が上がると住み続けるのが難しいといわれています。


・認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)

認知症の高齢者が5~9人で共同生活を行う場所で、介護・機能訓練や日常生活の支援を受けられます。


・シニア向け分譲マンション
住まいや共有部分がバリアフリー化された分譲マンションで、生活支援サービスが充実しているのが特徴です。介護が必要な場合は外部のサービスを利用することになります。


・介護老人保健施設(老健)

リハビリテーションや看護・介護の提供を通じて、在宅生活への復帰を目指す施設です。


・介護医療院

医療・介護を受けながら長期的に生活できる施設です。


要介護3の方が介護保険を利用して借りられる福祉用具・介護用品

要介護3の方をはじめ、要介護認定を受けた方は介護保険を使ってレンタルできます。レンタルできる福祉用具は下記のものです。


・車椅子
・歩行器
・車椅子
・歩行補助杖
・手すり
・スロープ
・介護ベッド
・床ずれ防止用具(除圧マットなど)
・体位変換器
・移動用リフト


要介護3の方が保険適用で購入できる福祉用具・介護用品

福祉用具や介護用品を購入する際にも介護保険が適用されます。主に購入できる福祉用具は下記のものです。


・腰掛便座
・入浴補助器具
・簡易浴槽
・移動用リフトのつり具部品


福祉用具についての詳細は、こちらの記事(介護用品でそろえるべきものとは|必要な福祉用具を選ぶポイント)で解説しています。


要介護3の支給限度額や給付金は?

要介護3の方を含め、介護認定を受けると要介護度ごとに決められた金額分のサービスを受けられます。介護保険の支給限度額や、給付金・補助金などを確認しておきましょう。


要介護3の支給限度額

1カ月あたりの介護保険の支給限度額は、要介護3の方で27,048点です。サービスの利用料金は「単位」で設定されており、金額は地域ごとに異なります。また、所得に応じて、サービス利用料金の1~3割を一部負担金として支払う仕組みです。交通費・食費や施設に入居した場合の居住費・日常生活費は実費負担となります。また、世帯内で同じ医療保険に入っている方は、医療保険と介護保険の年間の自己負担額が一定額に達した場合に高額介護合算療養費が適用されます。なお、支給限度額を超えた場合は保険適用外で介護サービスを受け、利用料金は自己負担です。


要介護3の方が受けられる給付金・補助金

要介護3の方が利用できる助成・給付制度には、以下のようなものがあります。


・福祉用具のレンタル
月額レンタル料の1~3割を自己負担すれば、残額は介護保険から給付されます。月額レンタル料は支給限度額に含まれるため、サービスの利用前にレンタルしたい用具を決めるのがポイントです。


・福祉用具の購入
福祉用具の代金を全額支払った後、自治体に手続きすれば保険で給付される額との差額(支払額の9割~7割)が後日支給されます。福祉用具の販売店によっては、差額の支給手続きを代行する形で一部負担金だけを支払えば良い場合もあります。


・住宅改修費
洋式便器への交換や手すりの取り付け・段差の解消といった、住宅改修にかかった費用の1~3割が支給され、限度額は最大20万円です。要介護者1人につき1回のみの支給ですが、転居した場合は転居先の自治体で改めて住宅改修費を受給できます。 自治体によっては、介護保険に上乗せする形で住宅改修費が支給される場合があります。


在宅介護と施設入居の選択ポイント

要介護3になると、要介護2とくらべて全介助が必要な場面が増え、一人暮らしを続けられるのか、あるいは施設に入れるのかと気になる方も多いでしょう。ここでは要介護3の方の選択肢となる、在宅介護や施設入居について解説します。心身の状態や暮らしの希望に合わせて、検討してみましょう。


一人暮らしや在宅介護は可能?

要介護3の方でも、介護サービスを利用したりご家族の介護があれば、在宅での生活が可能です。厚生労働省の調査では、要介護者のいる世帯のなかで、単独世帯のうち約9%は要介護3でした(※)。

しかし、要介護3の場合は単独での立ち上がり・歩行が困難なため、ご家族が不在にしているときの転倒といった事故リスクは高まります。急病・災害時の対応も懸念のひとつです。自宅に緊急通報装置を設置するなど、ご本人の安全を確保したうえでよりよい暮らしを実現できるよう、一人暮らしや在宅介護を選ぶ際は、ご家族とケアマネジャー・介護事業所・自治会などの関係機関と密に連携を取りましょう。

同居のご家族が介護する場合は、ショートステイを活用することで、日々の介護ストレスの緩和や介護負担の軽減につながります。

※出典 厚生労働省 2022年 国民生活基礎調査の概況 IV 介護の状況


特別養護老人ホームへの入居

安全・安心な暮らしを実現するためには、特別養護老人ホーム(特養)への入居も選択肢のひとつです。特別養護老人ホームの入居条件は法令で以下のように定められており、要介護度やご家族の世帯構成・独身世帯かどうかなども考慮して入居順位が決められます。


・身体上又は精神上著しい障害があるために常時の介護を必要とする方 

・居宅で介護を受けることが難しい方 


 特別養護老人ホームはサービス付き高齢者住宅や有料老人ホームとくらべて、費用が安いことが魅力です。そのため、地域や施設によりますが、入居までの待機期間が長期間になることもあります。また、基本的にはリビング等を共有する共同生活となるため、持ち物が限られたり飲酒・喫煙が制限されたりする点がデメリットになり得ます。ご本人の希望と安全のバランスを考慮したうえで、特別養護老人ホームに入居について十分に検討しましょう。


特別養護老人ホームの詳細について、以下の記事で紹介しています。

【特別養護老人ホームとは】特徴や入居費用、減免制度などを解説


まとめ

要介護3の方は日常生活の大部分で介助が必要となり、買い物や受診といった社会生活についても適切なアドバイスが必要です。介護保険からは目安として1割負担の場合、270,048円のサービスを利用できます。また、福祉用具の購入費用や住宅改修費用も支給されます。さらに、ご家族の介護の負担を軽減するショートステイも利用できます。本人の希望する暮らしを実現できるよう、心身の状態に応じて必要なサービスを選ぶのが重要です。


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