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ケアプランを記載する介護士
2024.07.12

ケアプラン(介護サービス計画書)とは?作成の流れや記載内容を紹介

「ケアプランってなに?」「どのような手順で作るの?」と、ケアプラン作成の流れがわからず、不安に思う方もいるのではないでしょうか。


ケアプランは、要介護または要支援認定を受けた高齢者が、介護サービスを受ける際に必要な計画書です。プランを作る際には、本人・家族の意向を聞き取り、介護目標や利用するサービスを決めていきます。本記事では、ケアプランに関する以下の内容を解説します。


● ケアプランの概要

● 作成の流れ

● 作成後に確認するポイント


ケアプランの作成時に確認するポイントを理解すれば、介護サービスの利用に関する不安を解消できるでしょう。介護サービスの利用予定がある方は、ぜひ最後まで読んでみてください。


目次
・ケアプラン(介護サービス計画書)とは?
・ケアプランの3つの種類
・ケアプランの内容と記載例
・ケアプランが必要なタイミングは介護サービス利用時
・ケアプラン作成の流れを6STEPで解説
・セルフケアプランも作成可能
・ケアプラン作成時に確認するポイント3選
・ケアプランを知って介護が必要なときに備えよう

執筆者画像
SOMPOケア 人材開発部  橋本 美香
2004年訪問介護ヘルパーから介護職を開始。2008年介護福祉士、2010年ケアマネジャー、2013年より居宅介護支援事業所管理者。2019年主任ケアマネジャー、2022年社会福祉士取得。2023年よりSOMPOケア教育研修部(現・人材開発部)に異動し、各種研修企画や講師を担当。

ケアプラン(介護サービス計画書)とは?

ケアプランとは、介護サービスを利用する際に、どのサービスを利用するかを決める計画書のことです。各種介護サービスを利用する際に、ケアマネジャーが作成してくれます。作成費用は介護保険でまかなわれるため、利用者の費用負担はありません。


ケアプランの目的は、適切な介護サービスの提供ですが、それだけではなく、ご本人がどのような目標を持ってどんなふうに生活していきたいかという意思を明確にするものでもあります。介護が必要な方でも、人によって求めているサービスは異なります。そのため、利用者本人の希望と家族の意向も把握した上で、介護保険だけではなく、他法律や民間のサービスなども位置づけ、作成する必要があります。


具体的には、以下のような項目を考慮して作成します。

● 本人や家族の意向

● 本人の人的・物的環境(本人が持つ環境でサービスの調整が必要になるため)

● 経済状況

● 日常生活の自立度(本人の出来る事、出来ない事に対して調整が必要になるため)


在宅介護を希望する場合は、利用者本人の意向や、家族がどこまで協力できるかなどを把握しておくことがポイントです。

施設に入居の際にもケアプランが作成されます。その際も考慮すべき点は同じです。


ケアプランの3つの種類

支援内容や対象者によって、ケアプランは以下の3種類に分類されます。

● 介護予防サービス計画書

● 居宅サービス計画書

● 施設サービス計画書


ケアプランの種類を理解しておくと、介護が必要になった際にスムーズに手続きできるでしょう。


1.介護予防サービス計画書

介護予防サービス計画書は、要支援1・2に認定された方を対象に、介護予防を目的とした支援を提供するための計画書です。


計画書の作成は、地域包括支援センターに所属するケアマネジャーや保健師のほか、地域包括支援センターから委託を受けた居宅介護支援事業所のケアマネジャーが行います。サービスの種類や具体例は以下の通りです。

介護予防サービスの種類

介護予防サービス計画書は、要介護状態におちいることを予防するサービス提供に必要な書類です。


2.居宅サービス計画書

居宅サービス計画書は、在宅で介護サービスを受けるための計画書です。要介護1〜5の方が対象で、訪問介護や訪問看護などの訪問サービスや、デイサービスのような通所サービスを利用する際に必要となります。


ほとんどの場合、居宅介護事業所のケアマネジャーが作成してくれます。対象となるサービスの種類と具体例は以下の通りです。

居宅サービスの種類

自宅で介護を受ける方の多くが、訪問や通所での介護サービスを利用します。そのため、多くの方が居宅サービス計画書の対象です。


3.施設サービス計画書

施設サービス計画書は、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などで、サービスを受けるために作成する計画書です。要介護1〜5に認定された方のなかで、施設に入居される方が対象になります。


施設サービス計画書は、入所施設を利用するためには必須の書類で、施設に在籍するケアマネジャーが作成してくれます。サービスの種類や具体例、入居基準は以下の通りです。

施設サービスの種類・内容・入居基準

すでに居宅サービス計画書を作成している場合、プランの作成者が既存のケアマネジャーから、施設の担当者に変更されます。在宅介護から施設へ移るケースは少なくないので、覚えておきましょう。


ケアプランの内容と記載例

ケアプランにはそれぞれ所定の書式があり、記載する内容が決まっています。ここでは、居宅サービス計画書を例に記載内容と具体例を紹介します。実際に記載される内容と具体例を知っておくと、確認しなければいけない項目が想像できるようになるでしょう。


ケアプランの内容

居宅サービス計画書は第1〜7表の7枚で構成されています。各表の大まかな記載内容は以下の通りです。

居宅サービス計画書の内容

本人やその家族が確認しなければいけない項目は、第1〜3表と第6~7表に集約されています。第4〜5表は事業所向けなので、本人や家族には配布されません。第1〜3表では生活の課題と支援内容を確認し、第6〜7表ではサービス提供の時間帯や自己負担金額を確認しましょう。


ケアプランの記載例

ケアプランを作成するにあたって、とくに重要な第2表の記載例を紹介します。第2表を確認すると、支援の方向性と具体的な支援内容がわかります。記載例は以下の通りです。

ケアプランの記載例

※サービス期間記入欄や事業所記入欄などは省略

第2表では、解決すべき課題や目標、および支援内容を記載します。利用者本人と家族の意向が反映されているか、必要な支援が含まれているかの確認が重要です。


ケアプランでは、介護保険外のサービスも位置づけます。本人が行うこと、家族が行うこと、自立支援法でのサービス(障がい分野)、ボランティア、NPO法人の有償サービス等様々なサービスがあります。課題解決に向けて必要なサービスであれば、積極的に取り入れ、ケアプランにも位置付けていきます。


ケアプランが必要なタイミングは“介護サービス利用時”

ケアプランは、介護保険を申請した際や、病気や事故の入院時に作成します。作成からサービス開始までの期間に制限はなく、介護保険申請日からサービス利用されるケースもあります。その際はケアプランが間に合いませんが、遡って速やかに作成されます。


また、ケアプランを作成するには、要介護・要支援認定が必要です。要介護認定にかかる時間は、調査から認定されるまでをあわせて2週間から1ヶ月ほどです。介護サービス利用開始の希望日に合わせて早めに申請をしておきましょう。


要介護認定について詳しく知りたい方は、こちらの記事(介護認定調査とは?適切な認定を受ける準備から対応を詳しく解説)も参考にしてみてください。


ケアプラン作成の流れを6STEPで解説

ケアプランを作成する際、以下の6つのステップがあります。

1.現状把握(インテーク)

2.情報収集・課題分析(アセスメント)

3.ケアプランの原案作成

4.サービス担当者会議

5.ケアプランの完成・交付

6.モニタリング


6つのステップごとの目的を理解できると、やらなければいけないことや準備することが明確になります。作成の流れを知って、事前に準備しておきましょう。


1.現状把握(インテーク)

現状把握(インテーク)では、介護サービスを利用する本人と、介護を担う家族の現状把握が必要です。


実際は、ケアマネジャーが直接利用者のもとへ訪問、もしくは電話をして状況の聞き取りをします。介護をするにあたって不安なことや、対処して欲しいことをケアマネジャーに伝えておきましょう。


2.情報収集・課題分析(アセスメント)

現状把握を行ったあとは、利用者の家を直接訪問して情報収集(アセスメント)を実施します。アセスメントで確認する項目(課題分析標準項目)は23項目ありますが、代表的なものは以下の項目です。

・基本情報(名前・生年月日等)

・健康状態

・自宅の環境

・介護の状況

・本人や家族の要望

・どんな生活を送りたいか

集めた情報をもとに、厚生労働省が推奨している課題整理総括表などを使用し、利用者の状況や課題を客観的に分析・抽出します。


3.ケアプランの原案作成

アセスメントで抽出された課題の解決に向け、原案を作成します。利用者や家族の要望にそったサービスの検討、長期・短期の目標を設定し、プランを組み立てます。


作成した原案をもとにサービス関連事業者と連絡を取り、サービスが可能かどうか等と共に担当者会議の日程を調整します。原案が完成した後であっても、内容について、利用者本人や家族の要望にあったものかどうか確認を取ることが大切です。


4.サービス担当者会議

ケアマネジャーが中心となり、ケアプランの原案をもとに利用者と家族、主治医、事業者などの関係者と会議を実施します。


サービス担当者会議の目的は、利用者の課題や目標、総合的な支援方針を共有し、全員で検討することです。利用者本人の希望・要望や家族の意向などがプランと相違がないか確認します。サービス事業所にもサービス提供が可能か、確認を取ります。


5.ケアプランの完成・交付

担当者会議で原案の修正点が出た場合は、修正後に再度、関係者に提案する必要があります。再提案した結果、利用者本人や家族の同意をもらえればケアプランは完成です。ケアプランが完成したあとは、当事者や関連事業所に交付します。交付のためには同意書を作成し、利用者・家族の自署または記名をもらわなければいけません。完成したケアプランを関連する事業者に交付し、契約が完了すると介護サービスが利用できます。


6.モニタリング

無事に介護サービスが開始されたあとも、在宅は少なくとも月に1回はケアプラン通りにサービス提供されているかのモニタリングを行います。(施設ケアプランは概ね3か月に1回、介護予防プランは3ヶ月に1度以上)定期的なモニタリングの結果、サービス変更の必要があると判断される場合にはケアプランの修正・再提案が必要です。

また、利用者本人の状態や家族の状況などの変化に応じて、概ね6ヶ月に1回はケアプラン自体の見直しを行います。定期的なモニタリングは、利用者や家族の小さな変化や、新たな課題を早期に発見するためにも有効です。


セルフケアプランも作成可能

セルフケアプランとは、利用者や家族が自ら作成するケアプランです。自分が求めるサービスについて調べ、プランを立案し、サービス担当者会議を実施してセルフケアプランを完成させます。

自分たちでケアプランを作成する場合、必要書類は住んでいる市町村の担当窓口で入手しましょう。


セルフケアプランのメリットは、利用者や家族がもっとも納得いくプランの作成が可能な点です。一方で、さまざまなサービス内容や事業者、契約などの事務的な手続きをすべて自分で行わなければならないデメリットもあります。ケアプランの作成には多くの専門知識が必要であり、自分で作成するには大きな労力が必要です。そのため、ケアマネジャーに作成を依頼するケースがほとんどです。


ケアプラン作成時に確認するポイント3選

ケアプランを作成する際に確認すべきポイントは、以下の3点です。


● 本人や家族の意向が反映されているか

● 本人の環境を考慮されているか

● 課題を解決できる内容になっているか


ケアプランにおいて注視すべきポイントを事前に把握しておけば、ケアマネジャーから提示された際にスムーズに確認できるでしょう。

1.本人や家族の意向が反映されているか

利用者本人や家族の意向が反映されたケアプランであるかを確認しましょう。ケアマネジャーは、情報収集を通して利用者・家族の意向を確認します。しかし、ケアマネジャーが利用者本人や家族の要望・意向を完全に把握しきれるわけではありません。本人や家族の具体的な要望を伝えられていなければ、ケアプランに反映されていない可能性もあります。


たとえば「身体機能の改善を目的にデイサービスへ通って欲しい」という利用者家族の要望に対して、運動ではなくレクリエーションや交流がメインのデイサービスを紹介してしまうケースは少なくありません。本人や家族の意向が十分に反映されていないときは、ケアプランの再検討が必要です。要望や希望するサービスを、遠慮せずに具体的に伝えましょう。


2.本人の環境を考慮されているか

提案されたケアプランが「経済状況や家族構成などの家庭環境や近隣との関係性や地域の実情追記を考慮したものか」を確認することも重要です。家族構成や住環境は人によって違うため、求められるサービスは異なります。


たとえば、利用者と家族が同居している場合は、買い物やある程度の介助が行えるため、ヘルパーによる買い物代行のようなサービスは最小限で済むかもしれません。一方、一人暮らしで近くに家族が住んでいない利用者の場合は、体の状態によっては多くのサービスが必要になるでしょう。反対に、家族がいてもサービスが必要な場合、いなくても近所の方がとても手伝ってくれる、自治会でそういった買い物代行サービスがあるなど、本人の持つ環境を考慮しながら、本人が望む生活が実現できるようにケアプランの作成をお願いしましょう。


また、提示されたサービス内容だけでなく、自己負担額も確認する必要があります。利用するサービスを増やしすぎることで、月々の自己負担額が高額になってしまうケースが少なくないためです。事前に経済状況をケアマネジャーへ伝達し、無理のないケアプランにすることが大切です。


3.課題を解決できる内容になっているか

利用者の体の回復度合いや病気の状態などによって、適切なサービスは日々変化していきます。そのため、定期的にケアプランを見直し、課題に対応したプランへの変更が必要です。


たとえば、怪我や病気による入院をきっかけに介護が必要になった場合、退院直後と3ヶ月〜半年後では、状態が大きく異なります。退院直後は欠かせなかったサービスが、体の回復に伴い、不要になっているかもしれません。利用者本人や家族で気づく点があれば、ケアマネジャーにサービス変更の相談をしましょう。


ケアプランを知って介護が必要なときに備えよう

ケアプランとは、要介護または要支援認定を受けた高齢者が、介護サービスを利用する際に必要な計画書です。ケアプランには3つの種類があり、対象者や利用するサービスによって、記載内容がそれぞれ異なります。そしてもう一つ、本人がどのような生活がしていきたいかの意思表明でもあります。


ケアプランの作成時は、介護の状況や要望がきちんと反映された本人のための計画書になっているかどうかの確認が大切です。ケアプランの内容や作成の流れを理解し、利用者本人や家族に最適な介護サービスを受けましょう。

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