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地域包括支援センターのイメージイラスト
2023.11.30

地域包括支援センターの役割とは?活用方法や相談事例をわかりやすく解説

「地域包括支援センターって何をしてくれるの?」

「地域包括支援センターは誰でも利用可能なの?」

このような疑問をかかえていないでしょうか?


地域包括支援センターについては普段の生活で馴染みがない方も多く、業務内容や役割などについて知らないことがたくさんありますよね。

この記事では下記の内容をわかりやすく解説しています。


● 地域包括支援センターについて(役割、利用可能な方、職種)
● 相談事例(介護や健康、家族、虐待、お金)
● 地域包括支援センターの利用方法について(流れ、メリット、注意点)


本記事を最後までご覧いただければ、地域包括支援センターの役割や利用方法などがわかるでしょう。高齢の両親が居たり、将来に不安を抱えていたりする方は、ぜひ最後までご覧ください。

目次
・地域包括支援センターの役割
・地域包括支援センターを利用できる方
・地域包括支援センターにはどんな職種の方がいるのか
・【相談事例】介護や健康、家族、認知症、虐待、お金についての相談紹介
・地域包括支援センターはどこにあるのか
・地域包括支援センターを利用する流れ
・地域包括支援センターを利用するメリット
・地域包括支援センターを利用する際の注意点
・地域包括支援センターで介護や認知症などの悩みを相談してみましょう

執筆者画像
東京都健康長寿医療センター研究所 東京都介護予防・フレイル予防推進支援センター 副センター長 植田 拓也 先生
老年学、公衆衛生学、介護予防、理学療法学など、さまざまな分野を研究。現在は、東京都健康長寿医療センター研究所に所属しながら、厚生労働省や東京都、また複数の市区町村の介護予防や介護保険に関する委員も務める。

地域包括支援センターの役割

地域包括支援センターは、高齢者の生活全般にわたる相談を受け、必要な支援をしてくれる場所です。高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らすための総合相談窓口だと思っていただければ、理解しやすいでしょう。


地域包括支援センターは、地域包括ケアシステム(医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的に提供される仕組み)の中核機関です。生活で困ったことが出てきた場合の支援はもちろん、地域での介護予防活動団体等への支援や暮らしを支える体制づくりなど、要支援、要介護、認知症になっても望む暮らしを実現できる地域づくりの中核を担っています。


地域包括ケアシステムについて詳しく知りたい方は、こちらの記事(地域包括ケアシステムとは?実際の事例や現状の課題も紹介)をご覧ください。地域包括支援センターの具体的な役割は以下の4つです。


● 介護予防ケアマネジメント
● 総合相談
● 権利擁護
● 包括的・継続的ケアマネジメント支援


それぞれについて解説します。


介護予防ケアマネジメント

地域包括支援センターは、将来的に介護が必要になる可能性の高い高齢者、具体的には介護認定審査で、要支援1,要支援2及び事業対象者の判定が出た方に対して、介護予防のために必要な支援を行います。


介護予防ケアマネジメントは、以下のような流れで行われます。


1. アセスメント(評価):対象者の心身の状態を把握して、介護予防の必要性を判断する。

2. ケアプラン作成:アセスメントの結果に基づき、介護予防に必要なケアプランを作成する。

3. サービス担当者会議:ケアプランに基づき、どのようなサービスが利用できるか検討し、本人や家族などの意見を踏まえてケアプランの修正をする。

4. 説明と同意:対象者に説明後、同意を得る。

5. ケアプランの確定/交付


介護予防ケアマネジメントでは、本人の「やりたい」という思いが起点となり目標設定がされます。そして、デイサービス等の介護保険サービスだけでなく、参加可能な地域の通いの場や、活用可能なインフォーマルサービスなどのさまざまな地域資源などの紹介も行います。


総合相談・支援

地域の高齢者が住み慣れた場所で安心して生活し続けるために、相談された内容に合わせて必要な支援の提案や参加や活用可能な地域資源についての情報提供、必要に応じて介護保険サービスの調整などを行います。


地域包括支援センターには専門知識を持った職員がいるため、初歩的な相談(ちょっとした困りごと)から介護や在宅医療等に関する専門的な内容まで対応してくれるでしょう。


権利擁護

「権利擁護」とは、障害をもつ方や高齢者など、判断能力が不十分な方や自己決定が難しい方の権利を守るための活動です。地域包括支援センターは、地域住民や民生委員などの支援だけでは、権利擁護に関する問題が解決できない場合に、専門的・継続的な視点から支援をしてくれます。


具体的には、以下のような事例があげられます。

権利擁護に関する相談・支援事例

「成年後見制度」とは、認知症や精神障害などによって判断能力が十分でない方を守るための制度です。

成年後見制度について詳しく知りたい方は、こちらの記事(日頃からの備え〜成年後見制度の利用)をご覧ください。


また消費者被害とは、事業者が消費者に対して不利な契約や取引を結ばせることで生じる被害のことです。地域包括支援センターは、高齢者が安心して暮らすための重要な役割を担っています。


包括的・継続的ケアマネジメント支援

地域の支援を必要とする高齢者が個々の状況や状態の変化に応じたケアを包括的、継続的に受けながら、安心して暮らし続けられるように、主に要介護の認定を受けている方のケアプランを立てる居宅介護支援事業所のケアマネジャーに対するサポートや、地域の医療機関(主治医等)や介護サービス事業所等の連携機関との協力による支援体制の構築・推進なども行っています。


地域包括支援センターはケアマネジャーからの相談窓口にもなっており、ケアプランの作成支援や、介護サービスの内容を決める会議の開催支援なども役割のひとつです。ケアプランの質向上のため、地域包括支援センターではケアマネジャー同士の交流会や勉強会なども行っています。対応が難しい事例に対しては、地域包括支援センターの職員がケアマネジャーをサポートしたり、医療機関や介護サービス事業所などの関係機関との連携を促したりします。


地域包括支援センターを利用できる方

地域包括支援センターを利用できるのは、65歳以上の高齢者、もしくは支援に関わっている方です。地域包括支援センターごとの対象地域を市町村が定めているので、利用を検討している方は市町村または地域包括支援センターのホームページで確認してみましょう。


65歳以上の高齢者と家族

対象地域に住む65歳以上の高齢者であれば、誰でも利用できます。本人でなくても、家族の方が代わりに相談することも可能です。ただし、対象の方と家族の方が住んでいる地域が異なる場合は注意しましょう。その場合は、対象の方が住んでいる地域包括支援センターに相談する必要があります。


支援活動に関わっている方

対象地域に住む、65歳以上の高齢者の支援に関わっている方(自治会やボランティア団体など)であれば、地域包括支援センターの利用が可能です。前述の通り、地域包括支援センターは、地域での介護予防活動団体等への支援や暮らしを支える体制づくりなど、要支援、要介護、認知症になっても望む暮らしを実現できる地域づくりの中核を担っていますので、活動継続等に関する相談を行うことが可能です。


対象の方と相談者の住む地域が異なる場合は、対象の方が住んでいる地域の地域包括支援センターに相談しましょう。


地域包括支援センターにはどんな職種の方がいるのか

地域包括支援センターにはさまざまな役割があるため、それぞれの専門知識がある、以下の職種の職員を在籍させなければいけないと定められています。


● 保健師
● 社会福祉士
● 主任ケアマネジャー(主任介護支援専門員)


しかし、上記の3職種の確保が困難な場合は、それに準ずる経験がある方が在籍している場合もあります。

それぞれの職種の役割をみていきましょう。


保健師

保健師は看護師資格をもっているため、専門的な視点から健康管理や生活指導などを行い、未然にケガや病気を防ぐための業務をしています。地域包括支援センターでは、高齢者の健康や介護に関する相談に対応したり、適切な支援につなげたりする役割を担っています。

具体的な業務内容は以下のとおりです。


● 地域の高齢者や家族からの健康や介護サービスなどの相談対応

● 医療機関や介護サービス事業所などの関係機関の紹介や調整などのサポート

● ひとり暮らしの高齢者の家庭訪問

● 健康づくり教室の主催

● 住民主体の通いの場(グループ活動)等の後方支援


保健師は、予防医療に携わる専門職として、地域の高齢者の健康的な暮らしを支える重要な役割を担っています。


社会福祉士

社会福祉士は、高齢者や家族の方からの生活全般に関する相談に対応しており、適切な支援につなげる業務を行っています。

その他にも以下のような役割も担っています。


● 高齢者の虐待防止や成年後見人などの権利擁護に関する支援

● 地域全体で高齢者の暮らしを支える「地域づくり」の活動

● 地域の福祉に関する活動の支援


社会福祉士は、地域の高齢者の権利と生活を支える役割をもつ専門家です。


主任ケアマネジャー(主任介護支援専門員)

主任ケアマネジャー(主任介護支援専門員)は「地域包括ケアシステムの構築・推進」や「ケアマネジャーの指導・育成」などの役割を担っています。

ケアマネジャーについて詳しく知りたい方は、こちらの記事(ケアマネジャーの役割を知ってうまく付き合う方法│選び方や利用する際の注意点)をご覧ください。


【相談事例】介護や健康、家族、認知症、虐待、お金についての相談紹介

地域包括支援センターは、地域の高齢者やその家族の方から寄せられたさまざまな相談に対して、専門知識を持った職員が対応や支援をしてくれる場所です。ここでは、地域包括支援センターに寄せられる以下のような相談内容の事例を紹介します。


● 介護や健康について
● 家族について
● 認知症について
● 虐待について
● お金について


それぞれについて、どのような支援をしてもらえるのかについても紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。


「介護や健康」についての相談事例

介護や健康については以下のような相談事例があります。

「介護や健康」についての相談事例

地域包括支援センターは、介護や健康に関するささいな内容から、介護保険制度に関する内容まで対応してくれるでしょう。


要介護認定や介護保険サービスの利用に関して詳しく知りたい方は、こちらの記事(要介護認定とは?制度概要や申請方法・介護保険サービスを利用するまでの流れを解説)をご覧ください。


「家族」についての相談事例

ここでは、家族の相談事例と支援内容について紹介します。

介護をしていると、家族の方も不安や悩みが出てくるでしょう。地域包括支援センターでは、家族の方のためにもなる支援を行っています。

認知症の方の介護負担に悩んでいる方は、こちらの記事(認知症の介護ストレスを解消するにはどうすればいい?介護の負担を軽くする方法)をご覧ください。


「認知症」についての相談事例

「もの忘れが多く、認知症ではないかと心配」というような認知症に関する相談に対して、専門知識を持った職員が支援してくれます。

具体的な支援内容は次のとおりです。


● 認知症の症状についてわかりやすく説明してくれる

● 認知症に関する不安や悩みに対しての対応策を提案してくれる

● 認知症の専門医療機関や介護サービスを紹介してくれる

● 認知症でも参加可能な地域資源(通いの場や認知症カフェ等)を紹介してくれる


このように、それぞれの相談内容に合った支援をしてくれるでしょう。


「虐待」についての相談事例

「近所の高齢者が虐待されているのではないか」というような相談に対しても、地域包括支援センターで対応できる場合があります。地域包括支援センターで虐待の有無を確認したり、自治体や関係機関と連携したりして高齢者の虐待防止につなげ、権利を守ります。


「お金」についての相談事例

お金に関しては、以下のような相談事例があります。

「お金」についての相談事例

高齢者や介護に関する内容であれば、お金の相談にのってもらえる場合もあるので、ひとりでかかえこまずに、まずは問い合わせをしてみましょう。


地域包括支援センターはどこにあるのか

地域包括支援センターは全国の市町村に設置されており、どこにあるのかは各都道府県のホームページから検索できます。

または厚生労働省のホームページ内にあるリンクからも検索可能です。


遠方に住んでいる家族の方や、支援に関わっている関係者の方が探す場合は、支援の対象となる本人が住む地域の地域包括支援センターを利用しましょう。


地域包括支援センターを利用する流れ

地域包括支援センターは、対象地域に住んでいる65歳以上の方や支援に関わっている方であれば利用可能です。ここでは、円滑に利用するための流れとポイントを紹介します。


1. 対象となる地域包括支援センターを調べる

2. 電話または来所して相談を行う


相談内容等がまとまっていない場合でも、専門の相談員が一つ一つ丁寧に、聞き取りしてくれますので、安心して連絡をしてみてください。地域包括支援センターが相談などで立て込んでしまっている場合は、長い時間待たなければいけなかったりする可能性があるため、急ぎでなければ、事前に電話で訪問日時等決めておくのも利用のコツかもしれません。


地域包括支援センターを利用するメリット

地域包括支援センターを利用するメリットは以下の3つです。


● 無料で相談できる
● 専門家が的確なアドバイスをしてくれる
● 支援している家族のサポートもしてくれる


それぞれについて解説します。


無料で相談できる

地域包括支援センターは、市町村が運営しているため、基本的には無料で利用できます。


介護サービスを受けるために必要なケアプランの作成サポートや、要介護認定の代理手続きも無料で行ってくれます。

紹介された介護保険サービスの利用には原則費用がかかります。利用料金や利用のルールなどは地域包括支援センターや、利用する介護保険サービス事業所から必ず説明されるので、疑問などあれば遠慮なく聞きましょう。紹介された通いの場や介護予防教室等などへの参加については、各団体や教室によっては費用が掛かることもあります。


専門家が的確なアドバイスをしてくれる

地域包括支援センターには、基本的に「保健師」「社会福祉士」「主任ケアマネジャー」が在籍しています。相談内容に合わせて、専門知識を持った職員が的確なアドバイスや支援をしてくれるでしょう。


支援している家族のサポートもしてくれる

高齢者が安心して暮らし続けるためには、家族の方へのサポートも大切です。地域包括支援センターでは、家族介護教室の開催や、介護者交流会の開催など、介護をしている家族のサポートを目的とした取り組みも行われています。


地域包括支援センターを利用する際の注意点

地域包括支援センターはすべての相談内容に対して、直接的なサポートをしてくれる場所ではありません。


地域包括支援センターは、対象となる本人・家族と介護保険サービスや地域資源の橋渡し役なので、サービスを受ける本人や支援している家族の方が実際に行動する必要がある場面も多くあります。その時に、皆さんの後ろで支えてくれる心強い存在が地域包括支援センターです。


地域包括支援センターで介護や認知症などの悩みを相談してみましょう

地域包括支援センターとは、地域の高齢者が安心して暮らせるように支援してくれる場所です。


地域包括支援センターには、専門知識を持った職員が在籍しているため、日常生活での悩みから介護や認知症などについても相談できます。また、対象地域に住む高齢者の方だけではなく、家族の方や支援に関わっている方でも相談可能です。


「将来に対する不安」や「介護に関する不安」を相談することで、悩みが解消されることもあるでしょう。介護や認知症などの高齢者の方に関する悩みがある場合は、地域包括支援センターに相談してみてください。

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