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2023.04.04

【要支援2とは】詳しい状態や要介護1との違いなどを紹介

介護保険には「要支援2」という区分がありますが、どのような状態なのか詳しくはわからないと言う方も多いのではないでしょうか。本記事では、要支援2の人の状態や要支援1との違い、一人暮らしはできるのかなどの疑問点を取り上げてご説明します。また、利用できるサービスや要介護1に移行しないための対策もご紹介します。


要支援・要介護の基本的な情報は以下の記事で紹介しています。

要支援と要介護の違いは?認定基準や使えるサービスの違いを解説


目次
・要支援2とは
・一人暮らしはできる?
・要支援2で受けられる介護保険のサービス
・介護保険外サービスにはどのようなものがあるのか
・要支援2で利用したい民間企業のサービス
・まとめ

執筆者画像
【監修】看護師 那賀嶋幸恵さん
新卒で急性期病院へ従事したのち、デイサービスや特別養護老人ホームなど様々な看護の場を経験。現在は訪問看護ステーションにて在宅医療の現場をみつつ、医療福祉のあり方を日々発信中。

要支援2とは

要支援2は、介護保険制度における7つの区分のうちの1つです。介護サービスがどのくらい必要かに基づいて要介護度が認定され、介護予防サービスが受けられる「要支援1〜2」、介護サービスが受けられる「要介護1〜5」に分けられます。要支援は、介護は必要ないものの生活への支援が必要で、介護予防サービスによって生活改善が期待できる場合に認定されます。要支援2は、起き上がりや立ち上がり、買物などの日常動作に介護は必要ないものの、低下が見られる状態です。食事や排せつといった日常生活は自立しています。ただし、立ち上がりや歩行、家事や身の回りに要支援1よりも支援が必要になります。


要支援2の認定基準は?

要介護認定は、必要とする介護の状態を時間に換算して認定されます。この時間のことを要介護認定基準時間といい、主治医の意見書や、認定調査員による訪問調査(ご本人の心身の状態をお聞きする調査)をもとに判定されます。要支援2の、要介護認定基準時間は「1日あたり32分以上50分未満」です。


要支援2と要介護1との違い

要支援2と要介護1の要介護認定基準時間は、どちらも「1日あたり32分以上50分未満」で同じです。違うのは、要介護1が要支援2よりも認知機能や理解力が低下している点や、身体機能も低下し日常生活で介護が必要になることです。介護が多く必要な場合は要介護1、支援や介護予防サービスによって日常生活が可能になる場合は要支援2と判定されます。


要介護1についての詳細は、以下の記事にて紹介しています。

【要介護1とは】適切なサービスを選び、将来の備えを

一人暮らしはできる?

要支援2に認定されている方の多くはほぼ自立されているので、必要な支援や介護予防サービスを利用すれば、十分一人暮らしをすることは可能です。ただし、機能低下やケガなどを防止するために、気をつけるべきポイントもいくつかあります。また、支援2でも一人暮らしをすることでQOL(生活の質)を上げることが可能と考えられています。高齢の方のQOLを高めるには、生活の中にその人らしい生きがいが必要です。


2014年に行われた厚生労働省の意識調査では、65歳以上の一人暮らしをしている人のうち7割以上が「一人暮らしを続けたい」と回答しています。テレビや友人との会話など、自分なりの楽しみを持っている人も多いことから、高齢者の多くは一人暮らしに満足していることがわかります。その人らしい生きがいを持って生活しQOLが上がれば、認知機能の低下予防にもなり、充実した一人暮らしを続けることができるでしょう。


要支援2の一人暮らしで気をつけるポイント

要支援2の方が一人暮らしをする際には、認知機能低下予防やケガ防止にも十分に配慮することが大切です。適切な支援がないと要介護へ進んでしまう可能性もあります。ご自身の望む生活を続けるためにも、人とのコミュニケーションを取ることも必要です。一人暮らしの場合、意識しないとコミュニケーションの機会が少なくなってしまうため、自分から友人や家族に働きかけて会話を増やすと良いでしょう。
また、要支援2では立ち上がるときなどに何らかの支援が必要です。一人ひとりの状態に合わせて手すりや杖を見直すことや、生活環境で転倒するリスクを確認しながら対策を考えましょう。


要支援2からの重症化予防

要支援2から要介護1へと進行しないよう、認知機能低下予防をすることが大切です。自宅で生活しながら介護サービスを上手に活用すれば、今のままの生活をより長く送ることも可能です。運動機能の低下は目に見えるので対策しやすいですが、認知機能低下予防についても知っておくと良いでしょう。


要支援2で受けられる介護保険のサービス

要支援2では介護保険を利用して受けられるサービスが多くあるので、要介護へと進行することを予防するために、ニーズに合ったサービスを活用するのがおすすめです。介護保険で受けられるサービスには、自宅に訪問するものや福祉用具の貸与、住宅を改修するものがあります。施設に関するサービスでは通所や短期間の宿泊があり、訪問と組み合わせて利用することも可能です。ここでは、介護保険で使える限度額もご紹介いたします。


・支給限度額

介護保険で使える毎月の支給額には限度があり、要介護認定の区分によって限度額は異なります。また、介護サービスの基本になる単価にも地域によって多少の違いがあります。区分ごとの支給限度内で介護サービスを利用した場合、所得に応じて、自己負担額は1~3割です。支給限度額を超えて介護サービスを使ったときは、超えた分が全額自己負担になります。施設で介護サービスを利用する場合にも1~3割が限度額になりますが、住居費などは自己負担です。


・自宅に訪問するサービスと料金

要支援2の方が自宅に訪問して受けられるサービスには、訪問入浴や訪問看護、訪問リハビリがあります。要支援の「予防給付」は所得に応じて1~3割が利用者負担です。訪問入浴は看護師と介護職員が浴槽を持参して訪問し、入浴を介助するサービスです。自己負担額は要介護度やサービスの内容(全身浴、部分浴、清拭)などによって変わります。例えば要支援2の方で1割負担の場合は、全身入浴で1回の自己負担は845円などになります。


訪問看護では看護師などが疾患のある利用者を訪問して、主治医の指示のもと診療を補助します。病状の確認や清拭、※褥瘡(じょくそう)の処理などをおこなうサービスです。自己負担額は利用時間などによって変わります。例えば要支援2の方で1割負担の場合は、30分以上1時間未満で1回816円などです。訪問リハビリは理学療法士などが訪問してリハビリテーションをおこなうサービスです。自己負担額は、短期集中的なリハビリや継続的なリハビリなどサービスの内容によって変わります。例えば、1割負担の場合は基本サービス費が1回290円などに設定されています。


※褥瘡(じょくそう)・・・体のある部位が長時間圧迫されたことにより、その部位の血流がなくなった結果、組織が損傷されること。


・福祉用具の貸与のサービスと料金

福祉用具貸与のサービスは、指定業者が利用する方の身体機能や本人の希望、生活環境などに適した福祉用具を選んで貸与するサービスです。指定業者は福祉用具を選んだ後も、取り付けや調整のサービスをおこないます。 利用者は所得額に応じて費用の1~3割を負担します。福祉用具によって費用は異なります。

福祉用具についての詳細は、こちらの記事(介護用品でそろえるべきものとは|必要な福祉用具を選ぶポイント)で解説しています。


・住宅改修のサービスと料金

介護保険では、利用者が自宅で自立した生活を送るために、一部改修する費用を補助しています。改修の種類は、手すりの取付けや段差の解消などで、屋外の工事にも支給されます。支給限度額は介護保険の区分にかかわらず生涯1人20万円です。ただし、要介護状態が3段階以上進んだ場合や転居した場合は再度20万円までの支給限度基準額になります。


・施設に通所するときのサービスと料金

要支援2で利用できる施設での通所のサービスに、通所リハビリテーションと認知症対応型通所介護があります。通所リハビリテーションでは、生活支援や機能訓練などのサービスが提供されます。介護予防の共通サービス(日常生活上の支援)に加えて、運動機能の向上や栄養改善などのサービスが日帰りで受けられるのが特徴です。介護予防に共通するサービスの自己負担額は要介護度によって変わり、例えば1割負担の場合は1カ月3,615円などです。また、選べるサービスの場合は、運動器機能向上や栄養改善、口腔機能向上がありますが、いずれも1割負担で200円前後です。
認知症対応型通所介護では、認知症に特化したサービスです。食事の提供や認知機能の低下を予防するためのリハビリなどが受けられます。要介護度や施設のタイプ、所要時間によって1日あたりの利用料金が異なります。1割負担の場合は1日あたり数百円程度です。


・短期間の宿泊のサービスと料金

要支援2では短期間の宿泊サービスとして「短期入所生活介護」と「短期入所療養介護」を利用できます。2つの違いは、医療ケアを必要としているかどうかです。
医療ケアが受けられる短期入所療養介護は、自宅での生活がより自立したものになることが目的です。療養生活の質を向上させながら、家族の負担も軽減できるサービスとして利用できます。介護老人保健施設などが生活支援や医療・看護などを提供してくれます。自己負担額は要介護度や施設のタイプによって変わります。例えば、介護老人保健施設で1割負担の場合、自己負担額は700円から800円程度です。ただし、生活費は別に必要になります。また、ショートステイを続けて利用できるのは30日までです。


・訪問・通所・宿泊の組み合わせのサービスと料金

小規模多機能型居宅介護は、訪問・通所・宿泊を組み合わせて、利用者が自立した生活を送れるよう支援するサービスです。施設へ通うことを主にしながら宿泊や訪問のサービスも利用できます。小規模多機能型居宅介護には1つの事業所に登録できるのは29名以下などの定員があります。自己負担額は、要介護度や施設のタイプによって変わります。例えば要支援2の方で1割負担の方は、1カ月あたり6,000円程度になります。

小規模多機能型居宅介護についての詳細は、こちらの記事(小規模多機能型居宅介護とは? 対象者や料金、メリット・デメリットをわかりやすく解説)で解説しています。


・施設等で生活したときのサービスと料金

特定施設入居者生活介護では、有料老人ホームなど、指定を受けた事業者が日常生活の支援や機能訓練などのサービスを提供してくれます。施設によっては訪問介護や訪問看護、訪問リハビリテーションなどを外部サービスと連携しておこなうこともあります。特定施設入居者生活介護のサービス費用は、要介護度によって変わりますが1割負担で1日あたり数百円程度です。また、入居費用や日常生活費(おむつ代など)が別途かかります。


・グループホームを利用したときのサービスと料金

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は、地域密着型の小規模施設などを利用するサービスです。事業者は、入所した認知症の利用者に家庭に近い環境での支援や、地域の人との交流などのサービスを提供します。 1つのグループホームには5~9人の利用者が在籍し、介護職員と共同生活を送ります。自己負担額は、要介護度や施設のタイプにより変わります。例えば要支援2で1割負担の方がグループホームを1日利用したときの自己負担額は、700円程度です。


介護保険外サービスにはどのようなものがあるのか

要介護認定を受けても利用できるサービスは制度で定められた範囲内に限られます。そのため、自費で受ける「介護保険外サービス」が提供されています。

介護保険外サービスには、趣味のための外出支援や大掃除、草むしり、ペットの世話などがあります。同居家族への家事支援は介護保険ではできませんが、介護保険外サービスであれば対応可能です。


・市区町村が実施:高齢者在宅サービス

市区町村が実施する高齢者在宅サービスは、自治体ごとにサービスの内容や料金が異なります。高齢者在宅サービスを希望する方は、市区町村または地域包括支援センターに申し込むことが必要です。主なサービスには、理容や寝具の丸洗い、配食、送迎などがあります。また、一人暮らしの高齢者へ機器を貸与する緊急通報システムサービスもあり、1カ月の費用目安は1.300円程度です。


・市区町村が実施:介護予防・日常生活支援総合事業

市区町村が実施する介護予防・日常生活支援総合事業には、地域の特性に応じた介護予防・生活支援サービスが設定されています。地域支援事業の一環として設けられ、要支援に認定された人やチェックリストで該当した人が主な対象者です。

介護予防・生活支援サービスには回数や利用時間などに制限があるので、窓口の地域包括支援センターに相談するのがおすすめです。

例えば、家事や外出などのサービスの場合、自己負担額は1回1時間までで200~250円程度が目安になります。


・介護サービス事業者が提供:生活援助、身体介護、デイサービスのお泊りデイなど

介護サービス事業者による介護保険外サービスでは、介護保険の枠内では提供できないサービスも利用可能です。要支援2の方はケアマネジャーに相談し、ご希望のサービスを申し込みます。介護認定を受けていない方も利用できるので、地域包括支援センターや事業者に問い合わせると良いでしょう。介護保険外サービスには生活援助や身体介護、デイサービスでの宿泊、冠婚葬祭や趣味の外出介助などがあり、料金はサービス内容によって変わります。


・有償ボランティア事業:家事支援、介護援助など

社会福祉協議会やシルバー人材センターでは、家事や介護の有償ボランティア事業をおこなっています。市区町村が実施している総合事業もあります。例えば、社会福祉協議会では家事や話し相手、草むしり、大掃除などのサービスを年会費3.000円、1時間800円程度の費用で提供しています。シルバー人材センターの介護保険外サービスの場合は、1時間1.000円程度が目安です。


要支援2で利用したい民間企業のサービス

民間企業が提供しているサービスは、公的なサービスに比べて費用はかかりますが、誰でも利用できるのが大きなメリットです。介護保険では使えないサービスでも、民間企業が提供するサービスを介護保険外として利用することができます。

例えば、多くの民間企業が参入している宅食サービスは、好みの食事を選んで届けてもらえるので便利です。食事をとられているか、など様子もわかり安否確認にもなります。見守りサービスの場合は、一人暮らしの高齢者の力強い味方になるでしょう。


まとめ

要支援2の方は適切な支援や介護予防サービスによって住み慣れた自宅での一人暮らしも可能です。リハビリテーションや介護サービスを利用して、要支援から要介護状態に進むのを予防し、その結果今の生活をより長く続けることも可能になることもあります。記事で紹介した要支援2の方が利用できる介護予防サービスや、民間のサービスなどを組み合わせて活用しましょう。



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