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2024.02.27

小規模多機能型居宅介護とは? 対象者や料金、メリット・デメリットをわかりやすく解説

在宅介護を行っていると、家族や身近な人たちだけで介護を続けることが難しいことがあります。本人の生活状況や要望などによって、通所介護(デイサービス)や訪問介護(ホームヘルプ)の利用を検討することもあるでしょう。


その際の選択肢として、小規模多機能型居宅介護があります。この記事では、小規模多機能型居宅介護の基本情報や利用条件、メリットとデメリットについてわかりやすく解説します。


目次
・小規模多機能型居宅介護とは
・小規模多機能型居宅介護を利用できる人
・小規模多機能型居宅介護で受けられるサービス内容
・小規模多機能型居宅介護の利用条件について
・利用の流れについて
・小規模多機能型居宅介護のメリット・デメリット
・小規模多機能型居宅介護に向いている人と向いていない人
・まとめ

執筆者画像
SOMPOケア 人材開発部 橋本 美香
2004年訪問介護ヘルパーから介護職を開始。2008年介護福祉士、2010年ケアマネジャー、2013年より居宅介護支援事業所管理者。2019年主任ケアマネジャー、2022年社会福祉士取得。2023年よりSOMPOケア教育研修部(現・人材開発部)に異動し、各種研修企画や講師を担当。

小規模多機能型居宅介護とは

小規模多機能型居宅介護は、利用者が自立した生活を送ることができるよう、通所介護(デイサービス)を中心に、訪問介護(ホームヘルプ)や短期入所生活介護(ショートステイ)を組み合わせながら利用できる制度です。


2006年の介護保険制度改正によって、小規模多機能型居宅介護は地域密着型サービスとして導入されました。地域の事業者が、利用者一人ひとりの必要性に合わせた柔軟なサービスを提供することで、自宅や地域社会で自立した生活を送ることを目的としています。


小規模多機能型居宅介護を利用できる人

小規模多機能型居宅介護を受けるためには、特定の条件を満たしている必要があります。ここでは、小規模多機能型居宅介護を利用できる人の条件を解説します。


要介護認定を受けていること

利用者が市町村から要支援または要介護の認定を受けていることが必要です。


地域の事業者によるサービス

利用者は、事業者が運営する地域内に住民登録をしていることが条件になります。


小規模多機能型居宅介護で受けられるサービス内容

小規模多機能型居宅介護は、利用者が地域社会で自立した生活を続けるために多様なサービスを提供しています。以下の3つのサービスの他にも福祉用具貸与なども利用できます。ここでは主に、生活を支える3つのサービスの具体的な内容について紹介します。


通所介護(デイサービス)

デイサービスは、介護が必要な人々が日中に施設を訪れ、様々なサービスを受けながら社会とのつながりを保つことを目的としたサービスです。利用者は地域の人たちと交流を持ち、精神的なつながりを得ることができ、家族介護者にとっても休息時間を確保できるというメリットもあります。


通所介護(デイサービス)のサービス内容

・身体介助
食事介助、入浴介助、清拭、排泄介助など

・リハビリテーション
運動機能の改善や維持を目的とした個別リハビリや集団での運動プログラムによる機能訓練

・レクリエーション活動
音楽やゲームなど趣味活動や季節のイベントなどの娯楽活動

・社会的交流の場
他の利用者とコミュニケーションをとる、地域コミュニティへの参加機会

・健康管理と栄養面のサポート
専門スタッフによる健康状態のチェックなど


デイサービスについての詳細は、こちらの記事(デイサービスの費用や種類、利用条件は?デイケアとの違いも解説)で解説しています。


訪問介護(ホームヘルプ)

訪問介護(ホームヘルプ)サービスは、自宅での生活を継続しながら適切な介護を受けたいと考える利用者に向けて、日常生活のさまざまな支援をします。以下にその基本的なサービス内容を挙げます。


訪問介護(ホームヘルプ)のサービス内容

・身体介助
食事介助、入浴介助、清拭、排泄介助、更衣介助、身体整容、体位変換、移乗介助、歩行介助、外出介助など

・生活介助
洗濯、掃除、ゴミ出し、ベッドメイク、料理、買い物、薬の受け取りなど

・通院介助
利用者が医療機関に通院する際、車の乗り降り、移動、受診などの介助を行います。病院内の介助は、看護師が行うため、対応外となります


訪問介護(ホームヘルプ)では、利用者は自宅という安心した環境の中で、必要なケアを受けながら社会的なつながりも保つことができます。


短期入所生活介護(ショートステイ)

短期入所生活介護(ショートステイ)は、介護を必要とする方が、一時的に介護施設に宿泊し、専門的なケアを受けることができるサービスです。家族介護者が病気、急用、休息などのために一時的に介護から離れる際に利用されることがあります。以下の内容で、短期入所生活介護(ショートステイ)のサービス内容を紹介します。


短期入所生活介護(ショートステイ)のサービス内容

身体介助
食事介助、入浴介助、清拭、排泄介助、更衣介助、身体整容、体位変換、移乗介助、歩行介助、外出介助など

リハビリテーション
運動機能の改善や維持を目的とした個別リハビリや集団での運動プログラムによる機能訓練

レクリエーション活動
音楽やゲームなどの趣味活動や季節のイベントなどの娯楽活動


短期入所生活介護(ショートステイ)についての詳細は、こちらの記事(ショートステイとは?利用条件や費用、上手な使い方をご紹介)で解説しています。


小規模多機能型居宅介護の利用条件について

小規模多機能型居宅介護を利用する際には、利用時間や回数、費用、そして定員制限に関する条件が設定されています。下記に、これらの利用条件についての重要なポイントをまとめました。


利用時間や利用回数について

小規模多機能型居宅介護は、利用者一人ひとりの生活リズムやケアが必要な状態に合わせて、サービスの利用時間や回数を柔軟に調整できます。


事業者による詳細なサービス計画に基づき、利用者の健康状態や生活環境に応じたサービス時間の設定を行っており、サービスの回数も利用者の要望に応じて調整可能です。定期的な見直しも可能であり、緊急時や特別な事情がある場合には、変更ができます。


利用金額について

小規模多機能型居宅介護の利用に関する費用は、介護保険適用内の基本料金に加え、事業所が提供するサービスの料金が追加されます。基本料金は、月額定額制で要介護度によって変動します。

小規模多機能型居宅介護の料金表

(同一建物とは、養護老人ホーム・軽費老人ホーム・有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅などと同じ建物で、サービス提供をしている場合を指します)


基本料金以外に複数の加算料金があり、その一部を紹介します。


・登録日から30日以内のサービス提供(30単位/日)
・口腔・栄養スクリーニング加算(20単位/回)
・認知症の方へのサービス提供(800単位、または、500単位/月)
・若年性認知症の方へのサービス提供(800単位、または、450単位/月)

(参考:厚生労働省 小規模多機能型居宅介護

ほかにも、食費、宿泊費、おむつ代のほか、特別な加算サービスを利用した場合には、別途費用がかかります。


定員制限と予約について

小規模多機能型居宅介護は、利用定員が設定されています。一つの事業所における登録定員数は29名以下となっており、通所介護(デイサービス)の一日あたりの定員は18名以下、短期入所生活介護(ショートステイ)の1日あたりの定員は9名以下に設定されています。


定員が限られているため、事前に予約することが必須であり、人気の高いサービスには、特に早めの予約が推奨されます。


利用の流れについて

小規模多機能型居宅介護の利用までの流れ

小規模多機能型居宅介護の利用には、施設のケアマネジャーへの相談や施設の選定など複数のステップがあります。


1.地域包括支援センターやケアマネジャーへ相談する

小規模多機能型居宅介護を利用する際、地域包括支援センターや現在担当してくださっているケアマネジャーへの相談が必要になります。地域包括支援センターやケアマネジャーが状況や希望に応じた、地域内の事業書を紹介してくれます。自身で希望の事業所に連絡をすることもできますが、ケアマネジャーと相談をすることで第三者の意見を参考に選定することができるでしょう。


なお、小規模多機能型居宅介護の利用が決まったあとは、事業所のケアマネジャーに変更となる場合があります。

ケアマネジャーについてはこちらの記事(ケアマネジャーの役割を知ってうまく付き合う方法│選び方や利用する際の注意点)で解説しています。


2.事業所(施設)を見学する

小規模多機能型居宅介護を受けたい事業所が決まったら、事前に訪問し、施設の見学をさせてもらうことをおすすめします。施設の設備や様子、スタッフの人柄や雰囲気、提供サービスの詳細、他の利用者の年齢や雰囲気などを把握しておくことで、安心して利用することができます。複数の施設を比べてみると、利用者に合った施設が見つかるでしょう。


3.事業所(施設)と契約する

利用したい事業所が決まったら、実際に契約をします。提供サービスや金額、注意事項を確認するとともに、不明点があれば、事前に確認するようにしましょう。


4.ケアプランを作成する

契約後は、事業所の専属のケアマネジャーがケアプランを作成します。具体的な介護の状況や希望をもとにプランを作成しますので、事前に条件や要望をまとめておくことをおすすめします。ケアプラン作成後、実際に利用開始となります。


小規模多機能型居宅介護のメリット・デメリット

小規模多機能型居宅介護は、利用者にとって多くのメリットを提供する一方で、いくつかのデメリットも認識しておく必要があります。


メリット

小規模多機能型居宅介護のメリットは、利用者一人ひとりの状況や必要性に合わせてサービスの取捨選択・利用が可能なことです。詳しいメリットを項目別に紹介します。


時間・回数の制限なし
利用者の状況や生活に合わせて、必要な時に必要な回数のサービスを受けることができます。

複数のサービス利用が可能
一つの事業者が訪問介護、デイサービス、ショートステイを提供するため、状況や要望に合わせて柔軟に介護を受けることができます。

密なコミュニケーションが可能
定員が決められており小規模で運営されているため、スタッフと利用者間の密なコミュニケーションが可能です。

家族介護者の負担軽減
デイサービスやショートステイなどのサービスを利用することで、家族介護者は介護から一時的に離れ、休息の時間を持つことができます。

社会的交流の促進
デイサービスの利用により、他の利用者との交流や地域社会との接点が生まれます。


デメリット

小規模多機能型居宅介護を利用する際には、いくつかのデメリットが存在します。デメリットを理解しておくことで、問題やトラブルを抑えることができます。


定員制限があること
それぞれの事業所には定員が決められているため、定員オーバーの場合、希望するサービスを利用できないことがあります。

サービス利用の制限
特定のサービスの組み合わせのみが許可されており、選択肢が限られることがあります。

費用の増加
利用回数に応じて、単体でのサービス利用時よりも総費用が増えることがあります。

サービス提供事業所の限定
特定のサービスは他の事業所で受けることができず、選択の自由度が制限されることがあります。

待機期間の発生
人気の高いサービスや定員に限りがあるため、入れるまでに待機期間が生じることがあります。


小規模多機能型居宅介護に向いている人と向いていない人

小規模多機能型居宅介護は、自宅での生活を望む高齢者やその家族に多くのサポートを提供しますが、すべての人に最適なわけではありません。特定の生活環境や介護要望を持つ人々に特に利益をもたらす一方で、他の選択肢が適切である場合もあります。以下に小規模多機能型居宅介護に向いている人と向いていない人の特徴を挙げます。


向いている人

・住み慣れた自宅で暮らしたいと強く希望している人

・同居の家族が忙しく(出張が多い、子育て中等)、介護との両立のために家族の都合に合わせる事が必要な人

・介護を受ける時間や日にちを柔軟に対応してほしい人

・少人数、顔なじみになりやすい人数の中で他者との交流を求める人


向いていない人

・常時、専門的な医療的ケアを必要とする人や常に介護が必要な人。

・介護保険の自己負担が高く、経済的にサービスの利用が厳しい人。

・必要なときにすぐにサービスを受けたいが、定員制限による待機ができない人。

・複数のサービス事業所利用や他のサービスも受けたい人


まとめ

小規模多機能型居宅介護は、「利用者が住み慣れた自宅で生活を継続するために、サービスの組み合わせによって柔軟な対応が出来る、サービスが違っても職員が変わらないため顔なじみになりやすい、安心した在宅生活を支えるサービス」です。利用者が自宅で自立した生活を送りつつ、必要に応じて介護を受けられることが大きなポイントになります。それぞれのサービスは、利用者の状況に応じて柔軟に組み合わせることが可能であり、家族介護者の負担を軽減することにもつながるでしょう。

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