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自宅で介護を受ける高齢者の女性
2024.07.11

訪問介護とは/サービス内容や料金、利用に向いている人とは

両親や身近な人に介護が必要になった場合、どの介護サービスを受けるべきか迷うことがあります。本人の希望や経済的な理由などから施設への入所ではなく、自宅での介護を選択することもあるでしょう。


そんな時に利用したいのが、訪問介護です。本記事では、訪問介護の基礎情報からサービス内容、金額体系、利用におけるポイントや注意点をご紹介します。


目次
・訪問介護とは
・訪問介護の対象者とは
・訪問介護で受けることができるサービス
・訪問介護でできないこと
・訪問介護にかかる費用
・訪問介護を利用するメリット・デメリット
・訪問介護を利用する流れについて
・訪問介護を利用する際のポイントと注意点
・まとめ

執筆者画像
SOMPOケア 人材開発部 橋本 美香
2004年訪問介護ヘルパーから介護職を開始。2008年介護福祉士、2010年ケアマネジャー、2013年より居宅介護支援事業所管理者。2019年主任ケアマネジャー、2022年社会福祉士取得。2023年よりSOMPOケア教育研修部(現・人材開発部)に異動し、各種研修企画や講師を担当。

訪問介護とは

訪問介護とは、訪問介護員(ホームヘルパー)が利用者の自宅に直接訪れて提供する介護サービスです。食事、入浴、排せつといった基本的な身体ケアから、掃除、洗濯、調理といった日常の家事支援、さらには通院などの外出時に必要となる乗車や降車の介助まで、幅広い支援を行います。


専門スタッフが自宅を訪れて支援を行うため、利用者は自宅で安心して生活できるようになり、家族の介護負担軽減にもつなげることができます。


訪問介護の対象者とは

訪問介護サービスは、要介護認定を受けている方が利用対象となります。居住地の市区町村に申請し、要支援1・2、要介護1~5のいずれかの認定を受けた方が対象となります。


なお、要支援1・2の方は「介護予防訪問介護」の対象となり、要介護の状態にならないための支援になります。利用回数に制限があり、要支援1の方は週2回まで、要支援2の方は週3回までの利用制限があります。


訪問介護で受けることができるサービス

訪問介護サービスには、主に、生活援助・身体介護・通院サポートなどがあります。それぞれの支援内容例を解説します。


生活援助サービス

生活援助サービスは、利用者が自宅での日常生活に欠かせない家事の支援を行います。

洗濯サポート:衣類の洗濯、乾燥、たたみ、整理までの一連の作業の中で必要に応じてサポートします。
掃除サービス:居室、キッチン、バスルームなど、住まいの各部屋の定期的な清掃による居住環境の維持とゴミ出しなどを行います。
食事準備サポート:利用者の健康状態や好みをお聞きしながら、食材の買い出し・調理・配膳・片付けなどを行います。
ベッドメイクサポート:シーツの交換や布団の畳む・敷くなど、寝具の準備~片付けを行います。
買い物・薬の受けとりなど:日常の生活用品の買い出し、病院や薬局での薬の受けとりを代行で行います。(お酒やたばこなどの趣向品は買い物の代行は出来ません。)


生活援助サービスにより、疾病の悪化が予防出来たり、日常生活の維持が出来たりすることができます。また、介護者の負担が軽減され、利用者と家族間の関係がより豊かになる効果も期待できます。サービスを受けるにあたっては、家事代行ではないので、内容・回数等に制限がありますので、担当ケアマネジャーと相談しながら利用してください。


身体介護サービス

身体介護サービスは、介護スタッフが利用者の身体に直接触れて行うものを指します。

食事介助:安全に食事を摂取できるようサポートします。
入浴介助:入浴前の準備から入浴中の身体の洗浄、入浴後のケアをサポートします。また、入浴ができない場合は、身体を濡れたタオルで拭くなど清拭も行います。
排泄介助:トイレへの誘導や介助、おむつの交換など、排泄ケアを行います。
更衣介助:衣類の着脱や着替えのサポートを行います。
整容介助:洗顔、歯磨き、整髪、爪切り、耳かき、髭剃りなどのサポートを行います。
体位変換:ベッドや布団の上での寝返り、床ずれの防止のための体位変換をサポートします。
移乗介助:ベッドや椅子、床などから車いすに乗る際のサポートをします。
外出介助:買い物や通院など外出の際のサポートをします。
歩行介助:歩行時に、安全に歩けるようサポートします。


身体介護サービスは、利用者が自宅で自立した生活を送るために不可欠なサポートを提供します。専門スタッフによる介助によって、利用者の身体的な負担を軽減し、健康状態を保つことにもつながるでしょう。


通院サポート

通院サポートサービスは、外出が困難な利用者が安全かつ快適に医療機関へ行くことができるよう、支援をします。

乗車・降車介助:自宅から医療機関までの移動時、乗車や降車を安全にサポートしたり、車椅子利用者に対する特別な介助を行います。
移動介助:通院や医療施設内での移動をサポート※1し、診察室、検査室への案内などの介助を行う。また、待機時間中の安全を確保し、必要に応じて利用者の状態を観察します。


通院サポートサービスを利用することで、利用者は、定期的な医療受診や継続的な治療をしやすくなるため、健康管理を適切に行うことができるようになります。

※医療施設内介助が、介護保険適応できるのは、主治医が必要と認めた場合のみとなり、それ以外は自費対応になります。根拠としては、病院内は医療保険対応のため、病院のスタッフがするべきであるという考え方があるためです。しかし、現実は介助が出来る病院スタッフがいない施設が大半のため、家族か自費対応のヘルパーが行うことになります。


その他のサポート

その他にも、医療行為にあたらない範囲でサポートを受けることができます。体温測定、血圧測定、パルスオキシメータの装着をはじめ、専門的な判断や技術を必要としない軽微な切り傷・擦り傷・やけど等の処置などが該当します。(判断行うのは医師であり、医師の指示に従うことが基本になります)


また、平成24年度より施行された制度により、介護福祉士及び一定の研修を受けた介護職員等が、一定の条件の下にたんの吸引等の行為を実施することができるようになりました。具体的には、たんの吸引(口腔内、鼻腔内、気管カニューレ内部)、経管栄養(胃ろう、腸ろう、経鼻経管栄養)が該当します。

参考:介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度について


訪問介護でできないこと

訪問介護は、日常生活の支援を中心に行いますが、すべての要望に応えられるわけではありません。


前提として、利用者本人のサービスであるため、家族を対象とした支援はできません。同居家族の食事の準備や洗濯サポートなど、利用者以外に対して行われる支援は対象外となります。掃除なども、本人の居室、使用するところのみになります。


また、日常生活をおくるうえで必ずしも必要ではない、生活に差支えがない行為も対象外となります。具体的には、庭の草むしりや家具の移動や周囲、ペットの散歩などが該当します。そのほか、医療行為にあたるものも対象外となります。本人を見守っているだけの援助(見守り・留守番)も出来ません。しかし、見守り的援助が必要な認知症の方などには、介護保険が適用になるサービスもあります。

参考:「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」の一部改正について (平成30年度一部改正 1-6該当)


訪問介護にかかる費用

訪問介護を利用する際の費用は、提供されるサービスの内容や時間、利用者の介護保険の自己負担率に基づいて決定されます。自宅で必要とされる介護サービスを受けるためには、これらの費用を理解し、計画的にサービスを選択することが重要です。

・サービス別費用:身体介護、生活援助、通院時の乗降介助など、サービスの種類によって異なる単価が設定されています。
・利用時間による費用変動:サービスを受ける時間の長さによって、負担額が変わります。短時間の利用から長時間の利用まで、必要に応じて選択できます。(サービスの種類によって、支援の範囲と時間のモデルがあります。)
・自己負担率:介護保険の適用を受ける場合、自己負担額は基本的にサービス費用の1割ですが、一定以上の所得がある場合は2割、3割負担となります。


以下では、具体的な費用をまとめました。

<身体介護にかかる費用>
訪問介護時の身体介護に関する利用者負担費用

<生活援助にかかる費用>
訪問介護時の生活援助に関する利用者負担費用

<通院時の乗降介助にかかる費用>>
訪問介護時の通院時の乗降介助に関する利用者負担費用

参考:介護報酬の算定構造

また、サービスの内容によっては、基本費用に加えて追加料金が発生することがあります。(例:早朝や深夜のサービス利用、特定の加算サービスなど)訪問介護サービスの利用を検討する際には、これらの費用面の情報をしっかりと把握し、家族と実情に合った予算計画を立てることが大切です。


訪問介護を利用するメリット・デメリット

訪問介護サービスは、在宅介護を必要とする人々にとって、多くの利点がありますが、一方で注意すべき点も存在します。ここでは、訪問介護を利用することのメリットとデメリットを詳細に解説します。


訪問介護を利用するメリット

訪問介護の大きなメリットは、利用者が慣れ親しんだ自宅での生活を維持できるため、安心して生活をすることができ、環境の変化によるストレスが軽減されることが挙げられます。また、施設へ入居する場合よりも費用を抑えることができるため、経済的な負担も軽減できるでしょう。


加えて、家族にとってもメリットがあります。専門の介護スタッフによる質の高いサポートを受けることで、家族の介護負担を軽減することにもつながります。レスパイトケアの一貫として利用することで、介護者が休息をとることもできます。


訪問介護により、日常生活が維持できるだけでなく、家族間の関係も改善される可能性があります。利用者は自身のペースで日常生活を送ることができ、家族の介護負担は軽減され、お互いの時間をより価値あるものにすることができます。


訪問介護を利用するデメリット

訪問介護サービスは多くの利点を提供する一方で、デメリットも抱えています。まず、提供される支援の範囲・内容は決まっているため、利用者や家族が求めていることができないケースもあります。また、外部のスタッフが自宅に来るため、プライバシーへの懸念やパーソナルスペースに人が入ってくることへの抵抗感や不安が生じる人もいるでしょう。

また、介護スタッフと利用者・家族の相性も重要なポイントです。対面により長時間対応するケースもあるため、相性が合わなければ、利用者や家族がストレスを感じてしまうこともあります。


利用者と家族がサービスの範囲、プライバシーの確保方法、スタッフとの良好な関係構築について事業者と事前に十分なコミュニケーションをとることで、より満足度の高い介護サービスを受けることが可能になります。また、相性の問題に関しては、事業者が提供するスタッフの変更などが可能か、事前に確認をすると良いでしょう。


訪問介護を利用する流れについて

訪問介護サービスを利用するためには、いくつかの重要な手続きが必要です。介護サービスをスムーズに開始できるよう、ここでは要介護認定の申請からサービス利用開始までの具体的な流れを段階ごとに詳しく解説します。

① 要介護認定の申請:利用者が居住する市区町村に提出し、介護が必要な程度を公的に認定してもらいます。
② 介護認定調査:居住地の市区町村から派遣される調査員が実施する、利用者の日常生活能力を評価するための調査です。
③ 認定結果の通知:調査結果をもとに、要支援または要介護の認定結果が利用者に通知されます。
④ ケアマネジャーの選定:認定を受けたら、ケアマネジャーを選んでケアプランの作成を依頼します。ケアマネジャーは利用者の求めるものに合わせた介護サービスを計画します。
⑤ ケアプランの作成:利用者の健康状態や日常生活の要望に基づき、具体的な介護サービス計画を作成します。
⑥ サービス提供事業者との契約:ケアプランに基づき、選定した訪問介護事業者とサービス利用契約を結びます。
⑦ サービス利用開始:契約後、計画に沿って訪問介護サービスが開始されます。


訪問介護サービスの利用開始までには、これらの手続きを丁寧に進めることが必須です。各ステップを正確に理解し、事前の準備と計画をしっかりと行うことで、利用者は最適なサポートを受けることができます。


基本的にはこの手順ですが、ターミナル期などの場合は、主治医が必要と認め、申請さえされていれば、サービスの開始も可能です。

【関連記事】ケアプラン(介護サービス計画書)とは?作成の流れや記載内容を紹介


訪問介護を利用する際のポイントと注意点

訪問介護サービスを利用する際は、適切なサポートを受けられるよう、事業者の選定やサービスの詳細について慎重に検討することが必要です。


サービスの利用を検討する際は、訪問介護事業者の情報収集をすることをおすすめします。運営歴や過去のサービス実績はもちろん、スタッフの資格や経験、さらには利用者からの声を確認し、信頼できる事業者を見極めましょう。サービス内容に関しては、どのような支援が得られるのか、そしてその費用や追加で発生する可能性のあるサービスについても細かく確認すると良いでしょう。スタッフの方々のコミュニケーション能力や利用者のニーズに応じたサービス調整の柔軟性も重要なチェックポイントです。


情報収集には、地域の市町村相談窓口やケアマネジャーから、事業者に関する詳細な情報や具体的なアドバイスを得られるため、積極的に相談しましょう。必要に応じて、事業者との初回相談や施設の見学を通じて、サービスの具体的な提供状況やスタッフの対応を直接確認することも重要です。インターネットから事業者の情報(厚生労働省 介護サービス情報公表システム)を見ることも可能です。


まとめ

本記事では、訪問介護のサービス内容、利用にかかる費用、対象者の条件、利用の流れ、そして利用時のポイントや注意点を紹介しました。訪問介護を利用することで、利用者は住み慣れた自宅で安心して生活を続けられることができます。加えて、家族にもさまざまな影響が出てくるため、事前に不明点や希望を、ケアマネジャーや各関係者と話し合うことで、よりよい効果を生み出すことができるでしょう。

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