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2022.04.21

介護にかかるお金はどれくらい?介護保険制度と今後の備え

介護は、ある日突然始まることがあります。いつまで続くかわからない介護生活で、経済的に大変な思いをすることも珍しくありません。そのため、事前の備えが大切です。

この記事では、介護保険制度の紹介と併せて、ご自宅で介護サービスを利用する場合と、老人ホームなど入居型サービスを利用する場合に分けて、介護にかかる費用を解説します。

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【監修】社会保険労務士 1級FP技能士 加治直樹先生
銀行員を経てFPとして独立。銀行員時代は数多くの中小企業向けに決算書の財務から会社の問題点洗い出しなど、企業経営に関連する幅広い業務を請け負う。現在は、中小企業向けに経営コンサルや管理業務の支援を行う傍ら、企業・個人問わず金融・保険・住宅ローン等をテーマにした説明会などを開催し、講師・コンテンツ(説明会資料など)作りを行う。

介護費用はどれくらいかかる?


介護にはどれくらいの費用がかかるのでしょうか?介護保険の自己負担は所得によって異なりますが、1~3割負担で介護サービスを受けることができます。在宅介護の場合と、老人ホームなどの入居型介護の場合で見ていきます。


介護費用の平均は月8万円


公益財団法人生命保険文化センターが行った「生命保険に関する全国実態調査(2021年度)」によると、介護に要した費用のうち、一時的にかかった費用の自己負担額の合計は平均74万円、月々の費用は平均8.3万円でした。一時的にかかった費用には、在宅で介護をする場合に自宅をバリアフリーへリフォームをして生活環境を整えたり、介護ベッドや車いすなどの介護用品をそろえたりする費用が含まれています。また、介護を行った期間の平均は61.1か月(約5年)でした。


これらの値から、介護にかかる総額は74万円+(8.3万円×61.1カ月)=約581万円と算出されます。しかしこの数値はあくまでも平均値で、実際に介護にかかる費用は、介護の状態や期間など家庭によって異なります。


介護にかかる費用は介護の状態や年数で変わる


介護保険の各種サービスを受けるには要介護の認定が必要であり、その認定は要介護度に応じて要支援1・2と要介護1〜5の7段階に区分されます。介護にかかる費用は、要介護度や介護期間、本人の所得などによって変動します。どのような条件で変わるのか、詳しく見ていきましょう。


✓要介護度や介護者の有無

・要介護度が高いほど、介護サービスを受ける頻度が多くなるためサービス料金がかかります。また、要介護度に応じて料金が高くなるサービスもあるため、介護度が高いほど費用がかかります。

・介護者がいない場合は、介護サービスに頼ることが増えるため、その分費用がかかります。


✓在宅サービスか入居型サービスか

在宅サービスより、入居型サービスを利用する方が費用がかかります。


✓介護期間

前述した調査による介護期間の平均値は約5年でしたが、介護期間は人によって異なります。10年を超えるケースも少なくなく、長期にわたるほど費用がかかります。


✓本人の所得

本人の所得によって介護保険の自己負担割合が1~3割の間で変動します(65歳以上の場合)。また要介護度別に月額の支給限度額が決められていて、限度額を超えた場合は全額自己負担となります。


✓介護サービス以外にかかるお金

前述した一時的にかかった費用の他、おむつ代や病院診療費、薬剤費、通院や介護のための交通費など、日常生活に必要な費用がかかります(介護サービスの種類によってはおむつ代、医療ケア、薬剤費などに介護保険が適用されます)。


介護認定とは?制度概要や申請方法・介護保険サービスを利用するまでの流れを解説

要介護認定は、介護保険サービスを利用するために必要となる認定です。この記事では、要介護認定の申請方法や審査基準、サービスを受けるまでの流れなどを詳しく紹介します。

在宅介護と介護施設入居でかかるお金の違い


一般的に在宅介護より入居型介護の方が、格段に費用がかかります。在宅介護サービスと入居型介護サービスそれぞれで、どれくらいの費用がかかるのか、参考事例を見ていきましょう。厚生労働省の「介護保険事業状況報告」によると、在宅サービスの利用者は要支援1~要介護3の利用者が多く、入居型サービスの利用者は要介護4~5の利用者が多いため、これに照らしてそれぞれのケースで想定される費用目安を紹介していきます。


▼在宅介護費用の目安

要支援1~2の場合は、ほとんどのケースで介護保険の利用限度額範囲内でサービスを受けることができるため、自己負担はさほど多くありません。

要介護1~3の場合は、介護サービス利用料とそれ以外にかかる介護費用の月額平均は約31,200円です。このままの状態で、介護期間が5~10年続くと考えると、総額で約187~374万円程度かかると考えられます(初期費用は除く)。介護度が上がれば、費用負担も増えていく傾向にあります。


▼介護施設入居の場合の費用目安

介護施設の入居にかかる費用には、入居の際に発生する「入居一時金※」と月々かかる費用があります。

※中には入居一時金がかからない施設もあります。

要介護度が3以上になると、介護施設へ入居するケースが増えます。介護施設には、公的介護施設と民間の介護施設があるため、ここでは代表的な2つの施設について紹介していきます。


・特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)の場合

代表的な公的介護施設です。基本的には要介護3以上から入居可能で、入居一時金がかかりません。入居待ちが多く入りづらい傾向があります。

全国の利用実績の中央値を用いた介護費用の試算額が以下になります。これ以外に「施設サービス費」「居住費」「食費」「日常生活費」などがかかります。


・有料老人ホームの場合

民間企業が経営する有料老人ホームのサービス形態には、次の3種類があります。


介護付有料老人ホーム(介護型):介護などのサービスが付いた高齢者向けの居住施設です。介護が必要となったら該当施設の介護サービスを利用しながら、そのまま同じ居室で生活を継続することができます。介護付ホームとも呼ばれています。


住宅型有料老人ホーム(住宅型):生活支援などのサービスが付いた高齢者向け居住施設です。介護が必要となった場合は、入居者の選択によって地域の介護サービスを利用しながら、居室での生活を継続することができます。


健康型有料老人ホーム(健康型):食事などのサービスが付いた高齢者向けの居住施設です。介護が必要となった場合には退去する必要があります。


これらの有料老人ホームは、入居一時金がかかるケースが多く、その金額は数百万円~数千万円以上とさまざまです。さらに月額料金も施設によって差があります。家賃や食費を含めて、平均金額は20万円~25万円ほどです。


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制度を積極的に活用しよう


私たちは40歳になると介護保険に加入することになっています。また、国民健康保険などの健康保険にも加入しています。介護が必要となった場合にはこれらの制度を賢く利用していきましょう。


介護保険制度とは


介護保険制度とは、高齢者の介護を社会全体で支える仕組みとして2000年に施行された制度です。

65歳以上の方が、市町村(保険者)が実施する要介護認定において介護が必要だと認定された場合に、サービスが受けられるというもので、40~64歳までの人は、介護保険の対象となる特定疾病により介護が必要と認定された場合に、サービスを受けることができます。


介護保険サービスには、大別して自宅で介護サービスを受ける「在宅サービス」と、施設に入所してサービスを受ける「入居型サービス」の2種類があります。これらの介護保険サービスを受けるためには、居住区の市区町村の窓口で申請をして要介護認定を受ける必要があります。もし認定が「非該当」になっても、訪問型サービスや通所型サービスなどが受けられる場合があるため、居住地の市区町村の窓口や地域包括支援センターで相談してみるといいでしょう。

介護保険サービスで補助される金額は?


介護保険サービスを利用した際、利用料の一部は自己負担となります。

利用者の負担額は、利用者の所得に応じて1~3割に分けられます。(※40~64歳までは1割負担)

さらに要介護認定の介護度に応じて支給限度額が定められていて、限度額を超えた分は全額自己負担となります。

介護度別の1カ月あたりの給付限度額と自己負担額は下の表のようになります。


(注)上記金額はお住まいの地域によって異なりますので、詳細はお住いの市区町村で確認しましょう。


また、介護保険施設入所者やショートステイ利用者の食費や居住費を補助する制度や、利用者負担が一定の限度額を超えたときに、超えた金額が払い戻される高額介護サービス費という制度が従来よりありますが、2021年8月から介護保険施設における食費・居住費と、毎月の高額介護サービス費の負担上限額が改正されました。所得に応じた負担限度額が改正され、一定以上の収入や預貯金のある人の負担額が増えています。


医療費に関する負担軽減策もチェック


高齢者の介護には、介護費用だけでなく医療費の心配もあります。医療費に関わる制度も知っておきましょう。


▼高額療養費制度

同一世帯で医療費(医療機関や薬局の窓口で支払った額)の月額の合算が限度額を超えた場合に、申請することで超えた金額が支給される制度です。限度額は年齢や所得に応じて決められていますが、世帯で自己負担額を合算する世帯合算や、過去1年間に3回以上限度額を超えた場合に4回目以降の上限額が引き下げられるなど多数回該当の軽減措置があります。


▼高額医療・高額介護合算制度

同一世帯で「医療費(医療機関や薬局の窓口で支払った額)」と「介護保険の利用者負担額」の1年間の合算が限度額を超えた場合に、申請することで超えた金額が支給される制度です。限度額は年齢や所得に応じて決められています。

介護のための準備


介護に関しては、家族など誰がどのように介護をするのかといった介護方法とあわせて考えておかないといけないのが、“費用”の問題です。

在宅介護でも入居型介護の場合でも、介護が始まると同時にある程度まとまった金額が必要となります。前述した介護にかかる費用を目安にして、すべての費用を親が準備できるのか、または家族でどのように用立てていくのかなどを、親が元気なうちから話し合っておくと、介護生活が始まった際に慌てずに済みます。医療保険証や介護保険証の保管場所はもちろん、年金などの収入や現在の資産、ローンや負債の有無、加入している保険などについても確認しておきましょう。


また、介護が必要な家族を抱えている方は、自宅で介護ができる体制を整えたり、入居できる施設を探したりするのに時間と費用がかかります。育児・介護休業法における介護が必要な家族がいる場合に通算して93日まで休業ができる介護休業制度、介護が必要な家族1人につき1年間で5日まで取得できる介護休暇の制度が利用できることも知っておいてください。


経済的に余裕があれば、介護施設を探す際の選択肢が広がります。ただ、遠距離介護の費用が家計を圧迫したり、介護で正社員を辞めざるを得なくなるケースもあります。医療保険と同様に、介護についても民間保険を検討するのもひとつの方法です。いずれにしても、賢く制度を利用する方法を事前に調べるなど準備しておくことがおすすめです。


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まとめ


介護にかかる費用はケースバイケースです。介護保険サービスでは、要介護度や本人の所得によって負担額が変わります。介護は突然始まることもあり、さらにいつまで続くかわからないため、家族の経済的な心配は大きくなります。この記事で紹介した介護費用などを参考に、親の年金や貯えから介護費用がまかなえるのか、またどのような介護が可能なのか、希望を聞きながら検討してみてはいかがでしょうか。

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