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専門家に介護相談をしている女性
2023.06.12

居宅介護支援事業所とは? 役割や利用方法、選定ポイントを紹介

「在宅介護の負担が大きく、誰かに相談したい」「知識も経験もないのに、自分1人で介護できるか不安……」。このような状況に陥っていませんか? 介護や支援が必要になったときは、1人で抱え込まず居宅介護支援事業所に相談するのがおすすめです。とはいえ、居宅介護支援事業所という名前を初めて聞く方は多いかもしれません。


本記事では、居宅介護支援事業所について詳しく解説します。居宅介護支援事業所は要介護認定の申請代行から、介護認定が下りた方への介護相談など幅広い業務を対応するため、介護の負担を軽減できる可能性があります。自宅で親や配偶者などの介護をしている方はぜひ最後までご覧ください。


目次
・居宅介護支援事業所とは?
・居宅介護支援事業所の特徴と利用時のポイント
・居宅介護支援を受けるまでの流れ
・自分に合った居宅介護支援事業所の選び方とは
・まとめ

執筆者画像
【監修】理学療法士 佐藤敬太さん
回復期リハビリテーション病院を経験したのち、訪問リハビリテーション、デイサービス、地域包括ケアなど様々な領域で臨床へ従事。現在はwebメディアの運営やマーケティング知識を活かし、医療福祉の情報が正しく伝わるよう日々発信を続けている。

居宅介護支援事業所とは?

居宅介護支援事業所とは、介護や支援が必要になった際に頼れる相談窓口のひとつです。ケアプランセンターとも呼ばれており、ケアマネジャーによってその人に適したケアプラン(居宅サービス計画)を作成してもらえます。居宅介護支援事業所は介護保険制度に基づく事業所のため、まずは介護に関する基本的なポイントを把握しておきましょう。

介護保険制度のポイント

介護保険制度とは、40歳になると加入が義務付けられる公的な保険制度です。年齢によって第1号被保険者(65歳以上)と第2号被保険者(40〜64歳)に分類されます。どちらにも保険料の支払い義務があり、要介護認定または要支援認定を受けた際に介護保険サービスを受けられます。原因疾患を問わずサービスを受けられるのは第1号保険者のみで、第2号被保険者は加齢に伴う特定疾病が原因で介護が必要になった場合に限られます。


介護保険サービスは、介護の相談やケアプランの作成といった居宅介護支援をはじめ、訪問介護や通所介護、家事援助など多岐にわたります。要介護者にはより適切な環境での介護を提供でき、介護者にとっては介護に関わる負担軽減に役立ちます。

居宅介護支援とは?

居宅介護支援は介護保険サービスの一つで、要介護1〜5に認定された利用者が自立した日常生活を送れるよう、適切な介護サービスの選定や関係施設などへの調節や手続きなどを行うものです。

居宅介護支援を受けるためには、要介護認定を受けた後に、地域にある居宅介護支援事業所との契約が必要です。しかし、居宅介護支援事業所は要介護認定の申請代行から対応しているため、申請が困難な人は申請代行を活用する方法もあります。居宅介護支援事業所にはケアマネジャーが常駐しており、家族や要介護者の状況をヒアリングし、適切な介護を受けられるよう「ケアプラン」を作成します。ケアマネジャーはそれをベースに関係機関との調整や手続きを行います。介護保険サービスが始まった後も、ケアマネジャーは利用者の自宅を月1回以上訪問し、必要に応じてケアプランの変更や調整を手掛けます。


ケアマネジャーについての詳細は、以下の記事で紹介しています。

ケアマネジャーの役割を知ってうまく付き合う方法│選び方や利用する際の注意点

介護予防支援との違い

居宅介護支援と類似するものに、介護予防支援があります。居宅介護支援を利用できる対象者は要介護1〜5と認定された人ですが、介護予防支援の利用対象者は要支援1〜2と認定された人です。


介護予防支援では、利用者が要介護状態になることを防ぐため、身体機能や生活機能の維持・向上を目指します。具体的な取り組みとしては、居宅介護支援と同じく、ケアマネジャーによるケアプランの作成や関係機関への連絡調整などが行われます。ケアマネジャーの訪問頻度は居宅介護支援よりも少なく、3カ月に1回以上です。


居宅介護支援事業所の特徴と利用時のポイント

老夫婦を迎えに来た介護スタッフ

居宅介護支援事業所を利用する前に、押さえておきたい内容を紹介します。初めて利用する方は、ぜひチェックしてみてください。

居宅介護支援を受ける対象は? お金はどれくらいかかる?

居宅介護支援の利用対象者は、要介護1〜5の認定を受けた人です。そのため、居宅介護支援を受けるためには、まずは自治体の関係窓口で要介護認定を受ける必要があります。居宅介護支援にかかる費用は介護保険から全額支払われるため、利用者の自己負担はありません。この背景には、要介護者がなるべく自立して生活するためには、居宅介護支援を積極的に利用してもらうことが重要だと考えられているからです。

なお、ケアプラン提出後に受けられる介護保険サービスは、所得に応じて1〜3割の自己負担が必要となります。訪問介護や通所介護など居宅サービスは費用の上限が要介護度によって異なるため、事前確認が必須です。

地域包括支援センターとの違い

居宅介護支援事業所に近い役割を担う機関として、地域包括支援センターがあります。どちらも介護に関する相談窓口ですが、対象者や対応内容などが異なります。居宅介護支援事業所が要介護1〜5の高齢者を対象にしている一方、地域包括支援センターは要支援1~2の高齢者を対象にしています。

また、地域包括支援センターはケアマネジャーのほか、保健師や社会福祉士、看護師などさまざまな職種のスタッフが在籍しています。居宅介護支援事業所よりも対応できる範囲が広いため、気軽に相談しやすいところも特徴です。地域包括支援センターはすべての市区町村に設置されており、その数は全国に5,400カ所以上あります。「介護の負担が大きく、誰かに相談したい」「要介護認定は受けていないが、自身が受けれるサービスがないか知りたい」などの内容は、地域包括支援センターに相談してみるとよいでしょう。

地域包括支援センターについて詳しく知りたい方は、こちらの記事(地域包括支援センターの役割とは?活用方法や相談事例をわかりやすく解説)をご覧ください。


居宅介護支援を受けるまでの流れ

車椅子に座ってる母をベッドに移乗しようとしている息子

ここからは、居宅介護支援を受けるまでの流れを紹介します。基本的な流れは、以下のとおりです。


1.要介護認定を受ける
2.初回面談(インテーク)
3.ケアプランの作成
4.介護サービスの利用開始・モニタリング


1.要介護認定を受ける

居宅介護支援を受けるためには、要介護認定を受けていることが条件となるため、まずは要介護認定の申請を行わなければいけません。申請の際には主に3つの書類・証明書が必要になります。


・介護認定申請書(お住いの市区町村窓口かホームページよりダウンロード)
・介護保険被保険者証(64歳以下の方は健康保険被保険者証)
・主治医意見書


申請手続きは、お住まいの市区町村の役所にある「介護保険窓口」で行います。窓口にある介護認定申請書に記入し、介護保険被保険者証と一緒に提出します。窓口に直接出向くのが難しい場合は、居宅介護支援事業所に申請代行を依頼することも可能です。


申請後は、ケアマネジャーなどが心身の状態を確認するために、訪問調査として自宅まで出向いてくれます。このとき、困っていることがないか、聞き取り調査も行われます。また、介護保険認定には主治医意見書も必要なため、早めに主治医に依頼しておきましょう。もし主治医がいない場合は、市区町村の指定の診察が必要になります。

訪問調査の結果と主治医意見書の内容はコンピューターに入力され、一次判定が行われます。その後、各自治体で介護認定審査会が開かれて二次判定が実施され、介護判定と同時に、介護度や支援の必要性も決定されます。申請から認定までの通知は原則30日以内とされており、認定を受けた場合は「認定通知書」が、認定を受けられなかった場合は「非該当通知書」が届きます。


要介護認定についての詳細は、以下の記事で紹介しています。

要介護認定とは?制度概要や申請方法・介護保険サービスを利用するまでの流れを解説

2.初回面談

要介護認定を受けたら、地域の居宅介護支援事業所に連絡をとりましょう。要介護認定を受けた後に居宅介護支援事業所に連絡をすると、ケアマネジャーが自宅を訪問し、利用者の心身の状況や生活環境を把握したうえで、ヒアリングして課題を分析します。要介護ではなく要支援1〜2の認定を受けた場合は、居宅介護支援事業所ではなく地域包括支援センターとやり取りを行いましょう。

3.ケアプランの作成

初回面談で分析した結果をもとに、ケアマネジャーが地域の介護サービス事業者の選定や介護サービスの内容・頻度などをまとめます。このときに作成するのがケアプランであり、介護サービスを受けるために必要なものです。ケアマネジャーが作成したケアプランを利用者や家族に提示し、問題がなければ介護サービス事業者と契約します。なお、ケアプランの作成にかかる費用は介護保険で賄われるため、自己負担はありません。

4.介護サービスの利用開始・モニタリング

ケアプランに同意したら、介護サービスの利用を開始できます。ケアマネジャーはサービス開始後も月1回以上は自宅を訪問し、ケアプランに沿ったサービスを受けられているか、困ったことはないかなど確認してくれるので、悩みや不安があればその都度相談しましょう。ケアマネジャーは必要に応じて、ケアプランの変更や調整を行い、適切な環境をサポートしてくれます。


自分に合った居宅介護支援事業所の選び方とは

居宅介護支援事業所は地域に複数あることが多く、事業所によって経験の豊富さや相談のしやすさ、得意分野などは異なります。居宅介護支援事業所を選ぶ際は、次のポイントを押さえておきましょう。


1.利用者の自宅から近い事業所を選ぶ
2.相談しやすいケアマネジャーがいること
3.特定事業所加算を受けている事業所
4.状態に応じて他のサービス併設型の事業所を選ぶ


知らないと損をしてしまうこともあるので、ぜひチェックしてみてください。

1.利用者の自宅から近い事業所を選ぶ

居宅介護支援事業所を選ぶ際は、自宅との距離がポイントの一つです。住宅介護はケアマネジャーとの連携がとても重要になるため、自宅から近い居宅介護支援事業所を選べば緊急を要するときも迅速に対応してもらえるでしょう。また、自宅から近い事業所は、地域のサービス提供事業者の事情にも詳しいといったメリットがあります。どのようなサービスを得意としているのか、介護職員の人柄など把握していることが多いため、より希望に合った提案をしてもらえるでしょう。

2.相談しやすいケアマネジャーがいること

ケアマネジャーは月1回以上自宅に訪問し、利用者とコミュニケーションをとります。話しやすいケアマネジャーであれば、困りごとがあるときも気軽に相談できます。

例えば、話を親身に聞いてくれたり、意見を尊重してくれたりするケアマネジャーは信頼関係を築きやすいでしょう。さらに、豊富な経験と専門的な知識を兼ね揃え、専門家としての意見を提示してくれるケアマネジャーであれば、いざというとき頼りになります。「別のケアマネジャーに担当してもらいたい……」と感じた場合は、担当を変更することもできるので、居宅介護支援事業所に在籍するケアマネジャーの人数も確認しておくとよいでしょう。

3.特定事業所加算を受けている事業所

特定事業所加算とは、質の高いサービスを提供する事業者を評価するための加算のことです。特定事業所加算を受けている事業所は、専門性の高い人材の確保、中重度者や支援困難ケースへの対応などに積極的に取り組んでいます。そのため、特定事業所加算を受けている事業所は、質の高い介護サービスを提供している傾向があります。

4.状態に応じて他のサービス併設型の事業所を選ぶ

居宅介護支援事業所によっては、デイサービスや訪問看護ステーションなど他のサービスを併設しているところもあります。併設している場合は、その施設を優先的に利用させてもらえる可能性があるため、サービスとの連携がスムーズです。


しかし、あくまでもケアマネジャーの仕事は、利用者にとって最適なサービスを提案することです。必ず併設するサービスを利用しなければいけないという決まりはないので、不要であれば断ることもできます。


まとめ

居宅介護支援事業所は介護に関する相談窓口として、利用者や家族に寄り添い、介護の悩みや不安解消のために働きかける“サポーター”です。 地域内に複数存在する場合もあるため、どこが良いのか迷う方もいるのではないでしょうか。今回紹介した居宅介護支援事業所の選び方を参考にしながら、自分たちに合った事業所を選び、介護の負担や不安を少しでも減らしてください。


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