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2023.03.24

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の費用や入居条件とは?

グループホームとは、同じ症状や状態の方が集団生活をするための施設で、認知症の高齢者向けの「認知症対応型共同生活介護」と、知的障害者や精神障害者が共同生活を送る「共同生活援助」があります。認知症対応型共同生活介護では、高齢者が可能な限り自立した日常生活を過ごせるように、より家庭に近い環境で5~9人の利用者が共同生活を送ります。


本記事では、グループホーム(認知症対応型共同生活介護)の入居にかかる費用や入居条件、メリット・デメリットについて紹介します。グループホームの入居を検討している方はぜひ最後までお読みください。


目次
・グループホーム(認知症対応型共同生活介護)とは
・グループホームの入居にかかる費用
・グループホームの入居条件
・グループホームと有料老人ホームの違い
・グループホームのメリット・デメリット
・まとめ

執筆者画像
【監修】看護師 那賀嶋幸恵さん
新卒で急性期病院へ従事したのち、デイサービスや特別養護老人ホームなど様々な看護の場を経験。現在は訪問看護ステーションにて在宅医療の現場をみつつ、医療福祉のあり方を日々発信中。

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)とは

グループホームとは認知症対応型共同生活介護とも呼ばれ、認知症の高齢者の方を対象とした地域密着サービスです。ユニットと呼ばれる5~9人のグループの中で、介護スタッフのサポートを受けながら共同生活を送るのが特徴です。


病院などでの単調な生活は認知症の進行を早める可能性がありますが、グループホームは少人数の中で「なじみの関係」を作れるため、認知症の進行を緩やかにして心身を穏やかに保つことができます。また、家庭のような落ち着いた環境の中で食事の準備や掃除などの家事を行ったり、住み慣れた場所で地域住民と交流したりすることで、本人の望む生活を実現することも可能です。近年では認知症高齢者の増加に伴い、グループホームの数も増加してきました。


厚生労働省の「令和3年介護サービス施設・事業所調査の概況」によると、令和3年時点での全国のグループホーム数は14,085事業所となっています。


グループホームの入居にかかる費用

グループホームの入居にあたり、どのくらい費用がかかるのか心配している方も多いでしょう。グループホームは地域密着型サービスであるため介護保険が適用されますが、一部全額自己負担になる費用もあり、その額は施設によって異なります。ここでは、グループホームの入居に必要な費用の種類とおおよその相場を紹介します。


【初期費用】

● 入居一時金

● 保証金


【月額費用】

● 日常生活費

● 介護サービス費

●サービス加算費


グループホームの初期費用にかかる入居一時金と保証金

グループホームに入居する際は、入居一時金または保証金といった初期費用が必要になることがあります。相場は数万~20万円程度ですが、国による基準がないため金額は施設によって大きく異なり、0円の施設もあれば100万円を超えることもめずらしくありません。


入居一時金や保証金とはどのような費用なのでしょうか。それぞれの内容を確認していきましょう。ただし施設によってはこれらの名目を区別しなかったり別の名目で請求したりすることもあります。詳細は各施設に確認しておきましょう。


入居一時金とは

入居一時金とは、施設を利用する権利を取得する目的で支払う費用のことです。退去時に一部返還されるのが特徴で、返還金額は入居期間に応じて変わります。


たとえば20万円の入居一時金を支払った場合、1年後に退去すると17万円、2年後に退去すると14万円、…のように入居期間が長くなるほど少なくなります(これを償却といいます)。


入居一時金の金額や償却率、償却期間には国による基準がありません。そのため0円のところから100万円を超えるところまで、償却期間も3年だったり10年以上だったりと施設によってバラバラです。後のトラブルを防ぐためには、支払う金額だけでなく償却についても入居時に確認しておきましょう。


保証金とは

保証金とは、グループホーム退去時の清掃や修繕に使われる費用です。金額は施設によって異なり、賃貸物件の敷金と同じように残った金額は退去時に返還されます。


保証金は必ずしも必要というわけではありません。というのも、先程説明したように施設によっては入居一時金という名目でまとめて請求することも多いからです。逆に保証金だけ必要な施設も存在します。


入居時の初期費用は施設によって金額や名目、返還のルールなどが異なります。また初期費用が安くても、その分月額費用が高くなっているケースも少なくありません。金額だけを見て判断するのではなく、他の費用や返還についても確認したほうがよいでしょう。


グループホームの月額費用は3種類

上記で説明した初期費用のほか、日々の生活や介護サービスを受けるための費用も支払わなければなりません。これを月額費用といい、日常生活費と介護サービス費、サービス加算費の3種類に分けられます。ここではそれぞれの内容と相場について紹介します。滞在期間が長くなると負担も大きくなるので、入居前に詳細を把握しておきましょう。


日常生活費

日常生活費とは、居住費や光熱費、食費など日常生活を送るために必要な費用のことで、介護保険が適用されないため全額自己負担となります。具体的には、以下のようなものが該当します。


● 土地や建物の賃料

● 食費

● 水道光熱費

● 管理費・公益費

● 雑費(おむつ代、日用品代など)


日常生活費の相場は10~15万円程度ですが、こちらも施設によってまちまちです。一般的には都市部の方が高いといわれていますが、同じ地域でも広さや設備などによって異なるため注意しましょう。雑費については、定額の場合もあれば持ち込んだものを利用する場合もあります。なお車いすや杖などの福祉用具は事業所負担なので、利用者が費用を支払う必要はありません。


介護サービス費

介護サービス費は、食事や洗濯など日々のサポートを受けるための費用です。こちらは介護保険が適用されるため国によって金額が決められており、グループホームにおいては施設のユニット数と要介護度に応じて変わります。


<1日あたりの利用者負担額」(1割負担の場合)>

● 要支援2:1ユニット→755円、2ユニット以上→743円

● 要介護1:1ユニット→759円、2ユニット以上→747円

● 要介護2:1ユニット→795円、2ユニット以上→782円

● 要介護3:1ユニット→818円、2ユニット以上→806円

● 要介護4:1ユニット→835円、2ユニット以上→822円

● 要介護5:1ユニット→852円、2ユニット以上→838円

 ※要支援1の方はグループホームを利用できません。

(参考:厚生労働省 介護サービス情報公表システム


1ヶ月分に換算すると、おおよそ22,000~26,000円になります。要介護度が高くなるほどサービスの量も増えるため、上記のように利用者負担額も大きくなるのです。


サービス加算費

サービス加算費は、施設により設定された追加の費用です。たとえば看取りや夜間対応など緊急性の高い対応を受けた場合や認知症の専門知識を持つスタッフによるケアを受けた場合に、通常のサービス費用に上乗せして以下のような費用が発生します。


● 夜間支援体制加算

● 認知症専門ケア加算

● 医療連携体制加算

● 看取り介護加算


ひとつひとつのサービス加算は大きな金額ではありません。しかし複数のサービスを受けられることから、人によってはまとまった出費になることもあります。グループホームは介護体制が手厚くなっており利用者に費用面で負担がかかりやすいため、本当に必要なサービスかどうかをしっかり検討しましょう。


グループホームの入居条件

グループホームは誰でも入居できるわけではなく、いくつかの条件を満たさなければなりません。ここではグループホームに入るための以下4つの条件について説明します。


●年齢制限
●要介護度の認定村に住民票があること
●認知症の診断

入居条件1:年齢制限

グループホームに入居できるのは、原則65歳以上の高齢者です。これは介護保険法によって「サービスを受けられるのは65歳以上の人」と決められているからです。ただし40~64歳でも、若年性認知症などの特定疾病を持っている方は例外として入居が認められます。


入居の条件2: 要介護度の認定

グループホームに入居するには、要支援2または要介護1以上の認定が必要です。こちらも介護保険法によって介護認定を受けていることが求められています。それぞれの状態ごとの違いを下記にまとめました。

※引用元:厚生労働省 介護保険制度における要介護認定の仕組み

介護認定は自治体に申請した後、コンピュータによる1次判定と介護認定審査会(保健・医療・福祉の学識経験者より構成)による2次判定によって行われます。介護認定が必要になった際は、まずお住まいの地区町村窓口にご相談ください。


入居の条件3:施設と同じ市区町村に住民票があること

グループホームは、原則として入居する施設と同じ市区町村に住民票がなければ入れません。というのも、グループホームは介護が必要な状態になっても住み慣れた地域で生活できるようにするための「地域密着型サービス」だからです。


地域密着型サービスは、その地区町村に住む人を対象としているため、グループホームも同じ市区町村に住んでいることが求められるのです。ただし市区町村を超えた利用であっても、双方の自治体が必要性を認めた場合には例外的に入居できることもあります。


入居の条件4: 認知症の診断

グループホームは認知症高齢者のための介護施設であるため、認知症と診断された方でないと利用できません。そのため、グループホームへの入居を希望する場合は医療機関に相談し、認知症の診断書を出してもらう必要があります。


認知症を専門とするのは精神科や脳神経内科、脳神経外科などですが、まずはかかりつけ医に相談するのがおすすめです。普段から診療している医師であれば、これまでの病歴や健康状態から「以前よりも日常生活の能力が低下したか」を評価することができるからです。必要に応じて専門の医療機関を紹介してくれるため、スムーズに専門医とつながれるでしょう。


グループホームと有料老人ホームの違い

認知症の高齢者の方を対象とするグループホームに対して、自立から要介護までさまざまな身体状況の高齢者の方を対象としているのが有料老人ホームです。有料老人ホームには介護付きと住居型、健康型の3種類があり、入居条件やサービス内容、目的は施設によって異なります。


入居人数は数名から100名程度まで幅があり、設備や雰囲気、費用もさまざまであることから、高齢者の心身状態や目的に合わせた施設を選べます。有料老人ホームは施設数が多く大規模な施設も多いことから、グループホームと比べてすぐに入居できる可能性が高いです。中には認知症に対応している有料老人ホームもあるので、グループホームに空きがない場合は選択肢に入れると良いでしょう。


また、有料老人ホームは看護師の配置が義務付けられておりグループホームと比べ医療体制が手厚いのが特徴です。そのため日常的な医療ケアが必要な方は有料老人ホームの方が向いているでしょう。

【関連記事】有料老人ホームとは│費用や種類、サ高住などとの違いを徹底解説


グループホームのメリット・デメリット

認知症の方が利用できる介護施設はグループホーム以外にもありますが、他の施設と比べてどのような特徴があるのでしょうか。ここではグループホームに入居するメリット・デメリットを紹介します。

グループホームのメリットとは

グループホームに入居するメリットは以下の通りです。


●アットホームな雰囲気の中で落ち着いて過ごせる
●住み慣れた地域で暮らせる
●個室があるのでプライベートな空間を確保できる
●少人数で利用者家族と施設の関係を築きやすい
●認知症専門の介護スタッフが常駐している
●認知症のためのリハビリやレクリエーションが充実している


グループホームは少人数で家庭的な雰囲気であるため、環境変化への対応が難しい認知症の方でも落ち着いて過ごせます。ほかの利用者もその地域の住民であるため、共通の話題が見つかりやすくコミュニケーションも取りやすいでしょう。

またグループホームは国によってスタッフの配置基準が定められており、ユニットごとに認知症介護の知識・経験のあるスタッフが配置されています。リハビリやレクリエーションなども認知症に適したものが行われることから、認知症の進行を緩やかにして心穏やかに過ごせるというメリットもあります。


グループホームのデメリットとは

一方でグループホームには、以下のようなデメリットもあります。


●施設がある市区町村に住民票がないと入居できない
●要支援2または要介護1以上の介護認定が必要
●すぐに入居できるとは限らない(満室で入れないケースが多い)
●看護師の配置義務がないため医療面での対応が難しい
●共同生活が困難になると退去が必要になる場合もある


グループホームは地域密着型サービスであり、施設のある市区町村に住民票がないと入居できません。住んでいる場所によって選択肢が限られてしまうのはデメリットといえるでしょう。 またグループホームは小規模で家庭的な雰囲気が魅力のひとつですが、少人数であるがゆえに定員に空きがないことも多く、数カ月以上入居待ちの期間が発生する可能性があります。 さらにグループホームは支障なく共同生活を送ることに重点を置いているため、看護師の配置義務はありません。共同生活が難しくなったり医療ケアが必要になったりすると退去になる可能性があります。


まとめ

グループホームは、認知症の方が必要なサポートを受けながら共同生活を送るための施設です。入居するには年齢や介護認定、認知症診断などの条件を満たさなければなりませんが、アットホームな雰囲気や認知症専門スタッフによる介護などほかの施設にはないメリットもあります。


住み慣れた地域で心穏やかに過ごしたい、できる限り自立した生活を送りたいと考えている方は、グループホームの入居を検討してみることもお勧めしますが、地域によっては満室で入れないことも多いため、入居を検討している方は早めに準備することをおすすめします。

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