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デイサービスのお迎えにきている介護スタッフ
2023.05.22

認知症の介護サービスとは?介護サービスの種類や対象者、費用について詳しく解説

介護保険制度は、介護を社会全体で支えようと2000年に開始された社会保険制度のひとつです。 介護保険を利用して受けることができるサービスにはさまざまなものがありますが、認知症の方の介護に特化した介護サービスとしては、「認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)」や「認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)」があります。この記事では、それらの介護サービスについて、種類や利用条件、費用などを詳しく紹介していきます。


目次
・認知症と介護保険サービス
・認知症対応型通所介護とは
・認知症対応型共同生活介護とは
・本人の希望に沿った介護サービス選びを心がけて
・まとめ

執筆者画像
杉並区地域包括支援センターケア24成田 センター長 社会福祉士 石川敦子さん
2006年、社会福祉士の資格を取得し、同年に設置された地域包括支援センターに勤務。横浜市内の複数の地域包括支援センターにて、センター長、社会福祉士、生活支援コーディネーターとして地域づくりを担うかたわら、成年後見人等の活動も行う。2018年、杉並区地域包括支援センターケア成田24に着任、2019年より現職。

認知症と介護保険サービス


介護保険制度と介護サービスの概要について紹介します。


介護保険を使ってサービスを利用するには要介護認定が必要 

介護保険を使って介護サービスを受けるためには、居住地の市区町村窓口か、地域包括支援センターに申請し、「要介護認定」を受ける必要があります。介護保険の利用は通常65歳以上ですが、若年性認知症の場合は40歳以上65歳未満の方も対象となります。

要介護認定では、被保険者が日常生活でどれくらい介助を必要としているかが審査され、介護が必要と認定されると、要介護度が7段階で評価されます。7段階の内訳は、要介護度が低い方から「要支援1~2」「要介護1~5」となります。


介護保険サービスは、 ケアプラン(支援計画)を作成したうえで、必要とされたサービスを利用することができます。所得に応じてかかった費用の1〜3割を利用者が負担します。また、自宅で生活する人を対象とした「居宅サービス」では、その要介護度に応じて利用限度額(月額)が設定されており、その範囲内の利用に関しては1〜3割の自己負担、もし限度額を超えてサービスを利用する場合は、超過分は全額自己負担となります。


なお、要介護認定で「非該当」となった方も、市区町村が行っているサービスを受けられる場合があるため、お住まいの市区町村の窓口、もしくは地域包括支援センターに相談してみましょう。  

要介護認定とは?制度概要や申請方法・介護保険サービスを利用するまでの流れを解説

要介護認定は、介護保険サービスを利用するために必要となる認定です。この記事では、要介護認定の申請方法や審査基準、サービスを受けるまでの流れなどを詳しく紹介します。

認知症の方が受けられる介護サービスの種類


要介護認定の審査項目には、認知症の有無や程度も含まれていて、訪問調査では本人の「心身の状況」についても確認します。認知機能の低下やBPSD(行動・心理症状)が一定以上あると認められると介護に必要とされる時間が加算されるので、認知症ではない人と比較すると、認知症の人の介護にかかる時間が、相対的に多く評価されるようになっています。


介護保険制度を使って利用できる介護サービスには、認知症の方が使えるサービスも加え、次のようなものがあります。

✓自宅で受けるサービス…訪問介護、訪問看護、訪問入浴など

✓通って受けるサービス…デイサービス(通所介護)、デイケア(通所リハビリテーション)、ショートステイ(短期入所生活介護)、認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)

✓入所して受けるサービス…特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設(老健)、介護療養型医療施設、有料老人ホーム、認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)など

地域密着型の介護サービスには認知症に限定したサービスがある


介護サービスには、認知症に特化した地域密着型サービスの「認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)」と「認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)」があります。

地域密着型サービスは、2006年の介護保険法改正に伴いスタートした、認知症をはじめとした要介護度が高い高齢者が、住み慣れた自宅や地域で引き続き生活ができるように提供される介護サービスです。

認知症に特化したサービスの他にも、地域密着型サービスには、「地域密着型通所介護」や「夜間対応型訪問介護」などがあり、その市区町村に居住している人を対象としています。

認知症対応型通所介護とは 


「認知症対応型通所介護」は認知症デイサービスとも呼ばれています。認知症に特化した介護サービスを受けることができる通所型の施設です。詳しく見ていきましょう。


認知症に限定した通所型の介護サービス


認知症の方を対象に、孤立感の軽減や自立した生活を促すことを目的とした日帰りサービスを行います。「認知症対応型サービス事業管理者研修」を受けたスタッフがおり、認知症の専門的なケアを受けることができます。サービス内容は入浴や食事の介護、機能訓練など、認知症の方それぞれに適した運動や作業療法を行うほか、住み慣れた町の散策や、お祭りなどのイベントに参加し、これまでの生活を継続できるよう支援を受けられることも特徴です。定員が12名以下と一般の通所介護よりも少なく、一人一人に合わせた手厚いケアを受けることができます。


認知症対応型通所介護の施設タイプ


認知症対応型通所介護を行っている施設は、主に次の3タイプに分かれます。

・単独型…認知症対応型通所介護だけを行う事業所が運営し、民家などを改装した施設が利用されています。

・併設型…病院や老人ホームなどの社会福祉施設に併設されています。

・共用型…グループホームの食堂やリビングなどを利用してサービスを提供しています。

認知症対応型通所介護サービスを利用するには


認知症対応型通所介護サービスの対象者は、以下の条件すべてに該当する方です。

 医師によって認知症と診断されていること

 要介護1以上と認定されていること

 事業所と同一の市区町村の住民であること

なお、認知症の症状があり、要支援認定を受けた方は「介護予防認知症対応型通所介護」として同じ施設を利用することができます。


認知症対応型通所介護サービスにかかる費用


認知症対応型通所介護のサービスを利用する場合にかかる負担額は、単独型の施設か併設型か、共用型かによって異なるほか、利用する人の介護度、所要時間によっても異なります。また、利用者の負担割合は、所得に応じて1~3割です。

例えば、負担割合が1割のケースで単独型を利用する場合、要介護1の人が4時間以上5時間未満利用すると、568円、要介護5の人が4時間以上5時間未満利用する場合で、797円です(2021年度介護報酬改定にもとづく)。介護度が上がるほど負担金額も増える仕組みになっています。施設の形態別では単独型が一番高く、次に併設型、共用型となり、共用型では、要介護1の人が4時間以上5時間未満利用する場合は277円と、単独型の半額以下になります。


なお、利用する事業所ごとにサービス提供体制強化加算や介護職員処遇改善加算(現行加算)、介護職員等特定処遇改善加算(特定加算)、介護福祉士の専門性の評価などがあるため、同じ介護度でも費用が変わります。ほかに、施設によって食事代やおやつ代も変わるので、事前に確認をしておくと安心です。

介護にかかるお金はどれくらい?介護保険制度と今後の備え

いつまで続くかわからない介護生活では、経済的に大変な思いをすることも珍しくなく、事前の備えが大切です。介護保険制度の紹介と併せて、ご自宅で介護サービスを利用する場合と、老人ホームなど入居型サービスを利用する場合に分けて、介護にかかる費用を解説します。

認知症対応型共同生活介護とは


「認知症対応型共同生活介護」は認知症グループホームとも呼ばれています。スタッフによる認知症に特化したケアを受けながら、共同生活するサービスです。詳しく見ていきましょう。


認知症に限定したケア付き住宅


認知症の方を対象とした共同生活用の住居で、食事や入浴などの介護や支援、機能訓練などのサービスを提供します。スタッフは認知症の専門的なケアを習得しています。

5~9名の少人数で、認知症の利用者が可能な限り自立した生活を送ることができるようスタッフのサポートを受けて家事を分担しながら共同生活をします。「地域密着型サービスのため住み慣れた町で過ごせる」「家庭的な環境の中で穏やかに過ごすことで認知症の進行を和らげることが期待できる」などが良い点です。


同じ入居型サービスである特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)、有料老人ホームとはどのような違いがあるのでしょうか。主な違いは、日常生活に必要な家事などの扱いです。特養や老健などの施設では専門スタッフが行いますが、認知症グループホームでは専門的なサポートを受けながら料理や買い物などの家事にも参加します。一方、医療体制が整っていないため医療的ケアが受けられないこと、医療的ケアが必要になったり、共同生活が難しくなると退去の可能性もあることに注意が必要です。

【関連記事】【特別養護老人ホームとは】特徴や入居費用、減免制度などを解説

【関連記事】介護老人保健施設(老健)とは? 費用や利用条件、サービス内容を解説

認知症対応型共同生活介護の施設タイプ

施設の部屋のタイプには「ユニット型」と「サテライト型」があります。

ユニット型の“ユニット”とは、定員を表す単位です。5~9人を1ユニットとして、原則ひとつの施設に3ユニットまでと決められており、同じ家屋で少人数の共同生活を送ります。

サテライト型では、ケアが行われる本体住居と別に一人暮らしを行うサテライト型住居が設置されています。サテライト型住居にいる間に困ったことがあっても、担当のスタッフに連絡をするとサポートを受けることができます。


デイサービスで利用者さんが食事をしている様子

認知症対応型共同生活介護サービスの入居条件


認知症対応型共同生活介護の対象者は、以下の条件すべてに該当する方です。

✓医師による認知症の診断を受けた方

✓要介護1以上の認定を受けた方 

✓事業者と同一市区町村の住民であること


他の利用者とともに共同生活を送るスタイルであるため、重度の認知症の方、寝たきりの方の利用はできないケースがあります。

なお、認知症と診断され、かつ要支援2の認定を受けた方は「介護予防認知症対応型共同生活介護」として同じ施設を利用することができます(要支援1の方は利用できません)。


認知症対応型共同生活介護にかかる費用 


グループホームに入居するためには、初期費用として入居一時金や保証金が必要となるケースが多くあります。他には、介護保険サービスが適用される介護サービス料(月額)、食費などの生活費が発生します。

初期費用はかからない場合から数百万円かかる施設までさまざまです。介護サービス料は原則1割負担ですが、利用者の所得に応じて1~3割で変動します。生活費は介護保険対象外のため全額自己負担となり、月10~20万円程度かかるとされています。


要介護度に応じた1割負担での介護サービス料の目安は以下になります(カッコ内はユニット数が2つ以上の事業所の場合)。利用料は事業所の所在地やサービス提供体制、サービスの内容などに応じて異なるため、詳しくは各施設にお問い合わせください。


認知症対応型共同生活介護についての詳細は、以下の記事で紹介しています。

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の費用や入居条件とは?

本人の希望に沿った介護サービス選びを心がけて


認知症の方の介護は、症状の進行とともに介護者の負担が増す場合があり、在宅で介護を続けるべきか、施設に入居を考えた方が良いのか悩むご家族が多いかもしれません。

認知症の方の場合は、在宅サービス、通所サービス、介護施設、いずれにしても認知症のケアを専門的に行っている事業所を選ぶことが理想的です。


SOMPOケアでは、無料の「認知症サポートダイヤル」(平日10:00〜16:00 (年末年始を除く))をご用意しています。

認知症サポートダイヤルはこちらより 


介護を受ける本人の希望をできるだけ反映できるように、日頃からどのような介護を受けたいか、どのような施設を利用したいかなどを話し合っておくことが重要です。すべての希望を叶えることは難しいかもしれませんが、ご家族の希望と本人の希望どちらも尊重しながら検討を重ねていきましょう。

また、施設選びをする際にはケアマネジャーに相談することも重要です。ケアマネジャーは地域の施設情報に精通している頼もしい存在です。

今後どのような介護や看護が必要になっていくのか、医療介護体制の有無など、介護を受ける本人の今現在の状態だけではなく、先を見据えた施設選びもポイントになります。


まとめ


介護保険制度を利用した認知症の方の介護サービスについて解説しました。「認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)」と「認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)」では、認知症の方を対象とした専門的なケアを、ケアプランに従って受けることができます。認知症の方の場合、介護を受ける本人の希望をできるだけ叶えるため、早い段階からどのような老後を過ごしたいかを確認しましょう。

認知症の介護には、在宅介護や通所介護、入居型介護があり、どれがいいのか迷ってしまう方も多いかもしれませんが、市区町村の窓口や地域包括支援センター、ケアマネジャーなどと相談しながら、利用者の状態や希望、ご家族の介護状況に合わせ、認知症になっても住み慣れた地域で、本人が望む生活を続けられるよう、介護サービスを利用しましょう。

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