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2023.08.29

認知症の症状が一気に進む原因とは?進行の流れや対応策を解説

「両親が認知症と診断されたけれども、この先どうなるの?」「認知症の症状が進行しているかもしれない」などと不安を感じていませんか? 家族が認知症の進行原因を正しく理解していなければ、症状の悪化を早めてしまうかもしれません。

この記事では下記の内容を解説しています。


● 認知症が進行する原因と具体的な対応策

● 認知症の症状が進行すると最後はどうなるのか

● 認知症が一気に進行してしまった場合の対応策


本記事をご覧いただければ、認知症が一気に進まないようにする対応策がわかるでしょう。認知症の進行に対して、不安を感じている方は、ぜひ最後までご覧ください。


目次
・認知症が進行する原因
・認知症が進行すると最後はどうなるのか
・認知症の進行を予防する方法
・認知症が一気に進んでしまった場合の対応方法
・認知症に関する間違った知識
・まとめ:認知症が進行する原因を理解して予防しよう

執筆者画像
東京都健康長寿医療センター 岩田淳 医師
東京大学医学部附属病院神経内科の専門外来「メモリークリニック」にてアルツハイマー病(AD)やレビー小体病、前頭側頭葉型萎縮症等の疾患の診断、治療に当たっていた。特に超早期段階でのAD、レビー小体病の診断、新薬の開発が専門。2020年4月より東京都健康長寿医療センターの脳神経内科部長として赴任。

認知症が進行する原因

認知症は、脳への刺激が減少することや運動不足により、進行する場合があります。原因とその理由は、以下の通りです。

※内科疾患の合併により進行するケースもあります。肺炎、がん、脱水などが背景にあり、当事者が認知症のため自分の身体症状に対して訴えなくなることで周りが気づけないということもあります。


それぞれの理由について、詳しく解説します。

考える機会の減少

考える機会が減少すると、脳への刺激量が低下するため認知症を進行させる可能性があります。認知症になると、記憶力・判断能力の低下を理由に、下記のような生活を送ったり、家族が行動を制限したりする場合があります。しかし、このような生活をしていると、考える機会が減少してしまうことも。

家族の方は、考える機会を奪わないようにする必要があります。本人ができることまで、家族の方が行うとかえって本人の身体機能を低下させることにもなりかねません。主体的な行動を促すためにも、安心感を与えてあげられるといいでしょう。


急激な環境変化(入院、引っ越し)

認知症になると、記憶力や判断能力が低下するため、新しい環境への対応が難しく感じる方も多いでしょう。新しい環境では周囲との交流が減ってしまいがちですが、うまく馴染めず閉じこもった生活をしていると、認知症が進行することも。


ひとり暮らしの方や友人との交流がない方は、夫婦同居や友人と週1回会っている方に比べて、認知症の発症リスクが8倍になるという調査※があります。急激な環境変化が仕方なく起きる場合は、家族や施設のスタッフなど周囲のサポートが大切です。

※参考情報:https://www.city.hirakata.osaka.jp/kourei/cmsfiles/contents/0000010/10277/nintisyou1.pdf


運動不足

運動不足は、転んで怪我をして入院する原因になったり、生活習慣病の原因になったりして、認知症を進行させる可能性があります。認知症になり、周囲に迷惑をかけるかもしれない、失敗するかもしれないという不安や恐怖心から動く頻度が減ると、筋力が低下して転びやすい身体になる場合もあるでしょう。


運動をすると、脳の神経細胞が活性化するといわれています。脳の神経を成長させるたんぱく質が、海馬(脳で記憶に関係している場所)の維持・肥大に、効果をもたらすとも考えられているのです。


生活習慣病

生活習慣病(糖尿病や高血圧、脂質異常症など)は、認知症と深く関わっており、認知症になる危険性が高まったり、進行を早めたりすると言われています。生活習慣病は、脳血管障害を引き起こす危険性を高めます。脳血管障害を発症すると、認知症の症状が一気に進行する場合があるので注意が必要です。健康診断で生活習慣病の可能性を指摘されている場合は、病院受診を検討してみてください。


認知症が進行すると最後はどうなるのか

認知症の症状が見られる高齢女性

認知症が進行すると、最終的には寝たきりになる場合があります。認知症の種類のなかで、もっとも多いアルツハイマー型認知症を例に、どのように症状が進行するのかを紹介します。


初期症状は、記憶障害や見当識障害(時間や人、場所などの認識が難しくなること)です。記憶障害や見当識障害が進行していくと、昔の思い出や肉親の顔や名前も忘れてしまうことがあります。さらに、症状が進行すると「尿や便の失禁」「異食行為(食べ物ではないものを口にする)」などがみられる場合があるでしょう。最終的には、話したり歩いたりすることも難しくなり、寝たきりになってしまいます。その後は、誤嚥性肺炎や感染症などが原因で死に至る場合が少なくありません。


アルツハイマー型認知症の場合、発症してから死に至るまで8〜10年と言われています。

(平均的な数値であり、個人差があります)


認知症の進行を予防する方法

認知症は、完治が難しいため、進行を予防することが大切です。認知症の進行を予防する方法を、下記にまとめます。


● 専門医の治療を受ける

● 生活習慣を見直す

● 生活環境を見直す

● 運動量を増やす

● 難聴を改善する


ここでは、それぞれの内容について詳しく解説していきます。


専門医の治療を受ける

認知症は、完治が難しいため進行を遅らせることが大切です。認知症の症状に合わせた薬物療法が必要な場合があるため、まずは認知症専門医の受診を検討してみましょう。認知症になる原因として、血管性障害やパーキンソン病などがあります。原因となっている病気の治療も必要になるかもしれません。


お住まいの地域のどの病院に認知症専門医がいるのかわからない場合は、以下のページから検索できるため、活用してみてください。

認知症に関連する医療機関検索


生活習慣を見直す

食生活の乱れや運動不足などによって起こる生活習慣病は、認知症を進行させることがあります。

下記の内容に当てはまる方は、生活習慣を見直す必要があるかもしれません。

● 濃い味が好きで、塩分を多く摂取している

● 甘いものが好きで、多く食べてしまう

● ご飯やパンなどの炭水化物を、多く食べている

● お腹がぽっこり出ている(腹囲の目安:男性85cm、女性90cm以上)

● 運動習慣が少なく、家から出る機会が少ない


食事は、糖質や塩分、脂質の摂取量に注意してみてください。運動は週3回程度を目安に、ウォーキングやジョギングなどをしてみましょう。運動以外に、脳トレを行うこともおすすめです。脳トレについて詳しく知りたい方は、こちらの記事(自宅でできる脳トレは? 認知機能低下予防との関係も紹介)をご覧ください。


生活環境を見直す

家族の方が高齢の場合は、生活環境の中に転ぶ原因になるものがないかを見直すことが大切です。転倒による骨折で入院が必要になれば、認知症を進行させる可能性があります。

下記のポイントに当てはまる場所がないかチェックしてみましょう。


転倒を予防することは、認知症を進行させないためにも大切です。病院では、転倒による骨折で入院した方に対して、退院前に家屋調査を実施する場合があります。そのさいは、上記内容をチェックして、問題箇所があれば家族の方に改善方法の提案を行う場合があります。

運動量を増やす

週3回以上の運動をする方は、しない方に比べて、認知症を発症するリスクが38%減少します※。また、運動は脳の機能維持に役立つため、認知症の進行を予防する働きも期待できます。


認知症の進行を予防するには、運動と認知課題(計算やしりとり)を組み合わせた「コグニサイズ」がおすすめです。ウォーキングをしながらしりとりをしたり、スキップをしながら手拍子をしたりする運動です。コグニサイズは1日30分を目安に実施してみてください。1回で30分行うのが難しい場合は、10分を3回行っていただければ大丈夫です。


コグニサイズについての詳細は、以下のページで解説しています。(※発症リスクについても紹介しています)

コグニサイズの紹介


難聴を改善する

2017年に開催された国際アルツハイマー病会議(AAIC)にて、イギリスの医学誌ランセットの国際委員会によって、難聴が認知症の危険因子となっていることが発表されました。


難聴になると、脳に伝えられる音の刺激や情報量が少なくなり、認知症に影響をあたえるといわれています。そのため、難聴を改善することで認知症の進行の予防につながります。難聴は具体的な原因によって治療の方法は異なり、薬や手術による治療をはじめ、状況に応じて補聴器を使用することもおすすめします。


認知症が一気に進んでしまった場合の対応方法

認知症が一気に進んでしまった場合は、下記のような対応方法があります。


● 介護施設への入所

● 訪問リハビリ、訪問介護などを利用する

● デイケア、デイサービスを利用する

● 福祉用具(車椅子、介護用ベッドなど)をレンタルする


上記の施設や介護保険サービスを利用するには、介護保険が必要です。認知症と診断されており、日常生活で介護が必要な場合は、介護保険を申請しておくといいでしょう。介護保険についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事(要介護認定とは?制度概要や申請方法・介護保険サービスを利用するまでの流れを解説)をご覧ください。


また、介護サービスを提供している「SOMPOケア」でも認知症サポートダイヤルを設置していますので、ぜひ活用してみてください。お住まいの地域にある「地域包括支援センター」でも相談できます。


介護施設への入所

認知症の方でも入所できる施設を、下記にまとめています。


● 特別養護老人ホーム

● グループホーム

● 有料老人ホーム

● サービス付き高齢者向け住宅


介護保険を申請しており、担当ケアマネジャーが決まっている場合は、相談してみましょう。施設によっては待機期間(部屋の空きがない場合は、待つことがある)や入所条件が異なる場合があります。


全国で豊富な介護サービスを提供している「SOMPOケア」で施設を探せます。

詳しくはこちらのページ(SOMPOケア介護施設、在宅サービスの検索)をご覧ください。


訪問リハビリ、訪問介護の利用

介護保険を申請して、介護が必要であると認定された場合は、訪問リハビリや訪問介護が利用可能です。訪問リハビリでは、自宅に理学療法士や作業療法士が来て、生活環境に合わせたリハビリを行ってくれます。訪問介護では、訪問介護員(ホームヘルパー)が自宅に訪問し、利用者さんの食事の準備や入浴介助などをしてくれます。


デイケア、デイサービスの利用

デイケアやデイサービスでは施設のスタッフが送迎してくれますし、施設内で、リハビリや入浴なども行ってくれます。余暇時間は趣味やレクリエーションなどで、同じ施設を利用している方々と交流をすることもあるため、認知機能の低下予防につながるでしょう。


福祉用具のレンタル

足腰が弱くなってきており、介護が大変になってきたり、歩くのが不安定になってきたりしている場合は、車椅子や介護用ベッドなどの福祉用具のレンタルがおすすめです。杖や歩行器、据え置き式の手すりなどもレンタルできますので、自宅の環境に合わせて必要なものをレンタルするといいでしょう。


ただし、ものによってはレンタルの条件として「要介護2以上」と設定されていることがあります。該当しない場合は、医師の意見書があれば、レンタルできる場合があります。


認知症に関する間違った知識

認知症に関連する誤った情報に惑わされないようにしましょう。医学の進歩により、昔は信じられていたことが否定されている場合もあります。(下記の情報は、厚生労働省が発表している資料※に記載されている内容です)


● 認知症に効くサプリや飲み物は確認されていない

● 介護者が怒っても脳は萎縮しない


それぞれについて詳しく解説します。


認知症に効くサプリ、飲み物は確認されていない

認知症を防ぐと謳ったサプリや飲み物があります。しかし、どれも認知症を防ぐことが確認されていません。これを飲めば大丈夫というものはなく、食事をバランスよく3食摂ることが大切です。


介護者が叱っても脳は萎縮しない

介護者が認知症の方の失敗を叱ると、脳が萎縮することはありません。介護者が叱ったことによって認知症の方とのコミュニケーションが減ったり、心を閉ざしてしまったりするほうが問題です。


家族が認知症になり、今までできていたことを失敗する頻度が増えると、介護者はついイライラしてしまうことも多いでしょう。介護者に不安な気持ちや怒りが生じてしまうのは、自然なことです。しかし、その気持ちを認知症の方にぶつけるのではなく、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談してみましょう。



まとめ:認知症が進行する原因を理解して予防しよう

認知症は完治が難しいため、進行を遅らせることが大切です。認知症が進行する可能性がある、下記の原因を理解しましょう。


● 考える機会の減少

● 急激な環境変化

● 運動不足

● 生活習慣病


家族の方の認知症が進行しているのではないかと、不安を感じている場合は、専門医の治療を受けることを検討しましょう。家族の方ができる支援としては、生活習慣・環境を見直したり、運動量を増やしたりすることなどが挙げられます。具体的な運動方法としては、認知症の進行を遅らせることに効果的な「コグニサイズ」がおすすめです。認知症が進行する原因を理解し、適切な対策をすることで症状の急激な進行を防ぎましょう。


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