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高齢者の手を握る女性
2024.07.25

パーキンソン病とは?4大症状と原因・具体的な治療法を解説

「パーキンソン病ってなに?」「治療法はある?」と疑問に思う方がいるのではないでしょうか。


パーキンソン病は、脳神経の変性によって体の動きに異常が現れる病気です。手足の震えや転びやすさなど、特徴的な症状がみられます。パーキンソン病は進行性の病気であり、日常生活に支障をきたすようになるため、早期からの治療・対処が重要です。

本記事では、医学的な根拠をもとに以下の内容を解説します。


● パーキンソン病の症状

● パーキンソン病の寿命と経過

● 各症状に対する治療・対処法


パーキンソン病と付き合っていくために必要な知識を得たい方は、ぜひ参考にしてみてください。


目次
・パーキンソン病とは?
・パーキンソン病の4大症状
・パーキンソン病で生じる非運動症状
・パーキンソン病の進行度と重症度分類
・パーキンソン病の寿命と予後
・パーキンソン病に対する3つの治療法
・パーキンソン病の支援制度
・パーキンソン病の症状の注意点と対処法
・パーキンソン病の介護体験談
・パーキンソン病の症状と原因を理解して適切な治療を受けよう

執筆者画像
【監修】精神科専門医、精神保健指定医、認知症診療医、博士(医学)。 ブレインケアクリニック名誉院長 ・一般社団法人日本ブレインケア・認知症予防研究所代表理事・所長 今野裕之先生
順天堂大学大学院卒業。老化予防・認知症予防に関する研究で博士号を取得。大学病院や精神科病院での診療を経てブレインケアクリニック開院。各種精神疾患や認知症の予防・治療に栄養療法やリコード法を取り入れ、一人ひとりの患者に合わせた診療に当たる。認知症予防医療の普及・啓発のため日本ブレインケア・認知症予防研究所を設立し、幅広く活動している。 著書・監修に「ボケたくなければ「寝る前3時間は食べない」から始めよう 認知症診療医に教わる最強の生活習慣(世界文化社)」など。 医師+(いしぷらす)所属。

パーキンソン病とは?

パーキンソン病は、脳神経の変性によって特徴的な症状がみられる進行性の病気です。手足の震えやこわばりなどの初期症状があり、進行すると日常生活に支障をきたすようになります。


パーキンソン病の症状が現れる原因は「ドパミン」という神経伝達物質の減少です。脳神経が変性することで、十分にドパミンが作られなくなってしまいます。発症の原因はわかっておらず、完治させる方法も明らかになっていません。


進行性の病気なので、症状が悪化すると介助が必要になったり、寝たきりになったりする可能性があります。ただし、適切な治療を行えば、症状の進行を遅らせることも可能です。そのため、パーキンソン病は早期の発見と対処が重要だといえます。


パーキンソン病の4大症状

パーキンソン病には、以下のように代表的な症状が4つあります。

● 手足が震える|安静時振戦
● 足の筋肉がこわばる|固縮
● 体の動きが小さく・遅くなる|無道・寡動
● 体が倒れやすくなる|姿勢反射障害


パーキンソン病を早期に発見したり、適切な治療を受けたりするためには特徴的な症状を理解しておくことが重要です。


症状1.手足が震える|安静時振戦

パーキンソン病の代表的な初期症状として「安静時振戦」が挙げられます。安静時振戦とは、じっとしている際に、手や足が小刻みに震える症状です。


パーキンソン病の振戦は、手足を動かしているときは震えが止まり、じっとしているときにだけ出現するのが特徴です。指で小さな物体を転がすような動きが出る方もいます。震えている部位を動かすと震えが止まるため、生活上の支障は少ないケースが多いです。


ただし、周囲の目が気になるといった外見上のストレスが生じます。また、症状が進行して震えが強くなると、服のボタンを留められないといった支障が出る方もいます。薬を飲むと症状を抑えられるケースが多いため、薬物療法で対処するのが一般的です。


症状2.手足の筋肉がこわばる|固縮

パーキンソン病になると、筋肉がこわばり、動くことが困難になる「固縮」という症状が現れます。常に力が入っているような状態になるため、疲れやすくなったり、筋肉が固くなったりするのが特徴です。


固縮が生じると、体を自由に動かしにくくなるため、細かな動きが難しくなります。症状が進行すると、顔の筋肉が固まって表情が乏しくなったり、肩や腰の痛みを生じたりするケースも多いです。固縮は体への直接的な影響だけでなく、体が固くなることによって、歩行や着替えなどの日常生活動作にも支障をきたします。


固縮への対処法としては、リハビリによる運動や、生活内での活動量を増やして体を固まりにくくすることなどが挙げられます。


症状3.体の動きが小さく・遅くなる|無動・寡動

パーキンソン病になると、動きが遅くなったり小さくなったりして、動作の開始が困難になる症状が現れます。体が動かしにくくなる無動や寡動(かどう)は、手足に限らず、顔の表情にも影響を及ぼすことが特徴です。無動・寡動が起こると、歩行が困難になり、最初の一歩が踏み出せなくなります。足がうまく出せないことで、歩き始める際に転んでしまうケースも少なくありません。


また、動きがゆっくりになると、動くことに嫌悪感が生じ、活動量が低下してしまいます。動かなくなった結果、さらに関節が固くなり、動きが悪くなる悪循環におちいるケースもあるでしょう。


無動や寡動は、大股で歩いたり、動き出す合図を出したりすることで対処可能なケースが多いです。症状が進行すると、転倒予防で常に介助が必要になってしまうため、早期からの対処が重要です。


症状4.体が倒れやすくなる|姿勢反射障害

パーキンソン病になると、バランスが取りにくく、前後に倒れやすくなる「姿勢反射障害」が現れます。発症初期に生じることは少なく、病気の進行に伴って現れることが多い症状です。姿勢反射障害が出ると「倒れそうになったときに足が出ない」「転んだときに手をつけない」などの問題が生じます。姿勢反射障害は歩行時に生じやすく、転倒によって怪我をするリスクが増加します。さらに症状が進行すると、転ばないように前傾姿勢になることも特徴です。


姿勢反射障害の対処法としては、薬やリハビリ以外にも、杖や歩行器を使った方法が挙げられます。高齢の場合には、介護保険を利用して、福祉用具を使ったり住宅改修を行ったりすることが一般的です。


パーキンソン病で生じる非運動症状

パーキンソン病では、代表的な運動症状以外にもさまざまな障害が出てきます。運動症状以外のものは「非運動症状」と呼ばれ、具体的には以下のようなものがあります。

● 抑うつ
● 不眠
● 便秘
● 嚥下障害(飲み込みにくさ)
● 起立性低血圧


非運動症状は、ドパミンの減少や自律神経の障害などによって生じます。ドパミンが減少すると、動くことを面倒に感じたり、不安が強くなったりするうつ症状が現れます。また、自律神経の障害が起こると、胃や腸がうまく機能しないため便秘になったり、血圧の調整ができず低血圧でふらついたりするのが特徴です。


パーキンソン病の非運動症状はさまざまな要因で生じるため、多様な対処が求められます。適切な対処をするためには、症状をよく観察・記録し、医師に随時相談しましょう。


パーキンソン病の進行度と重症度分類

パーキンソン病の進行度は、Hoehen & Yahr(ホーエン・ヤール)重症度分類という指標で区分できます。Hoehen & Yahr重症度分類では、パーキンソン病を以下のように分類します。

パーキンソン病の進行度と重症度分類を表した表

参考:パーキンソン病(指定難病6)|難病情報センター


Hoehen & Yahr重症度分類ではパーキンソン病の重症度を5段階で評価し、Ⅰ度では軽い症状、Ⅳ〜Ⅴ度では介助が必要になったり、寝たきりになったりします。初期症状はⅠ度のときで、片側の手足に震えや動かしにくさが出る程度です。日常生活への支障はそこまで大きくありません。


パーキンソン病に対する適切な対処を行うためには、重症度分類をもとに初期症状を理解しておくことが大切です。症状が軽いときから治療を受けられると、病気の進行を遅らせる効果が期待できます。


パーキンソン病の寿命と予後

パーキンソン病の寿命は、平均的な寿命と大きく変わりません。厚生労働省が公表している「指定難病の概要、診断基準等、臨床調査個人票」では、パーキンソン病患者の寿命は「平均寿命よりも2〜3年短いだけ」だと言われています。パーキンソン病の症状には個人差がありますが、適切な治療を行えば発症から10年程度は普通の生活が可能といわれています。現時点では根本的な治療法がないため、発症してからはケアをしながら症状と長く付き合っていく必要があります。


パーキンソン病は、症状の悪化よりも転倒による入院が予後不良の原因になります。国立長寿医療研究センターが行った研究によると、入院の約40%が転倒での骨折によるものです。そのため、パーキンソン病の方が平均寿命と同じくらい生きるためには、早期から適切な治療を受け、転倒やほかの病気を避けることが重要です。


パーキンソン病に対する3つの治療法

パーキンソン病に対する代表的な治療は、以下の3種類が挙げられます。


● 薬物療法
● リハビリテーション
● 手術療法


パーキンソン病の進行を遅らせるためには、適切な治療を早期から受けることが重要です。各治療法の適性と効果を理解しておくと、進行度に合わせた治療を選択できるでしょう。


治療法1.薬物療法

パーキンソン病の症状は薬で抑えながら生活していくのが基本であり、多くの場合で薬物療法が必要です。「パーキンソン病診療ガイドライン2018」でも、早期から薬物療法を受けることが推奨されています。


パーキンソン病の薬物療法では、ドパミンを補充したり、精神・自律神経にアプローチしたりする薬で対処的に治療を行います。進行度や状態に応じて適した薬が異なるため、定期的に受診し、現状に合った薬を処方してもらうことが重要です。


治療法2.リハビリテーション

体を動かすリハビリテーションもパーキンソン病治療のひとつです。理学療法士や作業療法士によるリハビリで、運動機能の低下を防ぎます。リハビリテーションによる運動療法は「パーキンソン病診療ガイドライン2018」でも有効性が認められています。


パーキンソン病では、脳神経の変性による二次的な影響で体が固まり、生活に支障をきたすことが多いです。リハビリで体を柔らかくしたり、体力をつけたりすれば、機能低下を予防する効果が期待できるでしょう。リハビリテーションは通院して受けるだけでなく、入院したり介護施設に通ったりして受ける方法もあります。年齢や症状の進行度などを考慮し、専門家に相談しながら適切な方法を選択しましょう。


治療法3.手術

パーキンソン病の治療として、外科的な手術が選択されることもあります。代表的なのは、脳の特定の部位に電気刺激を与えて症状を抑える刺激療法です。「パーキンソン病診療ガイドライン2018」によると、手術療法が適応になるのは、次のような症状が薬で抑えられなくなった方です。


● 動きにくさの症状が日ごとに違う(日内変動)

● 体が勝手に動いて止まらない(ジスキネジア)


ただ、パーキンソン病の症状には薬やリハビリで対処していくのが一般的で、実際には手術療法が適応になるケースは少ないとされています。


パーキンソン病の支援制度

パーキンソン病は難病指定されており、さまざまな支援制度が利用可能です。具体的には、以下のような制度が挙げられます。


● 難病医療費助成制度
● 介護保険制度
● 身体障害者福祉法
● 障害者総合支援法


上記のように医療費を助成してもらえる制度や、介護保険で利用できるサービスなどがあります。難病医療費助成制度とは、薬代や通院にかかる経済的な負担を軽減できる制度です。パーキンソン病の治療には薬を用いることが多いため、助成制度から受けられる恩恵は大きいでしょう。


また、病気によって介護認定を受けると、訪問看護・介護やリハビリなどのサービスが利用できます。病気による生活への支障や介護者の負担を減らすために、支援制度は有効であると言えるでしょう。介護保険制度のサービスを受けるには、要介護認定を受ける必要があります。詳しく知りたい方は、こちらの記事(要介護認定とは?制度概要や申請方法・介護保険サービスを利用するまでの流れを解説)も参考にしてみてください。


パーキンソン病の症状の注意点と対処法

パーキンソン病の症状に対する注意点と症状として、以下の3つが挙げられます。


● 精神や内科の症状も出現する
● 日や時間帯によって症状に差がある
● 進行性の疾患で治らない


正しく症状を理解してから対処すると、日常生活への負担やストレスを軽減できるでしょう。


精神や内科の症状も出現する

パーキンソン病は動作に関わる症状だけでなく、うつや便秘などの症状も現れます。特にドパミンの減少による精神面の症状が問題になるケースが多く、活動量の低下につながりやすい点が特徴です。また、パーキンソン病による直接的な症状だけでなく、薬の副作用で二次的に症状が現れることもあります。精神面のケアや薬の調整などにより、運動機能以外の症状にも配慮することが重要です。


日や時間帯によって症状に差がある

パーキンソン病の症状は日や時間帯によって異なり、動ける日や時間帯がある一方、調子が悪いときもある点が特徴です。パーキンソン病は症状の進行に伴い、薬を飲んだタイミングに関係なく、症状がよくなったり悪くなったりする場合があります。また、薬を服用しても効果が出ないこともあります。


薬の効果が現れず、調子の悪いときに転倒して、急激に悪化するケースは少なくありません。不調時でも移動や生活動作が行えるように、自宅に手すりをつける、段差をなくすなどの環境整備も重要です。


進行性の疾患で治らない

パーキンソン病は薬やリハビリなどの治療で進行を緩やかにできますが、完治はできません。そのため、進行度や状態によって、対処法を適宜変える必要があります。


適した薬や住宅環境などは、本人の状態によって異なります。進行度を把握できていないと、転倒や症状の悪化につながりかねません。進行度を細かく把握できるように、常に専門家のアドバイスがもらえる状態にしておくことが重要です。


パーキンソン病の介護体験談

実際にパーキンソン病の方の介護を経験された、SOMPOケアのスタッフのエピソードを紹介します。

パーキンソン病がある女性(Aさん)は80代で妹さんと二人暮らし。パーキンソン病に加えて認知症の症状もあり、認知機能の低下がみられていたようです。実際の介護の様子やポイントを以下の記事で紹介しています。

ケアスタッフより、家族介護者の方へメッセージ~第19回~「パーキンソン病を患っている方の介護」

お一人おひとりの状況に合わせておこなう介護の正解は、ひとつではありません。本コラムでは経験豊富なSOMPOケアスタッフの介護エピソードをご紹介します。

パーキンソン病の症状と原因を理解して適切な治療を受けよう

パーキンソン病は脳神経の変性によって、手足が震えたり、転びやすくなったりする病気です。脳内のドパミンと呼ばれる神経伝達物質の減少によって、さまざまな症状が現れます。


パーキンソン病は進行性の難病で、完治はできません。しかし、適切な治療を行うことで症状の進行を緩やかにできます。進行度に合わせた適切な治療が行えるように、パーキンソン病の概要や症状について理解しておきましょう。

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