認知症の基礎情報_症状や原因について
認知症は、脳の疾患によって記憶や判断力、日常生活の自立性を低下させる脳の機能障害です。アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症などの複数の種類があり、脳の老化や病気、生活習慣や環境要因、遺伝的要素などさまざまな要因が複雑に絡み合って発症します。
代表的な症状として、記憶力の低下、判断力や計画能力の減退、言語能力の障害、日常生活の困難さなどが見られます。
認知症についての詳細は、こちらの記事(【認知症とは】基本を知ろう!原因・症状・治療や予防法について)で解説しています。
認知症の代表的な初期症状
認知症の初期段階には、さまざまな兆候が現れ、少しずつ日常生活に影響が及んできます。
初期症状ではそれが一時的なものなのか、認知症によるものなのか、判別することが難しいケースもありますが、症状例を知っておくことで、早期発見のきっかけになります。ここでは、代表的な初期症状を紹介します。
物忘れ(記憶障害)
認知症の初期症状として記憶障害があり、その影響によって物忘れが起こります。
具体的な物忘れの症状例
・約束したことを忘れる
・食事をしたことを忘れる
・物を置いた場所や閉まった場所を忘れる
・過去に旅行に行ったことを忘れる
・ニュースなどで全国的に話題になったようなことを忘れる
物忘れが起こった際、それが認知症によるものか、加齢によるものか、判断が難しいケースがあります。加齢による物忘れでは、自身が見たり聞いたり体験した出来事や事実の一部を忘れてしまうことがありますが、ヒントがあれば思い出すことができ、物忘れをした自覚があります。しかし、認知症の物忘れでは、出来事や事実そのものを忘れ、物忘れをした自覚がありません。
加齢による物忘れと認知症による物忘れの違いについて、こちらの記事(加齢による物忘れと認知症の違いは)で詳しく解説しています。
同じことを何度も言う
会話をしているなかで、同じ話を何度もしたり、同じ質問を繰り返したりする場合は、認知症の疑いがあります。直前に言ったことを忘れてしまう、見当識障害から自身の置かれている状況が理解できない、不安感を解消するため、など複数の要因が関わっています。
理解力や判断力の低下
理解力や判断力の低下によって、質問に答えられなくなったり、善悪の判断ができなくなるなどさまざまな言動の変化が出てきます。
具体的な症状例
・これまで一人で使うことができていた家電や電子機器が使用できなくなる
・複数の選択肢がある質問に対して答えられなくなる
・スーパーやコンビニでお金を払わずに商品を持って帰ろうとする
正確に時間の認識ができなくなる
認知症の中核症状の1つである見当識障害の影響から、正確に時間の認識ができなくなります。
>具体的な症状例
・予定に合わせて準備をすることが難しくなる
・待ち合わせや予約をした時間に遅れるようになる
・季節に合わせた服装を選ぶことが難しくなる
急に感情が変化する
認知症になると、それまで穏やかな状態だったにも関わらず、急に感情が変化することがあります。感情のコントロールが難しくなったり、理解力・判断力の低下などさまざまな要因があります。
具体的な症状例
・急に不機嫌な状態になる
・大声をあげて威嚇するような態度をとる
・不安な表情をする
・そわそわとした様子で、落ち着かなくなる
初期症状で見られる「思い込み」について
認知症の初期段階では、現実との区別がつきにくくなることで、さまざまな思い込みや錯覚が生じることがあります。これらの思い込みには、以下のような特徴が見られます。
具体的な事例
・貴重品や日用品が盗まれたと疑う。
・過去の出来事を現在起こっていると思い込む。
思い込みは、認知症における記憶と判断力の低下により起こります。これは過去の記憶と現在の状況が混同してしまうことによるものです。また、感覚の錯覚も一因であり、視覚や聴覚の誤解釈が思い込みを引き起こすことがあります。さらに、不安や恐怖などの感情の変化が原因で、現実との区別がつかなくなることもあります。
初期症状のチェックリスト
認知症の初期症状を理解し、早期発見につなげるためには、チェックリストを用いて状態を把握することができます。