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階段で足を踏み外して転倒をした高齢男性
2024.12.10

高齢者が転倒する原因は?転倒予防のための4つの対策を解説

高齢者の生活で注意すべきことの1つに、転倒があげられます。高齢者は身体の衰えによって転倒を引き起こしやすく、さらにケガや病気につながると介護が必要な状態になることもあります。


この記事では、高齢者が転倒を引き起こす原因や予防策をご紹介します。どのような対策をすべきかを知ることで、安全に過ごすための環境を整えるきっかけとなるでしょう。


目次
・高齢者になると転倒しやすくなる
・高齢者が転倒するとどうなる?
・転倒のおもな原因
・転倒リスクを評価するための方法
・転倒防止のためにおさえたい4つの方法
・転倒した場合の対応について
・転倒予防の対策をして安全に日常生活を送りましょう

執筆者画像
理学療法士 内藤かいせい
理学療法士として回復期病院と訪問看護サービスに従事し、脳血管疾患や運動器疾患などの幅広い症例を経験する。リハビリで患者をサポートするとともに、全国規模の学会発表にも参加。 2021年より、Webライターとして独立。これまでの理学療法士の経験を活かして、医療や健康分野で多くの執筆・監修に携わっている。

高齢者になると転倒しやすくなる

転倒は誰にでも起こるものですが、高齢になって身体機能が衰えるにつれて、その頻度は高まりやすくなります。


内閣府の調査によると、自宅内だけでも70代の方の約10%が、1年間で転倒を経験しているとされています。80代になると約19%以上となり、さらに転倒経験の割合が増えているのです。高齢者の転倒は決して珍しいものではなく、加齢にともなって頻度が高くなることがわかるでしょう。

出典:内閣府|2 転倒事故


高齢者が転倒するとどうなる?

高齢者が転倒すると、ケガにつながる可能性が高くなります。実際に高齢者の約6割が、転倒時になんらかのケガを負っているとされています。具体的なケガの内容としては、以下のとおりです。


• 打撲
• すり傷・切り傷
• ねんざ
• 脱臼
• 突き指
• 骨折


とくに打撲がもっとも多く、次にすり傷や切り傷によるケガが生じやすい傾向にあります。


転倒による骨折も決して珍しくなく、その場合は寝たきりの原因につながることもあるでしょう。厚生労働省の調査によると、介護が必要となった原因の第3位は「骨折・転倒」とされています。このように、高齢者の転倒は身体機能を大きく低下させ、要介護のきっかけになる可能性があるのです。

出典:厚生労働省|2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況


転倒のおもな原因

高齢者が転倒する原因には、どのようなものがあるのでしょうか。代表的な例としては、以下のようなケースが挙げられます。


● 加齢による身体機能の低下
● 病気や薬による影響
● 自宅環境
● 外出時の環境


それぞれの原因について詳しく解説します。


加齢による身体機能の低下

加齢にともなう身体機能の低下は、転倒の大きな原因の1つです。筋力やバランス能力が衰えると、ふらついた際にとっさの反応が遅れやすくなり、転倒につながる恐れがあります。


また加齢による衰えは筋力だけでなく、視力や聴力などもあげられます。 そのような機能が低下すると、段差をはじめとした周囲の状況を把握しにくくなり、転倒につながりやすくなるのです。


病気や薬による影響

病気や薬による影響も、転倒のリスクを高める原因といえます。もともと持病を抱えている場合、その影響によって身体機能が低下し、転倒につながるケースもあります。


また、持病の治療のために薬を服用している方も少なくないでしょう。治療薬の影響から、立ちくらみやふらつきなどの副作用が生じることもあり、これらの症状によって転倒を引き起こす恐れがあります。 このように、持病を抱えており、さらに治療薬を服用している方は転倒に要注意です。


自宅環境

高齢者の転倒事故の約半数 は、自宅または敷地内で起きているとされています。とくに頻度として多い場所は、以下のとおりです。


• 庭
• 玄関
• 居間
• 廊下


屋内は屋外と比較して安全と思いがちですが、以下のような転倒を引き起こすさまざまな要素が潜んでいます。


• 電気コード
• カーペット
• 細かな段差


このように、自宅内には転倒を引き起こすようなものが足元に多く存在しています。自宅内は住み慣れた環境であるため、つい油断してしまうのも転倒が多い原因といえるでしょう。


外出時の環境

自宅内だけでなく、屋外でも転倒に注意する必要があります。とくに一般道路や民間施設での転倒は、自宅内に次いで頻度が多いとされています。具体的な危険箇所については、以下の表のとおりです。

外出時の転倒が起こりやすい場所とその要因をまとめた表

よく外出する方は、このようなポイントに注意しながら歩くことが大切です。とくに雨の日は、道路や建物内の床が濡れて滑りやすくなるため、より転倒しやすくなります。


転倒リスクを評価するための方法

自分やその家族が、どのくらい転倒リスクがあるのかを知りたい方もいるのではないでしょうか。転倒リスクを把握する方法として、いくつかの簡単な評価があります。具体的な評価方法について、以下の表にまとめました。

転倒リスクを評価するための内容をまとめた表

このような評価を行い、転倒リスクがどの程度なのかを把握しておきましょう。

出典:書籍 理学療法評価学 改訂第4版、第 52 回日本老年医学会学術集会記録「2.高齢者の転倒リスクの評価」


転倒防止のためにおさえたい4つの方法

転倒を防ぐためには、以下の4つの方法が重要です。


1. 筋力トレーニング
2. 十分な栄養の確保
3. 自宅環境の見直し
4. 福祉用具の活用


ここでは、それぞれの方法について詳しく解説します。


1.筋力トレーニング

転倒防止の方法の1つ目は、筋力トレーニングです。下半身の筋力を鍛えることでバランス能力が向上し、転倒リスクの軽減が期待できます。気軽にできるおすすめの筋力トレーニングとしては、以下があげられます。


• イスからの立ち座り運動
• スクワット
• 壁や手すりを添えながらの片足立ち
• かかと上げ


筋トレは各種目10〜15回×1〜3セットを目安に、継続して行うのが理想的です。 まずは少ない回数からでもよいので、できる範囲からはじめて徐々に運動習慣をつけてみましょう。

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2.十分な栄養の確保

2つ目は、十分に栄養を確保することです。転倒予防のためには運動だけでなく、栄養の摂取も欠かせない要素です。とくに高齢になると食事摂取量が少なくなり、低栄養状態になりやすい傾向にあります。 エネルギーが不足すると筋肉量の減少にもつながる ため、身体機能が低下して転倒リスクが高まる恐れがあります。


筋肉のもととなるたんぱく質(肉や魚など)はもちろん、バランスよく栄養を摂取することが大切です。また、転倒予防のためにはビタミンDの摂取も重要です。ビタミンDは、骨を丈夫にするカルシウムの働きをサポートする作用があるとされています。 サケやマグロなどの魚類はビタミンDが豊富に含まれているため、意識的に摂取しましょう。


3.自宅環境の見直し

3つ目は、自宅環境を見直すことです。前述したように、自宅での転倒は、居間や玄関などで多く発生しています。これらの転倒が起きやすい環境を把握しつつ、対策をとることが大切です。対策の具体例としては、以下のとおりです。


• 動線に電気コードを置かない
• カーペットの使用を避ける、または滑り止めを敷く
• 極力床に物を置かない
• 玄関には手すりや踏み台を設置する
• 浴室に手すりや滑り止めマットを設置する


自宅環境によって適切な対策は異なるので、転倒しやすい場所に応じた見直しを行いましょう。


4.福祉用具の活用

4つ目は、必要に応じて福祉用具を活用することです。福祉用具を使用することで、ふらつきが軽減されて転倒予防につながります。たとえば、歩行時のふらつきが気になる場合は、杖やシルバーカーなどの使用がおすすめです。外出をする機会が多い方は、このような歩行補助具の使用を検討するとよいでしょう。


そのほかにも、滑り止め付きの靴下や転倒時の衝撃をやわらげるヒッププロテクターなど、さまざまな転倒予防グッズが販売されています。このような福祉用具をうまく活用して、転倒予防に努めましょう。

【関連記事】介護用品でそろえるべきものとは|必要な福祉用具を選ぶポイント


転倒した場合の対応について

対策を十分に行ったとしても、必ず転倒をゼロにできるわけではありません。


そのため、転倒した場合にどのような対応をすべきかを把握しておくことも重要です。転倒した場合は慌てずに安静にして、ケガや痛みの有無を確認しましょう。内出血や痛みがある場合は、骨折の可能性があるため、医療機関への受診をおすすめします。


とくに注意が必要なのが、転倒時に頭を打ったケースです。たとえ外傷がなくても、時間が経過したタイミングでなんらかの症状が現れる可能性もあります。手足の麻痺や呂律の悪さなどが現れた場合は、すぐに再び医療機関を受診しましょう。


転倒予防の対策をして安全に日常生活を送りましょう

高齢者の転倒は決して珍しいものではなく、年齢を経るにつれてその頻度は高くなります。転倒によってケガや病気を発症すると、介護が必要になる原因にもなります。


転倒を予防するためには、適度な筋トレや自宅環境の見直しなどの工夫が重要です。ぜひ今回の記事を参考にして、それぞれの自宅に応じた対策を行ってみましょう。

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