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2023.04.28

【老老介護とは?】問題点と介護負担を減らすには

「夫の介護の負担が重くなってきている」「老老介護をしている親が、いずれ共倒れになるのではないかと心配……」このような悩みや不安を抱えていませんか? 高齢化が進む日本では、老老介護は決して他人事ではありません。身近な問題だからこそ、早めに正しい知識と対策を知ることが重要です。


本記事では、老老介護の現状や問題点、また介護する側の負担を軽減させる対策などについて詳しく解説します。配偶者や両親、兄弟などに要介護者(介護される側)がいる、もしくは要介護者になり得る親族がいる人は参考にしてみてください。


目次
・老老介護とは
・老老介護の現状
・老老介護が増加している原因
・老老介護における問題点とは
・老老介護のリスクを避けるための解決策
・体験談に学ぶ、老老介護のポイント
・まとめ

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【監修】理学療法士 佐藤敬太
回復期リハビリテーション病院を経験したのち、訪問リハビリテーション、デイサービス、地域包括ケアなど様々な領域で臨床へ従事。現在はwebメディアの運営やマーケティング知識を活かし、医療福祉の情報が正しく伝わるよう日々発信を続けている。

老老介護とは

超高齢化社会が深刻化する日本では、老老介護が社会問題となっています。そもそも老老介護とは、どのような状況のことを表すのでしょうか? 老老介護の定義や実態、増加している原因について解説します。


老老介護とは、介護される側と介護する側がどちらも65歳以上の高齢者であることを指します。具体的には、「高齢の妻が同世代の夫の介護をする」「65歳以上の子供が親の介護をする」などのケースが該当します。また、その関係性は夫婦や親子、兄弟姉妹などさまざまです。 老老介護は在宅介護を行う世帯にみられることが多く、介護する側の身体的・精神的な負担が懸念されています。実際、介護する側がうつになったり、要介護者への虐待につながったりするケースは少なくありません。老老介護は日本が抱える深刻な社会問題の一つです。


老老介護の現状

厚生労働省の「2019年 国民生活基礎調査の概況」によると、要介護者がいる世帯は2019年時点で単独世帯28.3%、核家族世帯40.3%です。2001年の同調査データでは、単独世帯15.7%、核家族世帯29.3%であったため、18年間でそれぞれ10%以上増加していることがわかります。年齢別に見ると、要介護者は80歳以上の割合が最も高く、全体の70%以上を占めています。さらに、男性よりも女性の年齢層が高く、80歳以上の男性は59.6%に対して女性は77.7%となっており、なかでも女性の90歳以上は28.6%と最も多くなっています。要介護者の背景に注目すると、介護が必要になった要因は認知症が最多で、次いで脳血管疾患(脳卒中)や高齢による衰弱が挙げられています。


つづいて、介護者(介護する側)の現状に目を向けてみましょう。介護者と要介護者が同居している割合は全体の半数以上に上り、要介護者との続柄に注目すると「配偶者」が最多であり、次いで「子」、「子の配偶者」の順となっています。 年次推移をみると、要介護者と介護者の年齢組み合わせは「60歳以上同士」が74.2%、「65歳以上同士」が59.7%、「75歳以上同士」が33.1%で、いずれも年々増加傾向にあります。また介護に費やす時間は、要介護度が上がるほど増加しており、介護をする人の性別は男性が約3割に対し、女性が約7割です。介護者と要介護者の関係性をみると、女性が配偶者の介護をしているケースが圧倒的に多いことがわかります。

参照:厚生労働省|2019年 国民生活基礎調査の概況


老老介護が増加している原因

老老介護が増加している原因の一つに、平均寿命と健康寿命の差が挙げられます。健康寿命とは、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間を指します。つまり、平均寿命から健康寿命を引いた期間が、介護を要する期間となります。


内閣府が公表している2019年の平均寿命は、男性が81.41歳、女性が87.45歳です。これに対し、同年の健康寿命は男性が72.68歳、女性が75.38歳です。平均寿命から健康寿命を差し引くと、介護を要する期間は「男性の場合8.73年」、「女性の場合12.07年」となります。仮に、50代半ばの子が親の介護を始めたら、介護する間に65歳以上になり、老老介護に突入することになります。平均寿命は年々伸び続けていることから、介護を要する期間は今後さらに長くなり、老老介護になる家庭はますます増えることが予想されます。このほかにも、老老介護増加の原因として、核家族の増加や他人に介護を頼ることへの抵抗感、金銭的な理由により訪問介護サービスや介護施設などを利用できないといった背景も挙げられます。

参照:内閣府|令和4年版高齢社会白書

老老介護における問題点とは

老老介護は他人事ではなく、自分自身にも起こり得る身近な問題です。ここでは、老老介護が抱えている課題や問題点について詳しく解説します。

負担増加による共倒れのリスク

介護は、着替えや入浴、排泄介助など体力を要する場面が多々あります。中でも、ベッドから車椅子に移るときや、お風呂から上がる際などは、特に体力が必要です。介護する側も高齢の場合、身体にかかる負担は非常に大きくなりますし、要介護者の身体を支えきれなければ、転倒して大きな事故につながる危険性もあります。介護者がケガなどを負い、介護できなくなるケースも少なくありません。


また、身体的だけでなく精神的にも大きな負担がかかります。介護中心の生活になると、介護者は外出する機会が少なくなり、社会的なつながりが減少します。外部からの刺激が少なくなると、介護うつの発症や認知機能の低下を招く恐れがあります。これらが原因で、要介護者への虐待などにつながってしまう場合もあるため注意が必要です。

認認介護に陥るケースも

認認介護とは、要介護者と介護者がともに認知症である状態のことです。介護される側も介護する側も認知症を患うと、老老介護よりも大きな事故につながりやすい危険な状況といえます。


先ほどの2019年国民生活基礎調査によると、介護が必要になった疾患原因の1位は認知症でした。認知症の症状は人によってさまざまですが、認知症が進行すると一人歩きや暴力といった症状が出る可能性があるため、介護者は一日の大半を介護に費やすケースが少なくありません。その結果、社会的つながりが減少し、介護者自身も認知機能が低下する可能性があります。 介護する側の判断力が落ちると、身の回りの管理が難しくなります。食事や服薬、金銭などにおいて管理ができなくなると、生活にも大きな支障をきたします。

介護難民に陥る可能性がある

日本では急速な高齢化に加え、介護職の人材不足が深刻化しています。介護する人が不足する状況が続けば、介護サービスを受けたくても受けられない“介護難民”になる可能性があります。 厚生労働省が2022年に発表した「特別養護老人ホームの入所申込者の状況」によると、地域密着型を含む特別養護老人ホームへの入所申込者(入所希望だが、入所できていない者)は要介護3~5で25万3千人、要介護1~2で2万2千人いると報告されています。
参照:厚生労働省|特別養護老人ホームの入所申込者の状況(令和4年度)


老老介護のリスクを避けるための解決策

老老介護は、介護する側に大きな負担となるのはもちろん、介護に時間がかかってしまうことで介護される側にとっても負担が大きくなります。その負担を軽減するためには、次のような対策が必要です。

● 家族で介護について話し合う
● 介護が不要な身体つくりを心掛ける
● 体調に不安があったら迷わず病院を受診
● 地域の介護関連窓口に相談する
● 在宅介護で利用できる介護サービス
● 介護保険施設の活用

家族で介護について話し合う

家族であらかじめ介護について話し合っておくことが重要です。誰もが年齢を重ねれば体力や認知機能が落ちるのは自然なことであり、介護は誰にでも必要になる可能性があります。しかし、介護は身体・精神的負担が大きく、高齢者だけで抱えきれる問題ではありません。話し合いをせずいきなり介護が必要な状況になると、目の前のことで手一杯となるケースがほとんどです。これでは、不安や焦りから衝突してしまうこともあるでしょう。話し合うときは介護される側の要望はもちろん、介護する側の意見もしっかり確認しておくことが重要です。「どのような状況になったら施設に入居するのか」「介護にかかる費用はどこから出すのか」など、具体的に決めておきましょう。


また、「子どもには迷惑をかけられない」と思う要介護者は少なくありませんが、認認介護状態になってから状況を知らされると困惑を招く可能性が高まります。早めに話し合っておいた方が、子どもにとっても負担や混乱は軽くなるでしょう。

介護が不要な身体づくりを心掛ける

老老介護の負担を減らすためには、日々の過ごし方を意識することも重要です。要介護状態を招く主な原因は認知症と脳卒中といわれていますが、これらは生活習慣によって引き起こされるケースも多くあります。生活習慣を見直すことで、介護が不要な身体つくりを心がけましょう。


具体的な取り組みとして、ウォーキングやストレッチなどの適度な運動、栄養バランスがとれた食事を心がけましょう。また積極的な地域交流を行い、脳への刺激を与えるのもおすすめです。ただし、ストレスに感じてしまわないよう、負担を減らす工夫も大切です。例えば、食事なら自炊だけにこだわらず、宅配食や簡単に調理できる料理キットを活用するとよいでしょう。

運動による身体づくりについての詳細は、こちらの記事(高齢者レクリエーションとは?認知機能低下予防との繋がりも紹介)で解説しています。

体調に不安があったら迷わず病院を受診

少しでも体調に不安が生じたら、早めに病院を受診しましょう。たとえ軽い症状でも、長引いているときは何かしらの疾患が原因の可能性があります。病気を早期発見できれば、介護が必要な状態になるのを防いだり遅らせたりすることができます。 迷わずに受診できるよう、まずはかかりつけ医をもち、相談しやすい環境をつくりましょう。定期的に受診しておくと、病院で人と話すきっかけづくりにもなります。仮に、介護者に認知症の症状が出たときは、早めに気付いてもらえるといった効果も期待できます。

地域の介護関連窓口に相談する

各自治体には、高齢者をサポートするための介護関連窓口があります。すぐ相談できるところを把握しておくことで一人で悩みを抱え込まなくなり、問題が大きくなる前に早期解決へとつなげられます。 例えば、「地域包括支援センター」は高齢者の暮らしをサポートするための相談窓口で、社会福祉士や保健師、ケアマネジャーなどからさまざまなアドバイスを受けられます。仮に老老介護になったとき、プロからアドバイスを得ることで、自分たちに合った選択が可能になります。

地域包括支援センターについての詳細は、こちらの記事(地域包括支援センターの役割とは?活用方法や相談事例をわかりやすく解説)をご覧ください。

在宅介護で利用できる介護サービス

在宅介護で利用できる介護サービスには、次のものがあります。

● 訪問介護
● 訪問入浴介護
● 訪問看護
● 訪問リハビリテーション
● 居宅療養管理指導
● 通所介護
● 通所リハビリテーション
● 短期入所生活介護
● 短期入所療養介護
● 特定施設入居者生活介護
● 福祉用具貸与
● 特定福祉用具販売


「訪問介護」は、介護福祉士や訪問介護員によって食事や排泄の介助、入浴など日常生活で必要なサービスを受けられます。また、これらのサービスを老人デイサービスセンターなどに訪れて受けられるのが「通所介護」です。「訪問リハビリテーション」は心身の機能維持・回復を図り、自立した日常生活を送れるようサポートするサービスです。理学療法士や作業療法士などの専門職が自宅を訪問して行います。


「福祉用具貸与」は車いすや特殊寝台、歩行器などの福祉用具をレンタルできるサービスです。プロの手助けを受けることで、介護者の負担軽減や適切な介護へとつなげられます。

福祉用具についての詳細は、こちらの記事(介護用品でそろえるべきものとは|必要な福祉用具を選ぶポイント)で解説しています。


介護保険施設の活用

介護保険施設とは、介護保険制度(※)を活用して利用できる公的な介護施設であり、特別養護老人ホーム介護老人保健施設、介護医療院、介護療養型医療施設の4種類があります。 介護保険施設を利用できるのは、要介護1~5の認定を受けている65歳以上の人で、介護保険制度が適用されるため、金銭的な負担は比較的軽くなります。要介護の認定を受けている場合、介護者の負担を軽減するためにも、介護保険施設を積極的に利用してみましょう。

※ 介護サービスにかかった費用を負担するもの。利用者負担は1割(一定以上所得者の場合は2割または3割)になる。

要介護認定についての詳細は、こちらの記事(要介護認定とは?制度概要や申請方法・介護保険サービスを利用するまでの流れを解説)をご覧ください。


体験談に学ぶ、老老介護のポイント

ここからは、実際に老老介護を体験した人のお話を紹介します。老老介護の負担軽減、リスクの解決策などをお届けします。


プロの介護士に頼る

SOMPOケアの坂上 敦子さんは、老老介護のご夫婦のサポートを経験したことから、ご本人たちが介護をする際のポイントを以下のように語っています。


ーーご夫婦で介護をされている場合、「人さまの手を煩わせてはいけない」「自分がやらなくては」と、おひとりで背負ってしまわれる方も少なくありません。(中略)できない自分を責めてしまったり、他人に頼るべきではないと考えたりされている方が多い印象がありますが、私は「どうぞプロに任せてください」と常々お伝えしています。日頃のお悩みや愚痴を話せる相手がいる、というたけでも役立てることがあります。

詳しくは、こちらの記事(「老老介護〜ご主人が奥さまのケアをされるとき〜」)をご覧ください。


老老介護のサポートは、直接会って信頼関係を築く

ご両親が老老介護となり、家族がサポートをすることもありますが、介入が難しいケースもあります。SOMPOケアの比留間 恵美さんは、老老介護をしている夫婦へのサポートについて、以下のように語っています。


ーー具体的な信頼関係作りで大切だったのは本人のところへ毎日行ったことです。当時はサービスが介入できるか分からない状況だったのですが、「元気ですか」「大丈夫ですか」と声をかけに行っていました。

詳しくは、こちらの記事(ケアスタッフより、家族介護者の方へメッセージ~第17回~)をご覧ください。


まとめ

老老介護は、超高齢化社会が進む日本において誰もが当事者になり得る身近な問題です。 老老介護になる原因は、平均寿命の延伸や核家族の増加、金銭的な理由などさまざまです。しかし、「介護は身内でどうにかするもの」という考えが根底にあり、人に相談できず老老介護になっているケースは少なくありません。 介護は身体的にも精神的にも負担が大きいものです。配偶者や親、身内に介護が必要な人がいる場合は、抱え込まず周りに相談することが大切です。


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