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デイサービスで輪投げゲームをする高齢者女性
2023.06.20

高齢者レクリエーションとは?認知機能低下予防との繋がりも紹介

年齢を重ね、体力の衰えや注意力の低下に悩む高齢者が多くいらっしゃいます。身体・認知機能の低下を予防するには、高齢者レクリエーションが効果的です。脳を活性化させる効果があり、年齢による衰えを維持・回復できます。またコミュニケーションを取る機会が増えるため、家族とご本人の信頼関係がより強くなるでしょう。


この記事では、高齢者向けレクリエーションの目的、種類、注意点について詳しく解説します。認知症の方に効果的なレクリエーションもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。


目次
・高齢者向けのレクリエーションとは
・高齢者向けのレクリエーションの目的
・高齢者向けレクリエーションの種類
・自宅と施設のレクリエーションの違い
・レクリエーションを行うときの注意点
・まとめ

執筆者画像
【監修】理学療法士 佐藤敬太さん
回復期リハビリテーション病院を経験したのち、訪問リハビリテーション、デイサービス、地域包括ケアなど様々な領域で臨床へ従事。現在はwebメディアの運営やマーケティング知識を活かし、医療福祉の情報が正しく伝わるよう日々発信を続けている。

高齢者向けのレクリエーションとは

高齢者向けのレクリエーションとは、身体や精神の健康維持を目指して、簡単なゲームや運動などを楽しむ娯楽のことです。レクリエーションによって体を動かしたり頭で考えたりすることで、身体機能の向上や認知機能の改善効果が期待できます。


また、レクリエーションをとおして過去の記憶を呼び起こすことで、ご本人の自信が回復したり、新たな一面を発見できたりすることもあります。家にこもりがちで楽しみが少なくなる高齢者にとって、心から楽しめる娯楽は毎日を明るい気持ちで過ごすきっかけとなるでしょう。自宅でレクリエーションする際は、ご本人の興味や介護度に合わせ、遊び感覚でできるものを実施するのがおすすめです。椅子に座ったままできる運動や昔からの趣味活動など、ご本人が無理なく前向きに取り組めるレクリエーションを実施しましょう。

高齢者向けのレクリエーションの目的

高齢者向けのレクリエーションの目的には、身体・認知機能の維持や向上、コミュニケーションの活発化などがあります。生き生きと毎日を過ごす上で重要な役割を果たすため、積極的に実施するとよいでしょう。
ここでは、レクリエーションの目的を詳しく説明します。

身体機能を維持、向上させる

レクリエーションによって体を動かすことは、身体機能の維持や向上につながります。高齢者は外出の機会が減って、運動量が少なくなりがちです。筋力や体力などの身体機能が低下してしまうと、自分で歩くのが難しくなったり転倒リスクが高まったりします。できないことが増えると精神的なストレスにもつながるため、日常的に体を動かすことが大切です。無理のない範囲で運動を取り入れて身体機能が向上すれば、外出したいと思う気持ちも湧いて前向きに生活できるようになるでしょう。


認知機能を維持、向上させる

クイズやゲームなどで脳を活性化することにより、認知機能の維持・向上を図れます。もし認知機能が低下すると、注意力が低下してうっかりミスやトラブルが増えるリスクがあります。レクリエーションで簡単な計算問題や雑学クイズなどを実施すれば、思考力・記憶力・集中力・判断力などを鍛える効果が期待できるでしょう。脳を活性化させて認知機能を向上させることは、トラブルを減らして穏やかな毎日を送るために重要なことです。

コミュニケーションをとる

コミュニケーションをとることも、レクリエーションの大きな目的の一つです。コミュニケーションの機会が減ると、孤独感が増して引きこもりやうつ病になるケースがあります。 レクリエーションをとおして会話が増えれば、孤独感が薄まり社会性も向上します。他者との交流は認知症リスクを軽減させるとも言われているため、家族や友人と交流する機会を持つことは重要です。

生活リズムを整える

レクリエーションを行い体や脳が適度に疲労すると、食欲増進や安眠につながり生活リズムが整います。3食しっかりとご飯を食べたり、十分な睡眠時間を確保したりすることは、毎日を健康に過ごすために大切なことです。生活リズムが整えば物事に積極的に取り組もうとする意欲が増し、生活にハリが出てくるでしょう。

QOL(生活の質)を高める

レクリエーションを行うことで、QOL(生活の質)を高めることができます。QOLとは心身の健康や日々の楽しみ、良好な人間関係などを包括した「生きがい」や「満足度」を指す言葉です。 身体機能や認知機能の程度、他者とのコミュニケーション頻度は、人生そのものの満足度に大きく影響します。レクリエーションはQOLを高める要素が詰まっているため、毎日の生活に積極的に取り入れることをおすすめします。


高齢者向けレクリエーションの種類

デイサービスで体操をする高齢者女性

高齢者向けのレクリエーションには、大きく分けて6つの種類があります。それぞれ得られる効果が異なるため、さまざまな種類のレクリエーションを実施するとよいでしょう。ここでは、各レクリエーションの概要と具体例を紹介します。

体を使うレクリエーション

自宅でできる体を使うレクリエーションには、体操やお手玉などがあります。体を動かして運動不足を解消すれば、筋力や体力の維持向上が期待できるでしょう。


体操 

ラジオ体操は3分ほどの短い運動で取り入れやすく、全身をまんべんなく動かせます。座った状態で体操することも。可能です。また、動画サイトには高齢者でも挑戦できるさまざまな体操が紹介されているため、ご本人のレベルに合ったものを選択すると充実した気持ちで取り組めるでしょう。


・お手玉

お手玉をすると脳の前頭前野が活性化するため、集中力アップや認知機能低下予防の効果が期待できます。2つのお手玉を使い、投げやすい方向とは反対側に回すと、やりにくさが増して脳が刺激されます。


・コグニサイズ

コグニサイズとは、国立長寿医療研究センターが開発した、コグニション(認知)とエクササイズ(運動)を組み合わせた新しいエクササイズです。中強度(軽く息がはずむぐらい)の運動をしながら、しりとりや計算などの課題(認知課題)を同時に行います。コグニサイズは体に軽く負荷がかかる程度、思考するのが少し難しいと感じるぐらいのレベルで行うことが大切です。もし慣れてきて簡単になってしまったら、運動強度を上げたり脳トレのレベルを上げたりしてみましょう。無理をせずにストレッチをしてから始めたり、痛みがあるときには休むなど、少しずつでもいいので継続するのが大切です。


コグニサイズの詳細は以下の記事で紹介しています。

コグニサイズの紹介

頭を使うレクリエーション

頭を使う脳トレを実施すれば、認知機能低下の予防につながります。1人でできる脳トレは以下のとおりです。


・間違い探し

間違い探しは2つのイラストを比較し、違いがある部分を探す遊びです。観察力・集中力・記憶力が関係するため、適度に脳を鍛えられます。


・脳トレドリル

計算やパズル、漢字の書き取りなどのドリルで、脳の活性化が期待できます。インターネットで無料ダウンロードできるドリルもあるため、取り入れやすいでしょう。また、書店やコンビニでも気軽に購入できます。 2人以上でレクリエーションする場合は、トランプやオセロ、カルタなどもおすすめです。


その他にも、以下のページでも脳トレを紹介しています。

高齢者におすすめの脳トレ12選 認知機能低下予防との関係も紹介

創作レクリエーション

創作レクリエーションは、完成形を想像しながら手先を使って作業するため、思考力が鍛えられます。認知機能の低下予防に効果的です。


・塗り絵
色鉛筆を使い、花や動物などのイラストを塗ります。手と脳を同時に使うため、適度な頭の運動になります。


・手芸
手芸では、フェルト・毛糸・布を使って飾り小物やエコバッグなどが作れます。針を使わず、接着剤だけで作れる作品も豊富です。他にも、折り紙や書道、料理、生け花などがあります。作った作品は部屋に飾ったり人にプレゼントしたりできるため、作る喜びを感じられるでしょう。


音楽レクリエーション

音楽レクリエーションには、ストレス解消や認知機能向上の効果が期待できます。音楽はよい気分転換となるため、積極的に取り入れることをおすすめします。


・カラオケ
歌を歌うことには、血圧や自律神経を安定させる効果があります。思い出の曲を歌えば、当時の記憶や感情が刺激されて認知機能が向上するといわれています。カラオケ音源をスマホでダウンロードできるサービスもあります。


・楽器演奏
楽器演奏は脳を活性化させる効果が期待できる他、生きがいにもつながります。70歳・80歳から楽器をはじめる方もいます。ピアノやウクレレ、オカリナなど、演奏してみたい楽器に挑戦するとよいでしょう。

外出レクリエーション

外出レクリエーションで自宅の外に出ることで、出先の景色を楽しむなど有意義な時間を過ごせます。下記の他にも外出レクリエーションには、スーパーでの買い物やレストランでの外食などもあります。


・散歩
 自宅周辺を散歩することは、足腰を鍛える適度な運動となります。桜や紅葉など、四季を感じることで視覚や嗅覚などの五感も刺激できます。


・地域のお祭り
地域によっては、餅つき大会や夏祭り、バザーなどが開催されています。住んでいる地域のイベントを調べ、足を運んでみるとよいでしょう。

回想法

認知症の進行を遅らせる方法に、心理療法の「回想法」をもとにしたレクリエーションがあります。回想法とは、昔の思い出を呼び起こすことで脳を活性化させる方法です。過去に経験したポジティブな感情を引き出すことで、気持ちを前向きにしたり新たな目標を見つけたりできます。

具体的な回想法には、以下のようなものがあります。

・生まれてから現在までの満足度をグラフに書き出す

・懐かしのお菓子を食べる

・郷土料理を作る

・昔のおもちゃや日用生活品の写真を見る

・学生時代の思い出や当時の遊びなど、思い出話をする


認知症の方は、最近の記憶を呼びだす機能が低下するため、もの忘れが増えますが、昔の記憶は鮮明に覚えているケースがよくあります。楽しい・嬉しいなどの記憶を呼び覚ますことで、自分の人生に自信を取り戻せるでしょう。

認知症の非薬物療法「回想法」とは|効果や実施方法を事例とともに紹介

本記事では、認知症の非薬物療法のひとつである「回想法」について解説します。回想法の具体的な方法や効果などについて、そして具体的な事例とともにご紹介。認知症の本人の介護をしている方々はぜひ参考にしてみてください。

自宅と施設のレクリエーションの違い

自宅と施設の大きな違いは、レクリエーションに参加できる人数です。施設には多くの方が入いらっしゃるため、複数人でできるレクリエーションが取り入れられています。風船バレーや玉入れ、伝言ゲームなど、チームで競い合うゲームを実施できるのが特徴です。また、みんなで協力して折り紙や切り絵でモチーフを作り、壁画として施設に飾るなどの創作レクリエーションも実施しています。 施設では他にも、レクリエーションのマンネリを防ぐために季節にちなんだイベントも開催しています。餅つきやお花見、クリスマス会など、特別感のあるイベントは喜ばれやすいです。 施設では多くの方と交流できるため、新たな交友関係を広げるチャンスがあります。気の合う友人と共に雑談しながらレクリエーションできるのも施設の特徴です。


レクリエーションを行うときの注意点

ベッドから出たくない高齢者男性を叱る家族

レクリエーションを行うときの注意点は6つあります。認知機能低下防止などさまざまな効果があるレクリエーションですが、ご本人の意思を無視して実施するのは避けましょう。 前向きに取り組んでもらうには、ご本人の希望を尊重することが重要です。ここでは、安全に楽しめるレクリエーションの実施方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。


レクリエーションすることを無理強いしない

レクリエーションを行うことはご本人の自由であるため、家族などが参加を強要しないようにしましょう。特に苦手意識のあることを無理に行うと、ストレスになってしまいます。体調が悪化するケースもあるため、注意が必要です。 ご本人の体調や気分を尊重し、レクリエーションが負担にならないか、楽しめるかを考えて実施を検討しましょう。


本人ができる範囲のレクリエーションにする

ご本人の体調や得意不得意によっては、レクリエーションが楽しめないこともあります。難易度を調整し、ご本人ができる範囲のレクリエーションを実施することが大切です。 特に認知症の方については、周りの人がサポートしてあげる必要があります。ルールや道具の使い方などを丁寧に説明したり、ご本人がやりやすいように工夫したりしてあげましょう。


本人が楽しいと思えるレクリエーションにする

レクリエーションは、ご本人が楽しいと思える内容にすることが大切です。家族が一生懸命考えたレクリエーションでも、ご本人が楽しめないとストレスになる可能性があります。 昔から行っている趣味や好きなことなど、ご本人の嗜好に合ったレクリエーションを実施するとよいでしょう。嗜好が分からなければ、いくつか候補を提示して直接ご本人にやってみたいことをお聞きするのもおすすめです。


本人の気持ちを傷つけない

レクリエーションの際は、ご本人の気持ちを傷つけず、敬意をもって接することが大切です。 レクリエーションの内容が簡単すぎると、馬鹿にされていると感じてしまう方もいらっしゃいます。反対に、達成できないような難しい内容だと、自信を喪失してしまう可能性もあります。 家族がサポートする場合は、干渉しすぎにも注意が必要です。先回りしてサポートしすぎると、自尊心を傷つける場合があります。なるべく、ご本人が望んだときだけ手を差し伸べるようにしましょう。


レクリエーションの記録をつける

今後の課題を見つけるために、レクリエーションの記録をつけることもおすすめです。ご本人がやり遂げたこと、簡単だったこと、難しかったことなどを、介護日記に書き記しましょう。課題から改善点を見出せば、次のレクリエーションをさらによいものにできます。



まとめ

高齢者向けのレクリエーションは、身体・認知機能の向上やコミュニケーションの活発化など、重要な役割を果たします。レクリエーションをとおして過去の記憶を呼び起こしたり、脳を刺激したりすることは、認知機能の低下予防にも効果的です。毎日を生き生きと過ごすために、積極的にレクリエーションを実施するとよいでしょう。 ただし、ご本人が望んでいないのに無理にレクリエーションするのは禁物です。ストレスにならないように配慮しながら、心から楽しめるレクリエーションを検討しましょう。



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