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リハビリを行う理学療法士
2025.01.22

理学療法士とは? 役割や作業療法士・言語聴覚士との違いを解説

病気やケガで入院した際に、リハビリのサポートをしてくれる職種を理学療法士といいます。理学療法士とはどのような職種なのか、どのような役割があるのか気になる方もいるのではないでしょうか。理学療法士はリハビリのサポートはもちろん、身体機能の評価や動作のアドバイスなど、さまざまな役割があります。


本記事では、理学療法士の具体的な役割やほかのリハビリ専門職との違いをご紹介します。どのような職種なのかを知ることで、リハビリを効率的に進めるきっかけになるでしょう。


目次
・理学療法士とは?
・理学療法士の具体的な役割
・理学療法士と作業療法士・言語聴覚士との違いは?
・理学療法士が活動している施設・サービス
・理学療法士の役割やリハビリ内容について知っておこう

執筆者画像
理学療法士 内藤かいせい
理学療法士として回復期病院と訪問看護サービスに従事し、脳血管疾患や運動器疾患などの幅広い症例を経験する。リハビリで患者をサポートするとともに、全国規模の学会発表にも参加。 2021年より、Webライターとして独立。これまでの理学療法士の経験を活かして、医療や健康分野で多くの執筆・監修に携わっている。

理学療法士とは?

理学療法士とは、どのような職種なのでしょうか。ここでは、理学療法士はどのようなことをする職種なのかを詳しく解説します。


理学療法を提供するリハビリ専門職

理学療法士とは、病気やケガで身体機能が低下した方に対して、基本的な動作の回復や維持を目的としたリハビリを提供する専門職です。基本的な動作とは「立つ・座る・歩く」など、普段の生活を送るうえで欠かせない動きのことです。基本的な動作の改善を専門的に支援することから、理学療法士は「身体の動きの専門家」といえるでしょう。


また、理学療法士は英語で「Physical Therapist」と表すため、「PT」と呼ぶこともあります。詳細は後述しますが、理学療法士はおもに「理学療法」と呼ばれる治療法を用いて、患者さんをサポートしています。理学療法士は病気やケガを抱えた方だけでなく、以下のような方に対してリハビリを提供することも少なくありません。


• 高齢者の介護予防
• 生活習慣病の予防
• スポーツ分野でのケガの予防


【関連記事】理学療法とはどんなリハビリ?治療内容や対象者などを解説


理学療法士は国家資格の取得が必要

理学療法士として働くには、国家資格の取得が必要です。この資格を得るためには、まず厚生労働省が認定した養成校で3年以上学び、理学療法士に求められる知識と技術を身につける必要があります。そして最終学年で行われる国家試験に合格して、はじめて理学療法士として働けます。


このように、理学療法士は誰でも簡単になれる職種ではありません。高い知識・技術が備わった資格の保有者がリハビリを行っているのです。


理学療法士の具体的な役割

実際に、理学療法士にはどのような役割があるのでしょうか。ここでは、理学療法士の具体的な役割についてみていきましょう。


運動療法

運動療法とは、理学療法士が提供する理学療法の1つです。名前のとおり、運動療法は運動によって身体機能の改善を図る治療法のことです。運動療法の種類には、以下があげられます。

運動療法の種類と内容を表した図

患者さんの状態や身体機能にあわせて、上記の内容を組み合わせて実施します。


物理療法

物理療法も、理学療法の代表的な治療法の1つです。物理療法とは、温熱や電気などの物理的な刺激を利用して、痛みの緩和や身体機能の改善を図る治療法です。物理療法のおもな種類と作用を、以下の表にまとめました。

物理療法の種類とおもな作用をまとめた図

物理療法は基本的に専用の機器を使用し、治療をしたい部位に対して物理刺激を入れます。たとえば、温熱療法であれば「ホットパック」と呼ばれるパックで患部を覆って温めることが多いでしょう。電気刺激療法であれば、専用のデバイスを使用して身体に電極を貼りつけ、微弱の電気を流します。


患部の状態や症状に応じて物理療法を使い分けるほか、運動療法と組み合わせることもあります。


身体能力や生活環境の評価

運動療法や物理療法などの治療だけでなく、評価を行うことも理学療法士の重要な役割の1つです。身体能力を調べるために評価する項目は、以下のとおりです。


• 筋力
• 関節の動きやすさ
• バランス能力
• 体力
• どの程度の動作を行えるか


生活環境面では、普段どのように過ごしているか、どのような自宅環境なのかをチェックします。患者さんの身体能力や生活環境を詳しく評価することで、その方に適したリハビリプログラムを作成できるのです。


また、このような評価は定期的に行われます。定期的な評価によって身体機能の改善度合いを確認しつつ、都度リハビリプログラムの調整をします。


患者さんや家族への動作指導・アドバイス

理学療法士は患者さんや家族に対して、動作指導やアドバイスも行います。患者さんに対しては、その方の身体機能にあわせた安全な歩き方や転倒予防の方法などを指導します。


医療機関に入院した患者さんが自宅への退院を目指す場合、家族にもアドバイスをすることも少なくありません。患者さんに介助が必要であれば、サポートする際のポイントや、手すり・介護用ベッドなどの環境調整について提案します。筆者が以前勤務していた病院では、患者さんの退院前に家族に実際の介助を体験してもらい、どのように行うのかを指導することもありました。


このような指導やアドバイスによって、患者さんと家族が安心して退院できるようにサポートしているのです。


理学療法士と作業療法士・言語聴覚士との違いは?

リハビリ専門職は理学療法士以外にも、作業療法士と言語聴覚士という職種もあります。それぞれの職種の簡単な違いについて、以下の表にまとめました。

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の違いを表した図

ここでは、作業療法士と言語聴覚士との違いについて解説します。


作業療法士は応用的なリハビリを担当する

作業療法士とは、応用的な動作のリハビリを中心に提供する職種です。理学療法士が基本的な動作をアプローチするのに対して、作業療法士は以下のような応用的な動作の改善を図ります。


• 食事
• 着替え
• 洗濯
• 料理
• 趣味活動
• 社会参加に必要な動作


たとえば、脳卒中で手の動きが不自由になった患者さんに対して箸の使い方の練習や、ボタンの付け外しの練習をします。仕事復帰のためにパソコンを操作する必要があれば、タイピングの練習をすることもあるでしょう。このように、作業療法士は応用的なリハビリを提供し、その方らしい生活を送れるようにサポートしているのです。


言語聴覚士は「話す・聞く・食べる」などのリハビリを担当する

言語聴覚士は、「話す・聞く・食べる」などの機能を改善するためのリハビリを提供する職種です。病気やケガによって脳に障害が起こると言葉が出にくくなる、食べ物をうまく飲み込めなくなるなどの症状が現れる場合があります。このような方に対して、言語聴覚士は専門的なリハビリを行い、低下した機能の改善を図ります。


たとえば、飲み込みの機能が障害された場合、口まわりの筋肉の体操をしたり、食事の形式を工夫したりすることがあるでしょう。これらの障害は高齢者だけでなく、子どもの発達障害や事故の後遺症でも起こることがあります。


そのため言語聴覚士は、小児から高齢者まで幅広い年齢層の方々に対してリハビリを提供しています。


理学療法士が活動している施設・サービス

理学療法士は、どのような施設やサービスで活動しているのでしょうか。ここでは、理学療法士によるリハビリを受けられる施設やサービスについて解説します。


医療機関

病院やクリニックなどの医療機関で、理学療法士によるリハビリを受けられます。医療機関では、病気やケガで入院・通院している患者さんに対して、医師の指示のもと理学療法士がリハビリを提供しています。


医療機関の大きな特徴は、医師や看護師などのさまざまな医療職がチームとなって患者さんをサポートしている点です。チームによる医療体制が整っているため、リハビリ中に体調の変化やトラブルが起きた場合でも、迅速かつ適切な対応を受けられます。また医療機関では、患者さんの症状や回復段階に応じて、個別性の高いリハビリプログラムを組み立ててくれます。


このように、リハビリを必要とする患者さんにとって、医療機関は安心して治療に取り組める環境といえるでしょう。


介護サービス

介護保険を利用した介護サービスでも、理学療法士によるリハビリを受けられます。リハビリを受けられる介護サービスの種類は、以下のとおりです。


介護老人保健施設(老健)
特別養護老人ホーム(特養)
通所リハビリ(デイケア)
通所介護(デイサービス)


老健や特養などは入所型のサービス で、理学療法士は利用者が施設内や在宅復帰後の生活で安全に過ごせるように、リハビリで身体機能の維持・改善を支援しています。通所リハビリやデイサービスは通所型のサービスで、リハビリだけでなく食事や入浴などのサービスも受けられます。


介護施設も看護師や介護福祉士などの医療職が在籍しているため、利用者の状態に応じた総合的なケアを受けることが可能です。


訪問サービス

訪問サービスとは、理学療法士が自宅に訪問してリハビリを受けられるサービスです。訪問サービスを利用するメリットは、以下のとおりです。


• 外出する必要がない
• 安心できる環境でリハビリを受けられる
• 生活環境にあわせてリハビリを受けられる


外出する必要がなくリハビリを受けられるので、病気やケガで移動ができない方にとってありがたいサービスといえるでしょう。集団での交流が苦手な方にとっても、通所リハビリやデイサービスよりもリハビリに集中しやすい傾向にあります。


また、利用者の実際の生活環境を確認できるので、その方にとって必要な動作をより具体的に練習・指導できます。このように、訪問サービスはほかのサービスにはない多くのメリットがあるのが特徴です。


自費リハビリ(保険適用外で受けるリハビリ)

自費リハビリとは、保険適用外で受けるリハビリのことです。医療機関や介護サービスで受けられるリハビリは、基本的に保険適用のもとで行われます。保険適用内でのリハビリは費用が安い一方で、回数や期限などが制限されています。


しかし、自費リハビリは回数や期限などの制限がないため、満足がいくまでリハビリを受けられるのが大きなメリットです。 また、自費リハビリは日時や内容など、利用者の要望にあわせて柔軟に対応してくれる点も強みといえます。


自費リハビリは病院やクリニックで提供しており、専用の施設を用意している企業が行っているケースもあります。 ただし、保険適用でのリハビリの負担額が1〜3割 なのに対して、自費リハビリは保険適用外なので、費用は全額負担です。そのため、保険適用のリハビリよりも費用がかかりやすい点に注意しましょう。経済的な負担はかかりやすいものの、効果的なリハビリを受けたい方は自費リハビリの利用もおすすめです。


理学療法士の役割やリハビリ内容について知っておこう

理学療法士は、病気やケガを発症した方に対して、基本的な動作の獲得を目指してリハビリを提供する職種です。運動療法や物理療法などの理学療法を行うだけでなく、患者さんへの評価や動作指導なども行っています。


理学療法士は医療機関や介護サービスなど、幅広い領域で活動しており、その方の状態にあわせたサポートをしてくれます。ぜひ今回の記事を参考にして、理学療法士の役割についておさえておきましょう。

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