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自分のいる場所がわからなくなっている高齢者女性
2023.05.19

【見当識障害とは】症状や原因、対応法について

時間や場所、人の判断がつかなくなっていく見当識障害は、認知症の中核症状のひとつです。近所の良く知っている道で迷子になってしまったり、季節がわからず真夏にセーターを着て暖房を入れてしまったり、娘の顔を忘れてしまったり……介護する側からすると想像できないようなことが起こる場合もあります。そこで、見当識障害とはどのような症状なのか、また症状に対してどのように適切に対応するといいのかを解説していきます。


目次
・認知症による見当識障害とは
・見当識障害が起こる原因とは
・見当識障害の症状と進行について
・見当識障害が原因として考えられるトラブル
・見当識障害が起こった時の対応
・見当識障害のリハビリ方法
・まとめ

執筆者画像
【監修】医療法人ミチラテス 理事長 ファミリークリニックあざみ野 院長 石井道人先生
北里大学医学部卒。東京都立多摩総合医療センターで救急医療、総合診療を学ぶ。 2013年より北海道・喜茂別町で唯一の医療機関、喜茂別町立クリニックに管理者として赴任。乳幼児健診から看取りまで、町民二千人の健康管理を担う。2020年神奈川県横浜市にて開業。 日本プライマリ・ケア連合学会認定指導医 日本救急医学会認定救急科専門医 日本内科学会認定内科医 日本医師会認定健康スポーツ医 日本医師会認定認知症サポート医 キッズガーデンプレップスクール嘱託医  

認知症による見当識障害とは

見当識障害は、認知症の中核症状のひとつで、時間や場所など、自分が置かれている状況を正確に認識できなくなることです。


自分が若かった頃と勘違いをして昔のことを今のことのように話したり、子どもはまだ幼いと思っているため大人になった子どもを見ても誰だかわからない、ということも起こります。また、昔住んでいた家に帰ろうとすることもあります。


特にアルツハイマー型認知症では記憶障害とともに起こりやすいといわれ、レビー小体型認知症では、記憶障害よりも見当識障害の症状の方が目立つことがあります。


記憶障害についての詳細は、以下の記事で紹介しています。

【記憶障害とは】原因や種類と対処法について


見当識障害が起こる原因とは

見当識障害は、脳の障害によって脳細胞が壊れ、脳の働きが低下することで起こります。具体的には、アルツハイマー型認知症による脳の萎縮や脳血管の疾患が原因となります。


見当識障害の症状と進行について

見当識障害は、記憶障害とともに早くから現れる症状で、その現れ方には特徴があります。

見当識障害の症状の変化

「時間」→「場所」→「人間関係」へ症状が変化する

まず、「時間や季節」に関する見当識障害が現れます。時間の感覚が薄れると現在時刻などがわからなくなり、長時間待つことや予定に合わせて準備することが難しくなっていきます。やがて、時間だけでなく日付や、季節がわからなくなると、「今日は何日か」と何度も聞いたり、季節感のない衣服を着たりする、といったことが起こります。


次に方向感覚が薄れてくる「場所」に関する見当識障害が現れます。進行すると、良く知っているはずの近所でも迷子になってしまったり、自宅のトイレや部屋の位置がわからなくなったりします。徒歩では行けないような遠い場所へ、歩いて出かけようとすることもあります。


症状がかなり進行すると、自分の年齢や人の生死に関する記憶、周囲の人との関係がわからなくなる「人間関係」の見当識障害が現れます。人も間違えることが多くなり、自分の娘を姉と間違えたり、鏡に映る自分の姿が自分だとわからなくなったりすることもあります。既に亡くなっている母親が心配しているからと、遠く離れた実家に歩いて帰ろうとすることもあります。


せん妄との違い

自分の居場所や時間がわからなくなってしまう、イライラして暴言を吐く、幻覚や妄想がある、夜中に歩き回るなど、見当識障害とよく似た症状で「せん妄」があります。認知症でもせん妄を起こすことがあるため、せん妄なのか認知症なのか見極めが難しいことがありますが、原因や経過が大きく異なります。「もしかして認知症?」と慌ててしまうこともありますので、せん妄と認知症の違いを知っておきましょう。


せん妄には、急性疾患や投薬、手術、入院など身体上の変化が関わることが多く、発症の仕方は急激です。さらに、症状は一過性で、一日のうちでも変動があります。特に、夕方から夜間にかけて症状が起こることがあり、夜間せん妄と呼ばれます。原因に対しての処置や治療、環境の改善で症状は治まります。一方認知症は、ゆるやかに発症して進行していき、症状は永続的です。せん妄のように、一日のうちで正常な時と症状が出る時が分かれるということもありません。高齢者に急に症状が現れた場合は、認知症ではなくせん妄の可能性があります。何らかの病気が原因となっているかもしれないので、早急に病院を受診しましょう。


せん妄についての詳細は、こちらの記事(せん妄と認知症は違う?原因や具体的な対応策をわかりやすく解説)をご覧ください。

時間と日付がわからず悩んでいる女性

見当識障害が原因として考えられるトラブル

見当識障害が現れると、少しずつ生活に支障をきたすようになってきます。どのようなことが起こる可能性があるのか見ていきましょう。

■どこにいるのかわからなくなってしまい、家に帰れなくなってしまう。行方不明になってしまう。

■時間の感覚がなくなり、夜中に電話をかけたり、夜中に外を出歩いたりしてしまう。

■判断力の低下により夏なのに厚着をして暖房をつけたり、冬なのに薄着で冷房をつけたりしてしまう。適切な衣服を着たり、空調管理ができなかったりすることで、脱水症状などの健康被害がでてしまうこともある。

■場所が認識できなくなってくると、トイレや自分の部屋もわからなくなってしまう。この場合は、常に介護が必要になる。


このような状況は、本人にとって大きなストレスがかかることはもちろんですが、介護する側もうまくコミュニケーションがとれずに怒ってしまったり、つらい気持ちになることもあります。接し方の工夫や心がけのポイントを見ていきましょう。

見当識障害が起こった時の対応

見当識障害は何より本人が苦しく大変な思いをしていますが、介護にあたっているご家族も、時には心を傷つけられるようなことを言われるなどして大変な思いをします。しかし、本人はわざとやっているのではなく、認知症の症状であることを理解して、イライラしたり悲しくなったり振り回されないようにすることが重要です。お互いストレスを抱えないようにするために、次のような接し方を心がけていきましょう。


■状況を理解し、怒らず冷静にやさしく接する

■間違いを指摘したり、責めたりしない

■なるべく環境の変化を少なくする

■介護者がそばにいて安心させてあげる

■ひとりで抱え込まずに、外部機関へ相談する・サポートを受ける


・地域包括支援センター(リンク:厚生労働省 全国の地域包括支援センターの一覧

・認知症カフェ(参考記事:認知症カフェとは?概要や行われていること、参考事例などを紹介

・認知症の電話相談(リンク:認知症サポートダイヤルのご案内

・認知症に関する医療機関(リンク:認知症に関連する医療機関検索

【認知症の方への対応】こんなときどうする?介護の心がまえと接し方

認知症の方の立場に立って適切な対応ができるよう、認知症の基本的な情報や、心がまえ、症状ごとの接し方などをご紹介。

見当識障害のリハビリ方法

見当識障害に対するリハビリ方法を紹介します。本人はさまざまな不安やストレスを抱えていることを理解して、自尊心を傷つけないようていねいに対応することが大切です。

季節や時間を意識する

季節感や時間を意識した会話をしましょう。


■時計やカレンダーを活用する

目につくところに時計やカレンダーを設置して、今日の日付に一緒に〇をつけたり、時計を見たりしながら、「〇時だからお昼ごはんにしましょう」「今日は〇月〇日ですね」など時間を意識した声がけをします。

■窓やカーテンを開ける

自然光を取り込むことで、朝昼晩の区別がつくようにします。あわせて「朝だからカーテンを開けましょう」といった時間を意識した声がけもするようにしましょう。

■季節を感じる会話や行動

「冬だから寒いね」など、季節を意識的に会話に盛り込みましょう。また、散歩をしながら季節を感じるのは気分転換にもなり、歩くことが脳にいい刺激を与えます。ほかに植物の世話などもいいでしょう。


記憶を補う手伝いをする

認知症が進行すると、家族の顔がわからなくなったり、自分のことがわからなくなったり、さまざまな記憶障害が現れます。次のようなアプローチで記憶を補う手伝いをしていきましょう。


■家族写真やアルバムを見ながら話をする

写真の人は誰でいつ撮ったものか、など思い出を引き出しましょう。

■自分史年表を一緒に作る

一緒に記憶をたどることで、自分のことや家族、行事、友人などを思い出す手がかりを作りましょう。

■カレンダーに予定を書き込む

今日の行動記録をメモに書き込むなど。


失敗を減らす手助けをする

認知症の進行とともに、日常生活で失敗することが増えていきますが、ご家族や介護をする方による意識的な声がけが、失敗を減らす手助けになります。


例えば、トイレの失敗を減らすためには、トイレの場所がわからなくならないようにトイレのドアに目立つ印をつけたり、「そろそろトイレに行きませんか?」と定期的に声がけをするほか、一緒にトイレまで行って、何度も繰り返してそこがトイレであることを伝えることなどもいいでしょう。また、目の前にいる人が誰だか思い出せなくなっていたら、「息子の〇〇だよ」と自分から名乗るようにしましょう。


認知症の患者さんは、日常生活においてさまざまなことが少しずつできなくなっていきます。本人にも自覚があり、大きな不安や焦燥感を抱いているため、自尊心を傷つけないようにさりげなく手助けを行うこともポイントです。

ガーデニングをしている老夫婦

まとめ

見当識障害について解説してきました。見当識障害は、アルツハイマー型認知症の中核症状のひとつで、時間や季節、場所、人間関係が病気の進行とともにわからなくなっていきます。病気の進行は止めることはできませんが、本人らしい生活を少しでも長く送れるようにするために、家族や周囲の人には病気や症状への理解と適切な対応が求められます。認知症は誰しもがなる可能性のある病気だからこそ、理解を深めておきたいものです。


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