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認知症カフェで講演を行うさとうみきさん
2023.08.22

認知症カフェとは?概要や行われていること、参考事例などを紹介

近年、インターネットや講演など、さまざまな場所で認知症に関する情報を収集することができるようになりました。認知症についての情報を共有することは、当事者やその家族が抱える疑問や悩みを解決することにもつながっています。


本記事では、認知症に関する情報共有・交流の場として活用されている「認知症カフェ」について紹介。その役割や参加方法、具体的な活動内容などをお届けします。


目次
・つながりが生まれる、認知症カフェとは?
・認知症カフェの役割や効果
・認知症カフェの参加方法や参加費について
・認知症カフェで行われていること
・認知症カフェの事例を紹介
・日本全国で開催されている認知症カフェ
・まとめ

執筆者画像
SOMPOケア認知症プロジェクト推進部 尾田 淳(おだ まこと)さん
1999年11月より福祉に携わり、介護現場や人との関わりから、地域交流や多世代交流、認知症カフェや役割の構築など様々な分野で繋がりの大切さを知り、「無意識のうちの差別」が起こりうる社会を、少しでも変えていきたいという思いを抱いている。現在SOMPOケア認知症プロジェクト推進部に所属し、今までの経験を通して、主に「共生」に資する取り組みに関わっている。また、プライベートにおいても、「定食屋きまぐれ」(※認知症のある人がホールスタッフをする定食屋)を定期的に開催。

つながりが生まれる、認知症カフェとは?


認知症カフェは、1997年にはオランダで始まったアルツハイマーカフェが起源となり、以降、世界各国に広がっていきました。日本では、2015年に策定された認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)のなかで明記され、全国の市町村への設置が進められてきました。その後、2019年に認知症施策推進大綱がまとめられ、引き続き、全市町村へ普及が行われています。


認知症カフェは、認知症の人やその家族、地域の人や専門家などの方々が集まり、情報交換や相互支援を行う場所です。誰もが気軽に訪れ、自由に交流できるカジュアルな雰囲気が特徴です。地域の公的機関、介護施設、専門家やボランティアなどにより運営されており、参加者が抱える悩みや疑問に応じた支援や情報提供を行い、参加者同士の交流の場を提供しています。


認知症カフェの役割や効果

認知症カフェは、具体的にどのような役割を果たしているのでしょうか。4つの視点で役割を紹介します。


認知症カフェが果たす4つの役割

● 交流の場:認知症カフェには、認知症に関して悩みを抱える方や支援をする方などさまざまな境遇の人が参加します。地域住民の方が参加することもあり、決して理解度が高い人ばかりではありません。しかし、認知症に対して関心を示す人たちが集まるため、交流が生まれやすい場所なのです。


● 情報共有の場:認知症に関する基礎的な情報や最新情報、支援制度、介護情報などさまざまな情報を共有する場です。認知症当事者やその家族は自分たちが抱えている悩みや疑問を解決する場にもなっています。


● 教育の場:認知症の知識を深めるためのセミナーやワークショップを実施することもあります。専門家の方だけでなく、当事者の方が講師を務めることもあり、参加者は認知症のことを多様な視点で学ぶことができます。


● 地域社会とつながる場:認知症カフェは地域社会における認知症の理解を高め、共生社会をつくるきっかけになっています。地域の人たちが認知症に対する理解を深めることで、当事者が住みやすい街づくりにつながるでしょう。


当事者への効果やメリット

認知症カフェでは、同じような悩みを持っている人々と出会い、共感し合うことができます。認知症の当事者同士で交流をすることで、お互いの気持ちや状況を理解し合い、不安感や孤独感を軽減することができます。結果、自分だけがこの悩みを抱えているわけではないことを認識し、自己理解を深めることにつながるでしょう。


そのほかにも、認知症カフェへの参加は、社会とのつながりを生み出します。地域住民や専門家の方々と交流をすることで、自分が社会の一員であることを実感し、自身の存在意義を再認識したり、生活意欲の向上へつながるでしょう。


家族への効果やメリット

当事者だけでなく、家族が認知症カフェに参加することで、別のメリットが生まれます。介護をする家族の方にとっては、同じ境遇の人たちと経験や悩みを共有することができます。また専門家の方からアドバイスをもらうことで、自身の悩みや疑問の解決につながります。一時的に介護から離れることができるため、自分自身の時間を持つことで、心身ともにリフレッシュすることが可能に。介護のストレスを和らげることにもつながるでしょう。


認知症カフェの参加方法や参加費について

認知症カフェは、申し込み不要で気軽に参加できる場所と事前申し込みが必要な場所があります。申し込みが必要な場所でも、基本的には誰でも参加できるので、はじめての方でも気軽に申し込みができます。しかし、なかには参加人数の制限を設けている場合もあるため、事前に確認することをおすすめします。


参加費は開催場所によって異なり、無料で参加できるところがあれば、100円~200円程度の飲み物・お菓子代がかかることもあります。食事が提供される場合や特別なレクリエーションが実施される場所では、500円~1,000円前後の参加費がかかることもあるでしょう。


認知症カフェで行われていること

認知症カフェでは、カフェのようにくつろぎ、集まる人たちとの交流を楽しむことはもちろん、開催場所ごとにさまざまな催しが行われています。多くの施設で行われている取り組み例を紹介します。


参加者同士のコミュニケーションと交流

お茶やコーヒーを飲み、お菓子を食べながら参加者との会話を楽しむことは、認知症カフェの醍醐味の1つ。当事者やその家族、介護従事者、地域の人たちなど、さまざまな境遇の方が参加しており、普段は接することがない人とコミュニケーションを図ることができます。認知症という共通の関心を持っている人たちが参加しているため、お互いに会話のネタに困ることもないでしょう。


講演会やセミナー開催

専門家や当事者が登壇し、認知症に関する専門的な情報や経験を発信する講演会やセミナーが開催されます。予防やケアに役立つ専門的な情報から、当事者や介護従事者によるエピソードなど、その内容はさまざま。認知症についての新しい学びの場になるでしょう。


専門家による相談会

講演会やセミナーに加え、参加者の悩みや疑問解決のための相談会を行うこともあります。

当事者やその家族のなかには、「認知症について、誰に相談をしたらよいかわからない」という方もいるのではないでしょうか。カフェというリラックスした雰囲気のなかで、気軽に意見を求めることができます。


カラオケやゲームなどのレクリエーション

認知症カフェでは、集う人たちと楽しむ取り組みが多数用意されています。例えば、カラオケを行う施設は多く、歌を歌うことでストレスを軽減するだけでなく、歌詞を暗記することや新しい歌を覚えること、他人が歌う歌を口ずさむことで、脳の記憶機能が刺激されます。


また、ゲームなどを行うこともあり、頭で考えたり手を動かしたりすることで、簡単な認知症の予防・ケアにつながるでしょう。


体操や散歩などの運動

体操や散歩など、簡単な運動を行うこともあります。体を動かすことで、リフレッシュすることはもちろん、認知機能の低下を防ぎ認知症発症予防にもつながります。運動不足を感じている方やアクティブな過ごし方を求めている人におすすめです。


認知症カフェの事例を紹介

ここからは、認知症カフェの具体的な事例を紹介します。SOMPOケアが実施している「SOMPOカフェ」の様子をお届けします。


事例① オレンジカフェすみだ SOMPOカフェ東墨田

オレンジカフェすみだ SOMPOカフェ東墨田の様子

SOMPOケアが運営する介護施設「そんぽの家S東墨田」は、墨田区から認知症カフェの認定を受け、2022年7月から毎月1回、認知症カフェ「SOMPOカフェ東墨田」を開催しています。


教育現場における認知症の理解拡大へ

介護施設のご入居者さまを中心に、地域包括支援センターや近隣ボランティアのみなさま、民生委員などさまざまな方が参加しています。これまでに、地域包括支援センターの職員による紙芝居を行ったり、体力測定会の開催、福祉用具の説明会を行ったり、さまざまな取り組みを実施してきました。過去には、看護・福祉系の大学の実習生の方も参加したこともあり、教育現場における認知症の理解につながっているようです。


当事者の社会とのつながり創出と認知症予防

また、「SOMPOカフェ東墨田」では、認知症当事者の方も一緒に運営の手伝いをしています。運営活動に加わることで、参加者との積極的な交流や社会とのつながりが生まれるため、当事者にとって良い影響が生まれるでしょう。運営の準備を通じて、体を動かしたり、思考する機会も発生するため、認知症予防にも効果的です。


事例② SOMPOグループ社員が参加するSOMPOカフェ


講演をするさとうみきさん

2023年7月、SOMPOグループに所属する社員に向けて、認知症に対する理解向上を目的として、認知症カフェが開催されました。


社員の介護における悩みを解決

本取り組みでは、若年性認知症当事者のさとうみきさんをお招きし、講演を実施。発症当時の様子から現在に至るまでの経験や心境の変化、家族との暮らしの様子などを具体的なエピソードとともにご紹介いただきました。質疑応答の場面では、実際に認知症の家族の介護をしている社員から、当事者への接し方についての質問がありました。さとうさんからは、当事者だからこそわかる接し方のポイントやアドバイスをお話いただき、今後の介護の参考になっていたようです。


認知症を自分事化し理解を深める

会の後半には、認知症を自分事化して考えるためのディスカッションを実施。「もしも自分が認知症と診断されたら、まずどんな行動をするか」というテーマで、各参加者が自分の行動を予想し、参加者同士で発表し合う取り組みを行いました。「まずは、家族や親しい友人に相談をする」という参加者がいれば、「会社内やSNSで自身が認知症であることを公表する」という参加者もいました。それぞれの考えのもとに、自分事化し理解を深めるきっかけになったようです。


そんなディスカッションの様子に、さとうさんからは、こんな感想をいただきました。

『「自分事」の捉え方についてたくさんのご意見をいただいたことが、私自身もとてもびっくりでしました。それだけ、真剣に自分事として考えてくださっていた時間だったのだと。』

参加者はもちろん、さとうさん自身にも多くの学びとやりがいを感じる機会になったようです。


日本全国で開催されている認知症カフェ

2020年度に厚生労働省が実施した実績調査では、47都道府県1518市町村にて7,737のカフェが運営されていることがわかりました。

実施の主体は、介護サービス施設・事業者が28%、地域包括支援センターが23%、ボランティア・地域住民(NPO法人と家族会を除く)が17%、社会福祉法人(介護サービス施設・事業所を除く)が8%、市町村が6%、そのほか18%となっています。


参考:厚生労働省「認知症カフェ、都道府県別 認知症カフェの実施状況」


認知症カフェの開催場所は、以下のサイトをはじめ、「地域包括支援センター」や市役所・区役所のホームページよりご確認ください。

SOMPOケア 認知症カフェ・地域向けサロン 一覧


まとめ

近年、認知症カフェは全国各地で開催されており、場所ごとにさまざまな取り組みが行われています。今後は、認知症基本法の成立によりその活動も広がっていくでしょう。認知症カフェは、当事者や家族の不安・悩みの解消はもちろん、共生社会をつくるきっかけになっています。ぜひ、近隣で開催されている認知症カフェに参加してみてはいかがでしょうか。



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