公益社団法人 認知症の人と家族の会が発行する会報誌『ぽ~れぽ~れ』より、本人の体験談記事「私らしく仲間とともに」をご紹介します。今回ご登場いただく、菊地さん(48歳)は2020年11月に若年性アルツハイマー型認知症の診断を受けました。2021年に初めて講演デビューされたときの原稿から、2か月連続でご紹介いたします。前編となる今回は、診断を受けた頃に直面した思いをお話いただいています。
気づきは、仕事上のミス
住宅設備機器の修理業務をしていましたが、車を止めたコインパーキングの場所が分からず困りました。その後、料金の計算ミス、報告書の日付がバラバラなど、今までできていたことができなくなっている自分が怖くなりました。周りの人も、なんかおかしいと気づいていたようですが、特に指摘もなく、ただ、眠れなくなり元気がなくなっている様子に、妻は心配していたようです。2019 年の冬頃のことです。
妻と一緒に受診~再受診で病名を知る
2020年8月頃、ストレスが続き、自宅の階段から転落したのをきっかけに、妻と受診しました。その時は、「ストレス」と言われましたが、1ヶ月後に受診し「若年性アルツハイマー」と聞かされました。「40歳代の自分が若年性アルツハイマーなんだ。でも、考えるとやはりいろいろ思い当たる節があると、さまざまな出来事を思い起こし、点と点がつながり、状況が整理できると、私は現状を受け入れる覚悟ができました。
妻と母のあと押しで
診断を告げられたとき、妻も母も泣き崩れ、私も思わず涙が出そうでした。「とりあえず、今できることをやっていこう」と、パズルや脳トレ用の本をたくさん買ってきてくれました。妻は、いろいろ調べて、若年性認知症サポートセンターに相談してくれました。また、会社に掛け合って、傷病手当金をもらえるようにしてくれました。
仕事を辞めるのはとても残念で悲しかった
仕事は、代表者と2人で立ち上げて20年以上も一緒に頑張ってきた会社でした。配置換えなど、なんとか続ける方法を考えてほしかったのですが、即退職の扱いに、これ以上ないほどの言いようのない悲しみがこみあげてきました。
※【本人登場】若年性アルツハイマー型認知症の診断を受けて~後編~はこちら
※この記事は『ぽ~れぽ~れ』(発行元:公益社団法人 認知症の人と家族の会)2022年7月号より抜粋・一部修正したものです。 公益社団法人 認知症の人と家族の会ホームページはこちら
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