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理学療法を受ける高齢の女性
2024.12.06

理学療法とはどんなリハビリ?治療内容や対象者などを解説

病気やケガによって身体機能が低下した場合のリハビリとして行われるのが、理学療法です。


理学療法ではどのようなことが行われるのか、どのような効果があるのか気になる方もいるのではないでしょうか。理学療法では運動療法や物理療法などが行われ、これらの治療によって身体機能の改善を図ります。


この記事では、理学療法の具体的な内容や効果などをご紹介します。理学療法の詳細を知ることで、病気やケガを抱えた際の治療の選択肢として検討できるでしょう。


目次
・理学療法とは?
・理学療法を受ける対象者
・理学療法を受けられる施設・サービス
・病気やケガの発症時期に応じた理学療法の内容
・理学療法と作業療法・言語聴覚療法の違い
・理学療法のリハビリを知っておこう

執筆者画像
理学療法士 内藤かいせい
理学療法士として回復期病院と訪問看護サービスに従事し、脳血管疾患や運動器疾患などの幅広い症例を経験する。リハビリで患者をサポートするとともに、全国規模の学会発表にも参加。 2021年より、Webライターとして独立。これまでの理学療法士の経験を活かして、医療や健康分野で多くの執筆・監修に携わっている。

理学療法とは?

理学療法の内容や種類を表す図

理学療法とはどのような治療法なのでしょうか。ここでは理学療法と、その治療を行う理学療法士について解説します。


ケガや病気に対する治療法のこと

理学療法とは、おもにケガや病気などによって身体機能が低下した方に行われる治療法です。理学療法では、身体機能の改善や「立つ・座る・歩く」などの日常生活に必要な基本的な動作(ADL)の獲得を図ります。


おもな治療内容としては、「運動療法」や「物理療法」があげられます。運動療法とは、以下のような運動を中心とした治療のことです。


運動療法の内容例
● 筋トレ
● 生活に必要な動作の練習
● 関節の可動域を広げる訓練
● 体力をつけるためのトレーニング
● バランストレーニング
など


このような運動によって低下した身体機能の改善を図り、自立した生活が送れるようサポートします。


物理療法とは、温熱や電気などの物理刺激を用いた治療です。物理刺激の内容によってさまざまな効果が得られるのが大きな特徴です。たとえば、温熱療法では患部を温めることで血行が促進し、痛みの軽減につながります。電気による刺激を与えれば、筋肉が働きやすくなり、筋力強化や筋力低下の予防が期待できます。


具体的には、以下のような治療法があります。


物理療法の内容例
● 温熱療法
● 光線療法
● 極超短波療法
● 寒冷療法
● 水治療法
● 電気刺激療法
● 超音波療法
● 陰圧閉鎖療法・高圧酸素療法
● 牽引療法
など


このように、患者さんの状態にあわせた治療を提供して、リハビリを効率的に進めるのが理学療法です。

出典:公益社団法人日本理学療法士協会日本保健医療大学


理学療法を提供する職種が理学療法士

理学療法は、「理学療法士」と呼ばれるリハビリ専門職によって行われます。理学療法士は国家資格であり、国家試験に合格した方だけが取得できます。


理学療法士は、単に理学療法によって治療を行うだけではありません。患者さんの身体機能を詳しく評価し、その方に適した治療プログラムを立案します。また、安全に動作ができるように指導し、必要に応じて家族に介助方法や家屋環境などのアドバイスを伝える役割も担っています。さらに、患者さんの気持ちに寄り添い、リハビリへの意欲を引き出すことも大切な仕事の1つです。

【関連記事】理学療法士とは? 役割や作業療法士・言語聴覚士との違いを解説


理学療法を受ける対象者

理学療法を受ける対象は、おもに身体機能が低下した方です。たとえば、以下のような方があげられます。


• 脳卒中で手足に麻痺が残った方
• 骨折後で歩行が困難になった方
• 手術後に体力が低下した方


上記の場合、医療機関に入院中に理学療法を受ける機会が多いといえます。また、病気やケガを発症した方以外にも、以下のような目的で理学療法を受ける方も珍しくありません。


• 高齢者の介護予防
• 介護の負担軽減
• スポーツ選手の運動能力向上


このように、介護に関するものからスポーツのパフォーマンス向上まで、理学療法の対象者は非常に幅広いことがわかるでしょう。


理学療法を受けられる施設・サービス

理学療法は、どのような施設やサービスで受けられるのでしょうか。ここでは、理学療法士を受けられる代表的な施設・サービスをご紹介します。


医療機関

理学療法を受けられる代表的な施設の1つとして、病院やクリニックなどの医療機関があげられます。医療機関では、おもに入院患者さんや通院中の方に対するリハビリの一環として、理学療法が行われています。


医療機関の特徴は、理学療法士だけでなく、医師や看護師などのさまざまな医療職がチームとなってケアを提供している点です。具体的には医師が治療方針を立て、理学療法士がリハビリプログラムを組み、看護師が日常生活のケアを担当します。医療職同士が連携することで、さまざまな視点から患者さんの回復をサポートできます。


また、病院やクリニックには最新の設備や専門的な機器が整っていることもあり、質の高い理学療法を受けやすいのもメリットです。


介護施設

通所リハビリ(デイケア)介護老人保健施設などの介護施設でも、理学療法を受けられます。このような施設は、介護保険によって利用できるサービスです。


介護施設での理学療法の特徴は、より生活に密着したリハビリ内容となっている点です。医療機関は身体機能の改善が中心となりやすい一方で、介護施設では日常生活の自立を目的とした理学療法を受けられます。また、介護施設ではほかの利用者と一緒にリハビリをする機会も多いため、施設内での交流が増えやすくなります。コミュニケーションをとる機会が増えて、楽しくリハビリを行える点もメリットといえるでしょう。


介護保険を取得している方は、このようなリハビリを受けられる介護施設の利用を検討してみましょう。


訪問サービス

理学療法士が利用者の自宅に訪問し、理学療法を提供する訪問サービスもあります。自宅で理学療法を受けられるので、通院や施設への通所が困難な方にとっておすすめのサービスです。


訪問サービスの大きなメリットは、利用者の生活環境にあわせて具体的なリハビリができる点です。お風呂場での動作練習や階段を使った昇降練習など、その方にとって必要な動作を、実際の生活環境で行えます。この点は医療機関や介護施設などの外部の環境では完全に再現できないため、訪問サービス特有の強みといえます。理学療法士が自宅を訪問するため、必要に応じて家族に介助方法の指導もしてくれるでしょう。


病気やケガの発症時期に応じた理学療法の内容

病気やケガの発症時期に応じた理学療法の内容を表した図

理学療法は、対象となる方の病気やケガの発症時期によって、その内容が変化します。ここでは、発症時期に応じた理学療法士の内容について解説します。


急性期

病気やケガを発症してから間もない時期のことを、急性期と呼びます。この時期は発症直後のため、身体の状態が不安定で症状が変化しやすい傾向にあります。しかし、長期間安静にしていると身体機能が大きく低下する恐れがあるため、早期からリハビリが行われています。


急性期の理学療法では、無理のない範囲で身体を動かしたり、離床(ベッドから離れること)を促したりすることが中心です。急性期から理学療法を開始することで、病気やケガの発症による身体機能の低下を最小限にして、その後の効率的な回復につなげられます。


回復期

急性期を過ぎて、身体の状態が落ち着いてきた時期を回復期と呼びます。病気やけがで入院している場合、このタイミングで回復期の患者さんを受け入れる病院へ転院する方も多いです。


この時期は積極的なリハビリが実施され、理学療法では身体機能の改善および生活に必要な動作を行えることを目指します。退院の目処が立ったタイミングで、自宅で安全に過ごせるように、必要に応じて以下のような住宅改修を進めることもあります。


● 階段や廊下に手すりを設置する
● 玄関にイスを設置する
● 浴室に滑り止めを敷く
● スロープを使用して細かい段差を解消する


退院後もリハビリによるサポートが必要な場合、要介護認定や介護サービスの利用手続きを行うこともあるでしょう。


維持期(生活期)

回復期を経て、身体機能の改善が緩やかになってきた時期が維持期(生活期)です。この時期になると、医療機関に入院している方は退院の目処が立っている、またはすでに退院をして自宅で過ごしていることも多いでしょう。そのため、おもに介護サービスを通じて理学療法が行われます。


維持期では、身体機能を維持しつつ、自宅で安全に過ごすことや生活の質(QOL)を高めることを目的とした理学療法が中心です。


理学療法と作業療法・言語聴覚療法の違い

リハビリには理学療法だけでなく、作業療法や言語聴覚療法などもあります。ここでは、それぞれの治療法の違いについて解説します。


作業療法は作業に焦点を当てたリハビリ

作業療法とは、日常生活で行われる「作業」に焦点を当てた治療法です。ここでいう作業とは、食事や入浴などの基本的な動作から家事や趣味活動まで、生活内で行うあらゆる行為のことです。


作業療法では、これらの作業を通じて身体機能の改善を図りつつ、その人らしい生活を支援します。たとえば、自宅で料理をしたい方であれば、実際に調理動作を取り入れたリハビリを行います。この作業療法を行うリハビリ職が、作業療法士です。理学療法は基本的な動作の改善に重点を置くのに対して、作業療法はより実生活に即したアプローチをするのが特徴です。


言語聴覚療法は言語や食事の改善を図るリハビリ

言語聴覚療法は、コミュニケーションや食事機能などの改善のために行われる治療法です。脳卒中をはじめとした脳の病気を発症すると、以下のような機能が障害されることがあります。


• 話す・聞く・読む・書くなどの言語機能
• 食べる・飲み込むなどの摂食・嚥下機能


言語聴覚療法では、このような障害を抱えた方に対して専門的な評価と治療を行います。この言語聴覚療法を行うリハビリ職が、言語聴覚士です。また、小児の言語発達障害から高齢者の認知症まで、幅広い年齢層を対象としているのも大きな特徴です。このように、理学療法士や作業療法、言語聴覚療法にはそれぞれ役割や内容が異なります。


理学療法のリハビリを知っておこう

理学療法では、運動療法や物理療法などの治療で、低下した身体機能の改善を図る治療法です。理学療法の対象者は病気やケガを抱えた方だけでなく、転倒を予防したい方やアスリートなど、非常に幅広いのも特徴です。また、理学療法は時期によっても実施内容が変わり、その方の状態にあわせたアプローチを行います。ぜひ今回の記事を参考にして、理学療法の知識を深めていきましょう。

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