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2024.04.30

ケアスタッフより、家族介護者の方へメッセージ~第19回~「パーキンソン病を患っている方の介護」

日々、介護するなかで「このやり方で正しいのかな」と疑問や不安を感じたり、「こんなふうにしてあげたいのに、うまくできない」と悩まれたり、葛藤されたりする瞬間があるのではないでしょうか。

お一人おひとりの状況に合わせておこなう介護の正解は、ひとつではありません。しかし、他の方のケア事例から感じ取れるヒントやメッセージもあるかと思い、本コラムでは経験豊富なSOMPOケアスタッフの介護エピソードをご紹介します。


目次
  ・今回のテーマ「パーキンソン病を患っている方の介護」
  ・パーキンソン病の姉と、姉に対する気配りが難しい妹
  ・本人だけじゃなく「家族」を支えることが大切
  ・「入院」をきっかけに変わった意識
  ・ケアスタッフからのアドバイス

執筆者画像
SOMPOケア 雀宮 居宅介護支援 ケアマネジャー 比留間 恵美さん
6年前にケアマネジャーとしてSOMPOケアへ入社。介護職を目指したきっかけは、友人が介護職員初任者研修資格(ヘルパー2級)を取得したことにより「私も」とヘルパー2級を取得。その後デイサービスで経験を積み介護福祉士を取得し、ショートステイ、特養を経験した後、ケアマネジャーの資格を取得。介護の信念は、誰に対しても誠実であること。行動の判断軸として、相手の立場で「自分だったらどうか」と置き換えて考えることを大切にしている。

今回のテーマ:「パーキンソン病を患っている方の介護」

今回、紹介するのは、パーキンソン病(※)がある女性(Aさん)のお話です。Aさんは80代で妹さんと二人暮らし。パーキンソン病に加えて認知症の症状もあり、認知機能の低下がみられました。こちらの言葉は理解できますが、自分の思いを表現するのが難しく、こちらが思いを汲み取る必要があります。また、妹さんはAさんへのあたりがつよく、ふたりの関係性にも配慮が必要でした。


(※)パーキンソン病とは:「ふるえ」「筋肉のこわばり」「転びやすさ」「動作緩慢」などを主症状とする神経難病のひとつです。薬物療法が中心ですが、現在はまだ、完全に治す方法はありません。

パーキンソン病の姉と、姉に対する気配りが難しい妹

Aさんは結婚歴がありますが、しばらくして離婚され、実家にて長年ご両親の金銭的な援助を受けながら生活しており、働いたことはなかったそうです。同居する妹さんは、仕事歴がないAさんをよく思っていない節があり、強い口調で接する場面もみられました。


もともとAさんのサービス介入の依頼は病院から。骨折による入院後、自宅に戻るため介護サービスが必要になり、ケアマネジャーとして関わりはじめました。Aさんの課題としてあげられるのが主介護者の妹さんです。妹さんは自分基準でものごとを考えてしまい、相手に対して上手に気配りをすることが難しい方でした。


たとえば、お部屋の温度調整も「自分が寒いから」と冷房を入れず、Aさんが熱中症になってしまったこともあります。介護は一生懸命やってくれているのですが、姉妹ということもあり、Aさんへの気配りは十分ではないという印象はありました。


また、Aさんも自分の思いを上手に表現できません。

そのため、「ここが苦しい」「痛い」「暑い」など人に伝えられないことも、生活を困難にする原因のひとつでした。妹さんは介護が大変なこともあり、Aさんのショートステイ利用や施設入所を考えていて、施設を探していようですが、認知症などを原因に断られることも多く、難しかったようです。


私のほうも入所できる施設を探しましたが、要介護1で希望や条件が合うところがなかなか見つかりませんでした。

本人だけじゃなく「家族」を支えることが大切

私が介入する上で気をつけたのは、Aさんと、妹さんの関係を取り持つことでした。妹さんの話をしっかり聞きながら、Aさんの気持ちをふまえて適切にアドバイスすること。


Aさんは、言葉が出にくいため「まずい!」「気持ち悪い!」「嫌だ!」など、思いの表現が難しい状況でした。ただ、静かな場所で二人きりになると会話はできます。妹さんに萎縮して言葉がうまく出ない側面もあったようです。妹さんの話をしっかり聞きながら、「でも、Aさんは〜と考えているみたいですよ」とAさんの気持ちを伝えるように意識しました。


「入院」をきっかけに変わった意識

信頼関係ができてきたのか、関わる中で妹さんも少しずつ変わってきました。不安なことや、分からないことがあればお電話をいただけるようになりました。変わったきっかけとしてAさんの入院もあげられます。


昨年、赤飯を喉に詰まらせて入院したことがありました。赤飯に餅米が入っているため、詰まりやすかったようです。まさか、これでのどに詰まるとは思っていなかったようです。ちょっとしたことで「こんな大変なことになる」と実感したようです。そこからは自分ひとりで判断せず、いろいろなことを相談してくれるようになりました。徐々に信頼関係ができたことを実感しています。


また、Aさんはほとんど話ができず、自分の思いは表現しづらい面はありましたが、妹さんを嫌いだったということはなかったようです。家が好きだったようで、入院したときもお家に帰りたいか聞くとうなずかれていました。

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ケアスタッフからのアドバイス

家族を含めた介護で大切なのは「本人とご家族の思いを取り持つこと」ですね。今回の事例では、Aさんとはもちろん、妹さん思いを傾聴しつつ、本人とご家族の思いの橋渡しをしました。


また、サービスを提供するスタッフとして、どちらの味方もしないことは重要です。とにかく中立の立場を保つ。本来、ケアマネジャーとしてはAさんの担当ですので、「本人のために」と思う部分もありますが、本人を取り巻く人との仲を取り持つのも重要です。ケアスタッフは本人のみではなく、ご家族の方のケアも必要な時があるので注意しなければなりません。



取材/SOMPO笑顔倶楽部  文/藤本皓司

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