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アルコール性認知症のイメージ画像
2021.08.18

アルコール性認知症とは?大量のアルコール摂取が認知症のリスクに

認知症には、「アルツハイマー型認知症」「血管性認知症」「レビー小体型認知症」「前頭側頭型認知症」といった多くの割合を占めるもののほかにも、さまざまな種類があります。そのうちのひとつが、「アルコール性認知症」です。飲酒量や日ごろのライフスタイルも影響しているアルコール性認知症は、高齢者だけではなく、若い世代にとっても無関係ではありません。ここでは、症状や原因、アルコール性認知症と診断を受けた場合の治療方法などをまとめました。予防の観点からもアルコールの飲酒の有無に関わらず、ぜひ参考にしてください。



アルコール性認知症とは

アルコール性認知症とはどのような病気なのでしょうか。その原因について説明します。


アルコール性認知症は、アルコールの大量摂取が原因と考えられる認知症のことをいいます。大量に飲酒する人やアルコール依存症の人は、高い割合で脳萎縮がみられることがわかっていて、大量に飲酒をすることは、認知症になるリスクを高めることにつながります。


アルコール性認知症と診断された人の中には、ウェルニッケ・コルサコフ症候群の人が多いとされています。ウェルニッケ・コルサコフ症候群とは、アルコールを大量に摂取することでビタミンB1が不足してウェルニッケ脳症を発症し、その後遺症として、健忘を特徴とするコルサコフ症候群が残るものです。


アルコールの大量摂取のほかにも、認知症になるリスクを高めるものに、多発性脳梗塞などの脳血管障害、頭部外傷、肝硬変、糖尿病などがあり、アルコールの大量摂取に加えてこれらの要因が重なると、認知症になるリスクも高まります。また、フランスで2008年~2013年に実施された調査では、アルコールの大量摂取や、アルコール依存症は、とくに65歳未満で発症する「若年性認知症」の発症リスクを高めることが明らかになっていて、さらに男性の若年性認知症の方のうち、半数以上がアルコールに関連する認知症だという結果も報告されています。


【関連記事】若年性認知症とは 原因や症状ともしものときの対応



アルコール性認知症の症状

次に、アルコール性認知症の症状について紹介します。アルコール性認知症の場合は、先述したウェルニッケ・コルサコフ症候群の特徴が主な症状として現れます。ウェルニッケ脳症では、自分がどこにいるのか、今はいつなのか、相手が誰なのかなどがわからなくなる見当識障害や、記憶力、学習能力の低下などがみられます。


そのほかにも、平衡感覚がなくなってよろめきが起きやすくなったり、眼球運動障害なども引き起こします。コルサコフ症候群では、はじめに最近の出来事に関する重度の記憶障害が発生します。ただ遠い過去の記憶は損なわれないこともあり、また社会性や理解力も比較的保たれ、話のつじつまを合わせるために作話をする傾向もあります。そのため、病気だと認識されない場合があります。



アルコール性認知症の治療法

アルコール性認知症の治療にはどのような方法があるのでしょうか。


アルコール性認知症は、飲酒をやめて治療を受けることで、症状の改善が見込めることがあります。脳はアルコールの摂取量が多いほど、萎縮することがわかっていますので、1日でも早くお酒を断つことがとても大切です。自分で飲酒をやめることが難しい場合は、療養施設に入院する、自助グループに参加することもあります。


ちなみに、アルコール依存症の薬物療法としては、大きくわけて抗酒薬と飲酒欲求を抑制する薬の2種類があります。抗酒薬は、服用中に飲酒をすると「嘔吐」「頭痛」「悪心」などの不快な反応を引き起こし、心理的にお酒を断とうとする効果があります。ウェルニッケ・コルサコフ症候群の場合は、ビタミンB1(チアミン)の点滴でウェルニッケ脳症を是正することができますが、コルサコフ症候群は残ります。


また、毎日の食生活の改善や工夫も大切です。アルコールの大量摂取によって不足しているビタミンB1、B2、B12、葉酸などの栄養素が豊富に含まれる食材、メニューを意識し、バランスのいい食事を心がけましょう。


栄養バランスのとれた食事をいただく高齢者のイメージ画像

知っておきたい介護や対応のポイント

家族や自分自身に、アルコール性認知症の疑いがある場合や、アルコール性認知症と診断された場合はどのように対応すればいいのでしょうか。


アルコール性認知症に介護保険は適用される?

療養施設や医療機関に入院したり、薬物療法を受けても症状が改善しないなど、家族の介護負担が大きくなる場合は、介護保険を利用したり、地区の福祉相談窓口に相談をしてみることも考えましょう。アルコール性認知症と診断されて介護が必要な場合、65歳以上なら介護保険が適用となり、訪問介護や訪問リハビリテーション、通所介護や施設サービスなどを受けることができます。


ただし65歳以下の場合は、アルコール性認知症は老化によらない原因疾患となるため、介護保険が適用されないケースもあります。ちなみに、アルコール依存症と診断された場合には医療保険が適用され、外来診療、デイケア、訪問介護などの利用が対象となる、自立支援医療制度を利用できます。


疑わしい時は早めの受診を心掛ける

アルコール性認知症は、早期のうちに発見できると症状が改善される可能性もあり、疑いがある場合は、症状が重くなる前に受診することが大切です。かかりつけ医のほかに、認知症サポート医や専門医、認知症疾患医療センターなどもありますので、事前に調べておきましょう。受診までに家族や周囲の人は、普段からの飲酒量や頻度、気になる言動があれば把握しておきます。


高齢者の場合は、仕事を退職して日中に時間を持て余していたりすることで、アルコールの摂取量が増えることもあります。そのほか家族との死別や環境の変化が原因のこともあります。離れてひとりで暮らしている家族なら、孤独にならないように関わる機会を増やしたり、ふだんの様子を把握できるような工夫をすることも必要です。


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家族と死別した高齢者のイメージ画像

上手なアルコールとの付き合い方

アルコール依存症や大量にお酒を飲む人には、高い割合で脳萎縮がみられることや、認知症になる人が多いことが疫学調査からわかっています。ここでは、健康的な生活を送るために、節度のある適度な飲酒を心がけるためのポイントを紹介します。


高齢者はアルコール性認知症になりやすい?

高齢者は、体力とともにアルコールの分解機能も低下します。また、加齢による認知機能の低下によって飲酒量をコントロールできなくなる場合もあり、アルコールの影響を受けやすく、飲酒の習慣がある人は注意が必要です。


会社を定年退職した、配偶者の死などで孤独感が増すなど、環境の変化や寂しさが原因で、節度が効かずに飲酒量が増えてしまうケースもあります。過度な飲酒はストレスを発散させるどころか、かえって身体的・精神的なストレスを助長することにつながりますので、お酒と上手につきあうことを意識しましょう。

また、すでにアルツハイマー型認知症や前頭側頭型認知症を発症している場合は、飲酒量のコントロールがしにくくなりますので、家族や周囲の人は注意することも必要です。


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適度な飲酒は認知症の予防になる?

過度な飲酒は精神的・身体的にもよくない影響を及ぼすものの、一方では「酒は百薬の長」という言葉もあるように、適度な飲酒は健康にいいともいわれています。


これまでの疫学研究では、飲酒量と健康リスクの相関について、病気の種類によってさまざまなパターンがあり、虚血性心疾患、脳梗塞、2型糖尿病などでは、お酒を飲まない人に比べて、少量の飲酒をする人のほうがリスクは低いとされています(すべての疾患に対してリスクが軽減されるわけではありません。また飲酒量が増えれば、リスクはそのぶん高まります)。欧米の研究では、純アルコール量で1日平均19gまでの飲酒者の死亡リスクは、男女ともに非飲酒者よりも低いという結果もあり、日本の研究においても、男女ともに1日平均23g未満で、死亡リスクが最も低くなるという結果もあります(ただし、海外において「安全なレベルの飲酒量は存在しない」という内容の研究が発表されるなど、「適切な飲酒量はない」とされる研究結果も出ています)。


厚生労働省が定める健康施策「健康日本21」では、男性の場合、純アルコール量で1日20g(アルコール度数5%のビールなら500mlの中瓶1本分、日本酒180ml・1合分)以下が「節度ある適度な飲酒」としています。女性はアルコールに対する感受性が高いため、それよりも少ない量が適当だとされていて、65歳以上の高齢者や、アルコールの代謝能力が低い人も同様です。また、大量の飲酒はアルコール依存症や認知症になるリスクを高めますが、一方で少量、また中等量の飲酒は認知症の予防になる可能性があるといった調査結果もあります。ただし、このことは飲酒をする習慣がない人にとっても当てはまるわけではありませんので注意してください。



まとめ

アルコール性認知症は、お酒をやめることで症状が改善する可能性があります。1日でも早く適切な治療を受けるために、アルコールの大量摂取が習慣となっている、環境の変化などで飲酒量が増えているなど、ふだんの様子を家族や周囲がきちんと把握しておくことが大切です。飲酒量が多くない人でも、予防をかねて、食生活をふくめた生活サイクルを見直す、アルコールを摂取する機会を減らすなど、工夫をしながらアルコールと上手に付き合っていけるように意識しましょう。


【監修】

石井道人

医療法人ミチラテス 理事長

ファミリークリニックあざみ野 院長


北里大学医学部卒。東京都立多摩総合医療センターで救急医療、総合診療を学ぶ。

2013年より北海道・喜茂別町で唯一の医療機関、喜茂別町立クリニックに管理者として赴任。乳幼児健診から看取りまで、町民二千人の健康管理を担う。2020年神奈川県横浜市にて開業。


日本プライマリ・ケア連合学会認定指導医

日本救急医学会認定救急科専門医

日本内科学会認定内科医

日本医師会認定健康スポーツ医

日本医師会認定認知症サポート医

キッズガーデンプレップスクール嘱託医

石井医師顔写真

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