前頭側頭型認知症とは?
前頭側頭型認知症は、脳の前頭葉と側頭葉の障害により神経細胞が失われることで生じる認知症です。人格の変化や行動の変化、言語能力に関する障害などの症状が現れます。
前頭葉と側頭葉とは
前頭葉は社会性や人格、判断力、言語機能を担っており、側頭葉は言語理解、聴覚、味覚、記憶、感情などを担っています。前頭葉・側頭葉は脳の4割を占める重要な器官であり、その機能が低下すると日常生活にさまざまな影響を及ぼします。
前頭側頭型認知症は、前頭側頭葉変性症と呼ばれる病型の1つであり、国の指定難病に登録されています。認知症のなかでは、アルツハイマー型認知症が最も多く全体の6~7割を占めますが、前頭側頭型認知症は全体の約1割程度となります。
前頭側頭型認知症は、多くの場合50〜65歳前後の比較的若い年齢で発症する傾向があり、比較的緩やかに症状が進行していきます。近年の若年性認知症における原因疾患のうち、全体の9.4%※を占めています。
前頭側頭型認知症の原因
前頭側頭型認知症の原因について、完全には解明されていませんが、近年の研究でタウたんぱく、TDP-43、FUSなど特定の異常たんぱく質の影響が大きいことが明らかになっています。
これらのたんぱく質は正常な脳機能に必要ですが、性質が変化して異常が生じると脳内で蓄積し、神経細胞の機能障害や死滅を引き起こすことが知られています。特に、これらが脳の前頭葉や側頭葉に蓄積すると、前頭側頭型認知症の典型的な症状が発現します。