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脳と記憶のイメージ図
2023.12.04

認知症は遺伝する?要因や予防法、ケアについて

近年、認知症への理解が少しずつ広まり、将来を見据えた予防を考えている方もいるのではないでしょうか。特に、自分の家族が認知症と診断された場合、何が原因であるのかという疑問や、自分自身も同じ症状になるのではないかという不安を抱く人もいます。


本記事は、遺伝と認知症の関連性について専門家監修のもと解説します。将来的な認知症への不安を和らげるために、具体的な予防策やケア方法についても紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

目次
・認知症と遺伝の可能性・要因について
・アルツハイマー型認知症と遺伝について
・遺伝性の遺伝リスク検査
・遺伝性の認知症の予防法と対策
・認知症の疑いがあるときのメンタルケア
・まとめ

執筆者画像
国立長寿医療研究センター メディカルゲノムセンター 部長 重水 大智 先生
京都大学大学院理学研究科にて博士号取得。ボストン大学リサーチフェロー、理化学研究所研究員、東京医科歯科大学講師を経て、2021年より国立長寿医療研究センター メディカルゲノムセンター 部長。広島大学大学院医学科学研究科 客員教授を兼務。専門はゲノム医学、遺伝統計学。

認知症と遺伝の可能性・要因について

認知症にはさまざまな種類があります。代表的なものとして、アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症などがあります。認知症の中で最も患者数が多いのはアルツハイマー型認知症で、認知症全体の約6割を占めると言われています。その発症には遺伝的要因が関わっていますが、後天的なさまざまな環境要因も関わっています。


アルツハイマー型認知症と遺伝について

アルツハイマー型認知症は大きく、「家族性アルツハイマー型認知症」と「孤発性アルツハイマー型認知症」の2種類に分類されます。家族性アルツハイマー型認知症は、遺伝が大きく関与しており、親が家族性アルツハイマー型認知症の場合、その子供は50%の確率でその要因を引き継ぐことになります。


一方、主に高齢になってから発症する孤発性アルツハイマー型認知症は、遺伝要因が6割、残りの4割が生活習慣などの環境要因が発症に関与していると言われています。


家族性アルツハイマー型認知症の特徴

家族性アルツハイマー型認知症は、アルツハイマー型認知症全体の2〜3%を占める少数派で、他の認知症より若年で発症します。


その主な要因として、原因遺伝子の異変(変異といいます)が挙げられます。具体的には、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、プレセニリン1(PSEN1)、プレセニリン2(PSEN2)の3つ遺伝子のいずれかに特定の変異が認められます。一方で、遺伝子変異が明らかになったものは半分以下と、まだその原因遺伝子も完全に解明されていません。この病気は進行が早く、周囲や本人が病気だと認識する前に進行してしまうのがその特徴のひとつと言われていますが、家族内にアルツハイマー型認知症の患者がいても、過度に不安になる必要はありません。


孤発性アルツハイマー型認知症の特徴

孤発性アルツハイマー型認知症は、アルツハイマー型認知症の大多数を占め、先天的要因(遺伝的要因)と後天的要因(環境要因)が複雑に絡み合って発症します。遺伝要因が6割程度、発症に寄与していると言われており、これまでいくつかの感受性遺伝子が同定されています。


感受性遺伝子は、発症のリスクを高める遺伝子です。そのうち最も発症リスクを高めると言われている代表的な遺伝子変異が、アポリポタンパクE(APOE)遺伝子のε4型です。日本人の約10~15%が保有しています。APOE4を保因していたとしても認知症を発症するわけではなく、高血圧や糖尿病などの生活習慣病、喫煙、運動不足などもその発症に密接に関わっており、現在もその詳細な発症メカニズムの解明が進められています。


遺伝性の遺伝リスク検査

ここでは、遺伝性の認知症リスクについて深く掘り下げ、その対策について解説します。


APOE遺伝子とアルツハイマー型認知症の関連性

アルツハイマー型認知症の進行に深く関わっている遺伝要因がAPOEという遺伝子です。


● APOE遺伝子はε2(イプシロン2)、ε3(イプシロン3)、ε4(イプシロン4)の3種類の遺伝子型があり、これらが2つペアになり6パターンの遺伝子型を形成します。

● APOEε4はアルツハイマー型認知症の発症リスクを最も高めるとされています。具体的には、ε4とε4のペア(ε4/ε4)を持つ人は、ε4を1つも持たない人より発症のリスクが10倍高くなると言われています。


しかし、発症リスクが高いからと言って、必ずしも認知症を発症することではなく、さまざまな要因が発症に関与しています。


APOE遺伝子検査とは何か

APOE遺伝子検査は、アルツハイマー型認知症の遺伝的リスクを知ることができる検査です。これにより、あなたがどのAPOE遺伝子型を持っているかを知り、発症のリスクの程度を推定することができます。この検査は簡単な血液検査で測定可能です。検査費用は、医療保険対象外となるため、一般的に患者の全額自己負担で1万5000円から2万5000円の範囲です。


遺伝的リスクを理解することは、ご自身の健康管理を適切に行うための第一歩になります。もしもご自身に認知症のリスクがあると感じるのならば、APOE遺伝子検査はそのリスクを科学的に評価する手段のひとつになります。ただし、この結果は認知症を予告するものではないことを正しく理解することが重要です。医療専門家と共に、遺伝的リスクと生活習慣などの環境要因を考慮した、最適な予防策を見つけ出すことが大切です。


遺伝性の認知症の予防法と対策

遺伝的リスクが高いことを知った場合、将来ご自身が発症するかもしれないと不安に感じるかもしれません。ここからは予防と対策について、ご紹介します。


現段階では、遺伝性の認知症に対する完全な予防策はありませんが、アルツハイマー型認知症は、遺伝的要因だけではなく、後天的な環境要因が関わってきます。つまり、遺伝以外の認知症の発症リスクを高める要因―高血圧や糖尿病などの生活習慣病、喫煙、運動不足などについて改善することで、認知症発症リスクの低減が期待できるかもしれません。


認知症の発症リスクの低減

認知症の発症には複数の危険因子が関与しており、これらを減らすことで発症リスクを下げることが期待されます。それが「認知症になりにくい生活習慣を心掛けること」と「脳へ刺激を与えること」です。


① 認知症になりにくい生活習慣を心掛けること

健康的な生活習慣は、認知症の発症リスクの低減に効果的であると言われています。特にアルツハイマー型認知症や脳血管性認知症は、生活習慣病が関与しています。


● 食生活

栄養バランスのいい食事を規則正しくとり、食べ過ぎないようにする。抗酸化物質を豊富に含む緑黄色野菜や果物、脂質としてDHAやEPAを含む魚類や、調理に使うオリーブオイルやエゴマ油、アマニ油などを積極的に摂取すると良いと言われています。


● 運動習慣

運動不足は肥満の原因となり、認知症の発症リスクを増大させます。有酸素運動を週3~4回、1回30分程度継続的に行うことが重要です。


● コミュニケーション

人付き合いや社会との関わりを積極的に持つことが大切です。人との交流の機会が減ると、思考の機会が減り、認知機能の低下を引き起こします。


② 脳へ刺激を与えること

認知機能を維持・向上させるためには、「エピソード記憶」「注意分割機能」「計画力」を鍛えることが大切です。


認知症の疑いがあるときのメンタルケア

認知症の症状は、その進行速度や程度、個人差があります。家族性アルツハイマー型認知症を疑う場合や、少しでも不安を抱えている場合は、定期的に医療機関への受診をお勧めします。認知機能の低下が見られた場合は、症状の進行を遅らせるために早期治療やケアが大切になってきます。もし診断を受けた場合は、そこから生じる精神的苦痛を和らげ、治療と生活の両立をサポートするために、医師やソーシャルワーカーなどとコミュニケーションを取り、適切なサポート体制を整えることが大切です。


まとめ

認知症は先天的な遺伝要因だけでなく、後天的な環境要因も発症に影響します。健康的な生活習慣を実践し、脳を刺激する活動を行うことは、認知症発症のリスクを低減させる可能性があります。遺伝性の認知症に対して不安を抱えることもありますが、不安を解消するための知識を持ち、適切な対策を講じることが重要です。

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