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2023.04.27

自宅でできる脳トレは? 認知機能低下予防との関係も紹介

脳トレは、高齢者の認知機能低下の予防をする効果があるといわれています。そのため、老人ホームや介護施設などでは、日常的に脳トレが取り入れられています。高齢のご家族やご自身のために、脳トレを取り入れたいという方は多いのではないでしょうか。本記事では、脳トレの効果や、高齢者が行うときの注意点について解説します。あわせて自宅や介護施設で行う脳トレもご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。


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【監修】理学療法士 佐藤敬太さん
回復期リハビリテーション病院を経験したのち、訪問リハビリテーション、デイサービス、地域包括ケアなど様々な領域で臨床へ従事。現在はwebメディアの運営やマーケティング知識を活かし、医療福祉の情報が正しく伝わるよう日々発信を続けている。

脳トレとは

脳トレとは、記憶力や集中力など、脳の機能を維持・向上させる能力トレーニングのことです。書店やコンビニの本棚などで、脳トレのドリルを見かけたことがある方もいるのではないでしょうか。脳トレは、計算や記憶などのドリルだけではありません。ゲームやパズルなどを通じて、判断力や記憶力など、同時に複数の脳の機能を鍛えられるとされています。認知機能の低下を予防する効果が期待できるため、病院や介護施設などで取り入れられています。


脳に必要なエネルギーを運ぶためには、脳への刺激によって血流を増やすことが必要です。脳トレを行うことで脳が活性化するため、より高い効果が期待できるでしょう。


なぜ高齢者が脳トレをするといいの?

脳を活性化させ、脳内の血流を増やすことができる脳トレは、多くの介護施設で取り入れられています。脳の機能を維持するためには、定期的に脳トレをすることが効果的です。高齢者が脳トレを行うメリットとして、次の3つが挙げられます。


● 認知機能低下の予防になる
● ストレスが発散できる
● コミュニケーションがとれる


認知機能とは、記憶や思考・理解・推論・判断など、物事を正しく理解して実行するための脳の働きです。私たちが日常生活を送るうえで、認知機能は重要な役割を担っているといえるでしょう。しかし、加齢とともに認知機能が低下すると、もの忘れが進んだり、集中力や注意力がなくなったりと、高齢者の生活を困難にする原因になってしまいます。高齢者の特徴は、筋力低下や日常生活動作の低下、さまざまな病気にかかりやすいことなどが挙げられます。脳トレは、頭と体が活性化するため、高齢者の精神的・心理的・身体的な機能低下に有効だといえるでしょう。

認知機能低下の予防になる

脳トレには、漢字の読み書きや計算ドリル、なぞなぞ、複数人で行うゲームなど、さまざまな種類があります。日常生活では使わない脳の機能を活性化し、脳内の血流が促進されることによって、認知機能低下を防ぐことができるといわれています。一人で行う脳トレに比べて、複数人で行うグループワークは積極的に人と関わるため、脳の活性化につながるでしょう。


認知機能低下の予防対策には、運動・音楽・レクリエーションなどさまざまな方法があります。中でも、運動と脳トレ問題を同時に行う運動は、認知機能低下の予防に有効だとされています。しかし、ご自身や周りのご家族などが、認知機能が低下していると気付くことは難しいかもしれません。脳トレを通じて、ご自身やご家族の認知機能の現状や、過去からの変化を把握することができます。脳トレは金銭的な負担もほとんどかからないため、日常生活に取り入れやすいでしょう。

ストレスが発散できる

脳トレは、ストレス発散に役立ちます。まちがい探しやなぞなぞのようなクイズは、問題が解けたときの満足感や充実感が心地よく、ストレス解消につながるでしょう。グループワークは、複数人で楽しく脳トレに取り組むため、仲間意識や人とのつながりを感じられます。高齢者が感じやすい孤独感の軽減にもつながるでしょう。

脳トレを行う中で、笑ったり声を発したりすることはストレス軽減、脳のリラックス作用のほか、集中力を高める効果が期待できます。笑いは自律神経を刺激し、免疫力を高める作用があります。たとえば、説明を聞いて歌の名前を当てる「曲名当て」は、周りの人と一緒に声を合わせて歌うきっかけにもなります。昔を思い出し、楽しい気分を味わえるでしょう。また、適度な運動は体の血流を良くし、リフレッシュ効果があるとされています。無理のない範囲で運動と脳トレを同時に行えば、ストレスを発散することもできるでしょう。

コミュニケーションがとれる

脳トレには、計算やクロスワードなど一人で取り組むもの以外に、複数人のグループで行えるしりとり、クイズや指折り体操などがあります。大勢で楽しみながら取り組めば、最初はぎこちなかった雰囲気でも次第に打ち解け、コミュニケーションが図れるメリットがあります。考えながら声を出して答えるため、脳に良い刺激が加わるでしょう。


年齢を重ねると、定年や離職、家族や知人などとの離別などによって人間関係が狭くなり、人と関わる機会が少なくなりがちです。コミュニケーションをとる機会が少なくなると、健康を損なうリスクが高くなることがわかっています。介護施設などでは、周りの人と楽しい雰囲気の中で脳トレを行うため、コミュニケーションが図れ、脳の活性化につながるといえるでしょう。


脳トレはどんなときにできる?

脳トレは介護施設だけでなく、日常生活のなかでも手軽に行えます。読み書きや計算ドリルだけが脳トレではありません。それだけをひたすらやるのではなく、運動や周りの人とコミュニケーションをとりながら、五感を使って行うことが大切です。脳トレには、記憶力や注意力、空間認知力などを維持・向上するための問題が幅広くあります。以下、次の2つのパターンでできる脳トレをご紹介します。

日常生活の中でできる脳トレ

ここでは、日常生活の中でできる脳トレをご紹介します。自宅でも取り組める脳トレを目的別にまとめたので、参考にしてみてください。


記憶力を鍛える

・日記をつける

・クロスワード

・ナンプレ


物事を計画し成し遂げる力

・折り紙

・1日の予定を立てる


空間の状態を把握する力

・ぬり絵
・はり絵
・散歩


集中する力や複数のことに注意する力

・迷路
・違い探し
・点つなぎ
・マッチ棒テスト
・ストループテスト
※ストループテストとは、書いてある1つの漢字の色を答える問題です。例えば、赤い色で「青」と書いてあれば、答えは「あお」ではなく「あか」となります。


計算する力

・計算問題
・暗算問題


物事を正しく判断する力

・パズル
・お手玉


物事を考える力

・音読
・クイズ番組

介護施設などで行われる脳トレ

介護施設では、座ったままでもできる運動や数人で取り組める脳トレを行います。体を無理なく動かすことで脳が活性化され、さらなる効果が期待できます。


指折り体操

指先を動かすことで脳を活性化させます。
・数を数えながら、親指から小指まで1本ずつ曲げていく
・小指まで曲げたら、逆の手も同様に曲げていく


足踏み体操

手足を動かす全身運動です。つまずかないよう注意しましょう。
・筋を伸ばして立ち、太ももをなるべく高く上げるように足踏みする
・手は指先を伸ばし、後ろに引くように腕を真っ直ぐに振る


書き順バラバラ

漢字の書き順をバラバラにして漢字を当てるゲームです。
・1つの漢字を筆順とは違う順番でランダムに書く
・漢字を書き終わる前に当てる


歌クイズ

誰でも知っている歌の名前を当てるゲームです。
・ホワイトボードに歌の一節を書いて曲名を当ててもらう
・正解したら、用意しておいた音源を流して一緒に歌う


都道府県当てクイズ

各県の特徴に関するヒントを出して、都道府県を当ててもらうゲームです。
・各県の観光地や特産品などを考えておく
・各県の特徴の中からヒントを1つ出して当ててもらう

高齢者が脳トレを行うときに気をつけることは?

高齢者が脳トレを行うときに気をつけることとして、以下4つの点が挙げられます。


● ご本人の気持ちを傷つけない
● ご本人のレベルに合わせる
● 時間にゆとりをもつ
● 終わった後に記録をつける

脳トレは、楽しみながら進めることが重要です。これまで述べてきたように、脳トレにはストレス発散の効果があります。ご本人が楽しめず、逆にストレスが溜まってしまわないように配慮して行うようにしましょう。

ご本人の気持ちを傷つけない

高齢者が脳トレを行う際は、ご本人の自尊心を傷つけず、敬意を持って接する必要があります。脳トレは、正解することが目的ではありません。たとえ取り組む問題や内容が難しくて答えられなかったり、うまくできなかったりしても「あと少しで全問正解だったのに」「こんなに簡単な問題も解けなくなったの?」など、責めないことが大切です。落ち込んでしまうような対応は避けるようにしましょう。


例えば、計算問題に取り組んだ場合、点数で評価したり、他人と比較したりしない、といった配慮が必要です。もし答えが間違っていても指摘せず「こんなに難しい問題、私も解けないよ」「長い時間、よくがんばったね」と暖かく声をかけ、取り組みに目を向けることが大切です。自信を失ったり、自尊心が傷ついたりするのは逆効果です。脳トレを行うことで、得意・不得意な分野を知ることもできます。ご本人が得意な能力に合わせて毎日脳トレを行えば、自尊心の向上にもつながるでしょう。

ご本人のレベルに合わせる

高齢者が脳トレを行う際、ご本人のレベルに合わせることが大切です。まずは脳トレを行い、ご本人のレベルを知りましょう。脳トレの問題が難しすぎると、解けた場合は達成感を得られますが、解けない場合はやる気を失ってしまうケースがあります。その結果、問題を見ただけで取り組もうとしない場合もあるでしょう。その反面、簡単すぎてもつまらなく感じてしまう可能性があります。何度か脳トレを行ってご本人の意向を確認したり、取り組んでいる姿勢から判断したりして問題を選ぶのがおすすめです。


また、ご本人の性格によって問題を変えることも検討してみてください。一人でコツコツ取り組みたい性格であれば、計算やドリルなどがおすすめです。社交的な性格であれば、誰かと一緒に取り組めるものや、コミュニケーションをとりながら行える脳トレを選ぶと良いでしょう。こちらの意向で無理強いせず、ご本人が得意、やりたいと心から思える分野で、持っている能力を伸ばすことが大切です。

時間にゆとりをもつ

脳トレは、時間にゆとりを持って取り組むことで達成感が得られます。「◯◯分以内に解いてみましょう」「◯分までに終わらせましょう」など、速さや問題数、時間制限などを設定すると、苦痛やストレスを感じてしまいます。反対に、あまりに時間がかかりすぎると高齢者は飽きたり疲れたりしてしまいます。脳トレを行うことに楽しさを感じられなくなってしまわないよう、ご本人のペースに合わせた時間配分を心がけましょう。まずは、どのくらい時間がかかるのか想定し、脳トレのメニューや問題を選ぶようにします。まとまった時間が取れない場合は、短時間で行える脳トレを選ぶと良いでしょう。


また、脳トレは短期的に行えば良いわけではありません。毎日数分でもいいので、できるだけ継続して取り組むことで効果が期待できます。そのためには、ご本人に合わせた時間配分をし、楽しみながら取り組めるような脳トレを選びましょう。

終わった後に記録をつける

脳トレは、終わった後に記録をつけると効果的です。記録に残すことで、認知機能の状態や、ご本人の得意・不得意分野を把握するのに役立ちます。数値に残せないようなゲームやレクリエーションであれば、ご本人の様子を記録につけておきましょう。笑顔が増えた、楽しそうにしている、以前より自分から話すことが増えたなど、脳トレ効果の把握に役立ちます。今後の課題などを介護日記に書いて、次のレクリエーションで参考にできます。



まとめ

脳トレは認知機能低下の予防に効果があり、脳トレを行うことでストレス発散になったり、コミュニケーションを図るきっかけになります。計算や読み書きだけでなく、周りの人と一緒に行うグループワーク、運動を取り入れたものなど、脳トレにはさまざまな種類があります。ただ漠然とやるのではなく、継続的に取り組むことで効果が期待できます。1日数分でもいいので、ご本人が楽しみながら継続できるものを見つけて、毎日行うことが大切です。 脳トレは、手軽に行えるものばかりなので、ぜひご本人のペースや好みに合わせて日常生活に取り入れてみてください。


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