レビー小体型認知症はどんな認知症?
レビー小体とは、神経細胞にできる特殊なたんぱく質です。このレビー小体が、人の思考の中枢である大脳皮質や、自律機能を制御する脳幹に蓄積され、認知症が起こります。レビー小体が蓄積された場所では、神経細胞が壊れて減少しているため、神経で情報を上手く伝えられなくなり、様々な認知症の症状が出てきます。
レビー小体型認知症は認知症の発症数の中で3番目に多く、全認知症の5%程度と言われています。大きな特徴として、幻覚やレム睡眠障害などの症状が挙げられます。レビー小体型認知症についてみてみましょう。
レビー小体とは、神経細胞にできる特殊なたんぱく質です。このレビー小体が、人の思考の中枢である大脳皮質や、自律機能を制御する脳幹に蓄積され、認知症が起こります。レビー小体が蓄積された場所では、神経細胞が壊れて減少しているため、神経で情報を上手く伝えられなくなり、様々な認知症の症状が出てきます。
認知症の多くに共通した認知機能の低下による症状のほか、レビー小体型認知症では以下のような特徴的な症状がみられます。
幻視とは、あるはずのないものが見える「幻覚」のことを言います。一般的な認知症の症状のイメージを「物忘れ」と思っている方も多いですが、レビー小体型認知症は、物忘れよりも幻視が現れるのが大きな特徴です。初期の段階から、かなりはっきりした幻視が現れます。「ベッドに虫がいる」「部屋に知らない人がいる」「遠くにいるはずの息子が帰ってきた」などの訴えがあるでしょう。何もない場所に向かって話しかけている場合は、幻視が見えていると考えられます。
手先が不器用になった、歩きづらい、手が震える、動作が遅くなる、筋肉がこわばる、身体のバランスを取ることが難しいなど、パーキンソン症状が起こります。小股で歩くようになり、一旦止まってしまうと次の一歩が出にくい、顔の表情が乏しくなり、感情が読み取りにくくなるなどの症状がみられます。
これらの症状があると、転倒の危険性も大きいため、注意が必要になります。また、自律神経障害も起こりやすく便秘になりがちです。
頭がはっきりしている時とそうでない時や、正常に見えるときと様子がおかしい時が繰り返し起こります。日によって症状が良い時と悪い時があるのも特徴です。それを繰り返しながら症状が進行していきます。
徐々に症状が悪化していくアルツハイマー型認知症と違い、レビー小体型では、良い時と悪い時を繰り返しながら進行していくのです。調子の良い時があるかと思えば、翌日は何もできないこともあるので、周囲の人は「できる時とできない時がある」ことを理解して接する必要があるでしょう。
認知症では初期の頃から、不眠や昼夜逆転などの睡眠に関する問題が現れますが、そのほかレビー小体型認知症の特徴的な症状にレム睡眠障害があります。寝ているにも関わらず、暴れたり大声を出したりする症状です。けんかをする、追いかけるなどの悪夢を見ているときに起こりやすく、夢と合わせて身体が動いたり、恐怖から叫んでしまうのです。
初期の頃から抑うつ状態がみられます。何となく元気がなかったり、食欲がない状態で、はじめはうつ病を疑う方も多いようです。
レビー小体型でみられる幻視などの症状は、視覚を司っている後頭葉に病変が起こり、視覚に異常が起こるためです。視覚をつかさどる部位が侵され幻視につながるのです。脳の異変自体は、症状が出る前から起こっているといわれています。
本人の訴えを良く聞いて不安を取り除くことで、幻視の症状が軽減することもあります。薄暗い部屋では幻視が起こりやすい場合もあるので、部屋を明るくしておくことも大切です。
その他眼鏡や補聴器で聴力や視力を改善することは、幻視や転倒の機会を減らすことに役立ちます。
また、昼夜逆転してしまうと夜に幻視が現れたり睡眠障害を起こしやすいため、日中疲れ過ぎない程度に身体を動かし、夜にきちんと睡眠が取れるようにしましょう。
レビー小体型認知症を完治させる治療法は残念ながらまだありません。症状を改善するための投薬治療が中心となります。かつてはアルツハイマー型認知症に使用されてきた薬が、レビー小体型認知症にも効くことがわかり、現在使用されています。幻視などの精神症状に対する薬や、パーキンソン症状に対する薬も処方されます。いずれも必ず担当医師と相談しながら服用することが大切です。
参考文献
1) 日本神経学会:認知症疾患診療ガイドライン2017.医学書院,p237~240,2017.
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