国立研究開発法人国立長寿医療研究センター・予防老年学研究部長
島田 裕之先生
高齢者の認知症予防などを目指した健康増進に関する研究を行う。
専門はリハビリテーション医学、老年学。
早期発見のためには、現時点での認知機能の状態を把握することが重要なため、定期的な認知機能チェックが大切になります。現在はパソコン、タブレット、スマートフォンなどを使った自宅で気軽にできる認知機能のスクリーニングチェックの普及も進んでいるので、それらを上手く活用しましょう。
※自宅での認知機能チェックで認知症の診断はできません。
認知症やMCIは、進行が緩やかなこと、症状を老化によるものと勘違いしやすいことから、自分の認識と実際の進行具合に差異が生じやすく、自己チェックだけでの早期発見は困難です。そのため、より確実に早期発見を図るためには定期的に医療機関で認知機能検査や診断を受けることが推奨されています。不安に思うことがあれば、かかりつけ医などの医療機関へ、半年から1年に1度の頻度で受診しましょう。
早期発見には医療機関への受診が有効ですが、高齢者の方の中には認知症に対する漠然とした不安や恐怖から医療機関へ行くことを拒む方も多いのが現状です。認知症やMCIに関する正しい知識を伝え、診断を受けることの意義を理解してもらうことが大切になります。
認知症への不安や恐怖は
「知らない」ことに起因
正しく「知る」ことが
不安の払拭につながる
認知症の疑いを持ったときに不安を一人で抱えてしまうとネガティブな気持ちになり精神的に疲弊しかねません。まずは身近な家族、友人に相談して心にゆとりを作り、早めに専門家のもとを訪れることを心がけましょう。
各自治体に設置された地域包括支援センターでは、職員の方が認知症や介護に関するさまざまな相談にのってくれます。
※センターの設置数やサービスの内容は自治体ごとに異なる場合があります。