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介護スタッフと家族
2023.05.29

ケアスタッフより、家族介護者の方へメッセージ~第10回~

日々介護をするなかでは、「このやり方で正しいのかな」と疑問や不安を感じたり、「こんなふうにしてあげたいのに、うまくできない」と悩まれたり、葛藤したりされたりする瞬間があるのではないでしょうか。

お一人おひとりに応じておこなう介護の正解は、ひとつではありません。しかし他の方のケア事例から感じ取れるヒントやメッセージもあるかと思い、本コラムでは経験豊富なSOMPOケアスタッフが経験してきた介護エピソードをご紹介します。


今回のテーマ「認知症と料理」

今回ご紹介するのは、おひとり暮らしをされていた80代の女性(Aさん)。認知症の影響で以前のように自炊調理が難しくなり、健康面からも「料理の手伝いをしてほしい」と娘さんから依頼をいただきました

執筆者画像
SOMPOケア 東日本本部 北海道第2事業部  事業部長(介護福祉士) 秋保英里さん
訪問介護ひと筋12年、現在は札幌市内の一部および北見市・石狩市の事業所をまとめる事業部長さんです。家族がケアスタッフ従事者で、ご自身も「高齢者の方が好き」だったことから、看護助手からキャリアをスタート。お宅でリラックスした状態の高齢者の方にいろいろなお話を聞かせていただけることが訪問介護の魅力、と語られていました。

本音の意見にも、ひるまない

「彩りがきたないから食べる気がしない」

「茶色ばっかりね」

「いつも同じのばっかり」


これは私たちヘルパーが調理した食事に対し、Aさんがおっしゃった言葉のほんの一部です。Aさんは認知症の症状の進行もあり、本音を取り繕うことができず、思ったことをそのまま発言されることがしばしばありました。新しいヘルパーさんが入ると、特にその傾向が強かったように思います。強い言葉を投げかけられても「認知症の症状がそうさせているのだ」と理解し、こちらが苦手意識や恐れの感情を持ってしまわないことは、ケアをするうえでとても大切なことです。


Aさんの言葉で落ち込んでしまうヘルパーさんもいましたが、「そのうち打ち解けてくださると信じて、少しずつその人の世界に入っていこうよ」と度々伝えていました。「料理に対する率直な意見を聞ける機会は、意外と貴重だよね」「その場で『おいしそうね』と言って、あとで廃棄したり残したりされるよりも、考えようによっては良いと思わない!?」「忌憚のない本音が聞けたと思って、次につなげていこうよ」そんなふうにも声をかけていました。


明日も笑顔になれますように第9回「おむつへの抵抗感」

家族介護者にとって、排泄ケアは大きな負担になるケースが少なくありません。ケアをする側・される側どちらにも恥ずかしさがあり、それがイライラや口論につながり、大きな心身の負担になってしまうこともすくなくはありません。一人暮らしをされていた80代の女性Bさんも当初、排泄ケアに対する拒否が強かったのですが、徐々にスタッフを受け入れてくださるようになりました。介護スタッフがどのように信頼関係を築いたのかご紹介しています。

一緒にキッチンに入れるように

Aさんの依頼は離れて暮らす娘さんからでした。Aさんは認知症の影響で「毎日同じ時間に同じコンビニに出かけて、同じメニューを作って食べる」という習慣を繰り返しており、コレステロール値が上がってしまったそうです。栄養の偏りを心配され、私たちに「食事調理のサポートや薬の介助をしてほしい」とご依頼をいただきました。そうした経緯でケアに入り始めたのですが、Aさんは当初、非常に拒否が強く、玄関先で「結構です」とドアを閉められてしまうことが続きました。なんとかキッチンに入れていただけるようになってからも、「勝手に作ってください」と部屋に篭られることもしばしばありました。


しかしある日、ハート型のハンバーグを作ってお見せしたところ、「あら、かわいいわね」と喜んでくださり、その頃から少しずつ打ち解けてくださったように思います。ハート型の食事を「愛らしい」と思う心をお持ちなのだと思い、次の機会にはミッキー型のハンバーグを作ってみることに。このときも大変喜んでくださいました。

次第に、キッチンにも一緒に入ってくださるようになり、「この野菜を切っておいてもらえますか?」とお願いすると、手早くカットしてくださり「さすが人生の先輩、お上手ですね」などとお伝えすると、その次の機会にも喜んでお手伝いをしてくださるようになりました。


その後、認知症の症状が進まれ、最終的には施設に入られることになりましたが、お別れの際には「あなたのこと大好きなのよ」と仰っていただき、微力ながら良い関係を築くことができたかな、と感慨深いものがありました。



■関連記事

【認知症の方への対応】こんなときどうする?介護の心がまえと接し方

ケアスタッフからのアドバイス

毎日のように料理をしていた方でも、認知症になると味付けのしかたやレシピを忘れてしまうことは少なくありません。そのために味のバランスが取れない料理を作ってしまうこともありますが、それをあからさまに指摘してしまえば、ご本人の自尊心を傷つけてしまうこともあります。「作り方を忘れてしまった」という事実を周りに知られることは、恥ずかしい、隠したいという出来事です。

「どこがわからなくなっているのか」をそっと把握しながら、必要な部分だけをカバーして対応することが必要だと思います。「この味付け、私がしていいですか?」「お砂糖もっと入れますか?」などと質問しながら、自分たちが手伝う側、というスタンスを心掛けてみるのも一案です。


包丁の使い方などは体が覚えていらっしゃる方も少なくないので、ご本人ができる部分は積極的に手伝っていただき、やってくださったことに関しては、感謝や賞賛の言葉を積極的に伝えて差し上げると良いかと思います。



次回はSOMPOケアの「介護プライドマイスター」にも認定された坂上さんから、介護中のご家族のエピソードをご紹介します。




取材/外山 ゆひら ・ 下村 涼子(SOMPO笑顔倶楽部)  文/外山 ゆひら  


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