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2024.08.26

ケアスタッフより、家族介護者の方へのメッセージ~第23回~ 認知症で「独り歩き」がある方への対応

日々介護をするなかで、「このやり方で正しいのかな」と疑問や不安を感じたり、「こんなふうにしてあげたいのに、うまくできない」と悩まれたり、葛藤したりされたりする瞬間があるのではないでしょうか。


お一人おひとりに応じておこなう介護の正解は、ひとつではありません。しかし他の方のケア事例から感じ取れるヒントやメッセージもあるかと思い、本コラムでは経験豊富なSOMPOケアスタッフが経験してきた介護エピソードをご紹介します。


目次
・今回のテーマ:認知症で「独り歩き」がある方への対応
・「気づいたらいなくなってしまうかもしれない」認知症の母
・母を見守りながら日常生活を支援する
・穏やかに息子の帰り待つ母
・ケアスタッフからのアドバイス

執筆者画像
SOMPOケア郡山 訪問介護事業所 ケアマネジャー 田中華江さん
幼少期からおばあちゃん子だったこともあり、介護関係の仕事へ進むため福祉系の高校へ進学。高校卒業後に介護福祉士を取得し、特別養護老人ホームへ就職。20代での結婚を機に一旦離職。 30代になりジャパンケアサービス(現:SOMPOケア)へ、ホームヘルパーとして入職されました。当時はパートでしたが、半年で正社員となり、その後ヘルパーステーションの管理者に。訪問介護はひとりのお客さまに向けたケアができることが魅力、と語っています。

今回のテーマ:認知症で「独り歩き」がある方への対応

今回ご紹介するのは、田中さんがホームヘルパーとして関わった80代の女性(Aさん)のお話です。


Aさんは数年前にご主人が亡くなったころからアルツハイマー型認知症(※1)を発症し、現在は要介護3です。ご家族は独身の息子さんのみで、生活は2人暮らしでした。


息子さんはシフト制の仕事をしており、遅番で帰りが遅いと、Aさんが「息子が帰ってこない」と近所を探しまわってしまう状況。20時頃に近所の家のチャイムを鳴らしてしまうこともあったそうです。息子さんは介護に疲れており、ケアマネ経由でヘルパーステーションへご相談がありました。


(※1)アルツハイマー型認知症…記憶障害、判断力の低下、見当識障害などを中心に症状が出る認知症のひとつ。環境やご本人の性格などの要因が絡みあって出現する行動・心理症状(BPSD)が見られます。詳しくは下記の記事をご覧ください。

アルツハイマー型認知症とは/原因や症状、治療法について

認知症のおよそ7割を占めるといわれるアルツハイマー型認知症。誰しもが発症する可能性のある疾患ですが、早期に発見して治療を始めれば、進行を遅らせることができます。症状や原因、診断方法、治療、対応や介護、予防方法について解説します。

「気づいたらいなくなってしまうかもしれない」認知症の母

最初は息子さんからケアマネさんを通して私の所へ依頼がありました。息子さんはシフト制の仕事をしているため、遅番のときだけ訪問介護サービスを利用したいとご希望でした。


Aさんはデイサービスを18時まで利用していました。利用日が不定期になるため、ほかの訪問介護ステーションの対応が難しかったようです。ちょうど、Aさんが帰宅される18時から息子さんが帰宅される20時まで、対応可能なヘルパーが在籍していたため、ご依頼を受けることができました。


Aさんは、認知症がありますが意思疎通もしっかり図れていて、身体機能の低下はない方です。ヘルパーのことも覚えており、サービスの受け入れもよい印象でした。「息子さんからお願いされてきました」と話すと「あら、そうなのね」「座ってお話ししようか」と、ウェルカムに対応してくださいました。


また、記憶障害(※2)はあるようですが、お声がけをすれば家事もできます。たとえばお米を研ぐときは、「今お米をどれくらい入れているか忘れてしまう」ことはありますが、動作自体は「さすがベテラン!」といった感じで、手慣れたものでした。

(※2)記憶障害の症状については下記の記事をご覧ください。

【記憶障害とは】原因や種類と対処法について

この記事では記憶障害の原因や種類、それぞれの症状、治療法、さらに身近な人が記憶障害になったときにどう対応すればいいのか、などについて解説していきます。

母を見守りながら日常生活を支援する

息子さんがサービスを依頼した一番の目的として「遅番の時でも母が安心して自宅で待ってもらえるようにしたい」という思いがあったようです。


サービス介入まで、仕事で早めに帰れない日は同僚にお願いして、Aさんの様子を見に寄ってもらって、息子さんの帰りが遅い事をAさんが心配しないように、同僚からAさんに「息子さん遅番だからもう少ししたら帰るよ」と声をかけるようにお願いしていたようです。息子さんは、仕事仲間とはいえ、会社の方にそこまでお願いしていることに申し訳なさがあり悩んでいたようでした。


ちなみに、施設への入所は、Aさんが嫌がっているようでした。息子さんに理由を伺うと、「Aさんは家が大好きなので。訪問介護サービスを利用しながら、できるだけ自宅での生活を継続してもらいたい」と仰っていました。ただ、へルパーとしては「家にいるだけ」では訪問介護としてケアにならないので、ご本人の役割やできることを確認し、炊飯、洗濯、掃除をAさんと一緒にやるという形で落ち着きました。

穏やかに息子の帰り待つ母

ヘルパーと息子さんのやりとりはノートで行っていました。家にノートを置かせてもらって「今日は〇〇ができました」「今日は〇〇な様子でしたよ」とヘルパーが記載すると、息子さんからもお返事があって。「穏やかに母が待っていました」「笑顔でおかえりと言ってくれました」「すごく楽しそうにしていました」などのお言葉をいただいています。


もともとAさんご本人も「ひとりでいること」がすごく不安だったようで、初回訪問時も、夜間だったのですがひとりで草むしりをしていました。それを見て、こういうところを息子さんも心配していたのかと納得しましたね。息子さんも、Aさんが忘れないように置き手紙で「外に出ないようにしてくださいね」「今日は仕事で遅くなります」など配慮はしていました。


ただ、Aさんは字を読めてもしばらくするとそれ自体を忘れてしまうので、息子さんも困っていたようです。そこに我々が介入して、Aさんが不安なく笑顔で息子さんをお迎えできるようになったのは良かったかなと思います。


ケアスタッフからのアドバイス

私はスタッフにいつも「お客さまの立場で考えることが大切だ」と伝えています。たとえば「どういう声かけならケアに拒否がないか」「どういう声かけならご本人がうれしいか」を考えながら声をかけると良いと思います。また、ケアのポイントとして、「見守ること」を意識して訪問に入るようにと話しています。


ヘルパーはどうしても「やってあげすぎる」ことがあります。気持ちはわかるのですが、これは「ご本人ができることを奪ってしまう」ことにつながります。今回のAさんも認知症はありますが、日常生活動作は自立していました。自分のことは声をかけるとできます。たとえば、米とぎでも「これまで何十年もしてきたんだろうな」とわかるぐらい手際よく研いでいました。


また、Aさんは息子さんの洗濯物をするのもすごく好きな様子がうかがえました。息子さんは作業着を着るお仕事をされているのですが、Aさんの中で畳み方にこだわりがあるようで、「こうやってたたむと着やすくなるんだよ」とうれしそうに教えてくださいました。


私たち(介護者)は、ご本人のできることを奪わないように「お願いしてもいいですか」などお声がけするように気を付けています。


次回は田中さんがヘルパーとして関わった、糖尿病によりインスリン管理が必要になった80代女性のお話です。



取材/SOMPO笑顔倶楽部  文/藤本皓司

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