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2023.08.28

ケアスタッフより、家族介護者の方へメッセージ~第13回~

日々、介護をするなかで「このやり方で正しいのかな」と疑問や不安を感じたり、「こんなふうにしてあげたいのに、うまくできない」と悩まれたり、葛藤されたりする瞬間があるのではないでしょうか。

お一人おひとりの状況に合わせておこなう介護の正解は、ひとつではありません。しかし、他の方のケア事例から感じ取れるヒントやメッセージもあるかと思い、本コラムでは経験豊富なSOMPOケアスタッフの介護エピソードをご紹介します。


今回のテーマ「早期診断のメリット」

今回ご紹介するのは、おひとり住まいで「※レビー小体型認知症」になられていた70代男性(Dさん)。記憶障害、幻視、動作が遅くなり転びやすくなるパーキンソン症状などが現れる認知症ですが、ご本人に病気の認識がないことも特徴です。Dさんの場合もご家族が異変に気づかれ、ご連絡をくださいました。



※レビー小体型認知症については以下の記事にてご紹介しています。

【レビー小体型認知症とは】アルツハイマー病やパーキンソン病との違い|認知症の基礎知識

【代表的な認知症3】レビー小体型認知症

執筆者画像
SOMPOケア 北陸事業部 金沢笠舞 訪問介護事業所 介護福祉士 坂上 敦子さん
温泉施設に入浴に来ていた車イスの高齢女性の方が、ヘルパーさんと手を取り合って生活されている姿を見て、人に役立てる介護職にやりがいを見出し、介護の世界へ。そして「介護職を専門職として育てる」というSOMPOケアの方針に強く共感し、58歳の折に入社。61歳で介護福祉士の資格を取得。「人生経験があり、お年寄りの気持ちに寄り添えることが私の強み」と年齢を重ねたヘルパーならではの誇りを胸に、「若い世代が憧れを持って入ってきてくれる業界に変えたい」といった使命感も持って取り組んでいるケアスタッフさんです。

早期に服薬を開始し、適切なケアを受けるために

「レビー小体型認知症」はアルツハイマー型認知症と異なり、身体症状が先に現れることが多くあります。

Dさんの場合も、最初に出た症状は、「排泄の失敗」でした。物忘れなどはあまりなく、判断力もしっかりされているのに、トイレにだけ行けなくなっている。ご家族も不思議に思われたようで、早い時期に私たちに連絡をくださいました。前傾姿勢で、小刻みで少し危ない歩き方を されているDさんのご様子を見て「アルツハイマーならここまで排泄の失敗はないだろう」という見立てから、レビー小体型認知症を疑いました。そして一緒に病院に出向いたところ、正式な診断が出て、お薬も処方いただけるようになりました。


診断後は入浴をデイサービスに切り替え、家の掃除や衣類の洗濯など、できるだけ清潔な環境をつくるためのケアに入りました。その時点では介護度が低く、私たちがケアに入れる回数が限られている状況でしたので、排泄に関してはリハビリパンツを履いていただき、パッド交換などをしながら対応していきました。


そのうちに、ご自身宛の郵便物を見てもわからなくなったり、現役時代を思い出して「あの仕事の始末をしなきゃ」「銀行に行って残高確認をしてくる」「請求書を払わなきゃいけないんだ」とおひとりで外出されて転倒してしまったり、といった症状の進行が起こり始めました。そしてお洋服の着替え方がわからなくなり、脱いだものを放置したり、私たちからお声がけをしないと着替えなくなってしまったり、という症状も表れました。

「レビー小体型認知症」は他の認知症と比べて進行が早い、という特徴もあり、男性のほうが女性よりも発症しやすいことが知られています。Dさんもかなり進行が早かったため、しばらく在宅ケアを続けたのちに施設入所が決まりました。


明日も笑顔になれますように 第12回「自責の念で悩まれているご家族へ」

一人暮らしのお母さんが心配ではありましたが、電話をすると「大丈夫よ」と言われるため、同じ県内には住んでいましたが仕事が忙しい事を理由に頻繁に帰っていませんでした。ある時、お母さんの変化に気づき病院を受診したところ、「前頭側頭型認知症」と診断を受けました。アルツハイマー型認知症のように、物忘れなどの記憶障害はほとんどみられない特殊な認知症ということもあり、気づいた時にはかなり進行が進んでおり、娘さんは「私がもっと会いに行っていたら」とご自分を責めていました。


ケアスタッフからのアドバイス

福祉制度のもとでは、正式な診断名が付いて初めて、ヘルパーによる訪問介護や施設入所を含め、より多くの介護サービスを利用できるようになります。認知症の進行緩和に一定の効果があると言われる漢方薬なども処方してもらえるので、お薬をもらえるだけでも、診断には大きな意味があると思います。診断名が付いても、ご本人はなかなか認めたがらないかもしれません。仮にそうだとしても、まったく問題はありません。周りのご家族さえ正式な病状をわかっていれば、「じゃあここからどうしようか」ということを、専門家を含めて話し合うことができ、適切なケアを考えられます。


「物忘れ外来」を受診することを嫌がれる場合は 、時には嘘も方便。「80歳以上になったら、みんな1年に1回行くことになったんだよ」「一緒に予約しちゃったから、兄弟で一緒に見てもらおうよ」などと、ぜひご家族や親戚の皆さんから働きかけてあげてください。健康診断のときに「ついでだから、こっちの課も行っておこうよ」と手を引いて誘導してみるのも一案です。


Dさんも早々に正式な診断名が付いたことで、ギリギリまでご自宅で過ごすためのお手伝いをさせていただくことができました。少しでも様子がおかしいと感じたら、先延ばしにせず、早めに病院へ足を運んだほうが、結果的にご本人や周囲のプラスになることが多い、ということはぜひ知っていただけたらと思います。


※今回お話を伺った坂上さんは、2022年に介護プライドの精神をもったケアスタッフを認定する、SOMPOケア独自の制度「介護プライドマイスター」にも認定されました。

介護プライドマイスター制度についてはこちらの外部サイトをご覧ください。https://www.sompocare.com/kaigopride/




取材/外山 ゆひら ・ 下村 涼子(SOMPO笑顔倶楽部)  文/外山 ゆひら  

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