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おじいちゃんと主治医と看護師
2023.03.27

【脳梗塞と認知症の関係】軽い症状や後遺症なしでも、脳はダメージを受けている?

脳梗塞はよく耳にする病名ですが、どのような症状が出るのか、認知症へと進むのかなどの疑問をもつ方も多いのではないでしょうか。


脳梗塞は血管が詰まることで起こる脳血管障害で、血管が破れて出血する脳出血とは違います。脳梗塞の初期症状を知っていると素早く判断でき、すぐに治療を始められるでしょう。脳梗塞には軽度から重度まであり、症状や後遺症などはさまざまです。


脳梗塞の詳しい症状や脳梗塞と認知症の関係などを知りたい方は、ぜひ最後までお読みください。




目次
・脳梗塞とは
・脳梗塞の前兆や初期症状
・脳梗塞の症状を起こしやすい人の特徴
・軽い脳梗塞の症状なら後遺症がないことも
・脳のダメージでおこる脳血管性認知症の症状
・脳梗塞の症状は生活習慣を改善して予防する
・まとめ

執筆者画像
【監修】医療法人社団 赤坂パークビル脳神経外科 菅原クリニック 東京脳ドック 院長 伊藤たえ先生
脳神経外科、脳卒中専門医として、脳ドック、頭痛、認知症、頭部外傷、脳卒中などの診療に励む。患者様が安心でき、笑顔になれるよう丁寧な説明がモットー。

脳梗塞とは

脳梗塞は脳の血管に血栓が詰まったり血管が狭くなったりすることで、その先に血液が流れなくなる疾患です。梗塞を起こした先には酸素などの栄養素が運ばれないため、その部分は壊死してしまいます。急に発症し、症状の進行が早いのは脳梗塞の特徴です。脳梗塞で血液の流れが悪くなると脳細胞が減るため、認知症に進行するリスクもあります。


梗塞が起こった場所によって、片側の手足の麻痺やしびれ、いつものように話せない、意識障害が起こるなど、さまざまな症状が出ます。軽度から重度まで症状により異なる後遺障害が残るのも特徴です。脳出血と脳梗塞は混同されやすいですが、脳内の血管が破れて出血するのは脳出血で、血管が詰まる脳梗塞とは区別されています。脳梗塞は脳血管障害のなかでも比較的大きい割合を占めていて、主に3つのタイプがあります。


1.アテローム血栓性梗塞

2.ラクナ梗塞
3.心原性梗塞


アテローム血栓性梗塞は脳内の太い血管が詰まる疾病です。対して、ラクナ梗塞は細い血管が詰まるものです。心原性脳塞栓症では、心臓の血管にできた血栓が体内に運ばれて血管が詰まります。

脳梗塞の前兆や初期症状

脳梗塞には前兆や初期症状があるので、普段から注意して体調の変化を見逃さないことも大切です。前兆や初期症状が見られた場合、早期に適切な対処をすれば脳梗塞を予防できます。


脳細胞が死滅してしまうと、その部分の運動や言語などの機能に障害が出る可能性があります。脳へのダメージを少しでも減らすには、前兆を見逃さずに素早く対応することが大切です。脳梗塞からの認知症でもほかの認知症と同様に認知機能に障害が起こるため、早期の受診は認知症のリスクを減らすことにもつながるでしょう。ここでは、以下の4つの前兆や初期症状について説明します。


・運動の障害
・言語の障害
・感覚の障害
・視力の障害

脳梗塞の症状

・運動の障害

脳梗塞による運動障害は、血管にできた梗塞の状態によって異なります。「片麻痺」は体の片側が急に動かなくなるもので、左右どちらかの手足が突然動かなくなる障害です。両手を上に挙げると片方だけが下がってしまう、どちらかに力が入らない、といった症状が多く見られます。顔の片麻痺の場合は、顔の半分がゆがむ、口が閉じない、目や眉を動かせないなどが脳梗塞による運動障害の目安です。ほうれい線に偏りがないか、どちらかの口角が下がっていないかなども確認しておきましょう。 


他にも、傾いてしまいまっすぐ歩けなくなる、物をうまくつかめずに落としてしまうなどの症状も見られます。また血管性の脳梗塞による認知症では、認知機能以外に歩行障害や手足の麻痺などの症状がでることもあります。 それまで問題がなかった箸使いや字を書くのに苦労するなどがあれば、一度は脳梗塞を疑ってみると良いでしょう。


・言語の障害 

脳梗塞の症状には言葉の障害も多く見られます。脳梗塞で言語をつかさどる神経がダメージを受けた、舌の筋肉が麻痺したなど、言葉の障害の原因はひとつではありません。脳梗塞が起こると、それまでは問題なく会話できていたのに言葉が出てこない、ろれつが回らないなどさまざまな症状が出てうまく話せなくなります。おうむ返しや同じ言葉を繰り返す、相手の言葉が理解できないなども脳梗塞の障害のひとつです。

脳梗塞によって失語症など言葉の障害が出てしまうと、それまでのように自分の言いたいことを相手に伝えられなくなります。また、言葉は出ても口自体が思うように動かせないと、言いたいことがうまく伝わりません。脳梗塞から認知症になった場合にも、このような言語障害がみられます。


・感覚の障害 

脳梗塞や認知症に進行した場合の運動障害のなかには感覚の異常もあります。主に感覚に関連する脳血管に梗塞が起こったためで、なかでも多いのは片側の手足に生じる感覚障害です。例えば、手足の痺れや手足を何かにぶつけても痛みをあまり感じないなどがあります。何かに触れたり握ったりしても手の感覚がない、入浴中にお湯の熱さを感じないなどがあれば、脳梗塞による運動障害の可能性も疑われます。脳梗塞では、痺れなどの違和感を放置していると症状が進行してしまうこともあるため、いつもと違う症状が出たら早めに受診するようにしましょう。脳梗塞による障害には、血流が戻って一時的に症状がなくなることもあります。症状がなくなると安心しがちですが、近年では発症直後からの正しい診断や治療が大切と考えられています。


・視力の障害 

脳梗塞によって視覚障害が起こると、片方の視力が急に低下することもあります。片方の視力が急に低下することで物が二重に見えるのが、複視という症状です。片方の目で見たときに、見える範囲が狭まってくることもあります。片目の視力が急に落ちた場合、暗く見えるケースだけでなく白くなることもあり、見え方に差がある点にも注意が必要です。また、目の障害で気を付けたいのが見える範囲が半分程度になる視野障害です。視野の半分が見えにくくなると、見えない側にある物にぶつかってケガをする可能性もあります。ただし、目をはじめとする障害については脳梗塞以外の原因で起こることもあるため、受診して専門医に原因を特定してもらうようにしましょう。


脳梗塞の症状を起こしやすい人の特徴 

脳梗塞は誰にでも起こりうる疾患ですが、とくになりやすい方もいます。そもそも、脳梗塞は血管が詰まることで起こる疾患です。そのため、高血圧などの慢性疾患がある人は合併症として脳梗塞を起こすリスクも抱えています。このほかに肥満やストレスも脳梗塞になりやすいので、ご自分が脳梗塞になりやすいのかを知ってから対策をしましょう。ここでは、脳梗塞になりやすい人に見られる以下の3つの特徴について紹介します。



・慢性疾患がある人
・肥満の人
・ストレスを受けやすい性格の人

脳梗塞の症状を起こしやすい人

・慢性疾患がある人

高血圧や糖尿病、心房細動などの慢性疾患がある人は、ない人よりも脳梗塞のリスクが高くなります。慢性疾患のなかでも高血圧は脳梗塞を引き起こす可能性が高いと考えられています。高血圧は脂質異常症や喫煙、過剰飲酒などによって発症しやすい疾患です。脂質異常症では血管が固くなり詰まりやすくなる動脈硬化を引き起こし、血栓ができやすくなって脳梗塞を起こします。糖尿病は、血液の糖分濃度が高くなり高血糖値が続く疾患です。血糖が高い状態が続くと、血液のなかにあるブドウ糖が血管の壁を損傷するなどして動脈硬化が進みます。不整脈のひとつである心房細動は、心房が細かく動いて麻痺し血液が滞りがちになる慢性疾患です。心房内に血栓ができて動脈に流れると、心原性脳塞栓症と呼ばれる脳梗塞を引き起こすリスクもあります。


・肥満の人

肥満の人は、適正体重の人よりも脳梗塞を起こしやすいので注意が必要です。肥満で内臓脂肪が多いと血栓ができやすくなります。血栓が脳の血管内に流れると、血管が詰まる大きな要因になるのです。脳血管が詰まったり血管が狭まったりすると動脈硬化や脳梗塞を引き起こします。肥満によって起こる脳梗塞は「アテローム血栓性脳梗塞」という病名です。肥満のなかでも、内臓脂肪型肥満になると動脈硬化が起こりやすくなります。これは、内臓に脂肪が溜まることで血栓を起こす物質が増えるからです。一方、脂肪細胞には動脈硬化を抑止する物質を分泌する能力もあります。しかし内臓脂肪が溜まると分泌が減ってしまうため、内臓脂肪型肥満は脳梗塞になりやすくなるのです。


・ストレスを受けやすい性格の人

完璧主義や忙しくてストレスを溜めやすい人は、脳梗塞になりやすいといわれます。同じストレスを受けても、実際には性格によって感じ方はさまざまです。ストレスを上手に発散できる人なら問題ありませんが、溜めてしまうと健康にも多大な影響があります。すべてを完璧にしたい人は、少しでも思い通りにならないとストレスが溜まっていき自分を責めることもあるでしょう。 ストレスを感じると、副腎からストレスホルモンが分泌されて自律神経の働きが活発になります。その影響によって心拍数が急増し、血圧も上昇します。その場合、血管が狭まるなどして脳梗塞のリスクが高まるのです。 ストレスがいくつも重なっているような場合、とくにストレスを受けやすい傾向のある人は脳梗塞への対策や予防を心がけましょう。

軽い脳梗塞の症状なら後遺症がないことも


一口に脳梗塞といっても、軽度から重度まで症状には違いがあります。軽い脳梗塞の場合は、一時的に脳への血流が途絶えた状態です。何らかの初期症状が出ていても、途絶えていた血流が復活すれば後遺症はなく完治できます。たとえ後遺症が残ったとしても、日常生活に支障がない程度の症状になるケースが多いようです。ただし、脳の血管が詰まったままの状態が長く続くほど、後遺症も重くなる可能性があります。


近年では、脳梗塞は早い段階で適切な治療を受けると予後が良くなることがわかってきました。何らかの症状が表れてから治療を受けるまでの時間は短いほうが、後遺障害の残るリスクは少なくなります。そのため、軽い症状のうちに医療機関を受診して治療を受けることが重要です。軽いからとあまり気にすることなく放置していると、重度の発作が起こってしまう可能性もあります。気になる症状があれば、できるだけ早く受診するようにしましょう。医療機関を受診すると、必要であればできた血栓を溶かす治療や取り除く治療が行われます。どちらも発症後数時間以内に行う治療で、その後は検査や薬の投与、リハビリテーションなどに移行するのが一般的です。


脳のダメージでおこる血管性認知症の症状


脳梗塞になると、ダメージを受けた箇所によっては血管性認知症になる可能性もあります。血管性認知症は、血管の異常で起こる脳梗塞などが原因で発症する認知症です。脳梗塞など血管性の疾病で血管が詰まると、血液が流れなくなった部分の脳細胞は死滅しもとに戻ることはありません。そのため、たとえ軽い脳梗塞でも記憶力や認知機能が低下して認知症になるケースもあります。


血管性認知症は若い世代にも見られるので、アルツハイマー型認知症などほかの疾病と間違えられることもある点には注意が必要です。正しい病名を知るためには、前兆が起こってすぐの適切な時期に専門医への受診が必要です。血管性認知症になると、ほかの認知症よりも分野別の認知機能障害の差が大きくなりやすいという特徴もあります。血管の障害でダメージを受けた箇所と正常な個所があるため、急に認知の症状が表れるときと、普段と変わりない時期を繰り返すことが多くなります。


ただし、運動や言語の障害、排尿障害などの症状は、ほかの認知症とあまり変わりありません。血管性認知症にならないために、脳梗塞など脳血管障害の発症や再発を防止していきましょう。慢性疾患があれば症状によっては血液の流れを促進する薬を使うなど、適切な治療を受けることも大切です。

血管性認知症についての詳細は、こちらの記事(血管性認知症とは? 症状や初期~末期症状までの変化を解説)をご覧ください。


脳梗塞の症状は生活習慣を改善して予防する

脳梗塞は、生活習慣を見直しより良く改善することで予防できます。毎日何気なく行っている生活習慣で、知らずに血管障害を引き起こす要因があるのかもしれません。ここでは、食生活や運動の習慣など、脳梗塞を予防するため以下の生活習慣について説明します。生活習慣は少し意識するだけで変えられます。毎日少しずつ積み重ねることで脳梗塞の予防ができるでしょう。


・食生活の改善
・運動を習慣化する
・喫煙をやめる

脳梗塞の症状を防ぐ方法

・食生活の改善

脳梗塞の予防には、毎日の食生活で血液の流れを悪くする食材を食べ過ぎないことが大切です。例えば、悪玉コレステロールを増やす肉の脂身や乳脂肪、即席麺、スナック菓子などの食べ過ぎには注意が必要です。血液の流れを良くする食材には、青魚や野菜、大豆、果物、海藻類などがあります。青魚には血液をさらさらにするEPAと呼ばれる成分が含まれているのでとくにおすすめです。水分が不足すると血液がドロドロになるため、意識してこまめに水分補給をすることも大切です。


アルコールは利尿作用があり、水分を体外に排出します。過度な飲酒は脱水症状が起こりやすくなります。適度な量にして水分も意識して摂るようにしましょう。また、高血圧の予防には塩分を摂り過ぎないことも大切です。酢や香辛料などを取り入れるようにすれば無理なく減塩できます。


・運動を習慣化する

脳梗塞の予防には、無理のない運動を習慣化することも大切です。運動する習慣がないと、食べ過ぎた分のカロリーを消費しきれません。余ったエネルギーは、脂肪として徐々に体に蓄えられていきます。肥満になってしまうと糖尿病や脂質異常症などの疾病にかかりやすくなり、高まるのが脳梗塞へのリスクです。

運動をすると、悪玉コレステロールを減らすことや、血流が良くなって血管を強くするなどの効果が期待できます。運動を習慣化するなら、いきなり長距離を走るなど体への負担が大きいやり方は避けましょう。ウォーキングや簡単な筋トレなどからはじめて、長く続けられる適度な運動にするのがおすすめです。運動を習慣化すると、脂肪燃焼効果によって脳梗塞の予防が期待できます。


・喫煙をやめる

脳梗塞の予防には禁煙も効果的です。喫煙者は禁煙者と比べると脳梗塞の発生率が高いことがわかってきました。喫煙者は、男性1.3倍程度、女性2.0倍程度の倍率で脳梗塞などの脳卒中になりやすいというデータもあります。(参考:国立研究開発法人 国立がん研究センター)さらに、40本以上を喫煙しているヘビースモーカーの場合は、タバコを吸わない人の2倍程度リスクが高まるとされています。

有害な成分があるとされるタバコには、血管を狭めたり動脈硬化を進めたりする成分も含まれています。脳梗塞などの血管障害を予防するには、タバコの害を再認識して喫煙をやめることが大切です。 とはいえ、習慣化している喫煙を辞められない場合もあります。近年では禁煙外来があり、医師からの専門的なアドバイスや治療を受けられるのでぜひ活用しましょう。


まとめ

脳梗塞は血管が詰まるなどして起こる脳血管障害で、発症すると後遺症が残る可能性もあります。慢性疾患がある人や肥満の人、ストレスを受けやすい人など、脳梗塞になりやすい傾向の人がいるのも特徴です。脳梗塞による運動障害では手足の片麻痺が多く見られ、歩行困難などの障害が表れます。また、ろれつが回らないなどの言語障害や感覚が鈍くなる障害も起こりやすくなります。

脳梗塞には上記で解説した特有の前兆や初期症状があるので、少しの違和感でも見逃さずに適切な治療を受けることが大切です。軽い症状の場合、早期に対処することで後遺症のリスクは低減できます。。まずは気になる生活習慣があれば見直して、食生活や運動の習慣を改善し脳梗塞予防に努めるようにしましょう。


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