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2022.05.16

46歳で若年性認知症と診断された男性と、それを見守る妻の書籍『記憶とつなぐ』発売

日本における65歳以上の認知症の人の数は年々増加しており、2025年には高齢者の5人に1人が認知症になると予測されています(※1)。このような背景から「認知症=高齢者の病気」と思われがちですが、30代40代でもかかることがあり、65歳未満で発症すると「若年性認知症」といわれます。全国の若年性認知症患者の数は約37,800人(2009年3月発表)(※2)で、認知症高齢者と比べると少ない数ですが、誰がいつ発症してもおかしくない身近な病気です。


※1 厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」より

https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_recog.html

※2 厚生労働省「若年性認知症ハンドブック(改訂版)」より

https://www.mhlw.go.jp/content/000521132.pdf


若年性認知症についての詳細はこちらの記事をご覧ください。

若年性認知症(若年性アルツハイマー)とは? 原因や症状、治療法を紹介



双葉社から発売された『記憶とつなぐ 若年性認知症と向き合う私たちのこと』は、46歳で若年性アルツハイマー型認知症と診断された夫と、それを見守る妻が診断から現在に至るまでの心境とともに、認知症をとりまく現在の状況が綴られた書籍です。


京都市の下坂 厚さんは46歳の夏、アルツハイマー型若年性認知症の診断を受けました。簡単な計算を間違えたり、家に忘れ物をしてきたり、なんだかおかしいな……ということが少しずつ増え、もの忘れ外来を受診。「病名を聞いたときは、比喩でなく、本当に目の前が真っ暗に……」なったと言います。


診断後、働いていた鮮魚店を辞めて塞ぎ込んでいた下坂さんを、妻の佳子さんは見守り続けました。そんな絶望の淵に光がさします。認知症当事者を支援する団体との出会いをきっかけに、下坂さんは介護施設でケアワーカーとして働き始めます。そして、現在は認知症について広く知ってもらうための啓蒙活動にも尽力しています。


また、診断後はカメラにふれることすらできなかったという趣味の写真撮影も再開。日々SNSなどで発信しながら、写真展を開催するまでになりました。2022年5月には、京都市内の書店にて、書籍発売を記念した写真展を開催する予定です。


撮影:下坂 厚

「ぼくが認知症の当事者として生きるようになってから、3度目の冬を過ごしています。ぼくは今、毎日元気に働いています。趣味の写真撮影も楽しみながら続けています。認知症の啓蒙活動も積極的に行っていて、全国にかけがえのない大切な仲間ができました。認知症になったからこそ手にすることのできた素晴らしいものが、今のぼくにはたくさんあります。

『認知症は怖い病気』『認知症になったら終わり』というイメージを、ぼくの生き方を通して、少しでも明るいほうへ変えていけたら嬉しいです」(下坂さん)


認知症と診断されてからどんなことに絶望し、救われ、どのような日々を過ごしてきたか、そしてなぜ今のようにポジティブにものを考えられるようになったのか―――。当事者とその家族の視点から、包み隠さずに記した一冊になっています。


著者近影 撮影/安彦幸枝


【著者プロフィール】

下坂 厚(しもさか あつし)

1973年、京都府出身。2019年に46歳で若年性アルツハイマー型認知症を発症。それを機に、仲間とともに開業した鮮魚店を退社。現在は、介護施設にケアワーカーとして勤務。そのかたわら、「同じ病気を患う人のために、社会に足りないことを伝えたい」と、SNSや講演活動などさまざまな形で情報を発信している。「なかまぁる Short Film Contest 2020」オーディエンスアワード受賞。


下坂佳子(しもさか よしこ)

1964年、京都府出身。ホームヘルパーとして働きながら、若年性アルツハイマー型認知症を発症した夫を見守る。

『記憶とつなぐ 若年性認知症と向き合う私たちのこと』


著者:下坂 厚、下坂佳子

定価:1,650円(税込)

出版:株式会社双葉社

■Amazon販売ページはこちら:

https://www.amazon.co.jp/dp/4575317128


下坂さんの過去のインタビュー記事はこちら

【若年性認知症当事者 下坂厚さんインタビュー】大好きな写真で、認知症当事者として今の思いを発信

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