公益社団法人 認知症の人と家族の会が発行する会報誌『ぽ~れぽ~れ』より、介護初心者の悩みに応える記事「”つどい“は知恵の宝庫」をご紹介します。
今回の内容は、ひとり暮らしのお母さまから会うたび嫌なことを言われるため、お母さまに会いたくないと思われていらっしゃる娘さまへ、介護職員など5名がアドバイスをします。
公益社団法人 認知症の人と家族の会が発行する会報誌『ぽ~れぽ~れ』より、介護初心者の悩みに応える記事「”つどい“は知恵の宝庫」をご紹介します。
今回の内容は、ひとり暮らしのお母さまから会うたび嫌なことを言われるため、お母さまに会いたくないと思われていらっしゃる娘さまへ、介護職員など5名がアドバイスをします。
ひとり暮らしの母(85歳 要介護1)は1年位前から物忘れがひどくなり、通帳やキャッシュカードを何度もなくすので、母と相談して預かることにしました。しかし、母は私がお金を盗ったと言って泥棒呼ばわりをしたので、現在は近くに住んでいる弟に通帳などを預かってもらっています。病院でCT検査をしましたが、脳の萎縮は年相応としか言われていないとのことなので、ケアマネジャーの勧めで認知症専門医を受診する予定です。母に会うと嫌なことばかり言われるので、イライラして言い争いになってしまい辛いです。今は母に会いたくないです。 (相談者:60歳代・娘)
嫌なことばかり言われてお辛いですね。私の母も同じでした。言われたことをまともに受けとめてしまっていた時は精神的に追いつめられていました。そんな時、私の話を親身になって聴いてくれる先輩介護者の存在に救われました。弱音や愚痴を「きちんとこぼす」ことも、認知症の介護にはとても大切です。今はお母様と無理に会わなくてもいいと思いますよ。少し距離を置いてみましょう。
川崎幸クリニック院長杉山孝博先生は『もの盗られ妄想は認知症の症状のひとつであって、より身近な人に対して症状はより強く出る』(注1)と言っています。お母様はあなたを一番頼りにされているのだと思います。そうは言っても、家族が認知症という病気を受け入れ、うまく対応できるようになるまでには時間がかかるものです。専門医に受診し確定診断を受けることも、割り切るためのひとつの方法だと思います。
会いたくないと思いながらも、お母様のことは心配ですね。デイサービスやヘルパー等の介護保険のサービスを利用し、お母様に寄り添い、暮らしの様子を見てくれる人を増やしましょう。まだまだお元気なお母様はサービス利用を嫌がるかもしれませんが、認知症初期集中支援チーム(注2)に対応してもらえるようケアマネジャーや地域包括支援センターに相談してみましょう。
アンガーマネジメント(注3)では「じっと6秒間我慢をする」ことが怒りをしずめるのに効果的だとしています。イライラしてもまずはぐっとこらえ、怒りの原因についてメモしたり、10段階で点数をつけ客観的に分析することで心に余裕ができてきます。でも、家族は今までの関係性もあって、第三者のようになかなか冷静になれないものです。イラッとした時はその場を離れる等の工夫も必要かもしれません
弟さんはお母様の物忘れのことをどう思っているのか聞き、現状が共有できているのか確認してみましょう。今後いろんな場面で家族が判断しなくてはいけないことが出てくると思います。金銭管理を含め、姉弟で協力してお母様の今後の暮らしを支えていけるよう話し合いが必要だと思います。あなたがひとりで背負わないようにしましょう。
注1)杉山先生がまとめた「認知症をよく理解するための9大法則・1原則」の中の第2法則
注2)認知症と疑われる人を早期の段階で支援する専門家チーム。必要に応じて適切な医療・介護サービスに繋がるよう支援する。
注3)怒りの感情と上手に付き合うための「心理教育・心理トレーニング」
※この記事は『ぽ~れぽ~れ』(発行元:公益社団法人 認知症の人と家族の会)2021年10月号より抜粋したものです。
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介護をしていると、日々、さまざまな悩みが出てきます。家族に対する対応、症状の変化、お金のことなど、介護をしているなかで発生する悩みに対して、それぞれの分野の専門家からアドバイスを伺いました。
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