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化粧と脳の関係性に関するイメージ画像
2024.06.21

化粧と脳の関係性【資生堂の化粧療法に学ぶvol.2】

化粧は、身だしなみを整えるだけでなく、心身にもさまざまな影響を与えます。


本連載企画は、株式会社資生堂にて、化粧療法の研究を行っている池山さんにインタビューを実施。化粧による効果を「心」「脳」「身体」「口腔」の4つの視点でご紹介します。


第2回目の本記事では、資生堂の化粧療法の特徴と化粧による「脳」への影響をお届けします。


過去の記事はこちら

化粧と心の関係性【資生堂の化粧療法に学ぶvol.1】


目次
・資生堂の化粧療法の特徴
・化粧が脳に与える影響
・脳への刺激を高めるメイクのポイント

執筆者画像
池山和幸さん
医学博士・介護福祉士・日本口腔ケア学会認定口腔ケアアンバサダー 専門は化粧療法学。三重県生まれ。京都大学大学院医学研究科にて学位(医学)取得。大学院在学中に介護福祉士の資格を取得。2005年資生堂に入社後、化粧療法研究に従事。著書には、『「粧う」ことで健康寿命を伸ばす化粧療法(クインテッセンス出版)』、『装いの心理学(北大路書房)』(分担執筆)、『化粧の力の未来(フレグランスジャーナル社)』(分担執筆)がある。 現在、資生堂ウェブサイト「化粧療法研究室」にてブログ公開中! https://corp.shiseido.com/seminar/jp/labo/index.html

資生堂の化粧療法の特徴


――前回の記事では、資生堂さんの化粧療法の歩みを教えていただきました。今回は、化粧療法プログラムの特徴を教えてください。


資生堂の化粧療法の特徴は、自立支援であることです。周囲のスタッフや介護士がするのではなく、ご自身で行っていただくことを重視しています。自分ですることで、普段使わない筋肉を使うことにつながり、残存機能を引き出すことにつながります。


――周囲の環境づくりも重要なのですね。


年齢を重ねても、若いときに化粧をしていた記憶は残っていますから。過去に毎日習慣として行っていたことを、またできる環境を整えてさえあげれば、スタッフが全介助する必要はありません。むしろサポートするというスタンスでいたほうが、継続しやすく自立支援にもつながるのです。


――サポートをする際にどんなことを意識していますか?


化粧のやり方に対しては特にアドバイスしておりません。ただ、「スキンケアをするきっかけ」になるような声掛けをします。化粧療法に必要なのは、美容テクニックではなくコミュニケーション能力です。ご本人が気持ちよく化粧ができるような声掛けをすることが大切です。


――化粧教室では、どのような手順で行っていますか。


資生堂の化粧教室では、スキンケア・メイクアップ道具を一式ご用意し、お一人ひとりの前に並べるところから始まります。その後、化粧品の香りを嗅ぐ→指を動かす→手や顔を拭く→スキンケア→メイクをする、といった大まかな流れは予め決めています。


しかし、ご本人のスキンケアやメイクの方法に細かなアドバイスするということはあまりしていません。ご本人のやり方が正解だと思っていますので。


―― 1対1で行うのでしょうか?


グループレッスン方式として複数人で行うようにしています。メイクに関する会話も脳への刺激になるため、各テーブル3〜5人で、お互いに会話をしながら実施します。「この色の口紅いいわよ」などと話すと、「それ試してみようかしら」などと新しいことへの挑戦のきっかけにもなります。


化粧が脳に与える影響

化粧動作と脳への影響の流れ

脳の刺激と影響のイメージ図

(参照:https://corp.shiseido.com/seminar/jp/labo/

――ここからは、化粧による「脳」への影響を詳しく伺えればと思います。化粧の一連の動作と脳の関係は、具体的にどのようなものでしょうか。


化粧の行為自体は、味覚以外の感覚を刺激するものです。


● メイク道具の色を選ぶ→視覚を刺激
● スキンケア商品の香りを嗅ぐ→嗅覚を刺激
● 化粧水の温度やテクスチャーを肌で感じる→触覚を刺激
● 肌を整えることによって、周囲の人から「きれいね」などと声をかけられる→聴覚を刺激


このように、化粧の一連の流れは、脳にさまざまな刺激を与えます。


――この一連の動作は、脳のどの部位と関わっているのでしょうか。


化粧の一連の流れのなかでは、手順や仕上がりを想像して、「何を使おうか」と考えながら化粧品を選びます。その過程で、「好み」や「自分に合っているか」などを考えるでしょう。この一連の考える動作は、脳の前頭前野を使うことにつながっています。


化粧療法プログラムでは、事前に「どうなりたいか」を問いかけることで、思考を促すことも行っています。


――「思考を促す=脳への刺激」につながりますね。


脳の機能を維持させるためには、脳への刺激が重要です。さまざまなことを考えながら実施し、脳に刺激を与えることで認知症予防にもつながるでしょう。


脳への刺激を高めるメイクのポイント

インタビューを受ける池山さん

――より脳への刺激を高めるためのポイントはありますか。


まずは、“意識する”ということが大切です。何も考えずに行うのではなく、仕上がりをイメージする、考える、など意識して化粧を行うことで脳への刺激を高めることにつながります。


――年齢関係なく、過去の経験や自分の好みに頼りすぎると“無意識”になってしまうことはあるように思います。


加えて、一般的に言われている脳を刺激する方法を化粧に当てはめて、実践していくと良いでしょう。具体的には、非利き手を使うことや、新しいことに挑戦することが脳への刺激を高めると言われています。


例えば、コットンを使って化粧水を顔につける時、右利きの方は左手を使ってみるということも脳への刺激になるでしょう。また、自分の好みの色を選ぶのもよいですが、時々今まで選んだことがない色の化粧品に挑戦することもお勧めしたいです。グループで化粧を行い、お互いに似合う色をおすすめし合うことで、新しいことに挑戦するきっかけにもなるでしょう。

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