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2023.11.25

【介護体験談 vol.13】思わぬ大きな手術の決断を振り返って

公益社団法人 認知症の人と家族の会が発行する会報誌『ぽ~れぽ~れ』より、家族介護者の体験談記事「支部だよりにみる介護体験 北から南から」をご紹介します。今回は、大きな手術をすることになった旦那さまと家族のエピソードを紹介します。旦那さまの病気の発覚、病院探し、手術の決断、そして手術後の様子についてお話いただきました。


夫の大動脈瘤手術

夫は71歳。若年性アルツハイマー型認知症8年目です。


昨年の5月から8月の間に、白内障手術、胸部大動脈瘤の手術をしました。白内障手術は、「これ以上認知症が進行する前にやってしまいましょう」との主治医の判断により、5月に決まりました。その手術前の一連の検査をした際に、胸部レントゲンで「何か」があるとCTを撮ってみると5cmの大動脈瘤が見つかりました。「破裂の危険性があり、なるべく早い時期に手術が必要な大動脈瘤です」とのお話。手術症例数の多い病院を探そうと検索してヒットした病院は、川崎市内にある「大動脈瘤センター」でした。


早速、病院の外来であるクリニックへ行くことにしました。そこは、「家族の会」の支部代表の杉山先生の外来クリニックでした。これも巡り合わせ、絶対何とかなると妙に安心しました。手術は当初7月下旬の予定でしたが、コロナ感染者の増加などもあり8月上旬に決まりました。手術前に医師から、「瘤が5cmで、いつ破裂してもおかしくない状態」、「瘤の場所が脳へ行く血管の根元にある」、「リハビリ専門病院への転院が必要」、「術後、認知症の影響によるリスクが高い」など、かなりの覚悟が必要であると説明を受けて、娘たちと手術日までの間に何度もオンラインで話し合いました。


決断の迷いと難しさ

長女は、破裂した時は天命だと思って手術に反対。「お父さんが今回の病気や手術の意味を理解できていないし、主治医の言うリハビリができる気がしない。認知症の進行も確実」。次女は「お父さんは何も言わないから、お母さんが楽な方を選択していい。お母さんには今後自分の時間を大切にしてもらいたい……」と何とも微妙な意見。リスクが満載でも破裂回避のための手術をするのか、このまま瘤を抱え天命に従うか……。私の頭の中はいつもそのことでいっぱいでした。


夫は何度説明しても「何故俺が手術? どこが悪い?」と全く理解していない様子でした。夫に決定権が無いというのは、家族の負担が募るばかりです。結局手術に踏み切ることにしました。


入院当日病院へ向かう電車内でも私は「今なら手術やめられる、引き返してもいいんだよ」

と何度も心の中で叫んでいました。いざ手術をしてみると回復は早く、17日間で退院ができました。入院中は点滴を抜いたり、自宅への帰宅願望からか「院内脱走」未遂は何度もあったようです。夫には入院して手術した自覚はなかったのでしょうか。また、携帯電話を持たせたのは失敗でした。昼夜を間わず私の携帯や自宅の電話、姉への着信が止まりませんでした。


面会ができないことの影響

コロナ禍で入院中一度も面会ができなかったこともあり、退院後の認知症の進行は加速しました。電車やバスを使っての一人での移動はできなくなり、かろうじてできていたアルバイトも昨年末で辞めざるをえませんでした。認知症でなかったら、「破裂寸前の動脈瘤も除去できて、まだまだこれからひと頑張りするぞ!」と車で孫たちを連れて遊んでいるのでしょうか。



※この記事は『ぽ~れぽ~れ』(発行元:公益社団法人 認知症の人と家族の会)2023年8月号より抜粋・一部修正したものです。 公益社団法人 認知症の人と家族の会 ホームページはこちら

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