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2023.05.25

【介護体験談 vol.11】看護師の私が介護者になって思うこと

公益社団法人 認知症の人と家族の会が発行する会報誌『ぽ~れぽ~れ』より、家族介護者の体験談記事「支部だよりにみる介護体験 北から南から」をご紹介します。


今回は、看護師なのに母の変化に気付けなかったことが情けなく、当初は自分を責めたといわれるAさんの体験談です。その後気持ちを切り替えて今やれることは全部しよう、介護を楽しもうとしましたが一日が介護であっという間に過ぎていき、いつの間にか最初の意気込みは消えていました。そんな時に知人から、介護者の集いの参加を勧められ参加することにした今のお気持ちをお話いただきました。


目次
・母の変化に気付けなかった後悔
・認知症の怖さを実感
・介護を楽しめない日々
・同じ境遇の人の意見を参考に


母の変化に気付けなかった後悔

母の異変に気が付いたのは、平成30年頃。手足の腫れと関節の痛みで病院を受診し、関節リウマチと機能低下と診断されました。令和元年、関節リウマチの検査入院中に部屋が覚えられないなどの支障があり、MRI によって以前の脳梗塞と海馬の萎縮が指摘され、長谷川式は11点でした。


母は37歳で父を亡くし、祖父母を見送り平成30年からは一人暮らしになりました。偏食や水分摂取の不足、椅子にかけてテレビを見ているだけの動かない生活で、血栓を形成させる条件は整っていました。私は隣の家に住んでいて、仕事は看護師なのに母の変化に気付けませんでした。もっと早く気が付いていたらと、情けなく自分を責めました。気持ちを切り替えて、できることは何でもやろうと決めて、訪問リハや訪問看護に加えてデイケア、食事を見直し水分摂取に努め、虫歯だらけになった歯を毎日夕食後に歯磨きを行い、妹には週2日家に来てもらい、通院の同行を頼みました。


認知症の怖さを実感

令和4年10月、私が仕事から帰宅。いつものように夕食の準備ができたと母を呼びに行くと、玄関に靴が見当たらず、家から30mの所にあるドラッグストアに買い物に行き、その帰りに道に迷い行方不明になりました。警察に通報し、4時間後に隣町で無事見つかりました。その翌日にも夕食の声かけの直後に出て行ってしまい、再び警察に通報すると警察官が到着する前に自力で帰宅し「散歩に行ってきた」と言っていました。


その時初めて、今話した記憶が一瞬でなくなってしまうということは、こんなに危ういことなのかとわかり、それからはそのことを念頭において関わることにしました。


介護を楽しめない日々

その日以来、私と主人は母の家で生活を共にすることにしました。減塩、低たんぱくの食事の管理や水分摂取、夕食後の歯磨き、全身の軟膏塗布、週1回の注射、入浴の見守り、デイケアの送り出し、内服管理、掃除、片付け、嚙み合わない会話の相手、片付けて忘れた大事なもの探し等々、このようなことを毎日行っていると、一日があっという間に過ぎ、介護を楽しもうという最初の意気込みは消え失せていました。これからの介護を思うと、肩に重たい荷物を乗せているようでした。


同じ境遇の人の意見を参考に

知人から「介護者のつどいに参加してみるといいよ」と勧められて、私が必要なのは肩の荷を軽く感じられるようにすることだと気付きました。同じ介護者の皆さんが、どのようにご家族が認知症になったということを受け入れ、どのようにお世話をされているのか。疲れを感じた時や、不安な時にはどうされておられるのか等のお話を聞かせていただいて、重荷が軽く感じられるようになったら良いなと思っています。



※この記事は『ぽ~れぽ~れ』(発行元:公益社団法人 認知症の人と家族の会)2023年2月号より抜粋・一部修正したものです。 公益社団法人 認知症の人と家族の会 ホームページはこちら


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