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食事介助をしている女性介護士
2023.06.20

介護休暇とは?種類や条件、手続き方法など丨取得するデメリットについて

大切な家族の介護をしたいけれど生活のためにも仕事は続けたいと考える方は多いでしょう。また、これから介護するにあたって「有給休暇を何度も取得すると上司や同僚に負担をかけてしまうのが申し訳ない」と思う方や退職を検討する方も多いのではないでしょうか。


仕事と介護の両立を検討している方に向けて、有給休暇とは別で取得できる「介護休暇」という制度があります。この制度を利用することで、仕事を続けながら介護に充てる時間を増やすことができます。本記事では、介護休暇の取得条件をはじめ、申請方法やメリット、デメリットについて解説していきます。介護と仕事を両立させるためにも、ぜひ参考にしてみてください。


目次
・介護休暇とは
・介護休暇の取得方法と手続き
・介護休暇のメリット・デメリット
・介護休暇を取得する際の注意点
・まとめ

執筆者画像
【監修】理学療法士 佐藤敬太さん
回復期リハビリテーション病院を経験したのち、訪問リハビリテーション、デイサービス、地域包括ケアなど様々な領域で臨床へ従事。現在はwebメディアの運営やマーケティング知識を活かし、医療福祉の情報が正しく伝わるよう日々発信を続けている。

介護休暇とは

介護休暇とは、家族の誰かが要介護状態になった場合に取得できる休暇制度です。ここでは、介護休暇の定義と法律上の位置づけ、介護休暇の目的、介護休暇を取得することができる人の条件などを紹介していきます。

介護休暇の定義と法律上の位置づけ

介護休暇は、仕事と介護や育児の両立を目指すための法律「育児・介護休業法」で定められた制度のひとつです。2週間以上の期間、常時介護が必要な「要介護状態」と認められた際に取得できます。常時介護を必要とする状態とは、以下のいずれかに該当する場合です。


●介護保険制度の要介護状態区分において要介護 2 以上であること
●歩行や会話、食事や排せつなど日常生活に必要なことに対して、「人や物の助けがあれば自分でもできる」か「自分ではできないため全面的な介助が必要」にあてはまり、その状態が継続すると認められる場合


介護保険の要介護認定とは異なる基準のため、介護休暇は介護保険とは異なる位置づけになっています。また、労働基準法の年次有給休暇とは別dで取得できるため、労働基準法とも異なる位置づけです。

出典:厚生労働省 介護休暇について
出典:厚生労働省 常時介護を必要とする状態に関する判断基準

介護休暇の目的

介護休暇の目的は「仕事と介護(家庭)との両立ができること」です。2019年の調査データでは、介護を理由に仕事を辞める決断をした人は約9万人という結果がでました。また、以下のような課題も見つかっています。


●全体の9割は介護休暇などの制度を利用していない

●担当している仕事を代わってくれる人がいないため制度を利用しにくい

●社内が制度を利用しにくい雰囲気である


介護離職が増えると、企業の労働力が減少し、経済損失が年間で約6,500億円になると予測されています。介護休暇を活用すると以下のような対応が可能です。


●ケアマネジャーとの打ち合わせ
●介護保険の手続き
●日常生活の介護


介護休暇を活用すると、介護の負担を軽減し無理なく働けるようになるため、労働者の健康管理にも有効です。また、時間単位で介護休暇を利用できるようになったことで、仕事と介護の両立がよりしやすくなりました。

出典:内閣府 介護離職の現状と課題 

出典:厚生労働省 ⼦の看護休暇・介護休暇が時間単位で取得できるようになります

介護休暇の取得条件

介護休暇を取得できるのは、基本的には日雇いを除いたパート・アルバイトを含む「すべての労働者」です。しかし、労使協定の内容によっては取得できない場合があります。条件は企業によって異なりますが、以下のような条件が記されている場合が多いです。


● 入社6ヶ月未満の労働者
● 1週間の労働日数が2日未満の労働者
● 時間単位で介護休暇を取得することが困難な業務に従事する労働者

取得条件は労使協定の内容をよく確認し、労務担当者に相談するといいでしょう。

出典:厚生労働省 育児・介護休業等に関する労使協定の例 

出典:厚生労働省 仕事と介護の両立 ~介護離職を防ぐために~ よくあるお問い合わせ(事業主の方へ)

介護休暇には以下3つの種類があります。


●短時間介護休暇

●介護休暇

●介護休業


3つの制度の違いを把握して、仕事と介護の両立に役立ててください。

短時間介護休暇

短時間介護休暇とは、介護休暇と同様の適用条件で労働時間を短縮することができる措置のことです。しかし、労使協定によっては、入社1年未満の労働者は取得できません。短時間勤務には以下のような制度があります。


●1日・週・月の所定労働時間や日数を短縮する短時間勤務制度
●フレックスタイム制度
●時差出勤制度


これらの制度は以下のようなケースに有効です。


●デイサービスを利用していて夕方には帰宅していたい
●通院に付き添う必要があるため医療機関の診察時間に合わせたい
●介護しつつ給与を満額でもらうための仕事はこなしたい

介護に必要な時間がある程度限定されている場合に制度を有効活用できます。企業にある制度を確認、介護状況に応じて必要な働き方を選択しましょう。

出典:厚生労働省 短時間勤務等の措置とは

介護休暇

介護休暇は、1時間~1日の単位で休暇が取れる制度です。主に以下のような場合に有効活用できます。


●急な体調変化があり病院に連れて行きたい

●介護保険や施設の手続きに行く必要がある

●ケアマネジャーとの打ち合わせ


介護休暇は有給休暇とは別で取得できるため、「有給休暇を使うまでではない」といった状況や、有給休暇を使い切ってしまった際に活用されています。

介護休業

介護休業は、対象の家族ひとりにつき最大3回、合計で93日間の休みを取得できる制度です。一度に93日分を使うか、必要に応じて日数を調整するか、は個人の選択に委ねられます。介護休業は以下のように、「介護と仕事を両立させるための準備期間」として活用するのが有効です。


●実家など離れて暮らす家族で介護が必要になった

●離れて暮らす介護が必要な家族を迎えに行くために、準備を整える

●老人ホームなどの施設の入居やデイサービスの利用などを検討している場合の準備


介護休業の場合は期間が長くなることもあるため、申請する場合は遅くても休業開始の「2週間前まで」に労務担当者や事業主に申請しましょう。また、企業によって異なりますが、休業期間は労働を行わないため企業は給与を支給する義務がありません。基本的には、休業期間は何もしなければ無給になると捉えておく必要があります。経済的に厳しい場合は、ハローワークに申請することで月額の約7割サポートがある「介護休業給付金制度」を利用することが可能です。

介護休業給付金についての詳細は、こちらの記事(介護休業給付金の条件とは? 必要書類や申請方法について)で紹介しています。


出典:厚生労働省 介護休業とは


介護休暇の取得方法と手続き

書類を持って笑っている3人の会社員

介護休暇の取得方法と手続きに関して、以下の内容を把握しておくとスムーズに申請できます。


・介護休暇を取得するための手続きと流れ

・介護休暇の取得に必要な書類

・介護休暇の取得期間や回数の制限


ここからは、手続きに関して詳しくみていきましょう。

介護休暇を取得するための手続きと流れ

介護休暇は「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」で定められています。介護休暇を取得するためには、基本的に特別な手続きは必要ありません。制度上では、当日会社に口頭や電話で伝えても取得できるとされています。しかし、社会通念上当日にいきなり申請するのは難しいでしょう。実際に申請するとしても、評価に悪影響が出るのではないかといった不安や、周囲に負担をかけてしまうといった罪悪感が生まれて、申請をためらってしまうかもしれません。事前に信頼できる上司に突発的な事情で取得する可能性があることについて相談し、理解を得ておくと安心です。取得方法や申請方法は企業によって求められる方法が異なるため、相談する際に併せて確認しておくと良いでしょう。

介護の事情を知ると「もっと早く相談して欲しかった」と思う上司や同僚も多いため、介護が必要になった段階で相談してみることが大切です。加えて、上司や同僚に感謝を伝えることも忘れないようにしましょう。

介護休暇の取得に必要な書類

介護休暇の申請に必要な書類は基本的にはありません。しかし、企業によっては書面での提出を求められる場合があるため、社内の規定に従って提出しましょう。また、書面での提出を求められ、かつ企業に申請フォーマットがない場合は、厚生労働省のページからダウンロードすることが可能です。この場合は、労務担当者に確認し、必要事項を記入して申請しましょう。

介護休暇の取得期間や回数の制限

介護休暇の取得可能な回数は、対象のご家族一人につき「年間で5日間」です。企業で期間の取り決めがない場合は、基本的に毎年4月1日から翌年の3月31日が取得期間となります。制限は日数になるため、上限の日数になるまでは回数による制限はありません。時間単位で申請が可能になっているため、企業の管理体制が重要です。時間単位の申請でも1日とみなされてしまう場合もあるため、労務など管理部署に確認しておきましょう。


介護休暇のメリット・デメリット

ここからは、介護休暇のメリットとデメリットについて解説します。

介護休暇のメリット

介護休暇のメリットには、主に以下の内容が挙げられます。

● 当日でも申請できる
● 短時間でも申請できる
● 有給休暇とは別で取得できる
● 間接的な介護でも申請できる
● 上司や同僚に大きな負担を与えずに済む
● 仕事と介護の両立に有効


上手に活用すれば、介護と仕事の両立が実現できる可能性が高まることが一番のメリットとなるでしょう。短時間でも取得できるため、介護に関わる手続きや通院の付き添いが終われば仕事に戻ることが可能です。そのため、周囲に大きな負担を与えなくて済むことも心理的負担を軽減できる大きなメリットといえます。

介護休暇のデメリット

介護休暇のデメリットは、以下の内容が挙げられます。

● 労使協定の内容によっては申請できない
● 利用期間の賃金が発生しない可能性が高い
● 上限がある


労使協定の内容によっては、介護休暇の申請が認められない場合があります。企業や業務内容によって条件が異なるため、人事や労務担当者に自分が対象かどうかを確認しておくようにしましょう。企業は労働の対価として給与を支払います。休業の場合は、有給休暇とは違い企業に給与の支払い義務は生まれません。しかし、企業によっては休業期間でもサポート体制が整っている場合があるため、社内の制度を確認しておくと良いでしょう。

介護休暇を取得する際の注意点

申請書を提出している女性

介護休暇は法律で認められた権利ですが、休暇中のフォローなど上司や同僚の協力が必要不可欠です。あらかじめ取得する予定が決まっている場合には、事前に話をしておくことや、仕事を残さないなどの配慮は忘れないようにしましょう。


また、感謝を伝えることも大切です。周囲に対する配慮と感謝を意識することで、介護に対する理解を得やすくなり、突発的な介護休暇の取得でも快く応じてくれるようになります。理解を得ることで仕事のフォローだけでなく、介護の相談に乗ってもらえる環境を作ることにもつながります。



まとめ

時代とともに少しずつ制度の見直しが行われ、介護と仕事の両立を実現しやすい環境が整いつつあります。しかし、周囲の理解を得ることも重要です。周りの理解やフォローがなければ、制度があっても活用しにくいと感じてしまうでしょう。相談することをためらう方もいるかもしれませんが、一歩踏み出して話をしてみることが大切です。少しでも相談しやすい雰囲気にするには、感謝を伝えるところからスタートしてみましょう。感謝の気持ちを伝えていくと心理的安全性が高まり、職場内のコミュニケーションが円滑になるきっかけが芽生えるほか、自身が困った際のフォローを得やすくなります。

介護休暇など制度の内容を把握しつつ、周囲おのコミュニケーションを大切にしていくと、介護と仕事の両立がより実現しやすくなるでしょう。

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