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親の介護の為に会社を辞めるべきか悩む男性
2023.04.27

介護休業給付金の条件とは? 必要書類や申請方法について

自宅で家族を介護するにあたって、仕事やお金に関して悩まれる方は少なくありません。厚生労働省が定めている「育児・介護休業法」では仕事と介護を両立する仕組みとして、介護休業制度が定められています。また、雇用保険の給付制度には、介護休業をとった方を経済的にサポートするための介護休業給付金制度も用意されています。本記事では、介護休業給付金制度の仕組みや受給条件・申請方法についてご紹介します。申請の際に必要な書類や手続きのポイントもお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。


目次
・介護休業給付金について
・介護休業給付金の受給の条件
・介護休業給付金の申請期間
・介護休業給付金の申請方法
・介護休業給付金で受給できる金額の計算方法
・申請時の注意点・ポイント
・まとめ

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【監修】理学療法士 佐藤敬太さん
回復期リハビリテーション病院を経験したのち、訪問リハビリテーション、デイサービス、地域包括ケアなど様々な領域で臨床へ従事。現在はwebメディアの運営やマーケティング知識を活かし、医療福祉の情報が正しく伝わるよう日々発信を続けている。

介護休業給付金について

介護休業は、家族が2週間以上にわたって常時介護が必要となった場合に利用できる休業制度です。雇用保険に加入している方は、介護休業を利用した期間分の給与の一部を補てんする制度として介護休業給付金を受け取れます。まずは介護休業給付金の概要と、介護休業・介護休暇の違いを見てみましょう。

介護休業給付金とは

介護休業給付金とは、雇用保険に加入者がご家族を介護するために介護休業をとった場合、休業期間中の給料の一部を補てんする制度です。雇用保険の雇用継続給付として、介護が必要な家族1名につき給与の67%を通算93日分受給でき、最大3回まで分割して申請できます。受給できる期間を残して転職した場合でも、転職先で残りの日数を受給することも可能です。


近年は在宅介護のニーズが高まっており、令和元年版高齢社会白書によると、60歳以上の方の約半数が自宅で最期を迎えたいと考えています。そういった希望を叶えるためには、介護サービスの活用にくわえて家族のサポートも大切です。介護休業給付金を受給できれば、休業中の経済的な負担が和らぐでしょう。
参考:内閣府「令和元年版高齢社会白書 第3節 <特集>高齢者の住宅と生活環境に関する意識 4.高齢期の生活に関する意識」

介護休業と介護休暇の違い

介護休業と介護休暇の違いは、申請期限と取得できる回数にあります。どちらも育児・介護休業法で規定が定められており、介護離職を未然に防ぐ役割があります。


介護休業は介護が必要な家族1名につき3回まで、通算93日まで取得できます。まとまった期間の休業を想定しているため、申請期限は原則として介護休業の開始日の2週間前までとなります。介護サービスの利用手続きやケアマネジャー・関係者との打ち合わせにかかる期間を考えたうえで、介護休業のスケジュールを立てることが重要です。

一方、介護休暇は介護が必要なご家族が1名の場合は年間5日まで、2名以上の場合は年間10日まで、1日もしくは1時間単位で取得できます。短期間の休業を想定した制度なので、通院の付き添いや突発的な体調不良への対応など、幅広い場面での活用が可能です。


※介護休暇についての詳細は、以下の記事で紹介しています。

介護休暇とは?種類や条件、手続き方法など丨取得するデメリットについて

介護休業給付金の受給の条件

介護給付金について相談をうけている男性

介護休業給付金は国から支払われるため、受給条件が明確化されています。一方、介護保険の要介護認定とは異なり、対象となる家族は幅広く設定されています。介護休業給付金を申請する前に、介護休業給付金の受給条件を確認しておきましょう。

雇用保険に加入していること

介護休業給付金を受給できる方は、介護休業の開始日の直近2年間で通算12カ月以上雇用保険に加入しており、なおかつ介護休業期間中も雇用保険から脱退していない方です。通算12カ月とありますが、雇用保険では給料が発生した日が月11日以上あれば「1カ月」とカウントされます。上記の計算で、直近2年間で通算12カ月以上雇用保険に加入していない場合は、1カ月に80時間以上勤務している月があれば「1ヶ月」とカウントできます。


契約社員やパート・派遣社員といった有期雇用労働者の場合は、介護休業の開始日から93日が経過し、さらに6カ月を経過する日までの間に労働契約が終了することが確定していないことが必須です。なお、育児休業や病気・ケガなどのため連続して30日以上給料の支払いを受けられなかった方には、期間計算の特例が設けられています。

介護休業を取得していること

介護休業給付金は、常時介護が必要な家族を介護するために介護休業を取得した方が申請できます。介護休暇の場合は介護休業給付金を申請できないのでご注意ください。家族が常時介護を必要としている状態かどうかは、介護休業を申請した段階で会社が判断します。要介護2以上の認定を受けている方だけでなく、ひとりで歩行・食事・排泄が困難な方や認知機能が低下した方を介護する場合も、常時介護が必要な状態と判断される可能性があるでしょう。


年齢に関する条件は設けられていないので、親だけでなく兄弟や子、別居の家族を介護する場合でも介護休業は取得できます。常時介護が必要な状態に関する判断基準は厚生労働省のホームページに掲載されているので、介護休業を申請する際は参考にしてみてください。 

※参考:厚生労働省「仕事と介護の両立 ~介護離職を防ぐために~ よくあるお問い合わせ(事業主の方へ)」

復職の意思があること

介護休業給付金は雇用保険の「雇用継続給付」として支給されるため、申請にあたっては介護休業後に復職の意思があることが前提です。介護休業を始める段階で退職を決めている方や、そもそも復職する意思がない方は、介護休業給付金の支給対象外となります。また介護休業中に退職した場合は、退職日を含む支給単位期間分の介護休業給付金は受け取れません。なかには家族の介護を理由に、会社に迷惑をかけるかもしれないと考え、退職を検討する方もいるでしょう。


しかし育児・介護休業法では、会社に対して介護のための短時間勤務制度の導入が義務づけられています。退職を考える前に、介護と仕事を両立する方法について検討してみるのも良いでしょう。なお、企業によっては両立支援の一環として、介護休業からの復職をサポートする制度を設けている場合があります。

休業中に一定以上の賃金を得ていないこと

介護休業期間中に支給された賃金が、通常どおり出勤した場合の賃金の80%以上であれば介護休業給付金は受け取れません。例えば、月給20万円の方が介護休業を1カ月取得した場合、会社から支払われた賃金が16万円以上になると介護休業給付金は0円になります。また、介護休業期間中の一時的な出勤は禁止されていませんが、支給期間内に11日以上出勤すると賃金の額にかかわらず、介護休業給付金は0円になります。なお、介護休業期間中に支払われたボーナスについては、賃金の80%に含まれません。


介護休業給付金の申請期間

介護休業給付金の申請期間は、介護休業を終了した日の翌日から2カ月以内が基本です。介護休業を分割して取得した場合は、1〜3回目それぞれの終了日の翌日から2カ月以内となります。何らかの事情で申請期限を過ぎた場合でも、介護休業を終了した日の翌日から2年以内であれば申請可能です。ただし、介護休業を終了した日の翌日から2年を経過すると申請できなくなります。



介護休業給付金の申請方法

介護休業給付金を申請する際は、会社(事業主)を通じて必要書類をハローワーク(公共職業安定所)に提出します。ハローワークに書類を提出した後、1週間~10日ほどで指定した口座に介護休業給付金が振り込まれます。支給額は「介護休業給付金支給決定通知書」に記載されているので、受け取った際に間違えがないか確認をするようにしましょう。電子申請を実施している会社の場合は「記載内容に関する確認書・申請等に関する同意書」という書類に署名します。もし、会社から申請の案内がない場合は上司や担当者に確認してみるとよいでしょう。

介護休業給付金の申請に必要な書類は、以下のとおりです。


【本人が用意する書類】

・常時介護が必要な家族の続柄・性別・生年月日が記載された書類(住民票記載事項証明書や戸籍全部事項証明書)
・通帳またはキャッシュカードのコピー(手書きで申請書を作成する場合のみ)


【会社(雇用主)が提出する書類】

・介護休業給付金支給申請書(本人の署名欄あり)
・介護休業申出書のコピー
・介護休業期間中の出勤簿
・介護休業期間中の賃金台帳


やむを得ない事情で被保険者本人が申請する場合は、上記の書類だけでなく「介護休業取扱通知書」などの書類も別途必要となります。介護休業給付金支給申請書の記入例は、ハローワークが発行する資料などに記載されているので参考にしてみてください。 

 ※参考:ハローワークインターネットサービス「介護休業給付の内容及び支給申請手続について」


介護休業給付金で受給できる金額の計算方法

介護給付金の説明を受けているが理解できず悩んでいる男性

介護休業給付金の受給額は「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」という式で計算できます。休業開始時賃金日額は「介護休業を開始する前の6カ月間の賃金÷180」で算出しますが、上限は501,300円、下限は79,710円です(1円未満の端数は切り捨て)。「6カ月間の賃金」の内訳は基本給と毎月支給される手当で、賞与など臨時に支払われる賃金は含まれません。

出典:厚生労働省:「雇用保険事務手続きの手引き  第11章 介護休業給付について」


介護休業給付金の1日あたりの受給額の例を紹介します。


例1)月給20万円の場合

・休業開始時賃金日額……20万円×6カ月間÷180=6,666円

・1日あたりの介護休業給付金……6,666円×67%=4,466円


例2)月給30万円の場合

・休業開始時賃金日額……30万円×6カ月間÷180=10,000円

・1日あたりの介護休業給付金……10,000円×67%=6,700円


例3)月給40万円の場合

・休業開始時賃金日額……40万円×6ヶ月間÷180=13,333円

・1日あたりの介護休業給付金……13,333円×67%=8,933円


介護休業給付金には所得税や住民税は課税されませんが、社会保険料の従業員負担分の免除はありません。休業中の手取額が減るため、社会保険料の支払いを考慮したうえで家計の計画を立てることをおすすめします。

申請時の注意点・ポイント

介護休業給付金を申請する際のポイントや、注意しておきたい点をいくつか紹介します。

介護休業給付金の利用は原則1回のみ

介護休業給付金の利用は、介護が必要な家族1人につき1回だけです。ただし、通算93日までであれば最大3回まで分割して介護休業を取得し、分割した介護休業ごとに介護休業給付金を申請できます。介護休業給付金の申請状況はマイナンバーと紐付けられているため、転職したとしても分割回数と介護休業の日数が残っていれば、その範囲内で介護休業給付金を引き続き受けられる可能性はあります。

一方、対象となる家族が同じであれば複数の家族が介護休業をとり、介護休業給付金を申請することは可能です。長期にわたって家族が交代しながら介護することもできるため、介護の計画について話し合っておくのもよいでしょう。

2週間未満の休業でも申請できる

介護休業は最大93日間取得できますが、休業期間の最低日数は法的に定められていません。 常時介護を必要とする期間として「2週間以上の介護を必要とする状態」との定めがありますが、休業期間自体は2週間未満であっても介護休業給付金は申請できます。自宅で介護している期間中に施設入居が早まり、結果的に2週間以内で職場復帰できた場合でも介護休業給付金は申請可能です。

ほかの休業給付と併用できない

両親を介護する場合など、1回の介護休業で2人以上の家族を介護する場合でも介護休業給付金の申請は1人分に限られます。ただし、期間を変えれば別の家族分の介護休業給付金を申請できます。育児休業中に家族の介護も行うダブルケアの場合でも、育児休業給付金を受給している期間は介護休業給付金を受けられません。


まとめ

介護休業給付金は介護休業中の給料の一部が補てんされる制度で、正社員はもちろん非正規雇用で働く方でも条件を満たせば申請できます。家族が常時介護必要な状態かは会社が判断しますが、国で判断基準が明確化されているため要介護認定を受けていない方でも対象家族と認められる可能性があります。近年では介護離職を防ぐ取り組みを行う会社も増えているため、家族を介護することになった場合はまず職場に相談してみましょう。

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