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2023.01.20

ケアスタッフより、家族介護者の方へメッセージ~第六回~

いつも頑張っている家族介護者の方々へ向け、笑顔倶楽部からの応援を込めた連載をスタートしました。


日々介護をするなかでは、「このやり方で正しいのかな」と疑問や不安を感じたり、「こんなふうにしてあげたいのに、うまくできない」と悩まれたり、葛藤したりされたりする瞬間があるのではないでしょうか。


お一人おひとりに応じておこなう介護の正解は、ひとつではありません。しかし他の方のケア事例から感じ取れるヒントやメッセージもあるかと思い、本コラムでは経験豊富なSOMPOケアスタッフが経験してきた介護エピソードをご紹介します。



今回のテーマ「趣味やペットの存在が力に」

今回ご紹介するのは、90歳代のお母さん(Aさん)と70歳代の息子さん夫婦、そのお子さんの4人家族。秋田県のSOMPOケア事業所で介護支援専門員(ケアマネジャー)を務める伊藤さんに、お話を伺いました。

執筆者画像
SOMPOケア 秋田仁井田 居宅介護支援 管理者兼主任介護支援専門員 伊藤 百子さん
大家族で育ち、高齢の方との関わりが好きだったことから、介護福祉士の資格を取得。介護職員として勤めていた際、ご自身の祖母が認知症になったことで、在宅ケアに興味を持ち、専門性を磨かれ、ケアマネジャーの資格も取得されました。介護畑ひとすじで、地域の多くのご高齢者さんに向き合っているケアマネジャーさんです。

「本人が輝けること」を探してみよう

Aさんは93歳になるまで、身の回りのことや家事もできるお元気な状態でした。しかし転倒をきっかけに、寝たきりの状態に。認知症の症状が進行し、ご家族のことが分からなくなってしまいました。入院中、病院のベッドの上で過ごしていると「ここはどこなの!?」と取り乱されてしまうことも多く、担当医師からは「在宅ケアは無理だろう」という見立てでした。


しかし長年、ご家族のために懸命に尽くされてきたお母さんの性格を理解していた息子さんやお孫さんは、「どうにか在宅で面倒を見られないか」と考えたそうです。「母は大勢の人の中で暮らすのはしんどいはず。施設にいられるタイプではない」とのことで、「家に連れて帰りたいので協力してほしい」と強い意志を持って、私たちにご相談をくださいました。


そこで私たちのほうから、医師の先生にご説明を差し上げました。「ご家族みんなでサポートしますから、まずは挑戦させてみてください。私たちが責任をもって環境を整えます」と。


説得の結果、退院の許可をいただくことができ、在宅ケアがスタート。まず皆さんと話し合ったのが、「お母さんが明るく、お母さんらしくいられることってなんだろう?」というテーマです。するとAさんは長年、和裁が得意でいらしたとのこと。ベッドの上でもできる趣味ですし、目や手指の状態には問題がなかったので、ぜひお勧めしようという話になりました。


Aさんは和装を非常に楽しみ、お子さんやお孫さん、そして私たちにも、さまざまな物を作ってくださいました。丈夫な傘の布地を解いて小袋にしたり、こたつ布団を解いてベストを作ったり。それらを渡して喜んでもらえることが、生きがいになっていたようです。認知症の進行もゆるやかになり、穏やかな状態をキープできていました。


認知症や寝たきりの方が何かをしようとすると、「危ないから触らないほうがいい」「疲れるからやらなくていい」などと周りが止めに入るケースは少なくありません。しかし「本人が得意なことはできるだけ促したほうが、認知症の症状の安定につながることもある」とAさん以外のケースでも感じています。


在宅ケアを始める前のAさんは、かなりネガティブな精神状態になっていらっしゃいました。秋田の方言で「やがなる(面倒をかける)」と何度も口にされ、自分はもう死んだほうがいい、といったことも口にされていました。認知症になり「あれもこれもできない」となると生きがいがなくなるだけでなく、周りにお世話をかけるばかりで心苦しく、つらい心境になられるのだろうと想像します。サポートする私たちやご家族の「ご本人が輝けるものを何かしら見出してあげる」という姿勢の大切さを学ばせていただきました。

ペットの存在も「笑顔」をサポートできる

その後Aさんは次第に耳が遠くなり、コミュニケーションが成り立たない場面が出てきました。訪問入浴やヘルパーをご利用いただいていましたが、ご家族は皆仕事をされていますし、もともと人付き合いが盛んな方ではなく、そのうえコロナ禍で近所の方と顔を合わせる機会も激減。会話ができにくくなった状況でも「お母さんをどんなふうに楽しませてあげようか」という相談を重ねた結果、おしゃべりインコを飼おう、ということになりました。


そうして、ベッドの横におしゃべりインコ“まーちゃん”のカゴを置いてみることに。まーちゃんは想像以上にAさんの力になってくれました。会話が噛み合っていなくとも日頃の話し相手になってくれ、私たちにもよく「この子、芸達者なんだよ」と嬉しそうに話してくださっていました。息子さん夫婦も私たちも、まーちゃんの存在に癒されていましたし、Aさんが笑顔でいると、皆に笑顔の輪が広がることも実感しました。


人だけがサポートをするわけではない、ペットもご家族みんなの癒しになるのだな、と私たちも改めて学ばせてもらいました。認知症の方の家でペットを飼われる場合「エサをやり忘れていないか」など注意しなければならない点はありますが、それをクリアできるのであれば、良い話し相手や癒しの存在になってくれると思います。

ケアスタッフより、家族介護者の方へメッセージ。第五回「 仕事と家庭のことで精いっぱいの娘さん」

転倒して骨折し入退院を繰り返している80歳代のお母さん(以下Aさん)と、Aさんの家の近所に住まわれている娘さんのお話です。子育てとご自身の仕事に追われ、週に一回しか会いにいけないことにご自分を責めている娘さんに対して、ケアマネジャーが介介護と自分の生活のバランスについてアドバイスをしています。


ケアマネジャーからのアドバイス

今回のAさんの事例のように、医師の先生から「在宅は難しいから施設に入ったほうがいい」と勧められても、在宅の環境を整えることで対処できるケースはあります。


在宅ケアに切り替えるにあたり、私たちがまず提案したことはご自宅の環境づくりです。Aさんのお部屋は家の隅のほうにあったので、ご家族の皆さんが頻繁に通行するリビングの隣にベッドを移すことを提案し、家の中の環境を大きく変えました。


Aさんは退院後もしばらくは落ち込んでいらっしゃいましたが、皆が通るたびに話しかけて「お母さんを一人にしないよ」という姿勢を見せたことで、少しずつ元気になっていかれました。入院時の介護度は4でしたが、在宅での生活に切り替えてからは、介護度3になった時期もあったほどです。


元気になられたのは、ご本人ができることに対して「認めているよ」という気持ちを皆で伝え続けたことも大きかったと思います。Aさんが和装小物をプレゼントしてくださる際には、私たちも「縫い方が素晴らしいですね」「上手ですね、教えてください」などと伝えるようにしていました。


趣味や特技がないという方でも、「できているところを認めて差しあげる」というだけで十分に意味があると思います。自分の足で歩けている、ご飯を一人で綺麗に食べられる、といったことを伝えるだけでも、ケアする人の想いは伝わります。ぜひ「できないこと」よりも「できること」を探す目を持って接してあげてください。



次回のテーマは「認知症の方の好き嫌い」。伊藤さんの実祖母であるBさんのエピソードをご紹介します。



取材/外山ゆひら・下村 涼子(SOMPO笑顔倶楽部)  文/外山 ゆひら

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