公益社団法人 認知症の人と家族の会が発行する会報誌『ぽ~れぽ~れ』より、介護初心者の悩みに応える記事「”つどい“は知恵の宝庫」をご紹介します。
今回は、半年ほど前から、ご主人の性的行動が見られるようになり、悩んでいる奥様へ、介護職員など5名がアドバイスをします。
公益社団法人 認知症の人と家族の会が発行する会報誌『ぽ~れぽ~れ』より、介護初心者の悩みに応える記事「”つどい“は知恵の宝庫」をご紹介します。
今回は、半年ほど前から、ご主人の性的行動が見られるようになり、悩んでいる奥様へ、介護職員など5名がアドバイスをします。
アルツハイマー型認知症と診断された75歳の夫(要介護1)と二人暮らしです。半年ほど前から、私に対して卑猥な言葉を言うようになり、自分の性器を触っていることも目につくようになりました。「止めて」とやんわり伝えても続いています。認知症の症状からくるものなのでしょうか。そうだとしたら、私の心の持ちようを教えてください。(相談者:妻 73歳)
かかりつけ医に相談しましょう
認知症の進行により、判断力が低下してきて、羞恥心や遠慮がなくなっていることが行動に結びついているのではないかと考えられます。決してまれなことではなく、私も何件か相談を受けてきましたが、性的行為は介護者にとって理解や受け入れが非常にむずかしい症状のひとつだと思います。症状が激しい場合は薬で抑えることもあります。言いにくいでしょうが、思い切ってかかりつけ医に相談してみましょう。
介護経験者からのアドバイス
デイサービスの利用を検討しましょう
よく話してくださいました。私の夫も同じような時期がありました。私は嫌悪感で、離れたいばかりでした。他人には相談しづらかったのですが、思い切ってケアマネジャーに相談し、デイサービスの利用を始めてもらいました。楽しんでくれている夫の様子をみたり、私はひとりで過ごす時間ができ、冷静になることができました。お互いに気持ちが落ち着くと、性的行動もいつのまにかなくなりました。
世話人からのアドバイス
ご主人の不安な気持ちとして受け止めましょう
あなたが愛されているということではないでしょうか。それが、認知症があるのでうまく言葉で伝えられず、あなたと触れ合いたいとの思いからそのような言動になっているのだと受け止めてみましょう。他の認知症による行動上の問題と同じように、進行に伴う不安や孤独感、疎外感があるのだと思います。けっして無理にということではなく、手をつなぐなどの自然なスキンシップを心がけてみましょう。
看護師からのアドバイス
その場を離れましょう
認知症があってもなくても、死ぬまで性的関心をもつのは人として自然なことです。でも、女性はどちらかというと精神的なつながりを求める傾向が強いとの調査もあります。聞きたくない、見たくないと思うのは当たり前で、戸惑ってしまうあなたの気持ちもよくわかります。無理せず、対応に困るときは外にでるなど、その場を離れましょう。性的行動は拒否しても、その人自身を拒否しないようにしたいものですね。
※この記事は『ぽ~れぽ~れ』(発行元:公益社団法人 認知症の人と家族の会)2022年7月号より一部抜粋したものです。
公益社団法人 認知症の人と家族の会ホームページはこちら
介護をしていると、日々、さまざまな悩みが出てきます。家族に対する対応、症状の変化、お金のことなど、介護をしているなかで発生する悩みに対して、それぞれの分野の専門家からアドバイスを伺いました。
楽しく、あたまの元気度チェック(認知機能チェック)をしましょう
あたまの元気度チェックへ身長や体重・運動習慣等を入力するだけで、将来の認知機能低下リスクをスコア化できます。
認知症や介護に関する最新のニュースやお役立ち情報を月2回程度お知らせします。