もし、何らかの病気になったら、病気に対しての理解、治療方法の選択、治療を受ける場所の選択など、あらゆる場面で意思決定を行うことになります。しかし、認知症がある場合、自分で決めることが難しいケースもあります。
今回は、認知症の人の意思尊重、決定を行う支援についてご説明します。
もし、何らかの病気になったら、病気に対しての理解、治療方法の選択、治療を受ける場所の選択など、あらゆる場面で意思決定を行うことになります。しかし、認知症がある場合、自分で決めることが難しいケースもあります。
今回は、認知症の人の意思尊重、決定を行う支援についてご説明します。
意思決定とは、どのようなことでしょうか。例えば、大腸がんが見つかった場合、大腸がんという病気の理解をしているか、現在の大腸がんの進行の程度を理解しているか、治療としてどのような方法を選ぶか(手術を受けるか否か、手術以外の治療法を受けるのか)、生活の場は自宅で過ごすか施設で過ごすか、人工肛門の日々の管理はできるか、治療に対する苦痛などに耐えられるか……、など、様々な選択肢の中から自分がどうしたいのかを決めることになります。しかし、このような状況を突きつけられた場合、なかなか自分の意思を表明するのは難しいと思われます。
特に認知症の人の場合、病気について理解することや、意思表明が難しい場合があります。そのときは、家族などが代理で意思を決定します。
家族が代理で意思を決定する場合、本当に本人の意思を尊重しているのか? を考えなければなりません。決めたことは家族(キーパーソン)の意見であって、本人の意見ではない場合もありますし、家族の中でも意見が分かれて、本人の意思が反映されていない場合もあります。
このような場合、どうしたらいいのでしょうか。 まず、以前本人が話していたことや価値観を思い出してみましょう。例えば、医療のテレビを観ながら「苦しまずに逝きたいね」「色々な治療が進んでいるんだから、最期の時まで治療を受けたいなぁ」と話していたり、「ぽっくり寺にお参りに行ってきた」「○○さんのような人生がいいね。」など何気ない一言が本人の意思かもしれません。なかなか日本人は、死に対して語る機会はないかもしれませんが、以前の会話や行動から本人の意思がみえてくる場合があります。
次に、家族でその病気について、治療方法、その病気がどのような経過をたどるのかなどを、医師や医療従事者から説明を受けて、十分に理解しましょう。
そして、「本人だったら、どうするかな?」という本人の立場になり、意思を決定します。
このように代理で意思を決定しても、なかには「本当に家族が決めてしまっていいのだろうか」と思い悩んだり、認知症の人の経過をみているなかで、「最初にこうやって決めたけど、治療が進んでいくうちに他の方法にしたほうがいいのではないか」など意思の変化がみられる場合があります。これは自然なことであり、変更することは間違いではありません。意思の変化がみられた場合は、「最初に考えていたのは~~でしたが、現在の状況から考えてみると、本人は~~を望んでいると思います」など医療従事者に伝えてみましょう。医療従事者に相談することで、一緒にいい方法を支援してくれると思います。
厚生労働省では、2018年に『認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン』1)を作成しました。医療従事者向けのガイドラインであり、家族も意思決定支援者であることや家族への支援の方法をまとめています。
認知症の人が、その人らしく過ごせるようにするためには、どの方法が最善かを尊重することが第一です。そして、家族が代理で意思決定を行い支援することが大切です。
厚生労働省 認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン
認知症ねっと 2020年3月18日掲載「認知症の人の意思を尊重するためには?」より
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