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「京都府認知症応援大使」の河田正裕さん・藤田佳児さん・吉田哲久さん
2025.01.21

毎日をつなぐフォト日記 vol.15~仲間とつながり、声を届ける~ 【若年性認知症当事者 下坂厚さん連載】

2019年に若年性アルツハイマー型認知症と診断された下坂厚さん。現在は、フォトグラファーとしても活動しています。


下坂さんの日常の様子を、毎月のフォト日記としてお届けする本企画。今回は、「京都府認知症応援大使」の就任・仲間とのエピソードを綴っていただきました。

執筆者画像
下坂 厚さん
京都府京都市在住。2019年8月、若年性アルツハイマー型認知症と診断される。認知症当事者として、SNSで趣味の写真を発信し、当事者以外にも大きな反響を呼ぶほか、認知症の啓蒙活動も展開中。ホームヘルパーとして働く妻と2人暮らし。著書に『記憶とつなぐ 若年性認知症と向き合う私たちのこと』(双葉社)がある。

2024年12月に「京都府認知症応援大使」の就任式がありました。


「京都府認知症応援大使」は、セミナーや講演への登壇、取材を受けるなど、認知症に関する理解を広める役割を担っています。私は2022年から大使として活動を行い、今回の任期満了と同時に再任を受けました。認知症基本法が施行され、認知症の人が声をあげやすい環境になってきていますが、まだまだ、当事者の理解がされていないと感じることがあります。私が声をあげることで、一人でも多くの人に認知症の理解が広まればと思い活動をしています。


大使になってから、全国のいろいろな場所からお話をいただき啓発活動を行っていますが、最近は「京都で声を届ける」・「京都と深く関わる」ことが増えてきています。そんなときに出会ったのが、今回大使に任命された、河田正裕さん・藤田佳児さん・吉田哲久さんです。


3人は京都認知症総合センターにある常設型認知症カフェ「カフェほうおう」の運営に関わりながら、認知症の方々のサポートを行っています。「カフェほうおう」は、全国でも珍しい常設型認知症カフェのため、いろいろな人との交流やつながりが生まれます。


カフェほうおう
社会福祉法人 京都悠仁福祉会が運営する認知症カフェであり、「いつでも、だれでも」立ち寄れる居場所として、認知症当事者やご家族の出会いの場となり、繋がっていく場所になっている。また地域の方々が認知症について学ぶ機会を提供し、偏見や誤解を持たず「認知症ってそんなに怖くない」と考えられる社会を目指して運営をしている。「認知症の人」ではなく「その人」のことを知り、「お世話する側」と「される側」ではなく対等な関係を築くことを大切にしている。

カフェほうおう公式ホームページはこちら
カフェほうおう公式インスタグラムはこちら


私は、武田病院グループのWebサイトやパンフレットなどで使用する写真の撮影を行っています。撮影を通じて利用者さんたちとコミュニケーションが生まれ、お互いが前向きな気持ちになっています。


そんな撮影の合間に「カフェほうおう」に立ち寄り、3人と出会いました。ここで、河田さん・藤田さん・吉田さんからのメッセージを紹介します。

河田正裕さんからのメッセージ


河田正裕さんのポートレート

認知症と診断され不安やしんどさを感じていたとき、このカフェと出会いました。

このカフェに来るたびに当事者、支援者との出会いが広がっていきました。同時に、この場所が“自分の居場所”となっていったのです。それから、カフェを訪れる人たちの新しい出会いやつながりを生む役目をしたいと思うようになり、「カフェほうおう」で働きはじめました。この場所が、自分の能力を生かせる場所になっていったのです。

自分たちが前に出て発信することにより、「認知症になってもまだまだ出来ることはある! 新たな仲間と楽しく過ごしていける!」そんなメッセージを伝えていきたいです。

吉田哲久さんからのメッセージ

書類を確認している吉田哲久さん

3年前、認知症の診断を受けたときは、治療法や薬もなく引きこもりがちでした。そんなとき辿り着いた場所が「カフェほうおう」でした。「否定されない、心安らぐ心地よさ」を感じたことで、仕事を手伝いたいという思いが強くなり、この場所で働くようになりました。

ここを訪れる当事者のみなさんは,最初は不安そうな顔をしていても次第に穏やかな優しい顔になっていきます。その過程を見ることが嬉しく、変化の瞬間に寄り添えることにやりがいを感じます。

認知症になって不安を抱える当事者がいれば、今の自分見ていただきたい。そして「認知症は絶望ではなく、できること・楽しいことはたくさんある」と伝えていきたいです。

藤田佳児さんからのメッセージ

藤田佳児さんのポートレート写真

2019年6月、私は軽度認知症の診断を受けました。仕事を退職した私は、相談員の方から「カフェほうおう」を紹介されて通いはじめました。

もともと「ものづくりがしたい」という思いを持っていたところ、木工作品を制作する「作業工房ほうおう」がスタート。当初は少ない参加人数だったものの年々増えていき、最近は若年性認知症の人が参加するようになりました。その後、河田さんや吉田さんたちと出会い、地域の木材会社のご協力も加わって、みなさんと一緒に考えながら制作をしてきました。2024年3月、65歳で定年をむかえましたが、「作業工房ほうおう」には、毎回通っています。

認知症と診断された当初は恥ずかしい思いもありましたが、今は全くありません。認知症になってもまだまだできることがあり、応援してくれる人、支援してくれる人とのつながりも生まれました。「声をあげ、行動をすることで、新しい仲間ができ、新たな希望が持てる」、そんな自分の経験を同じ境遇の方々に伝えて行きたいです。


大人になると、人と人のつながり方は変わってきます。子どものころは、趣味や人柄を気にすることなく、無意識のうちに仲間になっていることもありました。今はSNSで人とつながりやすくなっていますが、子どものころとはどこか違います。


河田さん・藤田さん・吉田さんは、私よりも一回りほど年齢が離れている先輩たちですが、何かきっかけがあったわけではなく、いつの間にか会話をして、笑い合うような関係になっていました。言葉を交わすたびに、モヤモヤしている気持ちや心の“わだかまり”を解消してくれる。そんな“仲間”と一緒に、一人でも多くの人に私たちの声を届けていければと思います。

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