2019年に若年性アルツハイマー型認知症と診断された下坂厚さん。現在は、フォトグラファーとしても活動しています。
下坂さんの日常の様子を、毎月のフォト日記としてお届けする本企画。今回は、石川県小松市の海で過ごしたエピソードを綴っていただきました。
2019年に若年性アルツハイマー型認知症と診断された下坂厚さん。現在は、フォトグラファーとしても活動しています。
下坂さんの日常の様子を、毎月のフォト日記としてお届けする本企画。今回は、石川県小松市の海で過ごしたエピソードを綴っていただきました。
認知症の講演のために石川県小松市へ行ってきました。
小松市と聞いて思い浮かぶのは、源義経と弁慶を題材とした歌舞伎の演目「勧進帳」。歴史に残る出来事が代々受け継がれ、今、自分が“物語の場所”に立っていると思うと、とても不思議な感覚になります。
この日はホテルに到着して、まだ約束まで時間がありました。講演などで全国を訪れた際は、その土地ならではの景色を見ることも楽しみの1つ。
この日もどこへ行こうか考え、タクシーを止めて、運転手にお任せしました。
「このあたりで一番きれいな海まで行ってください」
運転手は少し考えて、「とっておきの場所があるよ」と車を走らせました。
窓の外を見ていると、建物がだんだん少なくなっていき、空が広くなっていく。
到着した先は、周りに何もない、砂浜と海だけが広がった海岸。
子供のころから、自然が好きで、川や海によく行っていました。自然のなかでも、景色や四季の変化に注目する人もいます。でも私は、自然の中にある、小さなものが好きです。ファインダーで覗かなければ、気が付かないようなもの。
この日も海岸を歩いていると、小さな石の集まりが目に付きました。その中央に、ガラスの破片がある。
ガラスを手にとり、太陽の光に当ててみると、小さな傷やくすみが見える。このガラスの元の形はどんなものだったのだろう。別の形をした何かが、ぶつかって、ころがって、大きな衝撃によって割れたのか。
そばにある石を手にとってみる。この石は何十年・何百年(もしかしたら何千年?)も経過して、自分の目の前にあるのかもしれない。その間になにがあったのだろう。
“どこにでもある”ようなガラスの破片や石が持つ記憶を想像していくと、いろいろなストーリーが見えてくる。それに、自分がこの場所・この瞬間に来なければ、出会えなかったものたち。
“どこにでもある”ようなものこそ、特別なものなんです。
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