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2024.09.25

ケアスタッフより、家族介護者の方へメッセージ~第24回~ 糖尿病がある方への対応

日々、介護をするなかで「このやり方で正しいのかな」と疑問や不安を感じたり、「こんなふうにしてあげたいのに、うまくできない」と悩まれたり、葛藤されたりする瞬間があるのではないでしょうか。


お一人おひとりの状況に合わせておこなう介護の正解は、ひとつではありません。しかし、他の方のケア事例から感じ取れるヒントやメッセージもあるかと思い、本コラムでは経験豊富なSOMPOケアスタッフの介護エピソードをご紹介します。


目次
・今回のテーマ:糖尿病がある方への対応
・「自分でできるから大丈夫」心配をかけたくないご本人
・生活の不安から調理の支援がはじまる
・「弱音を吐けるようになった」
・ケアスタッフからのアドバイス

執筆者画像
SOMPOケア郡山 訪問介護事業所 ケアマネジャー 田中華江さん
幼少期からおばあちゃん子だったこともあり、介護関係の仕事へ進むため福祉系の高校へ進学。高校卒業後に介護福祉士を取得し、特別養護老人ホームへ就職。20代での結婚を機に一旦離職。 30代になりジャパンケアサービス(現:SOMPOケア)へ、ホームヘルパーとして入職されました。当時はパートでしたが、半年で正社員となり、その後ヘルパーステーションの管理者に。訪問介護はひとりのお客さまに向けたケアができることが魅力、と語っています。

今回のテーマ:糖尿病がある方への対応

今回ご紹介するのは、糖尿病が悪化してインスリン(※1)の管理が必要になった80代の女性(Aさん)のお話です。Aさんは一人暮らしで、週1回SOMPOケアのヘルパーがお掃除をお手伝いする形で介入していました。


Aさんは、加齢によるもの忘れはありますが、認知症の診断はありません。人の名前もしっかり覚えています。そんなAさんですが、ヘルパー介入開始後、糖尿病が悪化して入院となってしまいました。結果として1ヶ月で退院となったのですが、退院後は一人暮らしのため調理面に不安があり、訪問介護の利用再開時に、お掃除に加えて「調理面」でのサポートが必要になりました。


※1インスリン:膵臓で作られる血糖を下げる働きのあるホルモンです。注射によって外部から補うことも可能です。インスリン注射にはいくつか種類があり、血糖値やご本人の状態により医師の医学的判断で処方されます。

「自分でできるから大丈夫」心配をかけたくないご本人

Aさんは、入院生活でインスリンの自己注射は覚えたのですが、ご自身で血糖値を測ることことは難しかったようです。Aさんのような血糖値の管理入院は、早ければ1〜2週間ぐらいで退院できるケースもあるのですが、Aさんは1ヶ月かかってしまいました。ヘルパースタッフとしても、退院後に低血糖や高血糖状態になっているのではないかは心配でしたね。今はたまに低血糖があるようで、Aさんへ低血糖の症状(※2)と対応を指導しています。


ご家族は娘さんがおひとり。同じ市内に住んでいますが、嫁ぎ先でお仕事をされているため、介護は難しいようでした。しかし、親子仲は悪いわけでありません。入院後は、週末にかならずAさんに会いに来られていました。ただ、Aさんは「人に頼りたくない」と思っているようで、娘さんにも頼ろうとする様子はありませんでした。


もともとAさんは旦那さんと離婚しており、娘さんには立派に育って欲しいという思いがあったようで、資格や手に職をつけるように厳しく教育されてきました。一方で、自分も人に頼らないで「がんばらなければ」という思いが根底にあったようです。

実際に、Aさんは「自分でできるから大丈夫」と何度も言われました。


※2 低血糖症状:動悸、冷や汗がとまらない、体がだるい、異常な空腹感などがあげられます。低血糖時の対応はブドウ糖の摂取が重要です。重度になると意識障害、昏睡などもみられるため、当てはまる症状がある場合は専門の医療機関を受診しましょう。


生活の不安から調理の支援がはじまる

Aさんは、もともと糖尿病に対して内服薬のみで治療していました。しかし、入院をきっかけにインスリンの管理も必要になってしまって。血糖値が不安定なため、退院後は「調理面が不安。自分ひとりだと好きな時間に好きなものを食べて、作るものも同じになってしまう」と話されていました。


元々、お掃除のサービスで介入していたスタッフは栄養士の資格があり、料理ができるスタッフでした。ご本人との関係性も築けていて、Aさんから「その子が調理できるなら一緒にやりたい」とお話がありました。Aさんの支援時、ケアの時間を延長して「調理支援(※3)」の介入を提案しました。ケアマネからもご本人の意向を確認してもらい、週1回ヘルパーが調理とお掃除で介入することに。


※3 調理支援:訪問介護の中でも大きく分けて「生活援助」に分類されるサービスです。調理食材の買いもの、料理の下ごしらえ、栄養面を考えた料理作り、片付けまでを行います。ときには調理の指導や、利用者の「できる力」を活かして一緒に調理することもあります。

「弱音を吐けるようになった」

支援する中で、Aさんの血糖値は落ち着いてきているようで、インスリンの量も増やすことなく過ごせています。訪問がないときの状態は、低血糖時に使用するブドウ糖、ゼリー、アメの場所を確認して「減っていないか」を記録し、スタッフ間で共有しています。


調理については、Aさんから「一緒に作るのでおいしく感じる」という話を聞けています。時間も気にして、朝、昼、夕で食べて、インスリン注射もきちんとできており、それが生きがいにつながっているようでした。

ちなみに調理サービスの提供は週1回なので、ほかの日はご自身で作られています。近隣の方と交流もあり、ご近所さんが持ってくるものを食べるときもあるようです。また、デイサービスも利用されており、週の予定は忙しいようでした。ヘルパーが週1回の介入だったのもそのためです。


お掃除の支援のため介入していた頃は、人に頼ろうとせず、かならず「自分でできるんだけどね…」と最後に言われていました。ところが入院後から心境の変化があり、「不安で」「私一人で大丈夫かな」といった言葉が聞かれるようになりました。

長年Aさんと関わっているケアマネジャーも、「Aさんは、とにかく我慢をされる人でした。でも最近は弱音を吐くこともあり、ヘルパーを頼りにしているようです」と話していました。


私たちも、Aさんから「楽しいからありがとう」という言葉もいただけるようになったのがとてもうれしかったです。


ケアスタッフからのアドバイス

今回の支援には、糖尿病の理解が必要でした。高血糖、低血糖の症状を知らなければAさんの対応はできません。そのため私の立場(ヘルパーステーション管理者)からは「糖尿病」という疾病をスタッフに確実に伝えるよう意識しました。一緒に考えて、一緒に学んで、といった感じです。


Aさんにも、スタッフから「〇〇な症状が出たら低血糖ですよ」と伝えています。支援を続けていく中で、Aさんから「低血糖になったみたいだけど、ブドウ糖を自分で飲めた」「手がふるえるのは低血糖のせいみたいなの。ブドウ糖を飲んだら良くなった」という言葉も出るようになりました。


もともとAさんは、低血糖からくる体調不良を低血糖と結びつけずに、「このくらい大丈夫」と我慢してしまう傾向がありましたが、糖尿病への理解が深まり良かったと思います。こうした言葉が出るようになったのも、介入時間を増やしてスタッフとの信頼関係を築けているのもひとつの要因です。「誰かに頼れるようになった」というのも、Aさんの生活が良い方向に進むきっかけになるのではないでしょうか。


次回は田中さんがヘルパーとして関わった、認知症による「暴言」がみられたご夫婦のお話です。



取材/SOMPO笑顔倶楽部  文/藤本皓司



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